公開日:2019年07月06日
最終更新日:2022年07月13日
土地や家屋を所有している場合には、固定資産税・都市計画税などの税金が課されます。固定資産税は、毎年1月1日現在、固定資産税台帳に「所有者」として登録されている方に対して、課税されます。
固定資産税は、各市町村で課税する税金で、標準税率は1.4%とされていますが、ある一定の条件に該当する固定資産については、税負担が軽減されます。
固定資産税とは、固定資産(土地や家屋、会社で使っている機械など)に課される税金です。市町村の固定資産課税台帳に、毎年1月1日現在で所有者として登録されている人が固定資産税の納税義務者となります。
固定資産税は、土地や家屋に対して課税されるほか、事業用の償却資産に対しても課税されます。固定資産税の対象となる償却資産とは、事業のために使用する固定資産のことです。市町村内に事業用資産を所有している人は、毎年1月1日現在の所有状況を1月末日までに申告する必要があります。
なお自動車は、別途自動車税が課されるので、固定資産の対象とはなりません。
固定資産税は、その固定資産の評価額をもとに算定される税額を、その固定資産の所在地に納めます。
固定資産の税額は、以下のように計算します。
課税標準額×1.4% |
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※固定資産税の課税標準:固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額
※固定資産税の税率:市町村ごとに条例で定められる(標準税率は1.4%)
固定資産税評価額は、国が定めた固定資産評価基準に基づいて、市町村が決定します。評価額は、土地については公示価格の70%程度(時価の50%~70%程度)、建物については建築費の40%~60%程度となるのが一般的です。
この評価額は原則として3年ごとに見直しされ、評価替えが行われます。
なお、令和3年から令和5年までの3年間は、令和2年の1月1日の公示地価を基準に課税される予定でしたが、新型コロナ感染症拡大に伴い、令和3年度については特別な措置が講じられ、2年前と同じ税額に据え置かれます。
※公示地価が下落している場合には、そのまま反映され税額が減ります。
固定資産税については、毎年1月1日現在に固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に対して納税通知書が送付されてきますので、年4回に分けて納付することになります。
固定資産税を期限までに納付しないと督促状が送られてきます。最悪の場合には預金や給与、不動産などが差し押さえられてしまうこともあります。
災害や納税者自身の病気やケガなどの事情がある場合には、1年間納税を猶予する制度もありますので、早めに市町村に相談することをおすすめします。
市町村が決める「固定資産税評価額」は、他の税額にも大きく影響します。都市計画税の課税標準は固定資産税と同じですし、土地の売買時の所有権移転登記には「課税標準×税率」の登録免許税がかかります。
また、相続や贈与の際の家屋の価値も、固定資産税評価額を用いて計算するのが通常です。
しかし、固定資産の評価方法や税額計算は煩雑で、まれに市町村で評価を誤るケースがあります。
実際に、過去には固定資産税の徴収ミスがありました。
2018年に横浜市は、複数のビルの固定資産税と都市計画税について、約7億1,000万円を過大に徴収していたと発表しましたし、2017年には東京都武蔵野市も、ビル2棟の評価を誤り、金利相当分を含め総額で約2億6,000万円の還付金が発生したと発表しました。
「固定資産税評価額が高すぎるのではないか」という懸念がある場合には、各市町村の固定資産評価審査委員会に「審査の申し出」という手続きを取る必要があります。
審査委員会がこの申し出を受けると、調査を行って30日以内に評価額を決定します。
さらにこの決定に不服がある場合には、6カ月以内に裁判所に取消訴訟を提起する必要があります。
審査委員会の調査で、市町村側に明らかなミスがある場合には、徴収し過ぎた税金について通常は、過去5年分が還付されます。
なかには、数十年間にわたる徴収ミスがあった例もありますから、自分の固定資産税評価額や税額は、しっかり確認しておくことをおすすめします。
固定資産税評価額や税額は、納税通知書と一緒に送られてくる課税明細書に記載されていて、同じ市町村内であれば、他の所有者の固定資産税評価額を縦覧することができるので、自分の土地や家屋の評価額と比較することができます。
縦覧期間は毎年4月1日から20日以上とされますが、いつでも見られるわけではないので、固定資産税に精通している税理士に相談してみるとよいでしょう。
固定資産税については、税負担が軽減される特例措置があります。
特例措置の適用を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、適用されると税金が軽減されます。
住宅のある敷地全体を「住宅用地」といいます。
住宅用地については、その広さによって小規模宅地と一般住宅用地に分けられ、小規模用住宅用地(用地のうち200㎡までの住宅)の課税標準額が評価額の6分の1になります。
小規模住宅用地(200㎡以下) 課税標準額=評価額×1/6 |
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また、一般住宅用地については、200㎡を超える部分については、課税標準は評価額の3分の1になります。
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 課税標準額=評価額×1/3 |
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新築された住宅が、以下の床面積の条件を満たす場合には、3年度分(3階建以上の耐火、準耐火構造建築物は5年度)に限り、120㎡までの居住部分について、固定資産税の2分の1相当額が減額されます。
マンションの場合には、住宅の床面積は、専有部分の面積に共有部分の持ち分面積を加算した面積で判定します。
床面積の条件 自己所有の住宅(居住部分):50㎡以上280㎡以下(3年) 賃貸マンション・アパート:40㎡以上280㎡以下(5年) |
なお、「長期優良住宅普及の促進に関する法律」によって、一定の条件に適合する特定認定長期優良住宅の固定資産税については、新築住宅の減額特例適用期間が一般住宅より長期にわたり設定されています。
床面積の条件 戸建て:5年間にわたって、1/2(一般住宅特例では3年) 賃貸マンション・アパート:7年間にわたって、1/2(一般住宅特例では5年) |
65歳以上の高齢者や要介護・要支援の認定を受けている人や障がい者がいる家屋について、一定以上のバリアフリー改修工事を行った場合、その工事費が補助金等を除いて50万円以上となった時、その翌年度分の固定資産税の3分の1が減額されます。この特例措置は令和4年(2022年)3月31日までに行われた場合で、、固定資産税の減額は100㎡分までが限度となります(※延長の可能性あり)。
一定の省エネ改修工事を行った場合には、固定資産税の特例措置があります。平成20年1月1日以前に建てられた住宅(賃貸住宅をのぞく)で、平成20年4月1日から令和4年3月31日までに行われた50万円以上の省エネ改修工事を行った場合が対象で、120㎡以上(改修後の床面積は50㎡以上)分について、その翌年度分の固定資産税の3分の1が減額されます。
令和4年3月31日までに耐震改修を行った既存家屋についても、固定資産税の減額措置が2分の1(長期優良住宅に認定されている場合は3分の2)になる減額措置があります。
適用となる改修工事期間は平成18年1月1日~令和4年3月31日で、適用されるためには、以下の要件が必要です。
減額措置の適用条件 昭和57年1月1日以前から存する住宅であること 昭和56年6月1日施行の建築基準法に基づく耐震基準に適合する改修工事であること 平成29年1月2日から令和4年3月31日までの間に完了した工事であること 耐震改修工事等に要した費用が50万円超であること |
以上、固定資産税の概要や税額の計算方法、特例措置などについてご紹介しました。
固定資産税が軽減される特例措置については、改修工事等の内容が確認できる書類等を添付して市区町村に申告するなどの手続きが必要です。
また、固定資産税の税額は、賦課課税方式(市町村側で計算すること)で決定されますが、なかには、数十年間にわたる徴収ミスが起きたケースもありますから、特に不動産を多数所有しているというケースでは、不動産の固定資産税の額が適正か一度ご自分で確認されることをおすすめします。そして、不明点や疑問点等がある場合には、固定資産税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
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