フリー・キャッシュ・フローって何?計算方法は?使いみちは?

公開日:2019年12月21日
最終更新日:2024年04月29日

この記事のポイント

  • フリー・キャッシュ・フローとは、自由に使うことができる部分のお金のこと。
  • フリー・キャッシュ・フローは、略して「FCF」と呼ばれる。
  • フリー・キャッシュ・フロー(FCF)は大きければ大きいほどよい。

 

フリー・キャッシュ・フローとは、その「フリー」の文字のとおり「自由に使うことができるお金」という意味です。
フリー・キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書を見る時の大切なポイントとなります。
 

フリー・キャッシュ・フローの豆知識

フリー・キャッシュ・フローとは、キャッシュ・フローを使って計算する大法的な指標です。文字通り、会社が自由に使えるキャッシュ・フローのことです。
本業で稼いだキャッシュ・フローを「営業キャッシュ・フロー」といいますが、この営業キャッシュ・フローは、まるごと自由に使えるわけではありません。
この中から、故障した機械の修理や古くなった設備の買換えなどに使わなければならないこともあるでしょう。
したがって、フリー・キャッシュ・フローは、営業キャッシュフローから「事業を維持するための設備投資等」を差し引いた残りということになります。
フリー・キャッシュ・フローの計算方法はいくつかありますが、一番簡単なのは、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを差し引くという計算方法です。
フリー・キャッシュ・フローは、大きければ大きいほどよいとされます。
フリー・キャッシュ・フローが大きければ、借入金の返済もできますし、新規事業に投資することもできます。逆にフリー・キャッシュ・フローがマイナスだと、こうした施策を実施する余力もないということになります。

フリー・キャッシュ・フローとは

フリー・キャッシュ・フローとは、会社が本業で稼ぎ出したお金から、事業維持のために必要な設備投資などの支出を差し引いたキャッシュ・フローのことをいいます。
「自由に使うことができる部分のお金」という意味で、フリー・キャッシュ・フロー(Free cash flow)、略して「FCF」と呼ばれます。

(1)まずキャッシュ・フロー計算書を知っておこう

キャッシュ・フローとは、会社がどこにお金(キャッシュ)を使い、どのようにお金を増やしたのかという現金の流れのことをいい、3つの活動別に区分して表した計算書をキャッシュ・フロー計算書といいます。

キャッシュ・フロー計算書とは、株式公開会社には作成が義務づけられていますが、キャッシュ・フローを重視する経営である「キャッシュ・フロー経営」が推奨されたことで、一般の会社にも普及したものです。

会社は、本来の営業活動以外にもさまざまな活動をしています。
そこで、キャッシュ・フロー計算書は、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに区分してキャッシュ・フローを見ていくことで、何のための活動で資金が増減したかを把握することを目的としています。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」では、会社本来の営業活動によるキャッシュを見ます。しかし、この営業活動を継続するためには、設備投資などが必要ですから、資金運用によるお金の出入りを見るために「投資活動によるキャッシュ・フロー」を見ます。そして、設備投資をする資金を銀行から借り入れた場合のキャッシュ・フローは、「財務活動によるキャッシュ・フロー」で見ていきます。

このような構造を数字であらわし、上から順に見ていくと、会社の現金の流れが分かるようになっているのが、キャッシュ・フロー計算書です。

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、会社の本業によるキャッシュ・フローです。
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスであれば、本業でしっかりキャッシュを残しているといえますが、逆にマイナスであれば利益が出ない商品を売っている、あるいは売上を上げているのにキャッシュの回収ができていない、回収より支払いサイトの方が短いなどの原因が考えられますので、早急に対策が必要となります。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、会社が将来に向けて投資したキャッシュを表しています。
投資キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローとのバランスが大切です。
たとえば、投資キャッシュ・フローがマイナス1億円だったとして、営業キャッシュ・フローが1億円を超えていれば、投資キャッシュ・フローを営業キャッシュ・フローで賄えていると判断できます。

投資に使ったキャッシュをどれくらいの期間をかけて回収できるのか、営業活動によるキャッシュ・フローにどのような影響を与えるのかについては、3~5年のキャッシュ・フローを合計してその推移を見れば確認できます。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、財務活動によって増減したキャッシュを表します。銀行から借入れたり、事業で利益を出して借りた現金を返済したりするキャッシュの動きが表示されます。この返済がフリー・キャッシュ・フローの範囲内で行われていれば問題ありませんが、経常的にフリー・キャッシュ・フローの金額を超えていると、事業資金が不足し新規の借入が必要になるなど、経営が厳しくなることが予想されますので、何らかの対策を検討するべきといえるでしょう。

したがって、財務活動によるキャッシュ・フローとフリー・キャッシュ・フローのバランスを見て、無理なく返済できそうな金額を把握することが大切です。

なお、キャッシュ・フロー計算書の作成方法には「直接法」と「間接法」があります。

直接法は、その期に発生した取引のうちキャッシュに影響するものをすべて集計するという作成方法で、間接法は、キャッシュに関係ない項目を除き、キャッシュに関係する項目を加える作成方法です。

「クラウド会計ソフト freee会計」の資金繰りレポートは、直接法のキャッシュ・フロー計算書に準じた内容となっています。

freee会計「資金繰りレポートでキャッシュ・フローを確認する」

各項目のキャッシュ・フローが総額で確認することができるので、前事業年度と当事業年度を簡単に比較することができる構成になっています。

(2)フリー・キャッシュ・フローの計算方法

フリー・キャッシュ・フローの計算方法は、営業活動によるキャッシュ・フローから、投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたものととらえておけば、まずは十分です。フリー・キャッシュ・フローがプラスなら、本業の稼ぎで(借金などしないでも)、投資を賄えているといえるので、うまく経営されているといえます。
フリー・キャッシュ・フローの計算方法はいくつかありますが、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを足すことで、簡易的に計算することができます。

「フリー・キャッシュ・フロー(FCF)」=「営業キャッシュ・フロー」-「投資キャッシュ・フロー」

ただし、実はキャッシュ・フロー計算書では、現事業維持のための設備投資等の金額まではわかりません。
投資活動によるキャッシュ・フローには、他の投資額も一緒に入っているからです。
したがって、以下のように計算することもできます。

「フリー・キャッシュ・フロー(FCF)」=「営業キャッシュ・フロー」-「投資キャッシュ・フローの現事業維持のための投資設備等」

いずれの計算方法で計算した場合でも、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)は大きければ大きいほどよいと判断することができます。

(3)フリー・キャッシュ・フローの使いみち

フリー・キャッシュ・フローとして自由になるお金は、株主への分配や新規事業などへの投資資金、借入金の圧縮などの目的に使われることになります。つまり、どれだけ会社が優良であるかを計る目安となるものです。

①株主への分配
事業継続のために必要な資金は確保したうえで、なお余剰が出たら、リターンを期待する株主に分配するための原資になります。

新規事業などへの投資
株主に分配せずに、さらに事業規模の拡大をはかるために、新規事業などに投資するための資金として使うという選択肢もあるでしょう。将来の成長戦略について株主から理解を得られれば、このようなお金の使い道を考えることもできます。

③借入金の返済
銀行などからの借入金を返済し、財務体質を改善してリスクへの耐性を強化しておくという選択肢もあります。

(4)フリー・キャッシュ・フローがプラスなら優良な会社

フリー・キャッシュ・フロー(FCF)が大きいほど、配当金の支払いや投資など、株主と会社にとってプラスになることに自由にお金を使うことができるということになります。
amazonも、フリー・キャッシュ・フローを経営の最重要課題にするとしていて、毎年フリー・キャッシュ・フローを積み上げることで、事業を拡大してきました。
これは、稼いだお金の範囲内でビジネスを拡大してきたことを意味しますから、まさに模範的な経営を行っているといえます。

(5)フリー・キャッシュ・フローがマイナスの場合

フリー・キャッシュ・フロー(FCF)が少なかったりマイナスだったりするということは、手許にお金がないことを意味します。
手許にお金がなければ、借入や会社の資産を取り崩して会社を運営するしかありませんから、大きなリスクを伴います。
ただし、マイナスだからと言って絶対にダメだとは言い切れません。事業を拡大するうえで設備投資を行うのであれば、一時的にフリー・キャッシュ・フローがマイナスになることもあるからです。そのような事情があれば、将来的にはフリー・キャッシュ・フローがプラスになる可能性もあります。
したがって、フリー・キャッシュ・フローがずっとマイナスなのか、ある期間だけマイナスなのかを判断したうえで、その原因を探ることが大切です。

(6)割引キャッシュ・フロー(DCF法)を知っておこう

フリー・キャッシュ・フローは、会社の今後の価値を決める基準として使われることがあり、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)の合計額を「企業価値」と呼ぶことがあります。
しかし、10年後のキャッシュと現在のキャッシュの価値は同じではなく、将来のキャッシュの方が低いと想定されます。

なぜなら、資本にはコスト(金利)がかかるため、時が経てば経つほど資本コストは積み重なり資本が目減りします。
このように「資本は目減りする」という点に着目して、将来のキャッシュ・フローを現在の価値に引き戻す方法を「割引キャッシュ・フロー」といったり「ディスカウントキャッシュ・フロー(DCF)」といったりします。

割引キャッシュ・フローでは、キャッシュ・フローの現在の価値を、以下のように計算します。

キャッシュ・フローの現在の価値=将来のキャッシュ・フロー/(1+資本コスト)年数

たとえば、資本コストを5%とした場合、1億円の価値は1年後には9,524万円となります。

1年後=1億円÷(1+0.05)=9,524万円

そして、10年後には約6,139万円まで目減りします。
計算式が難しそうに見えますが、エクセルの数式にすれば、「100,000,000/(1+0.05)^9」です。

以下のExcelをダウンロードして金額と割引率を入力すれば、簡単に計算することができます。

割引キャッシュ・フロー(DCF法)計算シート
※クリックすると、ダウンロードすることができます。ぜひご活用ください。

まとめ

以上、フリー・キャッシュ・フローの意味や計算方法、キャッシュ・フロー計算書の構造などについてご紹介しました。

フリー・キャッシュ・フローは、「会社が自由に使えるお金」という意味であり、一般的にフリー・キャッシュ・フローがプラスの会社は、堅実で安定しているという評価となります。
自社のキャッシュ・フロー計算書を作成したい時や、分析方法について知りたい場合には、決算書のコンサルタントに力を入れている税理士等に相談してみることをおすすめします。

フリー・キャッシュ・フローについて相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)の計算や課題、必要な対策について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

\ キャッシュ・フローについて相談できる税理士を検索 /

都道府県
業種

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

PageTop