公開日:2019年11月28日
最終更新日:2022年07月19日
空き家特例とは、平成28年度の税制改正によって新設された特例で「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」のことです。
この空き家特例が令和5年12月31日までに延長されました。該当する人はぜひ活用しましょう。
空き家を相続した時の特例、略して「空き家特例」とは、相続した家屋に耐震リフォームを行った後や古家を取り壊して更地にした後で売却したりした場合に受けられる特例です。
空き家特例は、マイホームの3,000万円特別控除、またはマイホームの買換特例のいずれかと併用することができます。
同一年に空き家特例の3,000万円控除とマイホームの3,000万円特別控除を併用する時には、2つの特例を合わせて3,000万円が控除の限度額となります。
また、住宅ローン控除とも併用することができますが、相続財産を譲渡した場合に相続税の取得費加算とは選択適用となります。
空き家特例は、売却した場合の譲渡所得から3,000万円が特別控除されます。
すなわち、空き家特例の譲渡所得が以下のように計算します。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除(3,000万円) |
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所得税の税率は、所得が多ければ多いほど税金が高くなる累進課税制ですから、譲渡所得から3,000万円を差し引くことができれば、税額が大きく軽減されることになります。
空き家特例は、当初は令和元年12月31日までとされていましたが、令和5年12月31日までに延長されました。
参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
この特例は、少子高齢化や災害によって空き家が増加傾向である状況に関する対策なので、さらに延長される可能性があります(2022年1月現在)。
空き家特例を受けるためには、いくつかの要件があります。
まず、相続した家屋については、相続開始の直前に被相続人が1人で居住していたものであることが必要ですが、老人ホームなどに入居していた場合も対象となります。
親が亡くなった後、空き家になった家で賃貸収入を得たり、相続人が住んだりした場合には、空き家特例の適用は受けられません。
①相続開始の直前まで、被相続人が1人で居住していたこと(一定の要件で老人ホームに入居していた場合も対象)。 ②昭和56年5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物であること。 ③相続時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に供されていないこと。 ④相続によって土地および家屋を取得すること。 |
空き家特例を受けるためには、譲渡対価の額の金額が1億円以下であることなど、耐震リフォーム工事を行って売却するか相続人が家屋を取り壊して売却の要件を満たす必要があります。
また、空き家特例の適用を受けるためには、相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する必要があります。
①譲渡対価の合計額が1億円以下(共有で譲渡する場合には、その合計額が1億円以下)であること。 ②家屋と土地をセットで相続すること。 ③相続人が耐震リフォーム工事を行って売却すること。 または相続人が家屋を取り壊して売却すること。 ④相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。 |
「②家屋と土地をセットで相続すること。」については、たとえば長男が家屋を相続し、長男と次男で土地を分割してその後売却した場合には、家屋と土地の所有者である長男のみに、空き家特例が適用されるという意味です。したがって、土地を相続した次男には、空き家特例は適用されないことになります。
空き家特例の特別控除を受けるためには、市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」を申請し、確定申告の際に提出する必要があります。
被相続人居住用家屋等確認書
「被相続人居住用家屋等確認書」は、空き家の所在地の市区町村で申請します。確認書の交付のためには、以下の書類の提出が必要です。
被相続人居住用家屋等確認書申請の際の必要書類
①被相続人居住用家屋等確認申請書 |
確定申告
確定申告は、譲渡翌年に行います。
交付された被相続人居住用家屋等確認書のほか、譲渡所得の金額に関する計算の明細書、登記事項証明書などが必要です。
確定申告の際の必要書類
①被相続人居住用家屋等確認申請書 |
空き家特例とは、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」のことで、空き家を相続した場合に譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます。
空き家特例は令和5年12月31日までに延長されましたので、該当する人はぜひ活用して税額を軽減させましょう。
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