Peppol(ペポル)|2023年開始の電子インボイスとの関係は

公開日:2022年07月28日
最終更新日:2022年08月12日

この記事のポイント

  • Peppol(ペポル)とは、欧州各国を中心に利用が進んでいる国際的な標準規格。
  • Peppol(ペポル)とは、取引先のIDを知っていれば、請求書を送ることができるオープンネットワーク。
  • Peppol(ペポル)は、容易かつ低コストで利用でき、かつグローバルな取引にも利用できる。

 

Peppol(ペポル)とは、欧州を中心にすでに30か国以上で採用されている、「ネットワーク」「運用ルール」等に関する包括的な国際標準規格です。
取引先のIDを知っていれば、請求書を送ることができるオープンネットワークであるといった特徴があり、容易かつ低コストで利用することができるため、大企業はもちろん、中小・小規模事業者まで幅広く利用することができるというメリットがあります。

Peppol(ペポル)とは

Peppol(ペポル)とは、電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格で、欧州を中心に30か国以上で採用されている「ネットワーク」「運用ルール」「文書仕様」などに関する包括的な国際標準規格です。
日本の電子インボイスの標準仕様である「Peppol BIS Billing JP」は、売り手のアクセスポイントと買い手のアクセスポイントとの間でやり取りされる電子インボイスの標準仕様となっています。


引用:電子インボイス推進協議会「Peppol(ペポル)について」
日本版Peppol(ペポル)で実現すべき主な要件

法令上の
要件
〇 日本の付加価値税である消費税を扱えること
〇 法令上の請求書等(インボイス、返還インボイス等)を識別できること
〇 法令上必要な事項を記載できること
〇 金額が整数で適切に記載されること(適切な端数処理も含む)
〇 買手から売手に交付する仕入明細書に対応すること
業務上の
要件
〇 日本の一般的な業務に対応すること
・ たとえば、日本で一般的に利用される金融機関情報は、SWIFTコードやIBANなどの
国際規格の金融機関コードと異なる
・可能な限り既存の仕様で吸収し、やむを得ない場合にのみ拡張を検討する
〇 複数の納品取引を一つのインボイスに合算できること(合算請求書)
〇 登録事業者以外も利用できること
・登録事業者以外が交付する区分記載請求書を扱えること

(1)PeppolとEDIの違い

EDI取引とは、取引先との間における契約書や発注書、納品書、請求書などのやり取りを、インターネット等を利用して電子的に行なうシステムをいいます。
EDI取引は、広く普及しつつありますが、EDI取引の場合には、取引を行う両事業者がシステムを導入する必要があります。

この点、Peppol(ペポル)は、取引先のIDを知っていれば請求書等を送ることができるオープンネットワークであるという特徴があります。

さらに、Peppol(ペポル)は中小・小規模事業者でも容易に、かつ低コストで利用することができるというメリットがあり、さらに国際的な普及が進んでいることでグローバルな取引にも対応できるしくみであることから、採用が決定されました。

(2)Peppolと電子インボイススケジュール

2023年10月には、適格請求書等保存方式がスタートしますが、その導入にはコスト増・工数増の懸念があります。
このようなコストを最小化するためには、適格請求書の導入当初から電子インボイスを利用することができる環境が整備されている必要があります。
そこで設立されたのが、「電子インボイス推進協議会(EIPA)」です。
このEIPAでは、標準化・全体最適化されることで、現行の制度・しくみから移行可能性に配慮された電子インボイスの構築・普及を目指しており、あわせてこれを通じて、商取引全体のデジタル化と生産性向上を目指すことを目的としています。

EIPAでは、2023年までに以下のようなスケジュールでデジタル化を目指しています。

2020年12月 Peppol(ペポル)採用を決定
2021年 電子インボイス日本標準仕様公開を決定
2022年秋 各企業がシステム運用可能な状態になること
2023年10月 インボイス制度開始

(3)日本版Peppolが必要な理由

企業がインボイスを電子化していない場合、発注者がいちいち紙のインボイスと帳簿データを手作業で突合して、消費税の納税額を手作業で計算するという膨大な手間がかかることになります。そのうえ、請求書等は保管義務もありますから、その分の工数がかかります。そのため、電子インボイスによる業務の自動処理は不可欠といえます。
EIPA(デジタルインボイス推進協議会)は、どの国内事業者も共通の電子インボイスを使えるように、Peppolに準拠した電子インボイスの標準仕様を策定して普及を目指しています。この背景には、Peppol(ペポル)は、取引先のIDを知っていれば請求書等を送ることができるオープンネットワークであることから、企業がPeppolに対応さえすれば、どんな取引先ともやりとりできるようにしたいという目的があります。

Peppol(ペポル)で考えたい業務の効率化

Peppol(ペポル)は、業種や企業規模に関わらず対応できるという特徴があります。さらに、登録事業者以外が発行する区分記載請求書も扱うことができます。
電子インボイス制度の導入は、事業者にとって業務コストの負担が増加する可能性がありますが、これをきっかけに電子インボイスシステムが構築され、デジタル化を進めることができれば、制度導入は大きなメリットの1つとなることが期待できます。

(1)経理業務のデジタル化が必要な理由

会社間の取引では、商品などを先に受け取り、後で代金を支払う「掛け取引」が一般です。見積書、発注書、納品書の交付から請求、支払い、会計や税務処理に至るまで、未だに紙やFAXでのやり取りを中心としたアナログ処理が存在していて、とくに中小企業にとっては、これが生産性向上を妨げる要因ともなっています。

この問題を解消するのが、業務全体のありかたを見直したうえで、デジタル化を進め、効率化とコスト削減を実現させる電子インボイスシステムの構築です。

既存の販売管理システムや会計システムを電子インボイス日本標準仕様に合わせることで、別々の会社でもスムーズにやり取りができるようになります。

(2)インボイス保存コストを削減しよう

電子インボイス導入によって、すべての適格請求書は7年間保存しておかなければならなくなります。これは、発行側だけでなく受け取る側にも義務づけられているもので、会社によっては保存しなければならない適格請求書が膨大な量になることもあるでしょう。
紙の場合には、その保管スペースを確保しなければなりませんし、印刷代やフォルダーなどのコストもかかります。
デジタル化を進めれば、これらのコストを削減するだけでなく作業工数も大幅に軽減させることができます。
さらに経理業務をデジタル化すれば、会計ソフトへの入力作業自体がなくなることも考えられます。
従来、手作業でとられていた人材を他の業務に回すこともできるようになりますから、生産性の向上も期待できます。

まとめ

Peppol(ペポル)は、電子文書をネットワーク上でやり取りするための「文書仕様」・「運用ルール」・「ネットワーク」のグローバルな標準仕様のことをいいます。これからは、電子帳簿保存法の改正や電子インボイス制度導入などの法改正がきっかけとなり、ますます経理業務のデジタル化が進むことは間違いありません。
経理業務のデジタル化が進むことで、クラウド上でデータを確認できるようになりますから、顧問税理士と財務状況をリアルタイムで共有することができるようになります。
迅速なデータ分析や、タイミングを逃さないアドバイスが可能になることで、より効率的な経営が可能となるはずです。
しかし、どのようにデジタル化を進めていけばよいか分からないというケースも多いでしょう。その場合には、経理のデジタル化に力を入れている税理士に相談してみることが一番です。
税理士であれば、個々の事業の状況に合わせて、本当に必要なものは何か、会社をより成長させるために必要なシステムは何かを効率よく提案してもらうことができるのではないでしょうか。

Peppol(ペポル)について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、Peppol(ペポル)の導入や、必要な経理ステムの構築について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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