広告宣伝費とは?交際費との違いは?処理仕訳の方法は?

公開日:2019年12月15日
最終更新日:2024年06月22日

この記事のポイント

  • 「広告宣伝費」とは、不特定多数の人に事業を宣伝するために支出した費用。
  • 「販売促進費」は、販売を促進し、売上を増やすために支出する費用。
  • 「交際費」は、事業関係者に対して接待、慰安、贈答などの行為を行うために支出した費用。

 

「広告宣伝費」とは、不特定多数の人に事業を宣伝するために支出した費用を計上する時に使う勘定科目です。

一方「販売促進費」は、販売を促進し、売上を増やすために支出する費用を計上するために使う勘定科目です。

そして「交際費」は、取引先や従業員の親族など事業関係者に対して接待、慰安、贈答などの行為を行うために支出した費用を計上するために使う勘定科目です。

この3つの勘定科目は混同しやすいので、仕訳を行う場合には注意しましょう。
 

広告宣伝費の豆知識

広告宣伝費とは、不特定多数の人に対して宣伝効果を期待して支出する費用です。チラシやポスターのほか、テレビCMや雑誌新聞などへの掲載、社名入りのカレンダー、見本品や試供品などの費用は広告宣伝費として処理をします。また、ホームページの制作や運用にかかる費用も、広告宣伝費です。
広告宣伝費は、全額損金として計上できますが、ソフトウェアを使ってデータベースにアクセスできるような仕組みになっている場合には、このソフトウェアの制作費用に含まれるプログラムの制作費用部分については、無形固定資産の「ソフトウェア」に計上して、5年で償却する必要があります。
また、広告宣伝のための費用であっても、その効果が1年を超えると考えられるものや、広告塔やネオンなど耐用年数1年以上で取得価額10万円以上のものなどは、資産計上しなければなりません。
また、広告宣伝費は、交際費や販売促進費と混同しがちですが、事業の状況を把握するためにも、またその費用対効果を見極めるためにも、これらの勘定科目は適切に管理する必要があります。
交際費や販売促進費との違いや処理仕訳については、早めに税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

広告宣伝費とは

広告宣伝費とは、不特定多数の人に事業や商品を宣伝するために支出した費用を計上するための勘定科目です。

広告宣伝費には、以下のような費用が当てはまります。

・パンフレット製作費
・チラシ制作費
・カタログ制作費
・ダイレクトメール
・社名入りポケットティッシュ
・新聞広告掲載料
・雑誌広告掲載料
・ホームページ制作費
・会社案内
・PR費用
・電車の中吊り広告
・インターネット広告費用(アフィリエイトなど)
・ラジオ広告放送
・テレビ広告放送料
・シール(社名入り)
・うちわ・カレンダー(社名入り)
・Tシャツ(社名入り)
・求人広告費用
・年賀状印刷代
・ポスター制作費
・見本品・試供品
・賞金・商品(広告宣伝のためのクイズや懸賞)
・講演会開催費用
・展示会出品料
・福引券印刷
・SEO対策
・ネオン・看板(取得価額が10万円以上は構築物や工具器具備品)
※10万円以上の構築物には、税法上の特例が適用される場合あり(※後述)

(1)広告宣伝費と交際費との違い

「広告宣伝費」が不特定や数の人を対象として、一般消費者を相手にする経費です。
一方、「交際費」は、取引先の担当者などに対して行う招待旅行や観劇、飲食費などです。
したがって、不特定多数の人を対象とする接待のための費用は、広告宣伝費となります。
また、取引先など事業に関連する人に対するものであっても、カレンダーや手帳などを贈るために通常必要となる費用は、広告宣伝費となります。

(2)ネオンサインや看板は広告宣伝費

広告宣伝用のネオンサインや看板などを設置した場合には、その取得価額が10万円未満のものは「広告宣伝費」になります。しかし、それ以上のものは原則として構築物、器具備品などの「有形固定資産」として計上します。
ただし、10万円以上30万円未満のものについては、一定の条件を満たせば、全額経費として計上することができます。

(3)ホームページは広告宣伝費

ホームページを制作して毎年更新していく場合は「広告宣伝費」となります。
しかし、オンラインショッピング機能やインターネット予約機能、自社商品検索機能などの機能が組み込まれているホームページの場合には、「ソフトウェア」として資産に計上します。

なお、広告宣伝用看板の賃借料は、原則として当期に対応する部分だけを「広告宣伝費」として計上します。
しかし、利用期間が支払日から1年以内のものについては、継続適用することを条件として、支払時に全額を経費とすることができます。

(5)広告宣伝費の仕訳例①

「ホームページを制作し、制作代金を普通預金から55万円支払った。」

借方 貸方
広告宣伝費 500,000 普通預金 550,000
仮払消費税等 50,000

ホームページの制作費用は、原則として「広告宣伝費」となります。
これは、ホームページは頻繁に内容を更新しなければならず、製作物の効果としては1年未満であるという理由からです。
ただし、ホームページ上にオンラインショッピングカートや商品検索機能などのプログラムの要素が含まれる時には、「無形固定資産」の「ソフトウェア」として資産計上します。

(4)広告宣伝費の仕訳例②

「取引先に配布するために宣伝用カレンダーを作成した。作成費用は55万円であった。」

借方 貸方
広告宣伝費 500,000 未払金 550,000
仮払消費税等 50,000

原則として、支払った広告宣伝費のうち未払分は、「未払金」に振替をします。

(5)広告宣伝費で資産計上されるもの

広告宣伝のための費用でも、以下のような支出は資産計上しなければなりません。

①社名や商品名などを表示した陳列ケースや看板そのものなど、広告宣伝用資産を無償または低廉な対価で販売店等に譲渡する場合の支出

②交通機関に看板を設置するなど、一定の契約に従って、継続的に役務提供を受ける場合の支出

③広告塔やネオンなどを製作または購入する場合の支出で、耐用年数1年以上で取得価額が10万円以上のもの

④販売代理店に配布するための見本帳やカタログなどを期末に未使用のまま在庫している場合

交際費を知っておこう

交際費は、得意先や仕入先などの取引先や従業員の親族など、事業の関係者に対して接待や供応、慰安、贈答などを行うために支出する費用のことをいいます。

なお、一定の飲食費を除いて交際費は会社の経費(損金)とは認められませんが、中小企業(資本金1億円以下)の会社に対しては、1年間のうち一定金額の交際費が認められています。
これまで、この定額控除の限度内で会社が支出した交際費の10%相当額は経費にはなりませんでしたが、中小企業の場合には、1年間で800万円までは控除されることになります。

交際費には、以下のような費用が当てはまります。

①接待のための飲食代
②接待交通費
③ゴルフプレー第
④手土産
⑤香典
⑥選別代
⑦謝礼金
⑧ご祝儀
⑨レジャークラブ会費
⑩移転祝い
⑪見舞金
⑫旅行への招待(取引先)

(1)交際費の仕訳例②

「取引先の接待をレストランで行い、33万円を現金で支払った。タクシーを理容師2200円を支払っている。」

借方 貸方
交際費 302,000 現金 332,200
仮払消費税等 30,200

接待の際に取引先を送迎するためにタクシー代などを支出した時には「旅費交通費」ではなく「交際費」として処理します。

(2)交際費の仕訳例②

「社内ゴルフコンペの費用を、現金で22万円支払った。」

借方 貸方
交際費 200,000 現金 220,000
仮払消費税等 20,000

まとめ

以上、広告宣伝費、交通費の意味や違いについてご紹介しました。
広告宣伝費、交通費、販売促進費は、それぞれ混同しやすい勘定科目ですが、支出の目的や相手先などの内容をよく確認して処理をするようにしましょう。

また、交際費は税務調査で事業関連性の観点から否認されるケースも多いので、事業関連性と事業遂行上の必要性は明確にしておく必要があります。
不明点や疑問点がある場合には、あらかじめ税理士に確認して適切な処理を行なうようにしましょう。

会計ソフトの活用

クラウド会計ソフトfreee会計では、よく使われる勘定科目については、最初から表示されるように初期設定してあります。

また、検索で表示される勘定科目を変更したい場合は、[設定]→[勘定科目の設定]から「入力候補」の設定で変更することができますし、勘定科目がない場合は、新規に追加することができます。
取引を登録する時には、キーワードで勘定科目を検索できますし、ガイドから選択することもできます。

「クラウド会計ソフトfreee会計「勘定科目の設定・追加を行う」」を読む

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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