税金の時効|国税にも時効はあるの?

公開日:2019年04月14日
最終更新日:2022年06月21日

この記事のポイント

  • 税金の時効①:賦課権については「除籍期間」がある。
  • 税金の時効②:徴収権については「消滅時効」がある。
  • 税金の時効③:納税者側の還付請求にも「消滅時効」がある。

 

税金を払わない人がいる場合には、税務署は税金を払わない人の財産を強制的に差押さえて換価しその代金を滞納している税金に充てます。
しかし、国が行使できる権利をいつまでも無制限に認めていては、納税者の法的な安定が得られないことになってしまいます。そこで国が行使できる権利についても、一定の期間制限が設けられています。
なお、納税者にも納め過ぎた税金を返してもらう権利(還付請求権)がありますが、こちらも期間制限があります。

税金の時効

税金を払わないと、税務署は法律に従ってその税金の未納に対して処分を行うことになります。
具体的には、税務署は税金を払わない人の財産を強制的に差押さえて換価し、その代金を滞納している税金に充てます。また、滞納者がどうしても支払わないという時には、その滞納者の特定の関係者に税金を支払わせることも可能とされています。
しかし、国が行使できる権利をいつまでも無制限に認めていては、納税者の法的な安定が得られないことになってしまいます。そこで、国が行使できる権利には一定の期間制限が設けられています。

(1)税金にも時効がある

税金の時効と言われるものについては、除斥期間と消滅時効があります。

除斥期間:
一定の権利について、法律で定められた期間内にその権利を行使しないと、権利が当然に消滅する場合の期間です。

消滅時効:
権利が一定期間行使されない時に、その権利を消滅させる制度です。

税務署は管轄する地域の税金を割り当てる業務(賦課)と、取り立てる業務(徴収)にあたっています。
そして、賦課権の期間制限として除籍期間が設けられていて、徴収権の期間制限として消滅時効が設けられています。

また、納税者側が納め過ぎた税金を請求する権利である還付請求権についても、消滅時効が設けられています。

(2)税金の時効①:賦課権の期間制限(除籍期間)

税務署の賦課権には、期間制限が設けられています。
賦課権とは、税務署長が国税債権を確定させる処分(更正および決定)を行うことができる権利のことです。
そしてその期間制限として、「除斥期間制度」が設けられています。
除斥期間とは、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度で、その期間は以下の通りとなっています。

①原則:法定申告期限から5年
②贈与税:法定申告期限から6年
③偽りその他不正の行為によって税額を免れ、または還付を受けた場合
上記の①②にかかわらず、法定申告期限から7年

(3)税金の時効②:徴収権の期間制限(消滅時効)

徴収権とは、税務署長が既に確定した国税債権の履行を求め、収納することができる権利です。この権利は私法上の債権としてその期間制限は、私法上の他の債権と同じように時効制度(消滅時効)がとられています。
消滅時効とは、一定の期間の経過によって権利が消滅する制度で、その期間は法定申告期限から5年です。

※除斥期間と消滅時効の違い
除斥期間は、一定の期間権利を行使しないことによって、その権利を失う期間のことをいいます。一方、消滅時効の場合には、消滅時効によって直接利益を得る者が「消滅時効によってその権利は消滅している(時効の援用)」と主張することによってはじめて、消滅時効にかかっているか判定され、権利が消滅します。

(4)税金の時効③:納税者側の還付請求権の期間制限(消滅時効)

還付請求権とは、納税者が還付を求めるために申告などをして、納め過ぎた税金を返してもらう権利です。この還付請求権にも時効制度が採用されていて、その期間は還付できる日から5年です。
たとえば、サラリーマンが医療費控除の還付請求をする場合は翌年の1月1日から5年となります。

なお、徴収権や還付請求権には、消滅時効の中断や停止(徴収権のみ)がありますので、注意が必要です。

(5)税金を納めなかったらどうなるか

期限までに納税ができないと、督促状が届きます。そしてさらに日数が経過すると財産の差押さえなど滞納処分の手続きが行われることになります。

法人税や所得税は申告納税ですが、脱税などは厳しくチェックされ、不正行為で税金を逃れようとすると、法人税法違反、所得税法違反、相続税法違反などで処罰されることになります(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金)。
さらに、所得隠しなど悪質なケースと見られればペナルティの意味で35%または40%の重加算税が課されます。さらに延滞税が原則として年7.3%または14.6%、そのうえに本来の税金も納めなければならなくなります。
また、申告漏れで修正申告したり、税務署からの指摘で更正処分を受けたりした時にも、原則10%の過少申告加算税がかかります。

納税資金に困った時の納税緩和制度

納税資金に困ったからといって税金を支払うのが遅れると、延滞税が課せられてしまいますし、支払わないままでいると財産を強制的に差押さえられたりしてしまうこともあります。ただし、災害などで大きな損害を受けた場合や納税者や家族が病気にかかった場合などは、納税猶予を受けることができます。財産の差押さえといった状況になる前に税理士や税務署に相談しましょう。

(1)地方税の特例

地方税における申告期限等の延長については、それぞれの地方公共団体の長が判断して行うものとされています。ただし、地方税についても国税における取り扱いを踏まえて、納税者から申請があれば申告期限等の延長について柔軟に対応することが求められています。

納税者が災害を受け、あるいは事業に著しい損失を受けた時、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合には、この猶予制度を活用しましょう。
徴収猶予をした期間内は督促や滞納処分などはされませんし、差押さえられた財産がある時にもその差押さえが解除されます。

徴収猶予の申請は、徴収猶予を受けようとする金額および期間などを記載した「徴収猶予申請書」を提出して行います。

(2)国税の特例

国税についても、さまざまな納税緩和制度が設けられています。

①地域指定による期限延長
自然災害などの事情があり、申告・納付ができない人が都道府県の全部または一部の地域にわたって広範囲に生じたと認められる時には、国税庁長官が地域及び期日を指定して、その申告・納付の期限が延長されます。

②個別指定による期限延長
災害などやむを得ない事情によって期限までに申告・納付ができない時には、納税地の所轄税務署長に申請することで、申告・納付の期限を延長することができます。

まとめ

「法人税・所得税が払えない」「相続税が払えない」といった事情がある場合には、早めに税理士に相談することで回避できる可能性があります。
税理士への相談は早いほど選択肢が広がります。徴収猶予制度を活用することもできますし、節税できることもあります。
ぜひ早い段階で税務のプロである税理士に相談して、必要な対策を行なうようにしましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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