公開日:2019年11月11日
最終更新日:2022年07月04日
会社が従業員や取引先が支払うべきお金を立て替えた場合には、「立替金」として処理をします。
一方、似た勘定科目に「預り金」があります。「預り金」は、源泉所得税や社会保険料を給料総額から天引きした時に使います。
従業員、役員、取引先、関係会社などの会社の外部および内部の関係者が本来支払うべきお金を、会社が一時的に立て替えて支払うことがあります。このように誰かの諸経費を一時的に立て替えた時の支払いを、「立替金」といいます。
なお、立替金は、貸借対照表の流動資産の区分に計上されます。
同じように、一時的な立替払いをするものでは、他に「貸付金」と「仮払金」などがあります。
貸付金は、取引先や従業員に対する貸付金であり、仮払金は、従業員が支払った場合で勘定科目が不明な時に使う勘定科目です。
あくまで一時的に使用する勘定科目なので、勘定科目が確定した段階で速やかに正しい勘定科目で処理します。
立替金、貸付金、仮払金については、混同しやすいので注意しましょう。
立替金は、従業員が負担する金銭を立て替えたり、取引先が負担すべき費用を立て替えたりした時に使う勘定科目です。従業員に対する立替金は、従業員立替金という勘定科目で処理することもあります。
取引先や従業員に代わって、現金などを立て替えた時には、立て替えた金額を「立替金」として処理します。
「従業員が負担すべき費用1万円を、普通預金から支払った。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
立替金 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
立替金を回収した時には、立替金の減少と考えて処理します。
「取引先が負担すべき旅費20万円を、一時的に立て替えて支払った。その後、一時的に立て替えた旅費20万円は普通預金に振り込まれた。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
立替金 | 200,000 | 普通預金 | 200,000 |
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 200,000 | 立替金 | 200,000 |
従業員に対する立替金は、給料の支給時に給料総額から差し引くことによって回収する方法もあります。給料を支払った時には、給料総額を「給料」で処理します。
なお、取引先などが支払うべき費用を立て替えたとして、立替金として計上したものの、諸事情で回収まで時間がかかりそうだ、というケースもあります。このように立て替える期間が長期間にわたる場合には、「貸付金」と同等の性格になるので貸付金に振り替えて、利息の計上を検討しましょう。
会社が従業員に給料を支払う時には、給料総額から源泉所得税と社会保険料を天引きした残額を支給します。そして、天引きした源泉所得税や社会保険料は、後から税務署などに支払わなければならない義務を負います。このように、従業員や役員、取引先から一時的に預かった金銭で、本人に返還するかまたは本人に代わって第三者に支払うものを計上する時には、「預り金」として処理をします。
預り金のように、一時的な受け入れ額を計上する勘定科目としては、「借受金(かりうけきん)」があります。借受金は、入金の理由が不明なものを計上する勘定科目です。借受金が、返還の予定がないものであるのに対し、預り金は返還の予定があるものという点で異なります。
預り金という勘定科目は、一時的に金銭を預かった時に使います。源泉所得税や社会保険料、住民税のほか、取引先との取引に際して預かる営業保証金を処理する時にも使います。
従業員に対する給料総額から源泉所得税や社会保険料を天引きした時(一時的に預かった時)や、税理士に報酬を支払う際に天引きした所得税については、天引きした金額を預り金で処理します。
※税理士が個人事業主である場合には、報酬を支払う場合に源泉所得税を差し引いて支払います。この時差し引いた源泉所得税は、預り金で処理します。
「税理士に、顧問報酬3万円を源泉所得税等3,063円を差し引いて、現金で支払った。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 30,000 | 現金 | 26,937 |
預り金(源泉所得税等) | 3,063 |
給料を支給する時に、差し引いた源泉所得税や社会保険料は、預り金として計上し、当月分の社会保険料は、翌月までに従業員の給料から天引きし社会保険料と会社負担分を併せて納付します。
この時の会社負担分は「法定福利費」として処理します。
「従業員から預かった社会保険料3万円と、会社負担分の社会保険料3万円を現金で納付した。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
預り金(社会保険料) | 30,000 | 現金 | 60,000 |
法定福利費 | 30,000 |
立替金・預り金の意味と処理方法についてご紹介しました。
立替金は、会社が一時的に立て替えて支払う時に使う勘定科目で、貸付金・仮払金と混同しやすいので注意が必要です。
また、預り金は、本人に返還するかまたは本人に代わって第三者に支払うものを計上する時に使う勘定科目で、借受金と混同しやすいので、こちらも注意が必要です。
勘定科目の設定を間違ってしまうと、最終的に決算書の内容が事実と異なることになってしまいます。したがって、どの勘定科目を使えばいいのか分からない時には、税理士に相談してサポートを受けることをおすすめします。
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