公開日:2022年02月07日
最終更新日:2022年03月20日
業務委託とは、雇用関係を締結することなく業務の完成を目的として交わす契約です。
業務委託は、外部の専門性を活用できることのほか、社会保険料を負担しないでよい、人件費を流動経費とすることができるなど、多くのメリットがあります。
業務委託とは、雇用関係を締結せずに業務の完成を目的として交わす契約です。業務の一部(たとえば、経理、警備、商品管理、商品販売など一部の業務)を外部の専門会社や専門家に委託する契約です。
業務委託は、状況に応じた委託業務量を調整することでコストを削減できるので、人件費を固定費ではなく流動経費とすることができる、社会保険料等を負担しなくてもよい、など多くのメリットがあります。
業務委託契約は、法律上「請負」となる場合と「準委任」となる場合があります。
請負とは、請け負った人が仕事を完成させることを約束し、注文者は仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約です(民法632条)。一方、準委任とは委任者が受任者に対して、法律行為以外の業務を委託する契約です(民法656条)。
たとえば、「朝の10時から夕方の17時までに商品を100個売る」という契約でいえば、請負契約では仕事の完成が義務となるので、商品を100個売るまでは報酬を受けることができません。一方、準委任では、商品を100個売る義務は追っていないので、朝の10時から夕方の17時まで業務を行えば、報酬を受けることができます。
また、請負は「仕事を完成させる義務を負う」ので、仕事を下請けすることができますが、準委任は、委任者の承諾もしくはやむを得ない事情がなければ、他人に業務を委任(復委任)することはできません。
請負 | 準委任 | |
---|---|---|
納期・契約期間 | 成果物の納品で、業務が完成するため、納期について定める | 業務処理の継続(契約期間)を定める |
報酬 | 1つ○○円、総額○○円と定める | 業務ごとに報酬を定める |
指揮命令権 | 注文者に指揮命令権はない (注文者に指揮命令権があれば、労働者派遣) |
外部の人材を活用する場合には、さまざまな契約形態があります。
労務提供先の指揮監督のもとで業務を行う場合には、直接雇用するケースと労働者派遣を行うケースがありますが、業務委託は、労務提供先の指揮監督を受けずに業務を行うケースです。
労務提供先の指揮監督のもとで業務を行う場合は、労働基準法などが適用されますが、業務委託の場合には下請法などの規制が設けられています。
労務提供先の指揮監督があるか否か | ある | 直接雇用 | |
労働者派遣 | |||
ない | 業務委託 | 請負 | |
準委任 |
業務委託費として処理するのは、業務委託契約などによって会社の業務の一部を外部の企業や個人事業主などに委託する際に支払う費用です。
業務委託費は、外注費、支払手数料として処理されることもあります。また、製造業において加工作業を委託している場合には、製造経費の「外注加工費」として処理をします。
業務委託費は業務委託契約に基づく労務の対価であるのに対して、給与は雇用契約に基づく労務の対価です。
給与を支払う際には所得税を源泉徴収する必要がありますが、業務委託においても個人に業務を委託する場合には、業務内容によっては報酬から源泉徴収をする必要があります。
業務委託費は、会社の業務の一部を外部の企業や個人事業主などに委託する際に支払う費用ですが、外部の企業や個人事業主などに委託した費用をすべて業務委託費で処理をするのは、おすすめできません。
たとえば、運送業務を業務委託する場合には、業務委託費ではなく運送費で処理する方が適切ですし、経営状態を正確に管理することができます。
業種によっては、多くの業務委託を行っている場合がありますが、その場合には「清掃費」「保守管理費」「家賃管理費」などの勘定科目で処理をして、実態を正確に把握できるように管理します。
また、税理士、司法書士など専門性の高い業務を依頼した時には「支払手数料」、販売促進のためにノベルティグッズ等を制作した時には「販売促進費」として処理をします。
業務委託費は、外部の法人または個人と業務委託契約を締結した場合の費用を処理する勘定科目です。
外注先が個人事業者である場合には、支払代金から源泉所得税を差し引いて残額を支払います。
「不動産賃貸業において、賃貸マンションの清掃業務を外部の会社に委託した。毎月11万円ずつ普通預金口座より支払っている。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
業務委託費 | 100,000 | 普通預金 | 110,000 |
仮払消費税等 | 10,000 |
「外部のコンサルタントにコンサルタント料を110万円支払った。振込手数料は550円であった。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
業務委託費 | 1,100,000 | 普通預金 | 110,000 |
雑費 | 550 | ||
仮払消費税等 | 100,050 |
以上、業務委託の意味や請負と準委任の違い、業務委託費の処理などについてご紹介しました。
業務委託は、適切に活用すれば労働者を雇用するよりコストを抑えて必要なスキルを持っている人材を必要な時に確保できるメリットの大きい方法です。ただし、適切に活用するためには報酬の計算方法や業務の依頼方法など慎重に検討する必要があります。
また業務委託費は、業務委託契約などによって業務を外部の企業や個人事業主などに委託する際に支払う費用ですが、業務委託費で処理するより「運送費」「清掃費」など支出内容が分かる勘定科目で処理する方が適切なケースもあります。
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