公開日:2022年06月14日
最終更新日:2024年06月12日
未収入金とは、通常の取引に基づいて発生した売掛金以外のもの、および通常の取引以外の取引に基づいて発生した未収の代金を処理する勘定科目です。
未収入金は、売掛金や未収収益と混同しがちなので、その違いについて注意が必要です。
未収入金(未収金)の豆知識
未収入金とは、簡単に言うと「本業以外の取引によって発生した対価の、まだ入金されていないもの」です。
通常の取引に基づいて発生した売掛金以外の対価の未収額や、通常の取引以外の取引に基づいて発生した対価の未収額で、1年以内に現金化できると認められるものをいいます。該当するものとして、固定資産や有価証券を売却した際の未収額があります。
なお、混同しやすいものとして「未収収益」がありますが、未収収益は一定の契約によって継続して役務を提供する場合に、すでに提供した役務でまだ支払いを受けていない対価をいいます。つまり、入金の期日が到来していないものです。
一方、未収入金は、①すでに販売していて債権は確定しているが、まだ入金されていないもの、もしくは②継続的にサービスを提供する場合に、すでに入金の期日が到来しているものです。
未収金は、売掛金の営業債権と同様に、期末に貸倒引当金の設定の対象となります。
貸倒れとは、法律上債権の回収ができないことが確定したことをいいます。単に「何カ月も回収できない」というだけでは、貸倒れとはいえません。そのため、貸倒損失を計上するためには法律の要件を確認する必要があります。
未収入金とは、通常の取引に基づいて発生した「売掛金以外」の代価の未収額および通常の取引以外の取引に基づいて発生した代価の未収額で、1年以内に回収され現金化できると認められるものです。
未収入金は、「未収金」ともいいます(以下、未収入金)。
未収入金は、貸借対照表の流動資産の「その他流動資産」に区分されます。
流動資産の一般的な勘定科目
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未収入金に該当するものとしては、主に以下のようなものがあります。
・固定資産の売却代金の未収 ・有価証券売却代金の未収 ・機械の売却代金の未収 ・設備の売却代金の未収 ・土地の売却代金の未収 ・建物の売却代金の未収 ・工具の売却代金の未収 ・備品の売却代金の未収 ・作業くずの売却代金の未収 ・車両の売却代金の未収 |
未収入金と混同しがちな勘定科目として、「未収収益」があります。
未収収益は、通常の取引によって発生する収益で、一定の契約にしたがって継続したサービスの提供をしている場合で、すでにサービスの提供が済んでいる場合の代金が未収のものを処理するときの勘定科目です。
未収入金は、相手側に支払いを請求することができますが、未収収益は相手方に請求することができません。たとえば、1年後に元本と利息を一括弁済する約束で100万円を貸したケースでは、期間の経過に応じて利息を「未収収益」として計上することはできますが、1年後までは、元本も利息も請求することができません。
未収金は、売掛金とも混同しがちです。
売掛金は、取引先との通常の取引で生じた代金で未収のものを処理するときの勘定科目で、それ以外の未収の代金を「未収入金」で処理をします。
たとえば、下請け先に材料を有償で支給した場合は、未収入金で処理をします。取引先に売った場合には「売掛金」ですが、この場合は仕入先に売っているからです。
また、車や備品、有価証券を売却した場合には、商品販売のような営業取引に該当しないことから、売掛金ではなく未収入金で処理をします。
未収入金は、固定資産や有価証券を売却した際の未収額を処理したり、外注先(下請け先)に材料を提供する方法で外注加工を利用したりしている場合に使用します。
ここでは、未収入金のよくある仕訳をご紹介します。
「簿価50万円の機械を55万円で売却し、1か月後に代金が振り込まれた。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
未収入金 | 550,000 | 機械装置 | 500,000 |
仮払消費税等 | 50,000 |
有償支給とは、会社から下請け先に材料を提供する方法で外注加工を発注している場合に、材料を有償で提供して加工終了時に加工品に外注加工賃を上乗せした価格で購入する方法です。
このような有償支給により発注する提供材料代金の未収額は、未収入金で処理をします。
有償支給は、加工の仕損じ(しそんじ)が生じた場合にその責任が下請け先となるため、材料費の節約につながるというメリットがあります。
なお、有償支給は、外注加工後に加工品を買い戻すことを前提としています。したがって、材料支給の時点では売上計上できないことに注意が必要です。
「仕入価額1個1,000円の材料1,000個を下請け先に支給し、下請け先から加工品を1個1,500円で買い入れた。」
①材料購入時
②材料支給時
③加工品受入時
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無償支給とは、会社から下請け先に材料を提供する方法で外注加工を発注している場合に、材料を無償で提供し加工品の受入の際に外注加工費部分だけを支払う方法です。
このような無償支給による取引では、未収入金は使わず、「材料」「外注加工費」を使って処理をします。
有償支給の仕訳処理との違いを理解するうえで、参考にしてください。
①材料購入時 材料購入時は、有償支給の際と同じ処理を行います。
②材料支給時 ③加工品受入時
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未収入金は、通常の取引に基づいて発生した「売掛金以外」の未収額および「通常の取引以外の取引」に基づいて発生した代価の未収額のうち、「1年以内に回収され現金化できると認められるもの」を処理するときの勘定科目です。
未収入金は、売掛金や未収収益と混同しがちなため、違いについてはよく理解をしておきましょう。
未収入金 (未収金) |
通常の取引の結果発生した未収入金のうち、売掛金以外のもの、および通常の取引以外の取引に基づいて発生した未収額 |
売掛金 | 取引先との通常の営業取引で発生した代金で、未収のもの |
未収収益 | 通常の取引によって発生した収益で、一定の契約に従って継続したサービスの提供をしている場合、すでにサービスの提供が済んでいるもので代金が未収のもの |
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