公開日:2020年01月09日
最終更新日:2022年07月07日
税理士報酬については、「思った以上に顧問料がかかった」というケースも多いものです。
このようなトラブルを避け、事業を共に成長させてくれる税理士を選ぶためには「どの業務を依頼した場合には、どれくらいの報酬がかかるのか」について、一定の目安を持っておくことが必要です。
2002年(平成14年)の税理士法改正によって、税理士会の報酬規程が廃止され、税理士が独自に決めた報酬規程が作成されるようになりました。
したがって、税理士報酬は、個々の事務所によってさまざまです。
しかし、税理士事務所のなかには、以前の税理士会の報酬規程をもとに価格設定を行っているケースも多々あります。
そこで、ここでは、税理士会の報酬規程についてご紹介します。
以前の税理士会の報酬規程によると、個人の月額報酬は、総所得金額基準や年取引金額基準によって以下のように異なります。
総所得金額基準 | 年取引金額基準 | 顧問報酬(月額) |
---|---|---|
200万円未満 | 2,000万円未満 | 2万円 |
300万円未満 | 3,000万円未満 | 3万円 |
500万円未満 | 5,000万円未満 | 4万5,000円 |
1,000万円未満 | 1億円未満 | 6万5,000円 |
2,000万円未満 | 2億円未満 | 7万5,000円 |
3,000万円未満 | 3億円未満 | 8万5,000円 |
5,000万円未満 | 5億円未満 | 9万5,000円 |
5,000万円以上 | 5億円以上 | 10万5,000円 |
1千万増すごとに | 1億円増すごとに | 5,000円を加算 |
ホームページなどで明記されていることもありますが、こちらの要望を伝えれば、その要望に応じて調整されることもありますので、まずは問い合わせをしてみることをおすすめします。
税理士会の報酬規程によると、法人の月額報酬は、3万円~10万円程度のケースが多いようです。
総所得金額基準 | 年取引金額基準 | 顧問報酬(月額) |
---|---|---|
200万円未満 | 2,000万円未満 | 3万円 |
300万円未満 | 3,000万円未満 | 3万5,000円 |
500万円未満 | 5,000万円未満 | 5万円 |
1,000万円未満 | 1億円未満 | 7万円 |
3,000万円未満 | 3億円未満 | 8万5,000円 |
5,000万円未満 | 5億円未満 | 10万円 |
1億円未満 | 10億円未満 | 13万円 |
3億円未満 | 30億円未満 | 16万円 |
5億円未満 | 50億円未満 | 19万円 |
5億円以上 | 50億円以上 | 22万円 |
2億円増すごとに | 20億円増すごとに | 3万円を加算 |
「クラウド会計ソフト freee会計」の使用を前提とした顧問契約の場合には、税理士に記帳代行を依頼しないで済むケースが多くなり、一般的なケースより税理士費用が安価で済むこともあります。下記に、「freee会計」を導入している場合の月次顧問料データ(2018年)を掲載しますので、参考にしてください。
【個人の場合】(「freee会計」を導入している場合)
年12回 (月額) |
年6回 (月額) |
年4回 (月額) |
年2回 (月額) |
年1回 (月額) |
申告作業 (年額) |
記帳代行 (月額) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
1,000万円未満 | 23,000 | 19,000 | 17,000 | 15,000 | 13,000 | 76,000 | + 6,000 |
1,000万〜3,000万円未満 | 27,000 | 24,000 | 21,000 | 18,000 | 17,000 | 96,000 | + 7,000 |
3,000万〜5,000万円未満 | 33,000 | 29,000 | 26,000 | 23,000 | 21,000 | 116,000 | +10,000 |
5,000万〜1億円未満 | 39,000 | 36,000 | 33,000 | 29,000 | 28,000 | 145,000 | +13,000 |
1億円以上 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
【法人の場合】(「freee会計」を導入している場合)
年12回 (月額) |
年6回 (月額) |
年4回 (月額) |
年2回 (月額) |
年1回 (月額) |
申告作業 (年額) |
記帳代行 (月額) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
1,000万円未満 | 26,000 | 22,000 | 19,000 | 17,000 | 15,000 | 107,000 | + 7,000 |
1,000万〜 3,000万円未満 |
31,000 | 26,000 | 24,000 | 21,000 | 19,000 | 129,000 | + 8,000 |
3,000万〜 5,000万円未満 |
37,000 | 31,000 | 28,000 | 25,000 | 23,000 | 150,000 | +11,000 |
5,000万〜 1億円未満 |
43,000 | 38,000 | 34,000 | 31,000 | 29,000 | 173,000 | +14,000 |
1億〜 5億円未満 |
54,000 | 49,000 | 45,000 | 42,000 | 40,000 | 210,000 | +20,000 |
5億円〜 10億円 未満 |
63,000 | 59,000 | 56,000 | 53,000 | 50,000 | 235,000 | +26,000 |
10億円 以上 |
要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
税理士に依頼する時には、税理士に何を税理士に依頼する時には、依頼するサービスの範囲を明確にして、そのサービスの料金をきちんと確認することが大切です。
ひとくちに顧問税理士といっても、経理作業をすべて丸投げするケースもあるでしょうし、申告業務のみスポットで依頼するケースもあります。また、状況によっては、経営者の立場に立ち悩みを共有したうえで、経営の黒字化と安定化を目指したアドバイスをしてほしいというケースもあるでしょう。
税理士に依頼する時には、このように依頼したいサービスをきちんと伝え、契約内容や報酬についてしっかり確認することが大切です。
税理士というと、領収証を渡して記帳を依頼して決算書を作成してもらうというイメージを持つ人も多いと思いますが、税理士には記帳業務のほかにも、経理指導や税務調査対応、事業計画の作成、資金調達のサポートなど、さまざまなことを依頼することができます。
税理士に依頼できる業務 ①月次顧問業務 ②決算申告業務 ③税務調査立会業務 ④個人確定申告業務 ⑤相続対策&相続税申告業務 ⑥事業計画策定サポート業務 ⑦起業・創業サポート業務 ⑧事業再生サポート業務 ⑨海外進出サポート業務 ⑩M&Aサポート業務 ⑪補佐人業務 |
月次顧問契約を締結し決算申告業務、税務調査立会等まで依頼すれば、本業に集中することができますが、その分コストがかかります。その点、記帳業務については自社で行い、決算書や申告書の作成だけ税理士に依頼すればその分のコストを削減することができます。
起業したばかりの時には本業に専念しなければなりませんし、簿記の知識がないと帳簿づけもミスが多くなってしまうので、そのような場合には税理士に丸投げするのもよいでしょう。
しかし、経営者である以上、いつまでも会社の数字を分析できないままというわけにはいきません。会社の計理は自社のお金の管理に直接関わることであり、タイムリーな判断が必要になるケースが多いからです。
したがって、税理士に依頼する場合には、「経理をすべて任せたい」「自社で記帳業務を行い、申告に関して税理士に任せたい」「事業を成長させるためのアドバイスが欲しい」など、こちらの要望を明確にしたうえで、どのようなサービスを依頼できるのか説明を受けることが大切です。
税理士との契約は一般的に年に数回打ち合わせを行う顧問契約とスポット契約があります。
顧問契約の場合には、会社の経理や申告、相談まで包括的に対応してもらえる内容となっています。スポット契約では決算申告のみ、税務調査対応のみなどその業務に応じて依頼することになります。事業の状態を正確に把握し事業の成長を望むのであれば、できれば、顧問契約で毎月試算表などを見ながら相談するのが望ましいでしょう。
ただし、税理士の報酬は契約内容や会社によってかなり金額に幅があります。領収証の数や売上規模に応じた明確な料金表が用意されている事務所もあります。
一般的な顧問契約では、月額○○円、決算時には月顧問料の数カ月分という契約が多いようです。
契約する際には、「月額顧問料はいくらなのか」「決算申告のみを依頼する場合にはいくらになるのか」など、細かく質問をして納得をしたうえで契約をするようにしましょう。
税理士に依頼する場合には、実際に面談していくつかの質問をしてみるのがおすすめです。
税務や会計の世界では、専門用語が数多く出てきます。たとえば、「販売費及び一般管理費」のことを、税理士は「販管費」と省略することがあります。その時すかさず「販管費とは何ですか。主にどのような費用が含まれますか」などと質問してみましょう。
その時に分かりやすくポイントを押さえて説明してもらうことができれば、顧問契約した後も相談しやすくなりますし、結果的にその税理士と長く付き合っていけることになります。
どんな仕事にも業界別の事情だったり、特有の専門用語、慣習があったりします。
その業界の顧問先を多く抱えている税理士であれば、業界ならではの知識をよく知っていて、的確なアドバイスがもらえるものです。
また、税務調査でも、業界別に狙われやすいポイントというものがあります。
たとえば、建設業では「完成工事と未完成工事が適切に区分されているか」などの期ズレがよく指摘されます。建設業界に精通している税理士であれば、このような期ズレに注意して会計処理を行ってくれるので、税務調査で指摘を受けてもしっかりと説明することができるので安心です。
税理士は、会社の事業の悩みを気軽に打ち明けられるような存在であることがベストです。したがって、相性が合うかどうかは、依頼するかどうかを判断する時の大きなポイントです。
なかには「父親の代からお世話になっている税理士で子供の頃から知っているので、つい遠慮してしまい、言いたいことも言えない」というケースもあるようですが、これでは事業の悩みを相談することもできませんし、会社の数字で不明点や疑問点があっても、質問することすら難しいのではないでしょうか。
したがって、「相性の合う税理士」「気軽に相談できる税理士」を見つけることは、想像以上に重要なことなのです。
それでは相性が合うかどうかを、どのように判断すればよいのかについてですが、それはやはり実際に事務所まで出向いて顔を合わせて話してみたり、zoom等で顔や表情を見ながら話してみるのがおすすめでしょう。電話だけで済ませるというのは、おすすめできません。
実際に事務所まで出向けば、事務所の雰囲気を確認することもできますし、1時間から2時間話せば「この人なら、相性が合いそうだな」ということは大体判断することができるはずです。
女性社長なら女性税理士だと「女性ならではの感性」に共感でき、かつ同じ働く女性としてお互いによい刺激になったりすることもあるようですし「年齢が近いと、共通の話題が多く話しやすい」ということケースもあります。いろいろな条件から税理士を検索して、積極的に面談をすることをおすすめします。
以上、税理士に依頼する時の注意点と費用相場についてご紹介しました。
経営をするのはあくまで経営者であり、「クラウド会計ソフト freee会計」を活用して事業の数字を正確に把握することはもちろん重要ですが、税理士はその数字をより細かく分析し、さまざまな可能性を示してくれるパートナーです。
事業を成長させるためには、税理士と良い関係を築いたうえで目的に沿って活用する方が、はるかに効果的です。
理想の税理士を見つけるためにも、税理士に問い合わせ面談をする際には、ここでご紹介したような「依頼するサービスは何か」「相性が合いそうか」「分かりやすい説明をしてくれるか」「業界に精通しているか」といったポイントに注意して、判断することをおすすめします。
また、ご紹介したように「クラウド会計ソフト freee会計」を導入すれば記帳代行を税理士に依頼する必要がなくなり、その分税理士コストを抑えることができますし、事業の数字をリアルタイムで把握することができるようになります。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から、「融資・資金調達に精通している」「IT業界に強い」「決算コンサルティングが可能」「女性が担当」などのさまざまな条件で税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
クラウド会計ソフト freee会計
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、相談することができます。