追徴課税とは?加算税の内容は?追徴される税金の計算方法は?

公開日:2019年12月13日
最終更新日:2024年06月24日

この記事のポイント

  • 追徴課税とは、届け出た税額との差額を徴収されること。
  • 場合によっては追徴税額に加えて加算税や延滞税が課されることもある。
  • 追徴される税金は、すぐに納付しなければならない。

 

追徴課税とは、申告漏れで修正申告をしたり税務署から正しい納税額を通知される更正の処分を受けたりした時に、納税額の差額の徴収を受けることをいいます。
この時場合によっては、この追徴税額に加えてペナルティとして加算税が課されることがあります。
 

税務調査の豆知識

税務調査というと、誰しも不安になるものですが、調査されること=追徴課税ではありません。申告内容にミスがあれば、正しい税金を納めれば済むことがほとんどで、必ず追徴課税されるというわけではありません。しかし、調査官への対応の仕方によっては、修正申告や追徴課税となってしまうことがあります。へり下る必要はありませんが、ケンカ腰になったりするのはNGです。質問されたことにだけ最小限で答え、堂々とした態度で対応しましょう。態度だけで調査の内容や結果が変わるわけではありませんが、少なくともケンカ腰になるよりは、はるかにマシです。
税務調査で落ち着いて対応し調査官にあげ足をとられないためには、事前の十分な準備は不可欠です。
したがって、税務調査の通知がきたら、真っ先に税理士に連絡をしましょう。税務調査を熟知している税理士であれば、どのような準備が必要か、当日どのような対応をすれば良いのか、しっかりとサポートしてくれます。
なお、申告書に「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面」が添付されていると、そもそも税務調査の対象になりにくいというメリットがあります。
起業したての企業など、資金にそれほど余裕がなかったり事業規模がそれほど大きくない場合には、顧問税理士と締結する必要がないと考えがちですが、顧問税理士と締結するメリットは実に大きいものなのです。

追徴課税とは

追徴課税とは、確定申告で届け出た納税額や修正申告の時に届け出た税額と、修正申告(※1)や更正処分(※2)によって算出された税額の差分を徴収されることをいいます。

※1 修正申告
税務申告の内容が誤っていたため、納付する税金が少な過ぎたり還付される税金が多すぎたりした時に、誤った内容を訂正して申告をし直すことをいいます。
※これとは逆に、納付する税金が多すぎたり還付された税金が少なすぎたりした場合には、「更正の請求」をすることになります。

※2 更正処分
税務調査の結果申告内容に誤りがあった場合に、税務当局が職権で申告内容・税額を修正することをいいます。
修正申告が、納税者側からの手続きであるのに対して、更正処分は税務署からの手続きであるという点で異なります。更正処分は、申告内容の修正の結果、税額が減少(つまり税額が還付される時など)にも行うことができます。

追徴課税される場合には、場合によってはこの追徴税額に加えて過少申告加算税や無申告加算税、延滞税などが課せられることもあり、その場合には納税者の負担がかなり重くなることがあります。

(1)追徴課税はすぐに納付しなければならない

追徴課税される税金は、本来すでに支払っていなければならないはずの税金です。
したがって、通常の法人税などのように数カ月先に納付期限があるわけではなく、追徴課税される税金はすぐに納付をしなければなりません。また追徴課税に関しては、時効による免除はありません。

(2)追徴課税は原則として一括納付


したがって、なかには一度に納付することが厳しくなってしまうかもしれません。この場合には、分割で納付したいと税務署で相談することで、場合によっては分割での納付が認められることもあります。

しかし、分割で納付されるのはあくまでも特例であり、ほとんどが一度に納付するよう請求されます。
また、たとえ分割での納付が認められたとしても、長くて1年以内には納付するよう請求されます。しかも分割で納付している間は延滞税が加算されますから、かえって負担が重くなってしまう可能性もあります。

したがって分割納付を利用するかどうかは、延滞税がいくらになるのかといったことも視野に入れて、慎重に検討することが大切です。

(3)取引銀行には早めに連絡する

税務調査によって追徴課税を受けた場合、一時的に資金繰りが厳しくなる可能性があります。融資を受けている銀行への返済が厳しくなるかもしれません。
追徴課税を受けた事実を取引銀行に伝えるべきか迷うところだと思いますが、何も連絡せずに返済が遅れるようなことがあれば、かえって信頼関係が保てなくなってしまいます。それにすでに税務調査の準備段階で、取引銀行での調査が行われている可能性もあります。
したがって、税務調査の連絡があった段階で早めに取引銀行に知らせておいた方がよいでしょう。

(4)追徴課税された時の経理上の処理

加算税や延滞税などについては、税務上の損金とすることはできません。
損金とは、簡単にいうと費用の一部であり、費用を多く計上すればするほど税金を減らすことができるものです。
しかし、加算税や延滞税は損金にすることができませんので、納税額分はそのままマイナスとなります。

勘定科目は「過少申告加算税」「無申告加算税」などを、そのまま勘定科目と計上して処理をします。法人税等の勘定科目に含めて処理をすることもできます。
なお個人事業主の場合には、「事業主貸」として処理をします。

(5)税務調査の対象となった時にするべきこと

税務調査を受けると緊張するものですが、テレビや映画で見るように調査官がある日突然やってきて、一切合切の書類を持っていかれるようなことはありません。また、税務調査の対象となっても指摘された事項についてしっかりと説明できれば追徴課税されないこともあります。

修正事項については担当官と納税者、税理士との間のみで決定されることはなく、調査官は更正や修正をしようとする事項のすべての資料をそろえたうえで審理課に提出し、その審理課で慎重に審理されることになります。
ただし、主張すべきことを主張するという当たり前のことでも、調査官を前にすると難しくなるケースがほとんどです。
したがって、税務調査の連絡がきたらすぐに税理士に連絡して対応してもらうことをおすすめします。

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4つの加算税を知っておこう

加算税とは、税務処理に何らかの不備があった場合に、ペナルティとして課せられる税金です。前述したとおり、追徴課税される場合には、以下の4種類の加算税が課せられることがあります。

・過少申告加算税
・無申告加算税
・重加算税
・不納付加算税

なお、平成28年度(2016年)の税制改正によって、短期間に繰り返して無申告または仮装・隠蔽が行われた場合に加算税の割合が加重される措置が設けられました。

修正申告書(期限後申告を除く)が、調査通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)の割合で計算した金額に相当する過少申告加算税を課されることになりました。
また、期限後申告書(その修正申告書を含みます。)についても、調査通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正又は決定を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に10%(50万円を超える部分は15%)の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課されることになりました。

修正申告等の時期 過少申告加算税 無申告加算税
改正前 改正後 改正前 改正後
法定申告期限等の翌日から
調査通知前まで
対象外 同左 5% 同左
調査通知以後から
調査による更生等予知前まで
対象外 5%
【10%】
5% 10%
【15%】
調査による更生等予知以後 10%
【15%】
同左 15%
【20%】
同左

参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

(1)過少申告加算税

申告期限内に提出された申告書に記載された金額が少なかった場合、つまり「税金を少なく申告したための罰金」です。その納付すべき税金に対して10%または15%(期限内に提出された申告書に係る税額と50万円とのどちらか多い金額を超える部分)の税率で貸される税金です。

ただし、正当な理由がある場合や自主的な修正申告である場合には、過少申告加算税は、課されません。

追加本税(新たに納めることになった税金)×10%(15%※)

※新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。

参照:国税庁「確定申告を間違えたとき」

(2)無申告加算税

正当な理由なく、申告期限内に申告しなかった場合に、その納付すべき税額に対して15%または20%の税率で課される税金をいいます。
原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
ただし、税務調査があったことで更正または決定があることを予知してなされたものではない期限後申告または修正申告の場合は5%に軽減されます。

納付税額×15%(※20%・5%)

※各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を掛けて計算した金額に軽減されます。

参照:国税庁「確定申告を忘れたとき」

(3)重加算税

過少申告加算税が課される場合、または無申告加算税が課される場合で、納税者がその税金にかかる課税標準または税額などの計算の基礎となる事実の全部または一部を隠蔽・仮装した時に課される税金です。
つまり、税務署が「これは悪質だ」と認識した場合です。
その税率は高く、過少申告加算税の場合にはその計算の基礎となる税額に対して35%、無申告加算税の場合には、その計算の基礎となる税額に対して40%となります。

過少申告加算税に代えては、その追加本税の35%
無申告加算税に代えては、その納付税額の40%
不納付加算税に代えては、その納付税額の35%

期限後申告等があった日前5年以内に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課された(徴収された)ことの有無によって加算税の加重措置が導入されることになりました。

加算税の区分 期限後申告等があった日前5年以内に同じ税目に対して無申告加算税または重加算税が課された(徴収された)ことの有無
無申告加算税 15%
【20%】
25%
【30%】
重加算税
(過少申告加算税に代えて課されるものまたは不納付加算税に代えて徴収されるもの)
35% 45%
重加算税
(無申告加算税に代えて課されるもの)
40% 50%

(4)不納付加算税

源泉徴収して納付すべき税額を、正当な理由なく法定納期期限までに納付しない場合には、その計算の基礎となる税額に対して、本税に対して10%の税率で課される税金のことです。ただし、納税の告知を予知せずに告知を受ける前に納税した時には、この10%の税率が5%に軽減されます。

納付税額×10%(※5%)

※税務調査などが予想される前に納付すれば、5%に軽減されます。

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まとめ

追徴課税されると、さまざまなペナルティとしての加算税が課されることがあります。
とくに、重加算税は税務署内での査定でポイントアップとなるので、税務署員も目を光らせてチェックしています。
ただ、脱税をしようと故意に行なったわけではなく、単純なミスや認識違いなどであれば、重加算税の対象にはなりませんので、交渉の余地はあります。
また、税務署の決定があれば必ず従わなければならないというものでもありません。
税務署の決定に納得ができない場合には、税務署に異議申し立てを行うことができますし、その結果に不服がある場合には「国税不服審判所」に審査請求さらに、その裁決についても納得できないという場合には、裁判所に対して訴えを提起することもできます。
いずれにせよ、修正申告や更正処分を行わなければならない場合には、かならず税理士に相談し、税額の計算や税務署への対応を依頼するようにしましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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