勤怠管理|従業員の勤務状況を把握し管理するポイント

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年07月11日

この記事のポイント

  • 「勤怠管理」とは、従業員の出勤や退勤、遅刻、早退、欠勤などの勤務状況を正確に把握して記録すること。
  • 勤怠管理は、給与計算を行う上でも必要となる。
  • 勤怠管理は、労働トラブルを防止するという意味でも重要。

 

会社は、従業員の出勤や退勤、遅刻、早退、欠勤などの勤務状況を記録して管理をする必要があります。これらの勤怠管理は、給与計算を行う上でも必要となりますので、適切かつ正確に管理を行なうことが大切です。

現在は、「freee人事労務」といった給与計算ソフトを使って処理するケースがほとんどですが、毎月の給与計算においては、勤怠情報をいかに効率よく収集できるかがポイントです。

従業員の勤怠管理のポイント

従業員の出勤や退勤、遅刻、早退、欠勤などの勤務状況を正確に把握して記録し管理することを「勤怠管理」といいます。勤怠管理によって適正な勤務状況を記録することは、正しい給与計算を行ううえでも重要です。
毎月の給与は、出勤日数などの変動部分によって異なりますし、勤怠項目を確定することで、時間外手当などの金額が決まってくるからです。
また、最近増加傾向にある労働トラブルを防止するという意味でも重要ですので、労働時間や休暇・休日の意味などを正しく理解して適切な勤怠管理を行なうようにしましょう。

(1)労働時間の確認

出勤時刻、退勤時刻の記録は、タイムカード、出勤簿、ICカード、勤怠管理ソフトなどで行なう会社が多いでしょう。これらの記録は従業員任せにしてしまうと、入力ミスなど起こることもありますので、しっかり指導することがポイントです。
残業時間は、「平日普通」「平日深夜」「休日普通」「休日深夜」など細分化しておくと、それぞれに対応する時間外手当の計算が簡単にできるようになります。
また、時間外の申請や有休取得申請などは、上司の承認が必要です。ルールが守られない場合には、その都度指導し対処していくようにしましょう。

(2)変動部分の確認

月給制の給与であっても、遅刻・早退・欠勤・残業などの事情で労働時間が変われば賃金が変動します。遅刻や早退、欠勤などの不就労項目があれば、賃金から差し引くことができます(ノーワーク・ノーペイの原則)。
勤怠管理を行ううえでは、これらの変動部分の賃金の計算も必要となる他、有休取得の管理なども必要です。

(3)労働日数は毎月違う

労働日数は、月によって土日や祝日の数が異なります。
そこで、勤怠管理をする場合には、まず従業員ごとの1カ月の出勤日数を確認するために出勤した日と出勤していない日を確認する必要があります。
なお、休日には、給与計算上出勤として扱う「有給休暇」や、法定休日のように割増賃金の対象となるものもあります。いずれも正しく給与計算を行う上で大きく関わってくるポイントなので、確実に把握するようにしましょう。

勤怠管理をする上で知っておくべき知識

正しく適切に勤怠管理を行ううえでは、休憩時間に関する法律や残業・知っておくべき知識があります。

(1) そもそも「労働時間」とは

「労働時間」については、労働基準法で明確に規定されているわけではありませんが、過去の裁判例で「労働者が使用者の指揮命令下にあって、労務を提供している時間」とされています(三菱重工業長崎造船所事件 最高裁平成12.3.9判決)。
また、厚生労働省が平成29年に提示した「労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の提示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」と書かれています。
たとえば、朝ミーティングをするために30分早く出社するように指示した場合には、その30分も労働時間になりますので、賃金の支払いが必要になります。

労働時間については、法定労働時間について労働基準法第32条では、「休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならない」と規定されています。
そして、この法定労働時間を超えることのない「所定労働時間」については、会社が自由に決めることができますが、就業規則等で定める必要があります。

(2)休憩は正しく運用されているか

会社は、従業員に労働時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間の休憩を与えなければなりません。
休憩の与え方は、従業員に一斉に与える方法でも良いですし、自由に利用させる方法でも構いません。ただし、休憩中に電話番をさせたり来客応対などをさせたりした場合は、休憩ではなく労働時間となります。

(3)休暇は正しく運用されているか

給与計算をする際には、その休暇が有給なのか無給なのかという点を事前に知っておくことが大切です。
「休暇」は、もともと労働義務のない休日とは異なる法律上認められている法定休暇があります。法定休暇や休業には、労働基準法上の年次有給休暇、産前産後休暇、生理休暇のほかに、育児・介護休業法上の育児休業、介護休業、子どもの看護休暇、介護休暇があります。このうち、有給休暇としなければならないのは年次有給休暇だけで、それ以外は無給でもよいということになっています。

年次有給休暇とは、会社から給与が支給される休暇のことです。
入社から6カ月勤続勤務し、かつその期間の出勤率が8割以上であることを条件として10日間付与しなければならず、以降勤続年数によって付与日数は異なります。その場合も8割以上出勤していることが条件となります。

参照:厚生労働省「年次有給休暇」

また、労働基準法では女性に関する規制があり、たとえば生理日の就業が困難な女性から休暇の請求があった時には、就業はさせてはならないとしています(半日または時間単位でも可能)。
また、生後満1歳に満たない子どもを育てる女性は、通常の休憩時間のほか1日2回それぞれ30分、その子どもを育てるための育児期間を請求することができます。
生理休暇や育児時間について、有給とするか無給とするかについては、就業規則等で自由に決めることができるとされています。

なお、育児休業については休業前の給与の50%(休業開始後6カ月については67%)相当額が、雇用保険から「育児休業給付金」として支給されます。
介護休業については、休業前の給与の67%相当額が「介護休業給付金」として支給されます。

(4) 割増賃金は正しく計算されているか

従業員が時間外労働をしたり休日労働したりした場合には、割増賃金を支給する必要があります。
時間外労働については、これまで何時間働かせたかにかかわらず、一律「25%」の割増賃金率が定められていました。しかし、これが平成22年の労働基準法改正で、残業が長時間になるほど高い割増率になるよう規定されました。


参照:東京労働局「中小企業の月60時間超の時間外労働に係る割増賃金率の引き上げ(猶予廃止)」

休日労働をした代わりに他の日を休日とする「代休」の場合でも、休日労働扱いになりますので、割増賃金を支給する必要があります。しかし、同一週内で予め休日と勤務日を入れ替える「振替休日」した場合には、休日労働そのものがなくなったとみなされ、割増賃金を支給する必要はなくなります。ただし、同一週内でなければやはり割増賃金の支給が必要となります。

なお、会社が従業員に時間外労働をしてもらいたい時には、労働者の過半数で組織する労働組合または、労働者の過半数代表者と、書面で延長できる時間を定めて(労使協定の締結)、行政課長へ届け出た場合に、労働時間の延長や休日の労働が可能となることになっています。
この協定は、「時間外労働・休日労働に関する協定」と呼ばれ、労働基準法36条に規定されていることから「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

まとめ

以上、勤怠管理の方法や管理する際のポイントなどについてご紹介しました。
適切な勤怠管理を行うことは、給与計算で必要となるだけでなく、労働問題に関するトラブルを未然に防ぐうえでも大切ですし、非効率な残業などを防止するうえでも大切です。
なお、勤怠管理を適切に行うためには、クラウド勤怠管理ソフトがおすすめです。
「freee人事労務」なら、勤務時間の集計や残業代の計算を簡単に行うことができます。従業員が出退勤時間を入力すると、時間外労働や深夜労働などを自動で集計して、給与計算に反映されます。勤怠データもカレンダー形式で直感的に分かりやすくなっています。

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監修:「クラウドfreee人事労務」

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