公開日:2019年04月03日
最終更新日:2023年10月17日
個人事業とは、株式会社などの法人を設立せずに、個人で事業をスタートさせることをいいます。そして、個人事業を行っている人を一般的に「フリーランス」「個人事業主」と呼びます。
個人事業主として個人事業をスタートさせる時には、さまざまな届出が必要ですが、まずは税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
ここでは、個人事業の開業・廃業等届出書の提出先や期限、記入例などをご紹介します
「個人事業の開業・廃業等届出書」とは、個人事業主として個人事業をスタートさせる時に、税務署に提出しなければならない書類です。事務所等を移転する際にも必要です。
青色申告をする時には「所得税の青色申告承認申請書」も税務署に提出しなければなりませんので、一緒に手続きを済ませてしまいましょう。
参照:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
提出期限は、事業を開始した日から1カ月以内です。
提出しなくても罰則などがあるわけではなく、確定申告をすることもできますが、継続して事業を行っていくのであれば提出しておきましょう。
提出先は、自宅を事務所(もしくは店舗など)としている場合には、その住所を管轄している税務署です。自宅を事務所(もしくは店舗など)としている場合には、自宅が納税地となるからです。
「個人事業の開業・廃業等届出書」に押す印鑑は、認印で問題ありません。
「個人番号」の欄にはマイナンバーを記入します。
提出時には本人確認がされますので、マイナンバーカードを作成した人は、持参してください。マイナンバーカードを持っていない人は、マイナンバーと身元の両方が確認できるもの資料が必要となります。
マイナンバーを確認するためには「マイナンバー通知カード」か「マイナンバー入りの住民票」が必要となります。また、身元を確認するためには「運転免許証」「健康保険証」「パスポート」などが必要となります。
① 税務署名 提出先の「税務署名」を記入します。 提出先は、自宅を事務所と同じ住所にしているのであれば、その住所を管轄している税務署で、自宅と事務所が異なる場合で、事務所の住所地を納税地とする場合には「所得税の納税地の変更に関する届出書」を一緒に提出する必要があります。 |
② 納税地 「納税地」の欄に自宅兼事務所(店舗)の場合は「住所地」にチェックを入れ、自宅の住所を記入します。 |
③ 上記以外の住所地・事業所等 自宅と事務所が異なる場合には「上記以外の住所地・事業所等」に、その住所を記入します。 なお、前述したとおりその場合には、「所得税の納税地の変更に関する届出書」を一緒に提出する必要があります。 |
④ 氏名・生年月日 「氏名」「生年月日」の欄に、事業主の氏名と生年月日を記入します。 |
⑤ 個人番号 「個人番号」の欄には、マイナンバーを記入します。 マイナンバーカードを作成していない人は、通知カードやマイナンバー入りの住民票で確認しましょう。 |
⑥ 職種 「職種」の欄には、個人事業として行う事業の職種を記入します。 「雑貨小売」「不動産仲介」「経営コンサルタント」などと記入します。 |
⑦ 屋号 屋号がある場合に、記入します。 屋号とは、個人事業主が仕事上使用する名称のことで、会社でいうところの会社名に当たるものです。店の名称などがあれば、その名称を記入します。 屋号がない場合には、なければ未記入で問題ありません。 |
⑧ 届出の区分 「届出の区分」は、「開業」を○で囲みます。 |
⑨ 所得の種類 「所得の種類」は、「事業」を○で囲みます。 |
⑩ 開業・廃業等日 「開業・廃業等日」の欄に、開業日を記入します。 |
⑪ 所得税の青色申告承認申請書 所得税の青色申告承認申請書を一緒に提出する場合には、「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」の欄の「青色申告承認申請書または青色申告の取りやめ届出書」の欄の「有」にチェックします。 |
⑫ 消費税の課税事業者 「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」の欄の「消費税に関する課税事業者選択届出書または事業廃止届出書」の欄については、「消費税の課税事業者」を選択しない時には「無」にチェックをします。 |
⑬ 事業の概要 「事業の概要」の欄には事業の概要を記入します。 たとえば「賃貸不動産の仲介」「雑貨品の販売」などのように記入します。 |
⑭ 給与等の支払いの状況 青色事業専従者や従業員を雇用する予定があれば、「給与等の支払いの状況」欄に人数や支払方法、源泉徴収の有無を記入します。 なお、青色事業専従者や従業員を雇用する場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」や「給与支払い事務所等の開設届出書の提出」も必要になります。 |
⑮ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無 源泉徴収した所得税を毎月ではなく年2回にまとめて支払う場合には「有」にチェックする。従業員がいない場合には「無」にチェックします。 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は、「給与支払い事務所等の開設届出書の提出」を提出する時に一緒に提出しておくと便利です。 |
個人事業を開業した時に必要な書類としては、他にも以下のような書類があります。
開業手続きは、一度にまとめて行なう方が効率も良いので、ここで確認しておきましょう。
確定申告を青色申告で行う際に必要となる書類です。
最初に青色申告をしようとする年の3月15日までに管轄の税務署に申請します。
▶ 所得税の青色申告承認申請書とは?書き方・提出先・期限【まとめ】
青色申告の承認を受ければ、家族従業員(専従者)に給与を支払うことができます。
家族従業員に給与を支払う場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。
▶ 専従者給与とは|家族に支払った給与を経費にできる節税方法
従業員を雇用して給与を支払う場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を、所轄の税務署に提出します。
個人事業主の場合には「開廃業届出書」に従業員に関する記入欄が設けられているので、通常はこの届出書の提出は不要です。
しかし、まれに提出を求められる場合もありますので、事前に確認しておくようにしましょう。
なお、開業時には事業主1人で、その後従業員を雇用するようになったという事情がある場合には、開業時に、「開廃業届出書」の「給与等の支払い状況」の欄に従業員に関する情報を記載していないので、その場合には、提出が必要となります。
▶ 給与支払事務所等の開設届出書|書き方・提出期限【まとめ】
個人事業を開業した場合には、個人事業税などの支払いが必要となるため、「事業開始等申告書」を都税事務所(東京都の場合)に提出します。
▶ 事業開始等申告書とは|記入例・提出期限・開業届との違い【まとめ】
棚卸資産については、特に届出をしない場合には、税法で定められた計算方法を採用することになりますが、届出をした方が有利になることもあります。
届出をした方が有利になるか否かは、税理士に相談するようにしましょう。
以上、個人事業の開業・廃業等届出書の提出先や提出期限、記入例について、ご紹介してきました。
個人事業の開業・廃業等届出書の他にも、個人事業主が開業する時に必要な手続きは多々ありますし、届出をするか否かで税負担を軽くできる場合もあります。
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