公開日:2021年09月10日
最終更新日:2024年05月27日
減価償却累計額とは、過去の減価償却費の累計額です。
減価償却累計額は、毎期実施される減価償却費の累積金額なので、たとえば決算において、当期分の減価償却費を計上する場合には、貸方に「減価償却累計額」という勘定科目を用いて、仕訳の処理を行います(間接控除法)。
減価償却の豆知識
減価償却累計額とは、建物、構築物、機械装置、車両運搬、工具器具備品などの有形固定資産の減価償却を処理するときに使う勘定科目です。
減価償却の勘定処理方法には、直接控除法と間接控除法がありますが、直接控除法は有形固定資産の取得価額から減価償却額を直接減額させるので、減価償却累計額は使いません。
間接控除法では、減価償却累計額で勘定処理を行い、取得価額から減価償却額を直接減額しないで、減価償却額を減価償却累計額に累積していきます。
間接控除法を使うと、取得価額、減価償却累計額、帳簿価額のデータを勘定価額から直接把握できるというメリットがありますが、実務上は直接控除法の方が多く採用されています。これは、固定資産台帳を見れば、必要なデータは管理できるというのが理由です。
直接控除法を採用するか、間接控除法を採用するかについては、税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
減価償却累計額とは、過去の減価償却費の累計額をいいます。
減価償却費の仕訳の処理方法には、「直接控除法」と「間接控除法」があります。
直接控除法で処理をした場合には、対象となる簿価から毎期減価償却費を直接減額するため「減価償却累計額」という勘定科目は使用しません。
一方、間接控除法では、対象となる資産の簿価から直接減額するのではなく、「減価償却累計額」という勘定科目を使用して、毎期の減価償却費を累積する処理を行います。
したがって、「減価償却累計額」という勘定科目を使用するのは、減価償却費について間接控除法で処理をした場合ということになります。
未償却残高=取得価額-減価償却累計額 減価償却累計額=取得価額-未償却残高 |
---|
減価償却費:減価償却をした分の経費となる金額 取得価額:その資産の購入代金 減価償却累計額:減価償却費の今までの累積 未償却残高:その資産でまだ減価償却されていない部分 |
減価償却費の仕訳の処理方法には、直接控除法と間接控除法があります。
直接控除法では、貸方に「固定資産」の勘定科目を使います。
「決算日に、建物の減価償却100万円、構築物の減価償却50万円を実施した。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 1,500,000 | 建物 | 1,000,000 |
構築物 | 500,000 |
資産勘定の減少となり、固定資産の価値が減っていくのが分かるため、簡易で分かりやすい方法です。
なお、直接控除法の場合には、該当する資産の簿価から直接減額するため、貸借対照表には減価償却した後の金額が表示されます。
つまり、減価償却後の固定資産の帳簿価額(未償却残高)をそのまま載せます。
したがって、「購入した固定資産がいくらだったか」「どのくらい減価償却費として計上したのか」を把握することができないというデメリットがあります。
前述した直接控除法のデメリットを解消するために、固定資産の総額からマイナスする勘定科目を作成し、固定資産の総額と決算時点での減価償却費の累計額が分かるようにしたのが、間接控除法です。
間接控除法では、対象となる資産の簿価から直接減額するのではなく、「減価償却累計額」という勘定科目を使用して、毎期の減価償却費を累積させていきます。
「決算日に、建物の減価償却100万円、構築物の減価償却50万円を実施した。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 1,500,000 | 建物減価償却累計額 | 1,000,000 |
構築物減価償却累計額 | 500,000 |
これは、固定資産購入時からの減価償却費の合計額であり、資産勘定のマイナスをあらわす特殊な勘定科目です。
したがって、間接控除法で減価償却費を処理した場合には、貸借対照表にはマイナス表示する形で「減価償却累計額」を表示されることになります。
直接控除法 | 間接控除法 |
---|---|
Ⅱ固定資産 有形固定資産 建物 ×× 車両運搬費 ×× |
Ⅱ固定資産 有形固定資産 建物 ×× 減価償却累計額 △××× 車両運搬費 ××× 減価償却累計額 △××× |
※なお、間接控除法は、勘定科目ごとにひとつひとつ控除する場合と一括して控除する場合があります。
一括して控除する場合には、貸借対照表には、一括して計算した減価償却累計額が表示されます。
一括して控除する方法 | 科目ごとに控除する方法 |
---|---|
Ⅱ固定資産 有形固定資産 建物 ×× 車両運搬費 ×× 減価償却累計額 △×× |
Ⅱ固定資産 有形固定資産 建物 ×× 減価償却累計額 △××× 車両運搬費 ××× 減価償却累計額 △××× |
これまでご紹介したように、「減価償却累計額」とは、減価償却費の仕訳を処理する際に「間接控除法」という方法を用いた時に使用する勘定科目です。
ここでは、減価償却累計額を使用する間接控除法の仕訳についてご紹介します。
「取得価額200万円、減価償却累計額150万円の営業用の車両を80万円で売却した。代金は現金で支払った。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 1,500,000 | 車両運搬費 | 2,000,000 |
現金 | 800,000 | 固定資産売却益 | 300,000 |
※直接法では、減価償却累計額を使用せず、車両運搬費を直接減額します。
「取得価額500万円、減価償却累計額250万円の機械装置を300万円で売却した」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 400,000 | 工具器具備品 | 500,000 |
固定資産除却損 | 150,000 | 現金 | 50,000 |
減価償却費の仕訳の処理方法は、直接控除法と間接控除法があり、直接控除法は減価償却費を固定資産から直接減少させる方法であり、間接控除法は減価償却費を累計して記載する方法です。
間接控除法を用いる場合には、減価償却費を累計するために相手科目に「減価償却累計額」を使用します。
この間接控除法には、固定資産の帳簿価額を取得原価とすることができるというメリットがありますが、直接控除法の方が簡便で理解しやすいというメリットがあります。
どちらの処理方法で減価償却費を仕訳するかについては、税理士にアドバイスを求め指導を受けることをおすすめします。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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