公開日:2022年04月22日
最終更新日:2024年06月29日
遊休資産とは、事業のように使用されていない資産をいいます。
遊休資産には、土地や建物などの不動産だけでなく、使わなくなった大型の工作機械なども含まれます。
遊休資産は、事業活動に利用していない資産であるため、減価償却費は「営業外費用」として計上します。
遊休資産の豆知識
遊休資産とは、事業用資産として取得されたものの、事業計画の変更や新しい機械の導入により、利用や稼働が停止している資産を指します。例えば、新しい生産設備の導入に伴い、旧設備が使われなくなるケースがこれに該当します。会計上、遊休資産であっても、減価償却を行う必要があります。ただし、遊休資産は営業のための費用とはいえないため、「営業外費用」として処理します。
法人税務上では、減価償却資産の要件として「事業の用に供しているもの」が求められます。遊休資産はこの要件を満たさないため、減価償却の対象にはなりません。そのため、税務上は損金不算入となり、申告調整が必要です。ただし、休止期間中に必要な維持・補修が行われ、いつでも稼動できる状態にある遊休資産は、減価償却資産に該当するものとして償却が認められる場合があります。
遊休資産は、企業のキャッシュフローにとって負担となることが多いため、可能な限り圧縮や処分を検討することが重要です。
会計処理については、専門的な知識と判断が必要となりますので、税理士に相談し適切な処理方法を選択しましょう。税理士は、最新の税法や会計基準に基づき、最適なアドバイスを提供してくれます。
遊休資産とは、事業用資産として取得されたものの、取得時に想定していた事業が変更となったり新しい機械を購入したりして、利用や稼働を停止している資産をいいます。
遊休資産に該当するものとしては、以下のようなものがあります。
相当期間遊休状態にある土地 相当期間遊休状態にある建物・工場 相当期間遊休状態にある機械設備 相当期間遊休状態にあるソフトウエア |
遊休資産については、会計上は遊休資産であっても、減価償却を行う必要があります。ただし、遊休資産は営業のための費消とはいえないことから「営業外費用」として処理をします。
なお、法人税務上は「事業の用に供しているもの」が償却資産の要件のひとつとされているため、減価償却の対象にはなりませんので、税務上は損金不算入となり申告調整が必要になります。
しかし、休止期間中に必要な維持・補修が行われており、いつでも稼動できる状態にあるものは、減価償却資産に該当するものとして償却することができます。
参照:国税庁「稼動休止資産の減価償却の可否」
建物の減価償却費55万円のうち、5万円は遊休不動産にかかるものである。
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減損とは、固定資産の収益性が低下したことによって、投資額の回収が見込めなくなった状態をいいます。
そして、固定資産の収益性が低下したことで投資額の回収が見込めなくなった場合には、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減損する会計処理を行います。これを減損処理(減損会計)といいます。
減損損失を認識すると判定した資産または資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上することになります。
中小会計指針では、固定資産が機能を有していたとしても、以下のいずれかに該当する場合で、かつ時価が著しく下落している場合には、減損損失の認識をすることとしています。
①将来使用の見込みが客観的にないこと(資産が相当期間遊休状態にある) ②固定資産の用途を転用したものの、採算の見込みがないこと |
遊休資産のうち、将来の使用が見込まれていない遊休資産については、当該資産を切り離しても、他の資産または資産グループの使用にほとんど影響を与えないと考えられます。
そのため、減損会計においては他の資産または資産グループのキャッシュフローから独立したキャッシュフローを生み出す最小の単位として取り扱うことが適当とされます。
たとえば、設備の操業を停止した後で、操業開始の目途が立っていないような場合で、その将来の用途が決まっていない場合には、その使用範囲または方法について当該資産または資産グループの回収可能額を著しく低下させる変化があったとみなされます。そこで、減損損失の判定のために回収可能価額の算定が必要になります。
なお、企業が将来の使用を見込んでいる遊休資産については、その見込に沿ってグルーピングを行うことになります。なおこの「見込」については、取締役会などで承認された具体的な計画が必要であるとされています。
法人税法では、減価償却資産が1年以上にわたり遊休状態である場合には、評価損を計上することができます。
つまり、1年以上遊休状態にある減価償却資産については、償却不足額を評価損として損金算入できることになります。
法人が評価替えによって資産の帳簿価額を減額した場合には、その減額した金額は経費にはなりませんが、以下のような事実があった場合には時価を限度として評価替えによる評価損の計上が認められ、含み損を実現することで節税効果が得られます。
①その資産が災害によって著しく損傷したこと ②その資産が1年以上にわたり遊休状態であること ③その資産が、その本来の用途に使用することができないため、他の用途に転用したこと ④その資産の所在する場所の状況が、著しく変化したこと ⑤内国法人について会社更生法等に従って、評価替えをする必要が生じたこと ⑥その他特別な事実 |
このように、遊休固定資産の税務上の取扱いは、一定の前提条件の下で損金経理が認められています。決算対策を考える際、手元に遊休資産がある場合には、節税方法として評価損の計上を検討するのもひとつの手です。
ただし、以下のような場合には評価損の計上は認められませんので、その場合には耐用年数の短縮、増加償却など他の節税方法について検討することをおすすめします。
①過度の使用によって、その固定資産が著しく損耗していること ②償却を行わなかったために、償却不足額が生じていること ③その他固定資産の評価価額が、取得時の事情等によって他の同種の資産と比較して高いこと ④機械等の急速な進歩によって旧式化していること |
遊休資産を除却、廃棄、滅失等した場合には、その資産の帳簿価額から廃材等の見積額を差し引いた金額を経費として計上することができます。
たとえば、遊休状態にある建物を取り壊して新しい建物を取得した場合には、その取り壊した建物の価額は、取り壊した日の属する年の経費として計上することができます。
実際に廃棄していなくても、法人が使用を廃止した資産で今後事業に使う見込みがない場合には、その資産の帳簿価額から処分見込価額を差し引いた価額を、除却価額として経費に計上することができます。
帳簿価額が大きい場合には、非常に有効な節税対策となりますが、除却をしたことを客観的に判断できる資料(産業廃棄物管理票(マニフェスト)など)が必要となります。
そもそも資産とは、事業に使われることによって将来数年間にわたってキャッシュをもたらすものです。遊休資産は、このようなポテンシャルがないだけでなく固定資産税の対象ともなってしまいます。したがって、遊休資産は可能な限り圧縮したり、処分、評価損の計上をしたりするなどしてキャッシュフローの改善を図るべきといえます。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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