公開日:2019年09月03日
最終更新日:2024年02月17日
リスケジュールとは、すでに受けている融資の返済計画を見直し、返済の条件を変更してもらうことをいいます。
リスケジュールを受けると、新規の貸付を受けることが難しくなるというデメリットはありますが、リスケジュールを受ければ「破産する必要がない企業が破産してしまう」ことを回避することができます。
リスケジュールの豆知識
リスケジュールとは、銀行と交渉して支払方法や条件を変更することです。
返済期間を延ばして月々の返済額を減らす方法や、一時的に元金払いを少額にするなど、さまざまな方法があります。
「一時的に赤字は発生しているが、今後は業績を回復できる」という中小企業は、ぜひ今すぐにリスケジュールを検討すべきです。
リスケジュールによって事業を立て直すことができれば、資金繰りの不安から解放され本業に専念することができますし、新たな借入をしたことと同じ効果が期待できます。
経営者のなかには「リスケをすると二度と借入ができなくなるのではないか」と心配される人もいますが、そんなことはありません。きちんと事業を立て直し利益を出していけば、再び新規融資を獲得することは可能です。
しかし、金融機関にリスケを承諾してもらうためには、ただ自社の窮状を訴えるだけでは足らず、それなりの準備やノウハウが必要になります。資金繰り予定表や直近の合計残高試算表の提出が求められますし、経営改善計画では、金融機関を納得させるための説得力のある数値を示さなければなりません。
つまり、「単に言葉だけで言っているのではなく、計数的な書類にきちんと計画が反映されている」と、金融機関を納得させなければなりません。
顧問税理士に相談すれば、リスケがそもそも必要なのかという判断はもちろん、リスケの交渉必要な経営改善計画や資金繰り予定表、損益予定表などを作成してもらうことができますし、リスケの交渉方法についてアドバイスを受けることができます。
リスケジュールとは、資金繰りが悪化している時に、すでに受けている融資の返済額を減額してもらったり、据え置き期間を設けてもらったりして、債務返済の繰り延べを行うことをいいます。
事業計画書や資金繰り表を作成して金融機関と交渉し、その計画どおりに展開できるように事業再生を目指すこととなります。
リスケジュールは、事業活動で稼いだお金より、返済に回すお金の方が大きいために資金繰りが悪化している時などに、ぜひ検討したい方法です。
借入金を返済するために新たに借入を行うと金利が増えますし、さらにその状態が続けば結果的に多重債務者となって倒産してしまうかもしれません。
しかし、リスケジュールによって返済計画を見直し、支出を抑えて事業再生を目指す方が、即効性があり効果的であるということができます。
資金繰りを改善する方法は、リスケジュール以外にも民事再生や、私的整理に関するガイドラインなどの方法があります。
私的整理ガイドラインとは、政府による緊急経済対策を受けて平成13年6月に発足したもので、債権者と債務者との合意に基づき、債権放棄などを行うための手続です。
リスケジュール | 民事再生 | 私的整理に関する ガイドライン |
|
特徴 | 金融機関に交渉する。 | 経営破たんになる以前に申し立て、再生の決定をする。 | 金融機関に交渉する。 |
メリット | ほかの債権者に知られないため、信用を失わずに事業再生を目指すことができる。 | 反対する債権者がいる場合でも、法的強制力がある。 債務免除が可能となる。 再建可能性が高い。 |
ほかの債権者に知られないため、信用を失わずに事業再生を目指すことができる。 債権放棄を要求することができる。 |
デメリット | 金融機関が承諾しなければ、成立しない。 債務免除を受けるわけではない。 |
金融機関以外にも知られるので、信用低下のリスクがある。 さまざまな制約を受ける。 監督委員会の監督下におかれることになる。 |
金融機関が承諾しなければ、成立しない。 さまざまな制約を受ける。 |
リスケジュールは単に一定期間返済を止めてもらう(または返済額を減らしてもらう)だけなので、根本的な経営改善につながるというわけではありません。
しかし、新規に借入を行うのと同じ効果が期待できます。
たとえば、毎月100万円の返済をしている会社が、1年間返済を待ってもらったとします。これは、100万円×12カ月=1,200万円の支払いを猶予してもらうことができるので、当面の資金繰りが楽になります。
その分キャッシュ・フローが改善しますし、新たに借入を受けるのと同じ効果があるといえます。
つまり、「リスケジュールを行って当面の資金繰りを回復することができれば、企業が再生できる」という場合には、リスケジュールは有効な事業再生の手段ということができます。
金融機関に無断で返済を延滞すれば、差押えや競売準備などの対応をされることになります。一方リスケジュールを申し込んで金融機関側に了承してもらえば、このような対応を回避することができます。
リスケジュールが実行されると、金融機関からの評価が下がるので、リスケジュール期間中の新規借入は当然難しくなります。
金融機関からは、そもそも元からある借入の返済が難しいのに、さらに借入をしても返済するのが難しいだろうと見られることになるからです。
したがって、新たな資金調達を行わなくても事業を続けていけるような資金繰り計画が必要となりますし、資金が不足した場合には別の資金調達法を検討する必要があります。
リスケジュールは、借入をした人の当然の権利ではありません。一定期間の返済を止めてもらうために金融機関にお願いすることです。
必要な書類を用意し、真摯に交渉を申し入れます。
リスケジュールを依頼された場合、金融機関は「リスケジュールによって、融資が返済される可能性があるのか」「リスケジュールに応じた場合、回収の可能性が高まるのか」ということを検討します。したがって、リスケジュールを申し入れる際には、「リスケジュールがどうしても必要だ」ということを真摯に伝える必要があります。
資金調達のためにあらゆる手を尽くし、経常収支は改善傾向にあり、返済条件の緩和によって手元資金で事業を継続させることができるということはもちろん、何より「リスケジュールを申し入れる目的は、事業の再生である」ということをしっかり主張することが大切です。
リスケジュール交渉の際には、以下の書類を用意したうえで、金融機関に交渉を行うことになります。
・返済条件変更申込書 ・経営改善計画書 ・資金繰り表 |
・返済条件変更申込書 返済条件変更申込書とは、借入金の返済条件を変更してほしいと申し入れる旨を記載する書類です。 返済条件をどのように変更してほしいのか、また返済条件の変更を希望する理由などを記載します。 ・経営改善計画書 経営改善計画書は、客観性的に見て実現可能な計画である必要があります。明らかに実現不可能な机上の空論を並べても、金融機関を説得することはできません。 ・資金繰り表 資金繰り表では、「リスケジュールを行えば資金繰りが改善し、返済を再開する時期には利益が出るようになる」ということを数値で示すことが重要です。 また、資金繰りの計画を立てる際には、無理のない内容とすることも注意しましょう。 事業計画書や資金繰り表の作成は、顧問税理士に相談して説得力のある内容にする必要があります。 |
事業計画書をもとに、現在借入をしている金融機関と交渉します。
金融機関が複数ある場合には、それぞれの金融機関と交渉する必要があります。
リスケジュールの交渉は、本部の稟議で検討されるので、担当者からの即答はえられません。リスケジュールの実行は、早くても1カ月、長ければ数カ月かかることもあります。そのため、最初は断られても諦めずに交渉するという強い心構えが必要です。
リスケジュールについて交渉する際には、「リスケジュールを受け入れた方が、金融機関側にとってもメリットがある」と思わせることが大切です。
つまり、「金融機関にとってどう見えるのか」についても意識して受け答えをする必要があります。
たとえば、単に「いったん返済をストップしてもらえませんか」という言い方をするのと、「いったん返済をストップしていただけますか。その期間中、このような対策を行い、将来業績を改善しますので、かならず返済できるようにします」という言い方をするのとでは、金融機関への見え方が大きく違うはずです。
担当の金融機関員が、本部に「リスケジュールがどうしても必要な措置であること」そして、「リスケジュールが成立すれば、将来債務の返済が可能であること」を説得力のある資料をもとに伝えてくれることは、リスケジュールが成立するかどうかを大きく左右することをしっかり理解しておく必要があります。
実際にリスケジュールに応じてもらった場合には、経営改善計画書・資金繰り表を、返済条件変更申込書と事業計画どおりに展開するよう事業を行い、資金繰り表のとおりに返済ができるよう再生を図ります。
できれば、早期に元の返済額に戻して、金融機関から新たな資金調達ができるよう、事業を再生していくことが大事です。
リスケジュールに応じてもらった場合には、返済条件変更契約書にその内容が明示されているはずです。この時たとえば、減額して返済できる期間が5年と設定されると、5年間その金融機関と交渉できないことになります。
そのため、半年1年などの短い期間に区切って、交渉の機械が設けられていますが、この半年1年の間に業績がまったく回復していない場合には、改めて交渉することが必要になってしまいます。金融機関側も、経営者の事業再生の努力を見極めようとしているということを忘れないようにしましょう。
以上、資金繰りが改善したい時に検討したい「リスケジュール」の意味や、メリット・デメリット・必要書類などについてご紹介しました。
リスケジュールは単に一定期間返済を止めてもらうだけなので、根本的な経営改善につながるというわけではありませんが、新たに借入を行うことと比較すれば、大変効果的な方法です。
リスケジュールを成功させるためのポイントは何といっても事業計画書です。「この会社を存続させたい」と思われるような事業計画書を作成するためにも、早めに税理士のアドバイスを受けることをおすすめします。
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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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