年末調整で還付金をもらえる人の条件

公開日:2018年12月01日
最終更新日:2018年12月14日

目次

  1. 年末調整とは「納め過ぎた税金」の清算業務
    • なぜ、「税金の納め過ぎ」が起こるのか
    • なぜ、会社が従業員に代わって所得税を「天引き」するのか
    • 還付金の額は「所得控除(課税される所得の控除)」によって異なる
    • 還付金が支払われる時期はいつ?
  2. 年末調整で還付を受ける人
    • 1.生命保険加入者
    • 2.地震保険加入者
    • 3.自分で払った社会保険料がある
    • 4.個人型確定拠出年金(iDeCoイデコ)や小規模企業共済加入者
    • 5.「1年の途中」で扶養する家族が増えた
    • 6.配偶者と離婚又は死別した
    • 7.本人または家族が障害者
    • 年末調整を受けても確定申告が必要な人
    • 年末調整を受けられない人
  3. 年末調整が楽になる「人事労務freee」

この記事のポイント

・源泉徴収した金額が多すぎる場合には「年末調整の還付金」として戻ってくる

・年末調整の還付金を貰える時期と方法については、特に決まりはない

・税理士・社労士に相談して、年末調整の作業効率UP

従業員の所得税は、毎月の給与から天引き(源泉徴収)されています。
しかし、この所得税は仮の金額にもとづくものなので、1年に1度、年末に所得税の過不足を清算する「年末調整」を行わなければなりません。
そして、源泉徴収額が本来の所得税より多い場合には、差額を従業員に還付(返還)します。逆に、源泉徴収額が本来の所得税より少ない場合には、従業員から差額を徴収することになります。

以下では、年末調整の仕組みと還付が発生しやすい従業員がどのような人か、解説します。

年末調整とは「納め過ぎた税金」の清算業務

「年末調整」という言葉は知っていて、それが「払い過ぎた税金が返ってくることだ」という意味は知っていても、その内容まで正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

年末調整とは、その前の1年間の所得税の税額を確定させて、支払った税金の過不足を清算する業務のことをいいます。年末調整という文字どおり、年末の12月に行います。
12月になれば、従業員への給与等支払額が確定するので、それをもとに会社が従業員の給与や賞与から源泉徴収した所得税と本来納付すべき所得税を清算するのです。

そして、年末調整される1年間に支払った税金が支払い過ぎていたのであれば、税金の還付(返還)を受けることができますし、支払った税金に不足があれば、差額を従業員から徴収し、支払いをしなければなりません。

なぜ、「税金の納め過ぎ」が起こるのか

年末調整の還付金は支払いすぎた税金が精算されて返還されるものですが、それでは、そもそもどうして税金の納め過ぎが起こるのでしょうか?

その理由は、「源泉徴収税が仮の金額にもとづいている」という点にあります。
正社員、アルバイト、パートなどの就業形態を問わず、毎月の給与から天引きされている所得税は、仮の金額にもとづくものです。

月々の給与から所得税を天引きする際には、源泉徴収税額表・月額表に当てはめて計算しますが、1月1日から12月31日までの1年間で見ると、扶養家族の増減、保険料などの変動などを理由に所得税額に誤差が生じてくるのです。

つまり、月々の給与から所得税を天引きする際には「とりあえず、月々の給与から所得税を仮の金額で納付してもらいます。誤差が出れば、それは年末に帳尻を合わせましょう」というのが、所得税の源泉徴収の考え方です。

なぜ、会社が従業員に代わって所得税を「天引き」するのか

サラリーマンは、原則として確定申告をする必要はありませんが、これはこれまで述べてきたように、会社が従業員の代わりに税額を計算し、納税まで行ってくれているからです(源泉徴収と年末調整)。

それでは、なぜ会社が従業員に代わって所得税を天引きするのでしょうか。
国民には納税の義務がありますから、働いて給料をもらっている人は、収入に応じて所得税を支払わなければなりません。本来ならば、毎年自分で税務署に確定申告しなければならないはずです。自営業者やフリーランスなどは自分で確定申告しています。

ただし、給与所得者の場合、毎月受け取る給料が平準化されていることや、雇用主が一括管理した方が、税金の支払いの手続きがスムーズです。そこで、雇用主が給与支払い額から一定の金額を「源泉徴収税」として差し引いて預かり、まとめて税務署にその従業員の分の所得税を支払うのです。会社員が自分で確定申告しないので済むのは、このような仕組みがあるからです。

ただし、毎月の源泉徴収の金額はあくまで「概算」なので、正確な所得税とは異なります。
そこで、年に1回年末に過不足を計算し、源泉徴収した金額が多すぎる場合には取り過ぎた分を「年末調整の還付金」として本人に返還するのです。

還付金の額は「所得控除(課税される所得の控除)」によって異なる

年末調整の還付金は、多い人も少ない人もいますし、ときには不足金が発生するケースもあります。なぜ、人によって還付金の有無や金額が異なるのでしょうか?
それには「所得控除」が関係しています。

所得控除とは、納税者のそれぞれの事情のもとに、所得税の税額を差し引くことです。
所得税は、基本的に収入額に応じて納税額が決められます。
しかし、同じだけ収入がある人でも、独身で1人暮らしをしている人もいれば、子どもが3人いてさらに両親を扶養している人もいます。
このように、同じ収入でも個々の事情は異なるのに、同じだけの税金が課せられるのは不公平になってしまいます。そこで、それぞれの事情に合わせて税額を差し引きましょうというのが、所得控除の考え方です。

例えば、家族の多い人や保険金を支払っている人、障害者の人や障害を持った家族がいる人などには、それぞれ所得控除が適用されます。

そうすると、支払わなければならない所得税の税額が予定していたより低くなることがあるので、1年間に源泉徴収されていた税額が払い過ぎの状態となります。

その場合、会社側が年末に控除を適用して税額を確定させ、徴収しすぎた所得税があったら本人に還付するのです。

還付金が支払われる時期はいつ?

年末調整の還付金を支払う時期と方法については、特に決まりはありません。
一般的には、12月または1月の給料に乗せて還付する会社が多いです。10月や11月頃など、早めに控除用の生命保険等の書類を収集して手続きを行う会社は、12月末の給料に一緒に還付することもありますし、遅めに資料を収集する会社は翌年1月に還付することもあります。また、冬のボーナスに乗せて還付をする会社もあります。

年末調整で還付を受ける人

これまで述べてきたように、源泉徴収額が本来の所得税より多い場合には、差額を従業員に還付(返還)します。逆に、少ない場合には、従業員から差額を徴収することになります。
そして、還付が受けられるのは、納税者個々の事情に応じて税額を清算した結果、本来の所得税より多い場合でした。
それでは、具体的にどのような人が年末調整によって還付を受けられるのでしょうか。

1.生命保険加入者

生命保険や各種の医療保険などの「保険料」を支払っている従業員は、「生命保険料控除」という控除を受けることができます。「個人年金」の場合にも同種の控除が適用されます。
ただし、これらの控除は、支払った保険料全額が対象となるわけではありません。
生命保険料控除は、保険契約をしたタイミングによって「新制度」と「旧制度」に分類され、控除額は変わります。
新制度が適用されるのは、2012年(平成24)年1月1日以後に保険契約を締結した場合であり、その前の契約には旧制度が適用されます。
新契約(2012年(平成24)年1月1日以後に締結した保険契約等の控除額

保険の種類 支払額 控除額
生命保険
介護医療保険
個人年金保険
20,000円以下 保険料の全額
20,000円~40,000円 保険料×1/2+10,000円
40,001円~80,000円 保険料×1/4+20,000円
40,001円~80,001円 一律40,000円

旧契約(2011年(平成23)年1月1日以前に締結した保険契約等の控除額

保険の種類 支払額 控除額
生命保険
個人年金保険
25,000円以下 保険料の全額
25,001円~50,000円 保険料×1/2+12,500円
50,001円~100,000円 保険料×1/4+25,000円
100,001円~ 一律50,000円

新制度の場合、控除を受けられる保険の種類は一般保険料控除と個人年金の控除、介護保険です。
それぞれについて上限が4万円とされていて、最高で12万円(4万円×3)の控除を受けられる可能性があります。

旧制度の場合、控除を受けられる保険の種類は一般保険料の控除と個人年金の控除のみで、介護保険の控除はありません。
それぞれについて上限が5万円とされているので、最高で10万円(5万円×2)の控除を受けられる可能性があります。

どちらの制度が適用されるのかについては、従業員から提出される「保険料控除証明書」に記載されているので、チェックして間違いのないように計算を行いましょう。

2.地震保険加入者

「地震保険」に加入している人には、地震保険料控除を受けることができます。
地震控除も、支払った保険料全額が対象となるわけではありません。

地震保険料控除の考え方や計算方法は生命保険料控除と同じです。

地震保険控除が適用される場合には、払い込んだ保険料に応じて、最大5万円までの控除を受けることができます。

地震保険料控除の金額

区分 年間の保険料の支払合計 控除額
地震保険料 50,000円以下 支払った金額
50,000円超 50,000円
旧長期損害保険料 10,000円以下 支払った金額×1/2+5000円
100,000円超20,000円以下 15000円

3.自分で払った社会保険料がある

会社員などの給与所得者は、通常、健康保険料や年金保険料などの社会保険料を「給料天引き」によって支払っています。給料から天引きした社会保険料については雇用者側が把握できるので、これによって還付金が発生することはありません。
ただ、休職中などに給料から天引きされない国民年金保険料や国民健康保険料について、従業員が自分で支払った場合には、これらについて会社側は把握することができません。
したがって、年末に従業員が国民年金保険料や国民健康保険料を自分で支払った胸を申し出てきたら、控除を適用して税額を計算し直す必要があります。
また、従業員が生計を共にする家族の国民年金保険料や国民健康保険料を支払ったケースでも、社会保険料控除を適用する必要があります。
社会保険料控除が適用される場合、支払った全額が控除の対象になります。

参照:国税庁「社会保険料控除」

4.個人型確定拠出年金(iDeCoイデコ)や小規模企業共済加入者

最近では、「個人型確定拠出年金(iDeco)」を利用する人が増えてきています。
個人型確定拠出年金とは、自分で積み立てて運用する年金であり、将来退職した後の生活に備えるものです。
個人型確定拠出年金では、毎月5,000円から1000円単位で最大68,000円まで掛け金を設定できますが、その全額が所得控除の対象になります。従業員が自主的に利用している場合には、申告を受けて税額を計算し直す必要があります。

5.「1年の途中」で扶養する家族が増えた

扶養控除とは、合計所得が38万円以下の子どもや両親、兄弟姉妹などの扶養親族のうち、控除対象扶養親族がいる人が受けられる控除です。
一般的に、1年の源泉所得税は、昨年本人が提出した扶養控除申告書の内容をもとにして計算します。
そして、年度途中で扶養家族の人数が増えると、会社は新たな扶養家族の存在を知らないので、その人の分の控除を適用せずに源泉所得税を計算していることになるので、税金の払い過ぎが起こりますので、年末調整で清算する必要があるのです。

扶養家族が増える場合とは、具体的には以下のようなケースです。
・結婚して妻を扶養に入れた
・子供が生まれた
・親に仕送りをするようになった

控除の金額は、以下の通りです。

・配偶者控除
年間所得が38万円以下の一般の控除対象配偶者…38万円
70歳以上の老人控除対象配偶者…48万円

・扶養控除
16歳以上の一般の控除対象扶養親族…38万円
19歳以上23歳未満の特定扶養親族…63万円
70歳以上の老人扶養親族…別居の場合には48万円、同居の場合には58万円

参照:国税庁「扶養控除」

6.配偶者と離婚又は死別した

1年の途中で配偶者と離婚したり死別したりした人には「寡婦控除」や「寡夫控除」が適用されます。女性の場合には「寡婦控除」、男性の場合には「寡夫控除」となります。
控除が適用されるのは、子どもやその他の親族を一人で育てるようになった場合や、所得額が一定以下の場合です。
子どもや親族を扶養する場合、扶養対象となる子どもや親族の年間所得が38万円以下であることが必要で、他の人による扶養を受けていないことも要件となります。
所得から差し引かれる控除の金額は、以下の通りです。

寡婦控除(扶養親族や子どもがいる女性または年間所得が500万円以下の女性)…27万円
特定の寡婦控除(生計が同一の子があり、かつ年間所得が500万円以下の女性)…35万円
寡夫控除(生計が同一の子があり、かつ年間所得500万円以下の男性)…27万円

参照:国税庁「寡婦控除」

7.本人または家族が障害者

身体障害者や精神障害者には、「障害者控除」が適用されます。
そこで、本人やその家族に障害者がいる場合には、一定金額が控除されて所得税の金額が下がり、年末調整で還付金が発生します。
控除金額は以下の通りです。
障害者控除(一般の障害者)…27万円
特別障害者の場合…40万円
特別障害者と生計が同一で同居している「同居特別障害者」の場合…75万円

参照:国税庁「障害者控除」

「障害者」となるのは、以下のような人です。

1. 精神障害によって事理弁識能力が常にない人
→「特別障害者」となり、特別障害者1人につき40万円の控除を受けます。

2. 児童相談所や知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医によって「知的障害者」と判断された人
→重度の場合には特別障害者になり、それ以外は一般の障害者です。

3. 精神障害者保健福祉手帳を持っている人
→1級の場合には特別障害者、それ以外は一般の障害者です。

4. 身体障害者手帳の交付を受けている人
→1級と2級の場合には特別障害者、3級は一般の障害者です。

5. 精神や身体に障害がある65歳以上の人で、市町村長等や福祉事務所長による認定を受けている人
→状況に応じて一般の障害者または特別障害者となります。

6. 戦傷病者手帳を交付されている人
→状況に応じて一般の障害者または特別障害者となります。

7. 原子爆弾被爆者として厚生労働大臣による認定を受けている人
→特別障害者となります。

8. 12月31日時点において、身体障害によって6か月以上寝たきりの状態が続いており、複雑な介護が必要な人
→特別障害者となります。

年末調整を受けても確定申告が必要な人

なお、年末調整を受けても、以下の人は確定申告が必要です。

・家族を含めた年間の医療費が10万円、もしくは合計所得金額の5%を超えた人
→確定申告をすることで、所得税の還付を受けることができます。

・住宅ローン控除の利用者
→所得税や住民税から一定額を10年間控除できる「住宅ローン控除」の利用者は、適用初年度に限って、年末調整とは別に確定申告が必要です。

年末調整を受けられない人

サラリーマンでも以下の人は、年末調整を受けられないので、自分で確定申告をする必要があります。

○給与の年間収入金額が2000万円を超える人
○「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
○年の途中で退職した人
○同族会社の役員やその親族で、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

年末調整が楽になる「人事労務freee」

年末調整は、従業員に「扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書」などを配布し、従業員が書類に必要事項を記入したら、その書類の確認を行って、年末調整対象者かどうか確認する必要があります。
このように、年末調整の業務は、年末調整担当者だけでなく従業員にも負担がかかる業務ですが、人事労務freeeを導入すれば、各種の控除を適切に適用し、正確に税額を計算することができるので、年末調整の作業の効率が格段にアップします。

導入作業も、税理士や社会保険労務士などのサポートを受けながら、簡単に行うことができます。

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