公開日:2019年12月10日
最終更新日:2022年07月06日
予算管理とは、設定した予算に向けて会社の業務や活動を統制するために管理することをいいます。
予算を立てずに事業を進めてしまうと、いつの間にか経費が増えてしまい、売上が増えても結局赤字という事態になりかねません。
経費の垂れ流しを回避するという意味でも、予算計画を立て、その計画を管理することは非常に大切なのです。
予算管理とは、事業計画を会計数値に置き換えた計画のことです。
根拠に基づいて今後の会社の売上やそれにかかる原価、固定費などを数値化し、1年、半年、四半期など作成対象期間における会社の業績を理論上で組み立てていきます。
予算の立て方には、一般的にボトムアップ型とトップダウン型があります。
ボトムアップ型とは、各部門が作成した数値を積み上げて全体予算を作成する方法であり、トップダウン型とは全体予算から作成してその項目を各部門に割り当てて作成するものです。
ボトムアップ型とトップダウン型については、どちらが優れていてどちらがダメであると断言できるものではありません。また、だからといってボトムアップ型とトップダウン型と組み合わせて作成すればよいというものでもありません。
トップダウン型はスピードや効率という面ではメリットがありますが、一方押しつけられた「ノルマ」と従業員たちに受け止められやすいというデメリットもあります。
一方、ボトムアップ型には、より現状に沿った現実的な予算が設定できるというメリットはありますが、自分の部門に甘い予算になりやすいというデメリットもあります。
したがって、予算管理を行う際には、トップダウンとボトムアップのメリット・デメリットを理解したうえで、自社の状況に合うような方法で行うことが大切です。
予算管理は、予算を策定し(PLAN)、業務を実施し(DO)、管理を行い(CHECK)、解決する(ACTION)という手順で行いますが、さらに状況の変化に応じて適時修正を行い、翌期への予算にフィードバックするという視点で予算と実績を対比させることが重要です。
そして達成度について評価した結果、失敗した場合には、その失敗した原因を把握する必要があります。
これをPDCAサイクルといいます。このPDCAサイクルによって、次年度の目標がたてられるようになります。
PDCAサイクル:
計画を策定する(PLAN) |
先にご紹介したように、予算管理の進め方は、ボトムアップ型とトップダウン型の2つの方法がありますが、ここではこの2つの方法を折衷し、担当者が予算計画を立て、その計画を各部門の責任者がチェックし、それを全体予算に整形するという方法についてご紹介します。
まず部門の責任者が今後の業務計画を立て、予見込売上高、これにかかる仕入や経費を見積もり数字に落とし込みます。
①見込売上高 見込顧客から算定する、もしくは事業を維持するために最低限必要な売上高を算定します。 ②見込仕入額 ③見込経費 |
先程ご紹介したように、ボトムアップ型の予算だと、どうしても自分に甘い予算を立てがちになりますので、その場合には上長が適時指導し、修正してコントロールしていく必要があります。なお、起業したばかりの場合で予算計画の立て方が分からない場合には、顧問税理士がいれば同業他社のケースを元にしてアドバイスをもらうことができますし、過去の決算書をもとにして、見込仕入額や見込経費などを計算してもらうことができます。
次に、予算の編成作業を行います。
予算の編成作業とは、各部門からの個別の予算計画を全体の予算計画に整形する作業をいいます。実効性のある予算編成を行うためには、各部門の損益構造を理解し、商品、市場、価格に関する現状分析が不可欠となります。
売上に対して必ず発生する原価、毎月発生する家賃、人件費などの固定費を整形し、これらの額が適切であるかについて確認します。
予算の編成作業をおこなったら、会社全体の事業計画に個別の予算が合致しているかも合わせて確認し、全体予算とします。
全体予算が分かれば、売上予測から入金の目標を立てることができますし、経費予測から支払い予測を立てることができます。
そして、予算計画のとおりに行なった場合の将来の損益計算書や貸借対照表を作成します。
これらの書類を作成することで、将来の資金不足の可能性などが分かるようになりますので、前もって資金調達などの施策についても準備することができます。
差異分析とは、月次決算の時に予算と実績の数値を対比して、数値の差異を確認することをいいます。差異がある場合には、かならずその原因を究明することが大切です。
たとえば、売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費などの勘定科目の予算と実績を対比して、差異がある部分についてはその原因を考え、必要な対策を行っていきます。
なお、予算との対比だけでなく同業他社の財務諸表の数値や割合と比較すると、より客観的な分析を行うことができるようになります。
事業を行っていくうえでは、これらの差異分析を行った結果について、銀行や取引先、消費者などに対して説明する機会がありますので、しっかりとした説明をすることができるよう準備をしておくことが大切です。
財務状況や経営成績を知ることは、実効性のある予算管理に欠かすことができません。予算管理を効率的に行うためには、財務状況や経営成績をリアルタイムで把握することができる「クラウド会計ソフト freee会計」を活用したり、税理士に決算書の分析を依頼したりすることが有効です。
「freee会計」では、会計ソフト上で「予算・実績管理」を行うことができます。
経理業務の効率化ツールとしての機能に加え、経理業務で蓄積された会計データを自動で集約し、経営の意思決定に資するデータをリアルタイムで作成する「経営管理ツール」としての機能開発を提供します。
勘定科目ごとに予算を作成したり、前年対比や構成比を確認しながら予算計画を作成したりすることが可能です。
これらのデータは月別に作成することも可能ですので、予算を見直し弾力的に事業を行うことができるようになります。
また、「freee会計」では、反映された実績が財務諸表とグラフでリアルアイムに反映されますので、それぞれの数値と予算とを比較することができます。
グラフは利益、売上高、販管費そして月次などさまざまな切り口で表示することができ、月次の予算達成度合いから自動分析して、年間の着地予測の確認までスムーズに行うことができます。
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社長と従業員だけで考えた予算計画は、熱意や理想へのイメージがあるため、どうしても正確な数値に落とし込めないケースがあります。
場合によっては、「仕事への熱意で何とかなる」という抽象論に陥ってしまうリスクもあります。
このような時に重要となるのが、税理士の視点です。
税理士は社外の人間なので、客観的な視点にもとづいた予算計画を立てることができるため、正確な計画を立てることができます。
以上、予算管理の意味や方法についてご紹介しました。
予算を立てずに事業を進めていくと、知らず知らずのうちに経費が増えてしまい、売上をどんなに増やしても結局事業は赤字…という事態になりかねません。経費の垂れ流しを防止するためにも、まずは自分の会社にあった予算を立て、課題を改善するための対策を行うことが重要となります。
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