総合課税とは|分離課税との違い、税率、計算方法をわかりやすく

公開日:2019年12月12日
最終更新日:2022年01月24日

目次

  1. 総合課税とは
    • (1)総合課税と分離課税の違い
    • (2)総合課税は累進課税制度
  2. 総合課税となる所得
    • (1)事業所得(ほとんど総合課税)
    • (2)不動産所得(すべて総合課税)
    • (3)給与所得(すべて総合課税)
    • (4)一時所得/雑所得(ほとんど総合課税)
    • (5)配当所得(総合課税or申告分離課税)
    • (6)譲渡所得(総合課税or分離課税)
    • (7)利子所得(一部総合課税)
  3. 総合課税の確定申告
    • (1)総合課税と分離課税を分ける
    • (2)収入金額から「所得金額」を求める
    • (3)「所得金額」から「所得控除」を引いて「課税所得」を求める
    • (4)「課税所得」に税率を掛けて税率を求める
    • (5)「税額控除」を引いて「納付税額」を求める
  4. まとめ
    • 総合課税の確定申告について相談する

この記事のポイント

  • 所得税の課税方法は、大きく「総合課税」と「分離課税」のふたつがある。
  • 総合課税とは、個人の1年間の所得をすべて合計して課税の対象となる計算のしくみ。
  • 総合課税は累進課税制度がとられ、税額表を使って計算する。

 

所得税の課税方法は、大きく「総合課税」と「分離課税」のふたつがあります。総合課税とは、給与所得や事業所得などのすべての所得を合算して税額を計算する方法です。
総合課税の対象となる所得は、事業所得、不動産所得、一時所得、雑所得などがあります。

総合課税とは

所得税は、1人1人の所得に対して課される税金ですが、対象となる所得はその所得を稼いだ方法によって10種類に区分され、それぞれの所得について所得金額の計算方法が決められています。
そして、所得税の課税方法は大きく「総合課税」と「分離課税」の2種類があります。

(1)総合課税と分離課税の違い

総合課税とは、個人の1年間の所得をすべて合計して課税の対象となる計算のしくみのことで、対象となる所得をすべて合算して、その合計額に対して累進税率によって課税します。
一方、分離課税はそれぞれの所得ごとに税率が決まっています。

分離課税の対象となる所得は、以下のとおりです。

配当所得(上場株式の配当は、申告分離課税と選択できる)
退職所得
山林所得
譲渡所得(不動産や株式の売却益)
利子所得(源泉分離課税)

なぜ、これらの所得については総合課税ではなく分離課税とするのかについてですが、たとえば分離課税の対象となる所得のひとつの「退職所得」は、長年働いたことに感謝する退職金が該当しますが、退職金は老後の生活資金となる性格をもちます。
それなのに他の所得と合算して課税してしまうのは不適当であるという配慮から、税負担を軽くするために、別の所得と切り離して計算することとしたのです。

▶ 分離課税|総合課税との違いは?「源泉分離課税」とは?

(2)総合課税は累進課税制度

総合課税とは、所得を合計したうえで各種の所得控除を差引、それに累進課税率を乗じることで、納めるべき税額を求めます。
累進税率とは、所得を7段階に分けて所得が多くなればなるほど高い税率を課すものです。つまり、所得が多ければ多いほど、税金が高くなるしくみになっています。

所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額で、この所得から所得控除を差し引いて「課税所得金額」を計算します。そして、この課税所得金額に下記の税率を適用して計算します。

所得税の税額表(速算表)

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
8,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

たとえば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。

7,000,000円×0.23(税率)-636,000円(控除額)=974,000円
参照:国税庁「所得税の税率」

総合課税となる所得

所得税は、課税上の要請などを考慮して、所得を10種類に区分し、それぞれの所得金額についていくらかを計算するしくみになっています。
10種類の所得のうち、総合課税となる所得は以下のとおりです。

所得の種類 所得の内容
事業所得 商工業、農業、サービス業などの事業所得
不動産所得 土地、建物の賃貸料など
給与所得 給料、賃金、ボーナスなど
一時所得 生命保険契約の満期一時金、クイズの賞金など
配当所得 株式にかかる剰余金の配当など
譲渡所得 土地、建物、株式などの譲渡
利子所得 預貯金、国債、社債などの利子
雑所得 恩給、国民年金、厚生年金など

(1)事業所得(ほとんど総合課税)

事業所得とは、卸売業・小売業、サービス業などのほか、医師、弁護士、税理士、スポーツ選手、農業、漁業を営んでいる人が、それぞれの事業から生じる所得をいいます。事業規模での株式譲渡による所得や一般株式等の譲渡による所得、先物取引による所得等は総合課税に含みません。
事業所得は、それぞれの事業の総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

事業所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費

(2)不動産所得(すべて総合課税)

不動産所得とは、不動産の貸付け、不動産上の権利の貸付け、船舶や航空機の貸付けによって生じる所得をいいます。
不動産の貸付けを大規模に行っていて、それを事業としている時でも、事業所得ではなく不動産所得です。
貸間や下宿を営んでいる場合も不動産所得ですが、食事付きの下宿は事業所得または雑所得です。また、不動産売買業者が販売目的で購入した不動産を、一時的に貸し付けて収入を得た場合には、不動産所得ではなく事業所得となります。
不動産所得は、事業所得と同じように総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

不動産所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費

(3)給与所得(すべて総合課税)

給与所得とは、勤務先などから受け取る給料、賃金、賞与やこれらの性質を有する給与をいいます。
厚生年金や国民年金などは、給与所得ではなく雑所得となります。
給与所得と事業所得は、雇用関係があるかどうかで判断します。雇用関係があれば、給与所得です。

給与所得は、事業所得などと違って必要経費を差し引いて所得金額を計算することができません。そこで、必要経費に代わるものとして、収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算します。

給与所得の金額 = 収入金額 - 給与所得控除額
※※収入金額:所得税などが源泉徴収される前の金額
令和2年分以後は、子ども・特別障がい者である扶養親族を有する場合には、給与所得の所得金額調整控除が適用されます。
控除額は以下の計算式で計算し、給与所得の金額から控除されます。

(給与収入金額(※)-850万円)×10%(最高15万円)
※1,000万円超のときは、1,000万円

(4)一時所得/雑所得(ほとんど総合課税)

各所得のいずれにも該当しない所得は、税法上一時所得か雑所得のどちらかに該当します。

一時所得 雑所得
所得が、以下のいずれの性質も有しない一時的な所得であること。
①営利を目的とする継続的行為
②労務その他役務の対価性
③資産の譲渡の対価性
左記の一時所得に該当しないものであること
懸賞の賞金、生命保険契約などにもとづく一時金または損害保険契約等にもとづく満期返戻金など 学校債、組合債、国税および地方税の還付加算金、生命保険契約などにもとづく年金など

一時所得は、以下の計算式で計算します。

一時所得の金額=総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額
※特別控除額:総収入金額からその収入を得るために支出した金額を差し引いた残額が50万円未満の場合には、その残額、50万円以上のときは50万円

一時所得の金額を、ほかの所得と合計して総所得金額を計算する場合には、2分の1とします。

雑所得の金額は、下記の①と②を区分してそれぞれを計算したうえで、合計するという方法で計算します。

①国民年金、厚生年金、恩給などの公的年金等
②非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受け取る原稿料など他の所得のいずれにも該当しない所得

雑所得の金額
①収入金額-公的年金等控除額
②総収入金額-必要経費

(5)配当所得(総合課税or申告分離課税)

配当所得とは、法人から受ける剰余金、利益の配当、剰余金の分配、投資信託(公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託をのぞく)の収益の分配などによる所得です。
配当所得は、通常はほかの所得と総合する総合課税ですが、上場株式等の配当などについては申告分離課税によって確定申告をすることを選択することもできます。

配当所得は、以下の計算式で計算します。

配当所得の金額=収入金額(※)-株式などを取得するための負債利子
※収入金額:所得税などが源泉徴収される前の金額

(6)譲渡所得(総合課税or分離課税)

譲渡所得とは、土地や建物、機械、車両、ソフトウェア、ゴルフ会員権などの資産を譲渡、交換などしたことによって生じる所得です。
ただし、以下の資産の譲渡による所得は、譲渡所得とはなりません。

①商品、製品、半製品などの棚卸資産の譲渡は、事業所得または雑所得となります。
②使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産および取得価額が20万円未満で一括償却資産とした減価償却資産の譲渡は、事業所得または雑所得となります。
③山林の譲渡のうち、保有期間が5年を超えるものは山林所得、保有期間が5年以下のものの譲渡は事業所得または雑所得となります。

譲渡所得の金額=総収入金額-取得費および譲渡費用-特別控除額(50万円※)
※譲渡益が50万円未満のときは、その金額が限度

土地建物を譲渡した時の譲渡所得は、その所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ、他の所得と区分して税額計算する「分離課税」となります。

▶ 譲渡所得(土地・株式等)とは|計算方法は?特別控除額は?

(7)利子所得(一部総合課税)

利子所得とは、預貯金の利子、公社債の利子、合同運用信託の収益の分配、公社債投資信託の収益の分配などによって生じる所得です。
預貯金の利子は、原則として源泉分離課税となっています。平成28年1月1日以後、特定公社債等の利子は、申告分離課税の対象となっています(申告不要制度の選択可能)。
このように、利子所得は原則として分離課税ですが、海外の金融機関の預金利子、海外で発行された公社債の利子、公社債投資信託などの収益の分配金で所得税が源泉徴収されていないもの、世界銀行債などの所得税が源泉徴収されていない利子、一般公社債などのうち同族会社が発行した社債の利子でその同族会社の株主などが支払を受けるものは、総合課税となります。

利子所得は、事業所得や不動産所得のように必要経費が認められていませんので、以下の計算式で計算します。

利子所得の金額=収入金額-利子所得の金額
※収入金額:所得税などが源泉徴収される前の金額

総合課税の確定申告

所得税の計算の流れは、大きく以下のように行います。

①総合課税と分離課税を分ける
②収入金額から「所得金額」を求める
③「所得金額」から「所得控除」を引いて「課税所得」を求める
④「課税所得」に税率を掛けて税率を求める
⑤「税額控除」を引いて「納付税額」を求める

(1)総合課税と分離課税を分ける

これまでご紹介したように、総合課税は1年に生じたすべての所得を合計して計算しますが、分離課税はほかの所得と合計しないで、それだけに独自の税率をかけて税金の計算をする方法ですから、まずは総合課税されるものと分離課税になるものをグループ分けして計算します。

給与所得、雑所得、配当所得、一時所得の場合には、確定申告書Aを使用します。
一方、譲渡所得、利子所得、事業所得、不動産所得の場合は、確定申告書Bを使用します。
また、分離課税の対象である退職所得や山林所得の場合には、確定申告書Bに加えて分離課税用の申告書第三表も使用します。

(2)収入金額から「所得金額」を求める

申告書で最初に書き込む計算欄は、所得に関する箇所です。
これまでご紹介したように所得は10種類ありますので、まずは自分の申告する所得が何かを調べます。所得は、収入から必要経費を差し引いて求めた金額なので「収入金額等」と「所得金額等」の2つの欄に記入します。

収入金額と所得金額を記入

①収入金額等を記入します。
②所得金額等を記入します。

(3)「所得金額」から「所得控除」を引いて「課税所得」を求める

第二表の「各控除」の欄に該当する所得控除を記入し、第一表の「所得から差し引かれる金額」に転記します。
所得控除とは、所得から控除することができる項目です。所得から差し引くのですから、当然所得控除は多ければ多いほど税額が軽減されます。

▶ 所得控除(15種類)と控除額の計算方法を分かりやすく

所得控除は全部で15種類ありますので、適用できるものはもれなく適用を受けるようにしましょう。サラリーマンは、会社で年末調整を受けていますのでほとんどの所得控除については計算済みですが、医療費控除、寄附金控除、雑損控除の3つの所得控除を受ける時や、年末調整で適用モレがあった時には、確定申告で忘れずに適用を受けるようにしましょう。

所得控除を記入

(4)「課税所得」に税率を掛けて税率を求める

所得から所得控除を差し引いた金額を「課税所得金額」といいます。
課税所得金額に税率を掛け、それぞれの所得ごとに応じた控除額を差し引いて、基準所得税額を計算します。

課税される所得金額を所得税の速算表にあてはめて計算する

所得税の速算表

課税される所得金額(A) 税率(B) 控除額(C) 税額(A)×(B)-(C)
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円 (A)×5%-0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円 (A)×10%-97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円 (A)×20%-427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円 (A)×23%-636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円 (A)×33%-1,536,000円
8,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円 (A)×40%-2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円 (A)×45%-4,796,000円
① 課税総所得金額(A)×税率(B)―控除額(C)=基準所得税額
② 基準所得税額×2.1%=復興特別所得税額
③ ①+②=所得税および復興特別所得税の額

(5)「税額控除」を引いて「納付税額」を求める

税額控除とは、税金から差し引くことができる項目です。税金から直接差し引けるので、控除額がそのまま節税額となります。
たとえば、マイホームを購入した人であれば住宅ローン控除を受けることができます。

税額控除を記入する

なお、税金計算の欄では、税額控除などのほかに復興特別所得税の計算も必要です。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興財源とするために令和19年まで課税されるもので、所得税の2.1%が復興税として上乗せされます。

まとめ

以上、総合課税の意味や所得税額の計算方法、確定申告書の作成方法についてご紹介しました。分離課税の対象となる所得を総合課税で計算してしまうと、税金を納め過ぎてしまうことになります。
自分の所得が何の所得なのか、その所得は総合課税の対象なのか分離課税の対象なのかは、税額計算に大きく関わることなので、確定申告を行う前に税理士に相談して確認することをおすすめします。

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