日本政策金融公庫から融資を受けるための手続きと必要書類

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2020年03月03日

目次

  1. 日本政策金融公庫とは
    • 日本政策金融公庫の特徴
  2. 日本政策金融公庫の主な融資プラン
    • (1)新創業融資制度
    • (2)新規開業資金
    • (3)女性、若者/シニア創業家支援資金
    • (4)再挑戦支援資金
    • (5)生活衛生審企業育成資金
    • (6)挑戦支援資本強化特例制度
  3. 日本政策金融公庫から融資を受けるための手続き
    • 主な必要書類
    • 最も重要なのは「事業計画書」
    • 面談で聞かれることは?
    • 返済期間の考え方の注意点
  4. 税理士に相談するメリット
  5. まとめ
    • 税理士をお探しの方

日本政策金融公庫では、一般の金融機関と比較して、金利面や担保・保証人設定などの条件面で非常に有利な制度が用意されており、一般の金融機関が行う金融業務を補完することを目的としているので、一般の金融機関からの融資が難しいような創業前または創業間もない企業でも、融資を受けられる可能性があります。

ただし、日本政策金融公庫でも、一般の金融機関と同じように、融資の審査が行われることには変わりはありません。

そこで、ここでは利用価値の高い日本政策金融公庫の概要と融資制度をご説明し、最後に申込の際に必要不可欠な事業計画書の作成ポイントもご紹介します。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、一般の金融機関を補完することを目的とし国民生活の向上を目指す政府系金融機関です。株式の100%を国が常時保有することを「日本政策金融公庫法」によって定められていて、中小企業、農林水産業者、国民の資金調達のサポートを目的としています。
中小企業が利用できる政府系金融機関としては、この他に商工組合中央金庫があります
銀行からの融資が受けられないような企業でも、融資を受けられる可能性があるので、これらの政府系金融機関は、上手に活用していきましょう。

日本政策金融公庫の特徴

(1)「機関が分かれている」
日本政策金融公庫は、2008年にいくつかの政府系金融機関が合併してできた経緯があることから、国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の機関に分かれています。
沖縄県を除く都道府県に支店を持っています。
※沖縄県には、沖縄振興開発金融公庫という別の政府系金融機関があり、実質的には日本政策金融公庫と同様の業務を行なっています。

・国民生活事業
一般個人や個人事業主・小規模企業、中小企業事業はその名の通り中小企業、農林水産事業は農業、林業、水産業を営む事業者をそれぞれ対象とした融資を取り扱っています。
基本的に創業したばかりの会社は国民生活事業になり、創業者向け融資も、積極的に行ってくれます。

・中小企業事業・農林水産事業
前述した国民生活事業より、比較的規模が大きい企業に対応した融資を扱っています。
中小企業事業の融資先の多くは、資本金1,000万円以上の企業といわれています。
設備資金など金額が大きい場合は、国民生活事業ではなく、中小企業事業での取り扱いとなります。

(2)「低金利プランがある」
日本政策金融公庫は、年商数百万円規模の小さい企業に対応している低金利プランを数多く揃えています。
金利は個々のケースによって異なりますが、約1.5%~4.0%程度で借りられ、最長20年という長期間の融資を受けられることもあります。

一般の金融機関より金利の低いプランであることがほとんどですが、「日本政策金融公庫の方が、絶対に一般の金融機関より金利が低い」というわけではありませんので注意が必要です。
なぜなら、現在日本は融資金利がかなり低い状況が続いており、どの金融機関も業績の良い企業への融資を巡って金利競争を行なっているからです。
したがって、場合によっては一般の金融機関の方が良い条件を提示してくれる可能性もあります。
融資を受けることを検討する際には、ひとつの金融機関だけでなく複数の金融機関に相談してみることが大切です。

参照:日本政策金融公庫「国民生活事業(主要利率一覧表)」

日本政策金融公庫の主な融資プラン

日本政策金融公庫には、さまざまなプランが用意されていますが、なかでもおすすめなのが創業融資制度です。
金融業などの一部の業種を除いた、ほぼすべての業種の企業が受けられる融資制度で、毎年2万社が利用しているといわれています。

(1)新創業融資制度

新創業融資制度の最大のメリットは、無担保・無保証人で利用することができるという点です。
民間の金融機関から創業前もしくは創業間もない時期に融資を受けるのは困難ですし、融資を受けることができる場合でも、不動産などの担保や連帯保証人を求められるケースがほとんどなので、この無担保・無保証人で利用できるという点は大きな魅力です。
ただし融資限度額は3,000万円で、金利は比較的高めに設定されています。
1,500万円までを運転資金として利用することができます。
返済期間は、最長20年という長期間です。

新創業融資制度を申請する場合には、次の3つの要件をすべて満たしていなければなりません。

①創業時に受けることができる融資なので、税務申告を2期以上行なっている場合は利用することができません。

②事業開始後1期以内の場合は10分の1以上の自己資金が必要です。

③次のうちいずれかに該当することが必要です。
・雇用を創出する事業である
・技術やサービスなどに工夫を加え、多様なニーズに対応する事業である
・現在の企業に継続して6年以上勤務している。もしくは現在の企業と同業種に通算して6年以上勤務している。次に始める事業も同じ業種の事業である
・始めようとする業種が、大学などで修得した技能などと密接に関連した職種に継続して2年以上勤務していて、その職種と密接に関連した業種の事業である
・産業競争力強化法に規定される特定創業支援事業を受けて始める事業である
・地域創業促進支援事業による支援を受けて始める事業である
・日本政策金融公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けている
・民間金融機関と日本政策金融公庫による協調融資を受けて始める事業である
・すでに事業を始めている場合には、事業開始時に上記のいずれかに該当していることが必要

参照:日本政策金融公庫「新創業融資制度」

(2)新規開業資金

新規開業資金は新創業融資よりも対象が広い融資制度で、これから事業を始める方と創業後おおむね7年以内の事業者が対象です。
担保と保証人が必要になりますが、最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)までの融資を受けることができます。
金利は低めに設定されていて、返済期間:設備資金の場合20年以内(そのうち据置き期間は2年以内)、運転資金の場合7年以内(そのうち据置き期間は2年以内)です。

新規開業資金を申請する場合には、次のいずれかに該当している必要があります。

・雇用を創出する事業である
・現在の企業に継続して6年以上勤務している。もしくは現在の企業と同業種に通算して6年以上勤務している。次に始める事業も同じ業種の事業である
・大学などで修得した技能などと密接に関連した職種に継続して2年以上勤務していて、その職種と密接に関連した業種の事業を始める
・技術やサービスなどに工夫を加え、多様なニーズに対応する事業である
・産業競争力強化法に規定される特定創業支援事業を受けて始める事業である
・地域創業促進支援事業による支援を受けて始める事業である
・日本政策金融公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けている
・民間金融機関と日本政策金融公庫による協調融資を受けて始める事業である
・事業開始おおむね7年以内で、上記のいずれかに該当している

参照:日本政策金融公庫「新規開業資金」

(3)女性、若者/シニア創業家支援資金

女性、若者/シニア創業家支援資金は、日本公庫の国民生活事業と中小企業事業のどちらもが準備している融資制度です。
無担保無保証を基本とした制度ではなく、担保の提供もしくは連帯保証人の設定を求められることがあります。

対象者は事業開始後おおむね7年以内の女性、35歳未満か55歳以上の事業者です。
融資限度額は最大7,200万円で、そのうち4,800万円までを運転資金として利用することができます。
返済期間は、設備資金の場合20年以内(そのうち、据置き期間は2年以内)、運転資金の場合7年以内(そのうち、据置き期間は2年以内)です。

参照:日本政策金融公庫「女性、若者/シニア創業家支援資金」

(4)再挑戦支援資金

再挑戦支援資金は、廃業歴があり新たに事業を始める人、または創業後おおむね7年以内の企業が受けられる融資制度です。
担保と保証人が必要にはなりますが、最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)までの融資を受けることができます。
返済期間は、設備資金の場合20年以内(そのうち、据置き期間は2年以内)、運転資金の場合7年以内(そのうち、据置き期間は2年以内)です。

一般的に一度事業に失敗してしまうと、再び資金を借入して事業を行うことは難しいと言われていますが、再挑戦支援資金とはそのような一回失敗してしまった方が再び事業を行えるように準備された制度です。

廃業時の負債(借入金など)が新たな事業に影響を与えない程度に整理されている、もしくはされる見込みがあることが、条件の1つとされています。また、廃業の理由や事業がやむ得ないものでなければなりません。

参照:日本政策金融公庫「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」

(5)生活衛生審企業育成資金

生活衛生関係の事業(飲食店営業や食肉販売業、理容・美容業、旅館業、クリーニング業など)を創業しようとする人、または創業後おおむね7年以内の企業が受けられる融資制度です。返済期間は、設備資金20年以内、運転資金7年以内です。

振興計画認定組合の組合員とそうでない人とでは、貸付の条件が異なり、振興事業貸付は一般貸付よりも融資限度額の上限が高くなっています。なお、融資限度額は業種によっても異なります。

・振興計画認定組合の組合員は、最大7億2,000万円(そのうち運転資金5,700万円)
・一般貸付けの場合は、設備資金最大4億8,000万円

※振興計画認定組合とは
振興計画の認定を受けている生活衛生同業組合のこと。

参照:日本政策金融公庫「生活衛生審企業育成資金」

(6)挑戦支援資本強化特例制度

新規開業資金、女性、若者/シニア創業家支援資金、再挑戦支援資金等の対象者に、創業・新規事業展開・海外展開・事業再生等に取り組む際の財務体質強化資金として、受けられる融資で、融資限度額は4,000万円で、返済期間は、5年1カ月以上15年以内です。
金利は、融資後1年ごとに決算書の内容に応じて決まり、基本的には無担保無保証という特徴があります。

なお、この「挑戦支援資本強化特例制度」は、資本性ローン(借入金の一部を自己資本とみなすことができる)の一種です。一般的な銀行からの借入はB/S(バランスシート:貸借対照表)の負債(借入金)に計上されますが、資本性ローンはその一部を資本金とみなすので、純資産に計上することができます。

参照:日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」

日本政策金融公庫から融資を受けるための手続き

日本政策金融公庫から融資を受ける場合にも、民間の金融機関と同じように、融資の審査が行われます。
民間の金融機関と違い、企業に訪問してくれることはないので、こちらから問合せを行い、訪問して融資の相談をする必要があります。

主な必要書類

日本政策金融公庫に融資を申し込むと、1週間後くらいに面接日が設定されます。
その際には、以下の書類を持参するよう言われるので、あらかじめ準備をしておきましょう。

・決算書
・事業計画書
・税金(法人税・事業税・消費税・源泉所得税)の領収書や納税証明書
・会社の預金口座通帳と、経営者個人の預金口座通帳1年分。取引でよく使用する通帳が必要。
・会社や代表者個人での借入金の返済予定表や、借入残高が分かるもの
・会社や代表者個人で所有している不動産の固定資産税課税明細書

最も重要なのは「事業計画書」

前述した必要書類のなかで、最も重要なのは事業計画書です。
特に創業前でまだ実績がない、または創業間もない企業は、実績をあらわす決算書がありませんので、特に事業計画書が重視されます。
「融資を行うか、行うとしたら金利はどのように設定するか」などの判断基準となるのが、まさに事業計画書となるからです。
一般的に、事業の概要や目的、代表者の経歴、収支計画などで構成されます。
事業計画書のフォーマットは各金融機関に準備されていますが、記載する場合には、熱意ばかりをアピールせず、専門用語を使わず、審査担当が知りたい内容を端的に表現することを意識し、文字ばかりでなく、グラフや図を効果的に使用しながら作成するようにしましょう。

日本政策金融公庫の創業計画書は、以下からダウンロードすることができます。事業計画名、事業の概要、ユーザー、市場規模、ユーザーニーズ、現状の課題などについて、しっかり記載するようにしましょう。

日本政策金融公庫「創業計画書」は以下のようなフォーマットが提供されていて、ダウンロードすることもできます。

参照:日本政策金融公庫「創業計画書ダウンロード」

面談で聞かれることは?

審査の面談では、①「なぜその事業を行おうと思ったのか」という動機と、②その事業計画が実現可能であるかの2点を必ず聞かれます。
説得力のある回答ができるように、しっかり準備しておきましょう。

(1)動機の妥当性
審査時には「なぜその事業を行おうと思ったのか」という動機を必ず聞かれます。
そして、審査担当者はその回答や代表者経歴等からその同期の妥当性について検証します。
例えば、これまで住宅営業の仕事をずっとしていた方がいきなり喫茶店を開業したいと言っても、あまり説得力がありません。
それよりも、豆の卸売業で働いていたり他の喫茶店に勤務していたりした人が喫茶店を開業したいと言った方が説得力を持つことがあり、動機に妥当性があるということになります。

(2)実現可能性
事業計画に実現可能性があるかについても、必ず確認されます。
事業計画書内には収支計画がありますが、審査担当者は「この収支計画は実現可能性がどれほど高いか」という視点で以下のような質問してきます。

「この事業は、どれだけの利益が見込めるのですか?その根拠は?」
「この事業のターゲットは誰ですか?」
「この事業のニーズは何ですか?」
「競合となる会社はどこですか?」
「融資は何に使いますか?」

これらの質問によどみなく回答できること、そして実現可能性が高いと言い切ることができる根拠をきちんと準備することが必要です。

根拠もなく1年目から「売上高は2,000万円になる予定です。」と言っても全く説得力はありません。
回答する際には、丁寧な市場調査、テストマーケティングなどを行なったうえで事業計画書であることをしっかり説明し、「単価○○円×量10,000個で売上高○○万円になる予定です。○○個売れる理由としては、~」というようなロジカルかつシンプルな説明をすることが求められます。

返済期間の考え方の注意点

日本政策金融公庫の融資だけでなく一般的な銀行の融資についても言えることですが、設備資金の返済期間については、基本的には耐用年数(購入時から資産価値が0になるまでにかかる年数)以上の設定はできません。

例えば、食料品製造業用設備の耐用年数は10年ですが、この設備購入資金を借入した場合、10年超の返済期間(借入期間)を金融機関側が設定することはありません。

新創業融資制度や新規開業資金の場合、返済期間が最長20年と記載しましたが、どのようなケースでも期間20年に設定することができるという意味ではないので、注意が必要です。
また、運転資金についてはどの金融機関でも同様に、基本的には7年以上の期間を設定することは稀で、期間5年程度と設定するのが一般的です。

税理士に相談するメリット

直接、融資窓口の行くより、税理士に同行してもらった方が、審査がスムーズにいくことが多いですし、日本政策金融公庫からの融資に精通している税理士に相談すれば、事業計画書の作成などについても作成支援してもらうことができます。
事業計画書のうち、自身がなぜその事業をやりたいかなどといった、いわゆる熱意の部分は自分で整理していく他ありませんが、収支計画などは細かい戦略を数字に落とし込んでいく際には、実現可能な数字であると説得力を持たせるためにも、税理士のサポートが不可欠です。

したがって、日本政策金融公庫から融資を受けるためには、早めに税理士に相談し、事業計画書の具体的な中身について指導してもらうようにしましょう。

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まとめ

以上、日本政策金融公庫から融資を受けるための手続きと必要書類についてご紹介しました。日本政策金融公庫から融資を受ける際には、決算書・事業計画書が必要となりますが、この事業計画書を作成する際には、資金調達に精通した税理士に相談するのがおすすめです。

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