租税公課|どこよりもやさしくていねいに解説!

公開日:2019年12月07日
最終更新日:2024年05月15日

この記事のポイント

  • 租税公課とは、税金や賦課金などの総称のこと。
  • 租税公課には、税務上経費として認められるものと認められないものがある。
  • 経費として認められる租税公課は、損益計算書の「販売費および一般管理費」に計上される。

 

租税公課とは、税金や賦課金などの総称をいいます。
租税公課には、税務上経費として認められるものと認められないものがあります。
また、消費税は経理処理の方法によって取り扱いが異なります。

この記事では、租税公課の意味や、租税公課のうち経費として認められるものと認められないものに分け、認められるものについては「いつ損金算入するか」「どのように仕訳をするか」など、経理処理の方法についてもご紹介します。
 

租税公課の豆知識

租税公課で処理するのは、法人税、住民税および事業税(外形標準課税部分は除く)以外の税金と、公的な課金や反則金、過料などです。
具体的には、固定資産税、都市計画税、自動車税、不動産取得税、印紙税、登録免許税などの税金や、反則金などです。
消費税について、税込方式を採用している場合には、租税公課で処理をします。
法人税、道府県民税、資藤村民税、延滞税や無申告加算税、重加算税などは損金となりません。
一方、固定資産税、事業税、不動産取得税などは損金算入することができます。なお、損金となる時期は、申告納税方式による租税か賦課決定方式による租税かで異なります。
申告納税方式による租税(事業税、自動車取得税など)は、「申告書が提出された日の属する事業年度」ですが、賦課決定方式による租税(固定資産税、不動産取得税、自動車税など)は、「賦課決定のあった日の属する事業年度 ※例外あり」となります。
なお不動産取得税は、土地や建物を取得するうえで支出した費用ということで取得原価とすることもできますし、取得原価に含めず租税公課として処理をすることもできます。
どの処理方法が適切か、効率的なのかについては、税理士に相談してみましょう。

租税公課とは

税金や賦課金のことを、一般的に租税公課といいます。

租税公課とは、国や地方税等の「租税」(税金)や、国・地方公共団体から課せられる交付金や会費などの公的な課金である「公課」を合わせた勘定科目です。
租税公課は、税務上経費として認められるものと認められないものがありますので、経理処理するうえでは、注意が必要です。

(1)経費と認められるもの・認められないもの

なお、税務上経費として認められる租税公課は、損益計算書では「販売費および一般管理費」に計上されます。

区分 名称 勘定科目 決算書での表示
税務上経費として認められるもの 印紙税、固定資産税、自動車税、法人事業税、不動産取得税、登録免許税、印紙税 租税公課 損益計算書の「販売費及び一般管理費」
税務上経費として認められないもの (1)会社の税引前利益から支払うもの 法人税や法人住民税、事業税 法人税、住民税及び事業税 損益計算書の「税引前利益」の計算後、勘定科目に「法人税等」と表示
(2)罰則に該当するもの 延滞税や延滞金、加算税や加算金、交通違反時に発生する罰金など 雑損失など 損益計算書の「販売費及び一般管理費」で、他の租税公課と区別するために「雑損失」として表示。損金には算入できない。
(3)税の「予納」の性質をもつもの 法人税や法人住民税、消費税の予納税額、預金利子や配当の受取時に生じる源泉所得税など 仮払税金 貸借対照表の「資産の部」
経理処理の方法によって取扱いが異なるもの 消費税 税込経理の場合は、費用処理する。

税抜経理の場合は、仮受消費税、仮払消費税で経理処理する。

税込処理している場合には「販売費及び一般管理費」と表示される。
税抜処理の場合、事業者が納める消費税は、収益でも費用でもないため、損益計算書に消費税は表示されない。

(2)公課とは

公課とは、国・地方公共団体から課せられる交付金や会費などのことで、税務上、経費として認められる「公課」の代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

税務上、経費として認められる「公課」
・印鑑証明書や住民票の発行にかかる手数料
・その他公共サービスに対する手数料
・商工会や商工会議所、協同組合、同業者組合などの会費、組合費、賦課金
など

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税務上経費として認められる租税公課

税務上経費として認められる租税公課は、損金算入することができます。
損金算入とは、法人の資産の減少の原因となる原価・費用・損失の額のことで、損金算入できると利益を減らすことになるため、納税額を減らすことができます。

税務上経費として認められる租税公課は、損金算入する時期によって大きく3つのタイプに分類されます。

(1)事業年度に損金算入するもの

申告にもとづいて納税する場合には、申告をした日の属する事業年度が損金算入時期です。たとえば、法人事業税は前期決算の申告を、決算日以降2カ月以内に申告・納税しますので、当期に損金算入することができます。事業所税や酒税なども、同じように申告をした日の属する事業年度が損金算入時期です。

(2)賦課決定のあった事業年度に損金算入するもの

固定資産税や都市計画税、不動産取得税などは、賦課決定があって初めて納税する租税公課です。
このように、賦課決定があってから初めて納税することが決まる租税公課の損金算入時期は、賦課決定のあった日が属する事業年度です。
なお、固定資産税は、年4回の分納をするケースがありますが、この場合でも、その4回分の金額を、賦課決定された期の損金とすることができます。

(3)特別徴収されるもの

軽油引取税など特別徴収される税金については、申告をした日が属する事業年度に損金算入することができます。軽油引取税は、徴収した1カ月分をまとめて翌月に申告・納税しますが、この申告した日が属する事業年度に損金算入することになります。

税務上経費として認められない租税公課

税務上経費として認められない租税公課についても、大きく3つのタイプに分類することができます。

(1)会社の税引前利益から支払うもの

まず、会社の税引き前利益から支払われる法人税や法人住民税です。
法人税や法人住民税は、経理処理する際の勘定科目も「租税公課」ではなく、「法人税、住民税及び事業税等」という勘定科目を使い、税引前当期純利益を計算する際には含まないのが一般的です。

(2)罰則に該当するもの

罰則に該当するものも、税務上経費として認められない租税公課で、損金に算入することはできません。
罰則とは、法人税や法人住民税の納付を延滞した時に課される延滞税や延滞金、加算税や加算金、交通違反時に発生する罰金などのことをいいます。これらの罰則的な性質をもつものは、経費として認められる租税公課と区別するために、「雑損失」という勘定科目で処理する場合があります。

(3)税の「予納」の性質をもつもの

法人税の「予納」など、税の予納税額も、租税公課には含まれません。
法人税や法人住民税、消費税の予納税額や預金利子や配当の受取時に生じる源泉所得税などです。

これらの予定納税額は、決算申告する時には確定税額から差し引いて処理するので、「仮払金勘定」などの勘定科目を使って処理するのが一般的です。

(4)消費税の取扱は経理処理の方法によって異なる

消費税は、会社の経理処理の方法によって、税込経理とするか税抜経理とするかによって取り扱いが変わります。

・税込経理
税込経理の場合には、売上字および仕入れ時などは、消費税を含んだ金額で売上高・仕入高とし、決算に置いて納付する消費税額を租税公課として費用処理しますので、この費用処理した消費税は、税務上経費として認められます。

・税抜経理
税抜経理の場合には、売上字などに預かった消費税を「借受消費税」仕入れ時に支払った消費税は「仮払消費税」という勘定科目で経理処理します。
決算時においては、仮受消費税から仮払消費税を差し引いて納税することになるので、納付する消費税額を租税公課として経理処理することはできません。

租税公課の仕訳例

これまでご紹介したように、租税公課はその種類によって経費として認められるものと認められないものがあるため、経理処理する場合には注意が必要です。
ここでは、租税公課の仕訳処理をする際の事例についてご紹介します。

(1)固定資産税

固定資産税は、税務上、経費として認められる租税なので、「租税公課」として経理処理します。

「会社で所有する土地について、30万円の固定資産税の納税土書が度時、納付は期限ごとに行う予定である。」

借方 貸方
租税公課 300,000 未払金 300,000

(2)印紙税

印紙税は、税務上、経費として認められる租税なので、「租税公課」として経理処理します。

「収入印紙を購入して、現金で2万円支払った。」

借方 貸方
租税公課 20,000 現金 20,000

(3)所得税・住民税

個人の所得税や住民税は、経費として認められない租税です。
もし間違って租税公課としていた場合には、「事業主貸」として振替処理します。

「個人事業で、所得税と住民税の合計15万円を租税公課として処理してしまったので、決算時に振替処理をした。」

借方 貸方
事業主貸 150,000 現金 150,000

(4)消費税

消費税を税込処理している場合には、決算時に租税公課として経費とすることができます。また、納付時に「租税公課」として経費にすることもできます。

「決算にあたり、消費税額が30万円と確定した。その後、消費税を現金で納付した。」

借方 貸方
租税公課 300,000 未払消費税等 300,000
借方 貸方
未払消費税等 300,000 現金 300,000

まとめ

以上、租税公課の意味や、経費とすることができるもの・できないもの、経費とする場合には損金算入時期はいつになるか、などについてご紹介しました。

固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税、印鑑証明書の手数料などは、経費とすることができるので「租税公課」として経理処理し損金に算入することができますが、法人税や住民税、事業税などは、「租税公課」ではなく「法人税、住民税及び事業税」という勘定科目で処理します。
また、延滞税や加算税など罰則的な性格を持つものは、損金に算入することはできません。

租税公課の仕訳例について不明点や疑問点などがある場合には、税理士に相談して正しい仕訳方法についてサポートを受けることをおすすめします。

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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