納税とは|納税義務者とは?納税しないとどうなる?

公開日:2019年11月03日
最終更新日:2022年05月13日

この記事のポイント

  • 国民の納税は憲法で義務づけられている。
  • 税金は、大きく「国税と地方税」「直接税と間接税」などの分類方法がある。
  • 不正行為で税金を逃れようとすると、重加算税や過少申告加算税などが課税される。

 

税金は、私たちの生活に大きく関わります。
マイホームを買えば不動産取得税や登録免許税などがかかりますし、酒やたばこには酒税、たばこ税がかかります。また、相続をすれば相続税がかかりますし、人にものや金を贈与すれば、贈与を受けた人が贈与税を納める必要があります。また、事業を行っていくうえでも、所得税や法人税、法人事業税、印紙税など実に多くの税金がかかります。
私たちは、想像以上に実にたくさんの税金をさまざまな場面で納付しているのです。

この記事では、税金の仕組みや決められ方、個人や会社が払う税金の種類などについてご紹介します。

納税とは

納税とは、その文字のとおり税金を納めることであり、国民の納税は憲法で義務づけられています。

日本国憲法第30条
「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」

国民は国や地方公共団体などの活動によって利益を得ており、また国は国民の生命や財産を保護するための保険者であることから、国民はその代償として必要な経費を払うという考え方に基づいています。

税金は、国や地方公共団体が整備する道路や水道、教育や警察などの公共サービスの資金源となります。
また、税金は景気を調節するという役割をも担っています。国は好況時には税負担を増加して景気を抑制し、不況時には税負担を軽減して景気を刺激するなどの調節を行う機能も持っています。

(1)納税しないとどうなる?

税金を滞納すると、法律にしたがってその税金の未納に対する処分が行われます。

課税された税金を、「後から納めなくていいことにしてくれる」という制度はありません。納税を待ってくれる制度はありますが、それも特別な事情がある場合だけです。
納税をしないでいるとまず督促状が届き、その後未納の人の財産を強制的に差し押さえて換価し、その代金が滞納している税金とされることになります。また、滞納者がどうしても税金を納めようとしない場合には、滞納者の関係者が税金を支払わなければならなくなる可能性もあります。

また、法人税や所得税は申告納税ですが、この申告納税制度をきちんと機能させるために、脱税なども厳しくチェックされます。
不正行為で税金を逃れようとすると、重加算税や過少申告加算税などが追加でかかることもあります。
さらに所得税法違反・法人税法違反に問われると、さらに10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金が科されることになります。

(2)租税法律主義|課税は法律や条例に基づく

日本国憲法84条では、国や地方公共団体が税金を課す場合には、法律や条例に基づいていなければならないとされています。

日本国憲法第84条
「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」

この考え方を「租税法律主義」といいます
毎年12月頃に政府与党によって「令和〇年度税制改正大綱」という草案が作成され、翌年の3月頃までに国会で「令和〇年度税制改正」として新制度が成立しますが、これは租税法律主義に基づいているものです。

(3)租税平等主義|課税は能力に応じ平等に負担

日本国憲法14条では、税制の基本である租税平等主義についても保障しています。

日本国憲法第14条
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

国民は負担できる能力に応じて税金を納め、各種の租税法律関係において平等に扱われることになっており、この原則を「租税平等主義」といいます。
租税平等主義は、以下の3原則によって構成されています。

①公平の原則
国民のすべてが平等に課税されるという原則です。
負担できる能力が高い人は税負担もそれ相応にし、負担できる能力が同じであれば、税負担も等しくするという原則です。

②中立の原則
民間の経済活動において、税制が影響を与えることがないよう、さまざまな措置を講じるという原則です。

③簡素の原則
納税手続きについて分かりやすくかつ費用の掛からない方法で徴収できるようにするという原則です。

税金の種類

税金は、いくつもの種類がありますが、大きく国税と地方税、直接税と間接税などの分類の方法があります。
国に納める税金が「国税」で、地方公共団体に納める税金が「地方税」です。

また、法人税や所得税などは、税金を負担する人と税金を納める人が同一なので、「直接税」といい、消費税や酒税など税金を負担する人と税金を納める人が異なるものを「間接税」といいます。
たとえば、法人税や所得税は「国税」であり「直接税」です。

(1)国税と地方税

税金は、「どこに納めるのか」によって、国税と地方税に分かれます。
国税は国に治める税金で、地方税は都道府県や市区町村に納める税金です。
地方税はさらに道府県税、市町村税に分類されます。
税務署は、国税だけを取り扱う期間であり、地方税についてはそれぞれの自治体の税務担当課が取り扱います。

国税 地方税
所得に対して課税される税金
(所得課税)
所得税
法人税
など
個人住民税
個人事業税
法人住民税
法人事業税
住民税利子割
資産に対して課税される税金
(資産課税)
相続税
贈与税
など
固定資産税
都市計画税
事業所税
特別土地保有税
自動車税
宅地開発税
など
消費に対して課税される税金
(消費課税)
消費税
酒税
たばこ税
石油ガス税
関税
とん税
特別とん税
など
地方消費税
道府県たばこ税
市町村たばこ税
軽油引取税
自動車取得税
入湯税
ゴルフ場利用税
など
流通に対して課税される税金
(流通課税)
印紙税
登録免許税
自動車重量税
など
不動産取得税など

(2)直接税と間接税

直接税とは、税金を納める人と負担する人が同じ税金です。所得税、法人税などは直接税です。
一方、間接税は税金を納める人と負担する人が異なる税金で、消費税がその代表例です。

たとえば、商店で商品を買った時にその商品購入にかかる消費税は購入者が負担をします。そして店舗側では、商品の代金を受け取るとともにその消費税を預かり、購入者に代わって税務署に納めることになります。その他、たばこ税、酒税、印紙税も間接税です。

(3)普通税と目的税

普通税とは、税収の使いみちがとくに限定されておらず、国や地方公共の一般経費に充てられるものです。一方、目的税とは税収の使いみちが限定されている税金です。たとえば自動車税(種別割、環境性能割)や、バスなどの燃料費である軽油の引き取りに課せられる軽油税引取税は、道路関連の支出に充てられることが決まっています。

日本の税金はどう変わった?どう変わる?

税制は毎年のように大小の変更がされています。
とくに消費税の税率引き上げや所得税の基礎控除、サラリーマンの給与所得控除の見直しなどは、私たちの生活にも影響を及ぼします。
税金を知り、今後税制がどのように変わっていくかを知ることで、適切に節税対策を行い、知らず知らずのうちに税金を払い過ぎてしまうことを防ぐことができます。
ここからは、最近の税制改正のうち、私たちの生活に特に影響を及ぼすものを中心にご紹介します。

(1)相続税と贈与税(平成27年から)

平成27年(2015年)より、相続税については基礎控除が引き下げられ基礎控除が4割も削減され、税率構造が見直されました。この改正により従来まで相続税の対象ではならなかった人でも、相続税を払わなければならないことになりました。
また、贈与税については税率構造の見直しがされ、最高税率が引き上げられることになりました。

相続税の負担を減らしたいと考えるなら、生前の対策がもっとも大切です。亡くなった後にできることはほとんどありません。そして、できるだけ早く相続対策をはじめできるだけ時間をかけてコツコツと対策することが大切です。

(2)つみたてNISAがスタート(平成30年から)

平成30年(2018年)につみたてNISAがスタートしました。
NISAとは、毎月少額の株式や投資信託の投資に対して、年間一定額までが非課税となる制度です。iDeCo(イデコ 個人型確定拠出年金)とともに、運用益が非課税となる制度はますます拡充されています。

「つみたてNISA(平成30年スタート)とは」を読む

参照:国税庁「NISAに関する情報」

(3)所得税の所得控除見直し(令和2年度から)

所得税については、すべての人に適用される基礎控除額が10万円引き下げられ48万円となりました。給与所得控除や公的年金控除の控除額も10万円引き下げられました。

さらに、配偶者控除と配偶者特別控除は平成30年(2018年)から見直され、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると適用されなくなりました。配偶者特別控除については、控除額38万円の対象となる配偶者の給与収入金額の上限が150万円に引き下げられ、配偶者の合計所得金額が133万円を超えると控除額はゼロになります。

(4)たばこ税の増税(平成30年)

たばこ税も増税されます。平成30年から令和3年まで3段階に分けて1本あたり3円の増税となります。加熱式たばこも増税の対象となります。

参照:国税庁「平成30年10月1日実施のたばこ税の手持品課税について」

(5)新型コロナ対策(令和2年度から)

新型コロナ対策関連として、令和2年(2020年)から給付金等の支給と非課税などの税制上の措置が導入されました。

新型コロナウイルス感染症の影響に関連して、10万円の特別定額給付金などが支給されましたが、税制上非課税措置が講じられるものがあります。

以下は、非課税となるもの、課税対象となるものの主な例です。

非課税となるもの(主なものの例) 課税対象となるもの(主なものの例)
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
・特別定額給付金
・子育て世帯への臨時特別給付金
・学生支援緊急給付金
・低所得者のひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者のへの慰労金
・持続化給付金・東京都の感染拡大防止協力金
・雇用調整助成金・小学校休業等対応助成金
・家賃支援給付金
・Go To トラベル事業における給付金
・Go To イート事業における給付金
・Go To イベント事業における給付金

(6)住宅ローン控除の見直し(令和3年から)

令和3年度(2021年)から、住宅の取得等に係る消費税が10%の住宅ローン控除の控除期間13年間の特例措置が延長されます。

住宅ローン控除が受けられる控除期間は、原則として10年ですが、令和元年10月の消費税引き上げによる住宅の買い控えに備えるために、消費税10%が適用される住宅を購入したケースについては、令和2年(2020年)12月31日までに居住の用(自宅用)に供した時には控除期間が原則10年になる特例が施行されていました。
しかし、コロナウイルス感染症の影響などで建築資材の輸入ができないなどの理由で建築が進まず、令和2年12月31日までに入居できないケースなどに対応するために、コロナ特例として令和2年12月31人されていた期限を令和33年12月31日までに居住された方と1年延長しました。
そして、さらに令和3年(2021年)の税制改正で、コロナ対策ではなく経済対策として令和4年(2022年)12月31日までに居住した方の控除期間が13年とされました。

参照:財務省「令和3年度税制改正の大綱」

(7)税金と賢く付き合う方法

これまでご紹介したとおり、税金は生活をするうえでさまざまな場面でかかります。
しかし、どのような税金があり、どこにどうやって納めるのか、今後税制がどう変わるかを知らずにただ納税しているだけでは、損をしてしまうことがあるかもしれません。
税金の種類や仕組みなどを知ることで、納める税金を効果的に軽減することができることもあります。
また、税務のプロである税理士に相談することもおすすめです。

まとめ

以上、納税の意味や税金の種類、最近の税制改正などについてご紹介しました。
とくに個人事業主や中小企業の経営者の皆様にとっては、毎年のようにさまざまな優遇措置が設けられていて、これらの措置を知らないことで受けられるはずの税額控除が受けられないこともあります。
控除を受けるためには、各措置に応じて手続きをとらなければなりませんし、事業計画書の作成などが必要になることもあります。
早めに税理士に相談し、受けられる優遇措置や必要となる事業計画書の作成などについて確認することをおすすめします。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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