公開日:2019年09月07日
最終更新日:2022年07月16日
仮想通貨の取引によって利益が出た場合には、その利益は雑所得として税金がかかります。所得税の税率は、所得が多ければ多いほど税率が上がる累進課税なので、利益が出れば出るほど税額は高くなります。
そこで、ここでは仮想通貨の利益にかかる税金や、その税金の額を減らすことができる節税対策をご紹介します。
仮想通貨で上げた利益は、事業として取引をしている場合を除き「雑所得」となり、所得税が課税されます。
仮想通貨の税金については、「別の仮想通貨(ビットコインをアルトコインに)と交換しただけなら、税金はかからない」「買い物に使ってしまえば、税金はかからない」などと誤解している人もいますが、これらのケースでも利益が出れば、その利益に税金が課されます。
仮想通貨が所得税の課税対象となるのは、大きく分けて以下の4つのケースです。
①仮想通貨を売却した 売却価額と仮想通貨の取得価額の差額が所得金額となります。 ②仮想通貨で商品を購入した ③他の仮想通貨と交換した ④マイニングで仮想通貨を取得した |
仮想通貨(暗号資産)による利益や損失は、原則として「雑所得」に区分され、給与所得などの他の所得と合算して計算することになっています(総合課税)。
ちなみに、サラリーマンの給料は「給与所得」、自営業の方の収入は「事業所得」となります。
サラリーマンは、会社で年末調整をしてもらっているので、他の所得合計が20万円以下であれば、確定申告の必要はありません。
また、仮想通貨を持っているだけなら確定申告の対象にはなりません。
ただし、仮想通貨を売却するなどして利益が出た場合には、自営業者はもちろんサラリーマンなどで年末調整を済ませている場合でも、確定申告が必要です。
仮想通貨で得た所得の計算方法は、総平均法と移動平均法の2つがあります。
どちらの計算方法を選択するかで損益額に違いが出る場合がありますが、令和元年から、評価方法は原則として総平均法に統一され、移動平均法を選択する場合には、評価方法の変更の届け出が必要となりました。
総平均法とは、1年間の購入金額をすべて足して平均単価を計算し、すべての売却に対して同じ購入単価で損益を計算する方法です。
一方、移動平均法とは、仮想通貨を購入するたびに取得価額と残高を平均し、所得を計算する方法です。
たとえば、「1BTC=100万円のとき、2BTCを購入、次に1BTC=80万円のときに2BTCを購入し、その後1BTC=120万円のときに3BTCを売却した」というケースでは、総平均法と移動平均法では、以下のように計算します。
総平均法
①1年間に購入したビットコインの合計: 1BTC120万円のときに3BTCを売却しているため最終的な損益額は以下のようになります。 |
移動平均法法
①1BTC=100万円のとき2BTCを購入: 1BTC120万円のときに3BTCを売却しているため最終的な損益額は以下のようになります。 |
所得税は所得が多ければ多いほど税率が高くなり、所得が4,000万円を超えれば、税率は45%にもなります。
必要経費は仮想通貨取引に実際かかったものについては、経費として計上することができますが、なかには必要経費として計上できるにもかかわらず経費を計上していないケースもあります。必要経費を計上すればそれだけ税額を抑えることができるので、計上できる経費があれば、もれなく計上するようにしましょう。
前述したとおり、仮想通貨取引を行うためにかかった費用は、必要経費として計上することができます。
実際に経費として認められる可能性のある費用は、以下のとおりです。
必要経費は人それぞれですが、該当するものがあればもれなく必要経費として計上するようにしましょう。
①仮想通貨の情報を得るために購入した書籍代 ②仮想通貨を学ぶために参加したセミナー参加費 ③仮想通貨取引に使うことだけを目的としたPC購入費 ④税理士に確定申告を依頼した場合の報酬 ⑤仮想通貨の計算ツール |
ただし、だからと言って「それなら、この税額を少しでも減らすために必要経費をたくさん計上しよう」とするのはNGです。税務調査の対象になった時には、これらの経費について細かくチェックされることになります。節税対策は、適切な方法で行うことが大切です。
仮想通貨を売却せずに、値上がりしている(含み益が出ている)場合は、利益が「確定」していないので、その分については申告する必要はありません。つまり、含み益に対しては課税されないので、むやみに利益確定しないよう、売却せずに保有していることで節税につながります。
仮想通貨の取引で損失が出た場合には、仮想通貨の損失は雑所得に該当するため、他の所得の利益とその損失を相殺することはできませんが、同じ雑所得同士であれば、黒字の所得から赤字分を差し引いて通算することができます。
ほかの雑所得とは、アフィリエイトや転売ビジネスによる所得(事業所得に該当しない場合)、日本の金融庁に登録されていない海外業者を利用した海外FXによる所得などです。
ただし、国内業者を利用したFXや先物など、分離課税が適用されるものについては、合算することはできないので注意が必要です。
また、個人のFXは分離課税であり、確定申告することで損失を3年間繰り越すことができますが、総合課税である仮想通貨の損失は、翌年以降繰り越すことはできません。
したがって、雑所得同士で利益や損失を相殺してもなお損失が出ている場合でもその損失は繰越できず、ないものと同じことになります。
以上、仮想通貨取引の節税対策についてご紹介しました。
ビットコイン、イーサリアムといった仮想通貨の取引で生じた所得は、、他の所得合計が20万円以下であれば、確定申告の必要はありませんが、20万円を超えると確定申告が必要です。
仮想通貨の税金は、必要経費をもれなく計上する、むやみに利益確定せず保有するといったポイントを抑えることで、税額を軽減させることができます。
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