当座預金とは|普通預金との違いをわかりやすく解説

公開日:2021年11月10日
最終更新日:2022年03月29日

この記事のポイント

  • 当座預金とは、手形・小切手の代金を決済する時に使う預金口座のこと。
  • 当座借越契約をしておくと「不渡り」を防ぐことができる。
  • 当座預金は普通預金のように通帳は発行されない。

 

当座預金とは、手形・小切手の代金を決済する時に使う預金口座です。
当座預金は、利用しています。
当座預金は、当座借越契約をしておくと残高以上の決済をすることができ、企業として最も避けたい「不渡り」という状態を防ぐことができます。

当座預金とは

当座預金とは、主に企業や個人事業主が営業資金等の支払いに利用する預金口座です。決済用預金であることから、金融機関が破たんした場合でも全額保護の対象となります。そのため、多くの企業で現金の代わりに小切手や手形で支払いをする際に活用されています。
当座預金は普通預金のように通帳は発行されず、当座勘定照合表が金融機関から送付されます。また、当座預金は普通預金と異なり利息がつきません。

【会社で利用する主な預金口座】

普通預金:運転資金の出し入れに使われる
当座預金:手形や小切手の振出しに使われる
定期預金:余剰資金の運用に使われる
定期積金:毎月定額を積み立てておく

(1)当座預金の開設は審査が必要

銀行で当座預金を開設するためには、会社の登記事項証明書や印鑑証明書を提出する必要があります。必要書類を提出した後は、銀行で審査を受けてから、後日に口座開設となります。
口座が開設されると、銀行と「銀行取引約定書」(銀行との契約書のようなもの)が取り交わされ、当座預金を利用できるようになります。

(2)当座預金の審査に必要な書類

銀行で当座預金を開設するためには、銀行の審査を受けなければなりません。
その審査の際に必要な書類としては、以下のようなものがあります。

※詳細については、当座預金を開設する前に問い合わせて確認をしてください。

①会社の商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
②会社の定款
③会社印
④会社の印鑑証明書
⑤代表者の実印
⑥代表者の印鑑証明書
⑦代表者の身分証明書
⑧そのほか、会社の運営実態がわかる資料(決算書等)

当座預金のメリット

当座預金は、「現金の代わりに小切手や手形で支払いをする際に活用できる」「決済用預金であることから金融機関が破たんした場合でも、全額保護の対象となる」など、多くのメリットがあります。

(1)小切手などの振出ができる

当座預金は、一般的には手形や小切手の支払いを決済するための預金です。

小切手とは、銀行に支払業務を委託する有価証券のことです。
小切手を振り出した場合には、後日その額が当座預金から引き落とされます。
一方取引先から小切手を受け取った時には、日付や振出人名を確認し、受け取った小切手を振出日の翌日から10日以内に銀行に持ち込むことで、額面の全額を現金または預金口座で受け取ることができます。

手形も現金代わりに使える有価証券ですが、小切手と手形の最大の違いは決済日です。
小切手は受け取った人が銀行に持ち込めばすぐに現金化されますが、手形は振出人が支払期日を指定して、その期日が来なければ受取人は現金化できません。

手形には「約束手形」と「為替手形」の2種類があります。
約束手形とは、振出人が受取人に対して記載した金額を支払うことを約束した手形です。受取人が期日に約束手形を銀行に持ち込むと、振出人の当座預金口座から額面金額が引き落とされ、決済されます。一方為替手形は、振出人が自分以外の者を支払人として指定し、額面金額を受取人に支払うように依頼する手形のことです。つまり「関係者が2人=約束手形」「関係者が3人=為替手形」ということになります。

参照:一般社団法人 全国銀行協会「手形・小切手の振出」

(2)当座預金は「当座借越」ができる

当座預金は普通預金と異なり、当座借越(とうざかりこし)ができます。
当座借越とは、会社の財務状態や経営成績などが優良であれば、残高以上の決済ができるというものです。
当座借越契約をしておくことで、決済時に残高が不足していても借越限度額の範囲内で自動融資を受けることができるため、会社として最も避けたい「不渡り」という状態を回避することができるというメリットがあります。

(3)企業の信用度がアップする

当座預金の口座を開設するためには、銀行による審査が必要です。
審査の結果、当座預金の口座を開設できないこともあります。
つまり、当座預金の口座を開設できるということは、会社の財務状態や経営成績に関する銀行の審査に通ったということは意味しますので、企業の信用度がアップするというメリットがあります。

当座預金と普通預金の違い

当座預金は、無利息である、通帳がないなど、多くの点で普通預金口座と異なります。

内容 普通預金 当座預金
概要 自由に預入れ払戻ができる預金 一般に手形や小切手の支払いを決済するための預金
利息の有無 利息がつく 利息はつかない
よく利用される方法 運転資金の預入れ 手形や小切手の振出し
ATMによる入出金 できる できない
預金保険制度 一部のみ保護される 全額保護される

(1)当座預金は通帳がない

当座預金は、普通預金のように通帳が発行されません。当座勘定照合表が定期的に銀行から送付されます。したがって、送付されるまでは残高の確認は会計ソフトで確認するか、インターネットバンキングで確認する必要があります。
小切手を頻繁に振り出したり通帳がなかったりする当座預金に関しては、銀行側が把握している残高(当座勘定照合表など)と、会計ソフトの残高が一致しないことが起こりがちです。このような残高の不一致については、両者の残高が一致するように原因を究明して調整し、その記録として「銀行勘定調整表」を作成しなければなりません。
銀行勘定調整表を作成する際には、まず当座勘定照合表と当座預金勘定の調整前残高を記入し、小切手のミミなどを見ながら、不一致の原因を究明していく必要があります。

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(2)当座預金は利息がつかない

当座預金は、主に小切手や手形の決済を行うために利用されるもので、普通預金のように利息がつきません。これは、法律(臨時金利調整法)により利息をつけることが禁じられているからです。
一方これまでご紹介したように、当座預金は万一銀行が破綻しても預金保険制度によって、利息がつく普通預金とは異なり全額保護されるというメリットがあります。

▶ 一般社団法人 全国銀行協会「当座預金」

当座預金に関する主な仕訳

当座預金は、従業員への給与手当の振込、公共料金や家賃の自動支払い、仕入先への商品代金の支払い、取引先からの売上代金の振込みなどに利用されます。「クラウド会計ソフト freee会計」を使えば仕訳はほぼ自動化することができますが、主な仕訳の流れについては、覚えておくようにしましょう。

(1)小切手を振り出した時

①仕入の計上
「商品10万円分を仕入れ、掛けとした」

取引時は、仕入=費用が増えたので借方に、買掛金=負債が増えたので貸方に入れます。

借方 貸方
仕入 100,000 買掛金 100,000

②小切手の振り出し
「その後、代金として小切手を振り出し、決済された」

買掛金=負債が減ったので借方に、当座預金=資産が減ったので貸方に入れて買掛金の消し込みを行います。口座から代金が引き落とされた時には仕訳処理は必要ありません。

借方 貸方
買掛金 100,000 当座預金 100,000

(2)小切手を受け取った時

①売上の計上
「商品10万円分を販売し、掛けとした」

取引時は、売上の計上=収益が増えたので貸方に、売掛金=資産が増えたので借方に入れます。

借方 貸方
売掛金 100,000 売上 100,000

②小切手の受取り
「その後代金として、小切手を受け取った」

現金=資産が増えたので借方に、売掛金=資産が減ったので貸方に入れて売掛金の消し込みを行います。小切手管理簿に記入し、銀行で取立依頼をします。

借方 貸方
現金 100,000 売掛金 100,000

③仕訳処理
「当座預金口座に預け入れた」

現金=資産が減ったので貸方へ、当座預金=資産が増えたので借方に入れます。

借方 貸方
当座預金 100,000 現金 100,000

(3)約束手形を振り出した時

①約束手形を振り出した
「商品10万円分を仕入れ、約束手形を振り出した」

約束手形を振り出した時は、仕入=費用が増えたので借方に、支払手形=負債が増えたので貸方に入れます。

借方 貸方
仕入 100,000 支払手形 100,000

②代金が引き落とされた
「その後代金が引き落とされた」

負債が減ったので借方に、当座預金=資産が減ったので貸方に入れます。

借方 貸方
支払手形 100,000 当座預金 100,000

(4)約束手形を受け取った時

①約束手形を受け取った
「商品10万円分を販売し、約束手形を受け取った(普通預金で受け取った)」

約束手形を受け取った時は、売上の計上=収益が増えたので貸方に、受取手形=資産が増えたので借方に入れます。

借方 貸方
受取手形 100,000 売上 100,000

②入金された
「その後代金が入金された」

入金された時は、受取手形=資産が減ったので貸方に、普通預金=資産が増えたので借方に入れます。

借方 貸方
普通預金 100,000 受取手形 100,000

(5)当座預金勘定残高がマイナスになった

「当座借越契約を締結していて、当座預金残高がマイナス20万円のまま決算日を迎えた」
当座借越契約によって、当座預金がマイナスになっている場合には、金融機関から資金を借り入れていることになります。したがって、「短期借入金」に振り替えます。

借方 貸方
当座預金 200,000 短期借入金 200,000

まとめ

以上、当座預金の意味や普通預金との違い、当座預金のよくある仕訳についてご紹介しました。
当座預金は、主に小切手や手形の決済を行うため利用され、利息はつきません。当座借越契約を結んでおくと、借越限度額まで小切手を振り出すことができます。
残高がマイナスになってしまった分を「当座借越」といい、期末に当座借越になっている場合には「短期借入金」に振り替えて処理をします。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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