銀行融資を引き出す事業計画書の書き方

公開日:2019年04月02日
最終更新日:2019年10月07日

目次

  1. 事業計画書とは
  2. そもそも銀行から融資を受けるための書類とは
    • 決算書
    • 試算表
    • 月次資金繰り表
    • 事業計画書
    • 会社案内
  3. 事業計画書で銀行融資担当者がチェックしているポイント
    • 経営理念は必ず記載する
    • 精度(正確さ)の高い数値を示す
    • 計画は説得力のある数値を使う
    • 実行可能なプランを示す
    • 納得できる内容となっているか確認する
    • 熱意を十分伝える
  4. 事業計画書の書き方
    • 会社の概要
    • ビジョン・理念・目的
    • 自社のサービスや商品の強みや特長
    • 市場環境、競合について
    • 数値計画
    • 販売計画
    • 生産方法、仕入先など
    • 売上・利益予想
    • 社内体制
    • 返済計画
  5. まとめ

銀行で融資審査を行う時には、いろいろな書類を銀行から要求されます。
必ず要求されるのは決算書で、銀行が融資を行うか否かはこの決算書の分析結果を評価した格付けで判断しています。

ただし銀行は、決算書の内容だけで融資の有無を判断するわけではありません。
そのほかにも、試算表や月次資金繰り表、事業計画書などの提出が求められることもあります。

なかでも、事業計画書の内容は大変重視されます。
銀行は、事業計画書の内容から企業の将来性を判断して、融資を実行するかどうかを決定するケースが大変多いのです。

決算書の内容がそれほど良くなくて、融資を受けづらい企業の場合でも、事業計画書の内容が会社の資金繰りに大きな影響を及ぼすこともあります。

ここでは、銀行から融資を引き出す事業計画書を書くための基礎知識、考え方などについてご紹介します。

事業計画書とは

事業計画書とは、本来社長と従業員が考え方を共有するために自発的に作成するものですが、事業計画書が銀行の融資審査に大きな影響を与えることがあります。

とくに、中小企業の場合には、決算書の印象が悪く融資を受けづらい状況になることもあります。このような時に融資を受けるためには、決算書の悪い印象を補てんできるような事業計画書が大変重要になります。

ここでは、融資担当者に「融資を実行したい」と思わせる事業計画書を作成するためのポイントについてご紹介をします。

そもそも銀行から融資を受けるための書類とは

銀行に融資の申し込みをすると、決算書や事業計画書など、銀行からさまざまな書類の提出を求められます。
銀行から提出を要求される主な書類は、以下のとおりです。

・決算書
・試算表
・事業計画書
・月次資金繰り表
・会社案内、商品パンフレット

決算書

決算書は、必ず要求される書類です。
銀行は、融資の申し込みがあった時「金融検査マニュアル」に基づいた企業の格付けを判断基準とします。
格付けは、「定量的評価」と「定性的評価」の2種類の評価で行われますが、このうち定量的評価は、決算書の分析結果をもとに評価したもので、定性的評価は経営者の姿勢などを評価したものです。
メインとなる評価は、決算書を分析して評価する定量的評価で、この評価が悪く格付けが下がってしまえば、融資を受けるのが難しくなります。

「銀行から融資を受ける時、銀行は決算書をどう見ているか」を読む

試算表

試算表とは、期の途中経過の損益をあらわした書類です。
前の決算月から3カ月以上経過している場合には、提出を求められることが多いです。

月次資金繰り表

企業の約1年先までの月次の資金繰り表についても、提出を求められることがあります。
資金繰り表については、普段から作成している企業も多いと思いますが、もし作成していない場合には、税理士に相談してひな形などについてアドバイスをもらうようにしましょう。

事業計画書

事業計画書とは、今後数年どのように経営し、どのように利益を上げていくか、その道筋を示した書類です。具体的には、企業の今後の5~10年の損益計画や、それをどのように実現するかなどについて、記載していくことになります。

では、なぜこの事業計画書を銀行から融資を受ける際に提出する必要があるのでしょうか。
それは、銀行が融資先から利息をつけて返済してもらうためには、成長が期待できる企業に融資をする必要があるからです。
銀行は、融資をする先の事業の中身まできちんと把握したい「今後どのように事業を展開するのか「具体的な戦略は何なのか」について把握したいと思っています。

したがって、事業計画書を作成して提出する際には、銀行が納得し「この会社なら、貸したい」と思うような事業計画書を作成することが大切です。
なお、事業計画書は融資のためだけに作成するものではなく、社長が会社の経営状態を理解して経営戦略を練るためにも重要な役割を果たします。

会社案内

会社案内や商品・サービスのパンフレットなどは、どのような会社なのか、どのような商品やサービスを提供しているのかということを、銀行がイメージするために要求されることがあります。

事業計画書で銀行融資担当者がチェックしているポイント

銀行の融資担当者に融資を実行したいと思わせる事業計画書を作成するためには、融資担当者がチェックしているポイントを知るのがが早道です。
ただ、自分ひとりでは、事業を客観的に見ることができなかったり、思い入れを伝えようとして自社アピールばかりに偏り過ぎてしまったりして、ポイントがずれてしまうこともあります。そこで、銀行からの融資に精通している税理士に相談して、客観的なアドバイスを受けることをおすすめします。

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経営理念は必ず記載する

経営理念とは、会社の事業における最終目的です。
経営理念というと、抽象的なイメージがあることから「融資を受ける際に、重視されることはない」と考える人もいますが、そのようなことはありません。
現に、銀行の融資担当者のなかには「融資について、判断する際には、必ず最初に経営理念を確認する」という人がいます。

経営理念は、企業のいわば憲法のようなものです。
すべての事業計画は、この経営理念を目指し、判断のよりどころとなっているはずです。
したがって、経営理念についてはしっかりと検討し、事業計画書に明確に記載するようにしましょう。

精度(正確さ)の高い数値を示す

まず大前提として、事業計画書は、正確な数値、説得力のある目標や戦略を記載する必要があります
数値の整合性が取れていなかったり、内容に矛盾があったり、誤字脱字があったりすると、内容の信頼性が大きく低下してしまいます。

銀行の融資担当者は、多くの会社の事業計画書を見ているため、わずかなミスもすぐに気づきます。事業計画書の信頼性を損ねることがないように、内容の正確さには細心の注意を払いましょう。

計画は説得力のある数値を使う

事業計画は、説得力のある数値を使って、具体的に示されていなければなりません。

売上や利益の目標を数字で記載するだけでは不十分で、目標を達成するためには何が課題になっていて、それをどのように解決するかについても具体的に示す必要があります。

なお、このような具体的な計画を作成することは、融資担当者の判断に役立つだけでなく、自社が目標を達成するための経営指針にもなります。

実行可能なプランを示す

融資担当者は貸したお金がどのように使われ、どのような計画のもとで返済されるのか、、といった点を把握したいと思っています。
そのため、事業計画書に書かれた目標が実行可能であるかどうかを判断するために、これまでやってきた事業の内容や規模との整合性に着目します。

この時、融資を受けたいと思うあまり、会社を良く見せようと身の丈に合わない高い目標を掲げると逆効果です。たとえば、直近で売上が落ちているのにかかわらず、「来年は売上を20%アップさせます」などとという計画を掲げても、実現可能性に疑問符がついてしまうでしょう。
ですから、本当にそうなる見込みがあると思うならば、融資担当者にそれだけの根拠を説明できなければなりません。

納得できる内容となっているか確認する

事業計画書の内容は、正確で具体的かつ実行可能な内容で、融資担当者を納得させる必要があります。
しかし、この時、業界特有の専門用語ばかりで難解になってしまうことがありますので、注意が必要です。

計画書を作成する時には、業界以外の人にも分かりやすい内容となるよう、工夫をすることが大切です。また、ボリュームにも配慮が必要です。あれもこれもと盛り込んで資料が膨大になることがありますが、多くても15分程度で読みきれる程度のボリュームを心がけるようにしましょう。

熱意を十分伝える

融資担当者は、経営者の姿勢や経営方針、従業員のモラルなどについても、融資の判断材料にします。
したがって、ひな型やお手本をそのまま写すのではなく、社長が自分の言葉で事業計画書を作成し、自身の熱意をアピールしましょう。
なお、ここで間違えてはいけないのが熱意の方向性です。
熱意は、融資を受けたいのではなく、事業を成功させたいと訴えることが大切です。

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事業計画書の書き方

事業計画書に特に決まった書式はありませんが、経営理念、現状認識、数値計画、行動計画などについては、必ず記載するようにしましょう。

事業計画書に決まったフォーマットとうものは、ありませんが、会社の概要や事業の特長や数値計画については最低限記載すべきです。

ここでは、事業計画書に記載すべき主な内容についてご紹介します。


※クリックすると、事業計画書をダウンロードすることができます。

会社の概要

会社の概要を記載します。
会社名をはじめ、所在地、代表取締役、設立年、資本金、株主構成、主な事業内容、従業員数などを列挙します。

創業から間もない企業では創業者の経験や能力、人柄が業績に直結することが多いため、創業者の経歴も記載しておくとよいでしょう。

ビジョン・理念・目的

何のために事業をしているか、事業を通じてどのようなことを実現させたいかを言葉で表します。
例えば、「これからは、スマートフォンがパソコンに代わって情報を収集するツールとなり、伝達するツールとなる。そのために、スマートフォンの○○の機能を実現することは、社会にニーズに応えることであり、社会的な課題を解決することにつながる」などと記載します。

この時、抽象的な言葉を使うと簡単に書けて見栄えもよいと思う人がいますが、具体性や実現可能性が分かりづらくなってしまう危険性があります。
具体性や実現可能性が見えない事業計画書では、銀行から融資を引き出すことはできませんので、注意しましょう。

自社のサービスや商品の強みや特長

事業を進めるうえでは、顧客が価値を感じ、必要とするサービスであることが大切です。
したがって、自社のサービスや商品がどれだけの価値がありニーズがあるかいった点はもちろん、競合他社と比較したときの強みや特徴をアピールすることが大切です。

なお、この時、対象とする顧客層が広すぎると狙いがあいまいになってしまう一方で、顧客層が狭すぎると顧客数が少なくなって商品が売れません。顧客層の設定については、具体的な年齢層、エリア、家族構成などまで設定することで説得力をもつことができます。

市場環境、競合について

顧客層を設定したら、市場環境や競合関係がどのようになっているかを分析して記載します。融資担当者に説明することはもちろんですが、社長自身が事業環境を理解しなおすためにも役立つ指標となるはずです。

数値計画

事業計画の中心となるのが、数値計画です。
数値計画とは、貸借対照表計画、損益計算書計画、キャッシュ・フロー計画のことをいい、単に将来の資金計画をシミュレーションするだけでは足りません。
数値計画を具体化するための施策を考え、この数値計画を実現するための戦略が、どの指標にどう影響を与えるかについて反映させる必要があります。

したがって、数値計画においては貸借対照表計画、損益計算書計画、キャッシュ・フロー計画だけでなく、財務目標数値(財務計画のゴール)、得意先別の売り空け、長期資金計画表、まで盛り込む必要があります。

販売計画

販売計画とは、自社の商品を売るための手段と、かかるコストを示す計画です。

たとえば、自動車メーカーであれば、部品の調達のために仕入を行いますし、工場で加工、組み立てる際に諸経費がかかるでしょう。このほかにも、試作品や開発費などのコストがかかることもありますし、広告・宣伝費などの経費がかかることもあります。

これらの経費については正確に分析し、売上予想との損益分岐点を示し、説得力のある資料を作成しましょう。

生産方法、仕入先など

商品を売るためには商品をどうやって調達するかの計画も重要です。売上が好調でも売る商品が用意できなければ、収益の機会を失ってしまうことになります。欠品が続けば、顧客の信頼も失ってしまいます。

商品を自社で生産する場合は生産計画として生産数量、製造原価などを示します。他社から仕入れる場合は仕入方法や価格、数量などを示します。

売上・利益予想

ここまでお伝えした事項を根拠に、売上と利益の予想を立てます。
事業計画書には年間の予想を記載しますが、予想を立てるときは、1日ごとや1カ月ごとの数字を積み上げて年間の予想につなげていきます。

たとえば、小売業やサービス業のように売上を毎日計上する業態では、まず1日の売上(客数×客単価または個数×単価)を予想し、続いて1カ月の売上を予想します。売上原価についても同様です。経費については月割りで発生するものが多いため、1カ月ごとに予想を立てていきます。

社内体制

社内の体制や意思決定の流れを示すために、組織や体制について記載します。
人員が限られる中小企業であっても、ある程度の役割分担は必要です。誰が何をするか業務の範囲を決めておくことで個々の役割が明確になり、仕事の効率がアップする効果も期待できます。

返済計画

これまでも述べてきたとおり、銀行の融資担当者は貸したお金がどのように使われるか、そして確実に返済されるかを把握したがります。
返済計画は、当然のことながら注目するポイントですので、試算表や資金繰り表をもとに、月々にどれぐらい返済できて、返済の原資をどうやって用意するかを具体的に記載します。

また、将来事業が拡大してさらに資金が必要になるのか、あるいは一定以上の資金は必要なく、既存の融資の借り換えで済むのかといった計画についても、盛り込んでおくのもよいでしょう。

まとめ

以上、銀行融資を引き出すための事業計画書の考え方や書き方について、ご紹介しました。銀行融資を成功させるためには、提出する事業計画書の内容に大きく左右されます。
資金調達に精通している税理士に相談すれば、銀行融資を成功させるためにはどのような内容の事業計画書を作成すればいいのか、細かくアドバイスしてもらうことができます。

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