加算税とは|延滞税との違い・過重措置

公開日:2022年07月28日
最終更新日:2022年07月29日

この記事のポイント

  • 加算税とは、税額が過少あるいは納期期限切れの際に課される附帯税。
  • 加算税は、附加的に課されるペナルティ的な税金である。
  • 加算税には、無申告加算税、過少申告加算税、重加算税などがある。

 

「追徴」とは、確定申告の際に届け出た税額と、修正申告や更正処分によって計算された税額の差額分を徴収することをいいますが、場合によってはこの追徴税額に加え、「加算税」が課されることがあります
メディアではよく「追徴課税処分された」などと言うことがありますが、それは、差額分の追徴税と附帯税である加算税を合わせて言っていることになります。

加算税とは

加算税とは、確定申告書の提出や納付期限が過ぎてしまった、あるいは税額が過少であったといった場合に課せられる「附帯税」です。
附帯税とは、その税金本体に付加して課せられるペナルティ的な税をいいます。
附帯税に対して、本来納めるべき税金そのものを「本税」といいます。

附帯税には、①無申告加算税、②過少申告加算税、③延滞税、④重加算税などがあります。

(1)無申告加算税

無申告加算税とは、申告を行わなかった「無申告」に対する附帯税です。
正当な理由なく申告期限内に申告しなかった場合に、その納付すべき税額に対して15%または20%の税率で課される税金です。
ただし、税務調査があったことにより更正または決定があることを予知してなされたものではなく、期限後申告または修正申告の場合には、本税×5%に相当する金額が課せられます。

一方で、税務調査などで指摘を受けて申告、納付した場合には、50万円までの部分に対しては、本税×15%、50万円を超える部分に対しては、本税×20%に相当する金額が課せられます。

なお、税額を計算した結果、5,000円未満になる場合は、無申告加算税は免除されます。

(2)過少申告加算税

過少申告加算税とは、申告期限内に提出した申告書に記載された納付税額が実際より過少であった場合に課されます。

その納付すべき税金に対して10%または15%(期限内に提出された申告書に係る税額と50万円とのどちらか多い金額を超える部分)の税率で課されます。

ただし、正当な理由がある場合や、税務調査等で指摘された場合でなく自主的な修正申告である場合には、過少申告加算税は課されません。また、附帯税額が5,000円未満になる場合も、免除されます。

(3)不納付加算税

不納付加算税とは、源泉徴収し納付すべき税額を正当な理由なく法定納付期限までに納付しない場合に、その計算の基礎となる税額に対し、本税に対して10%の税率で課される税金をいいます。
ただし、納税の告知を予知せず、告知を受ける前に納付した場合には、10%の税率が5%に軽減されます。

(4)重加算税

重加算税は、過少申告加算税が課される場合、または無申告加算税が課される場合において、納税者がその税金に係る課税標準または税額等の計算の基礎となる事実の全部または一部を隠ぺいまたは仮装した場合に、課される税金です。
重加算税の税率は高く、過少申告加算税の場合には、過少申告加算税・不納付加算税に代えて、その計算の基礎となる税額に対して35%、無申告加算税の場合には、無申告加算税に代えて、その計算の基礎となる税額に対して40%となります。

(5)その他のペナルティ的な附帯税

ペナルティ的な附帯税としては、上記の加算税以外にも延滞税があります。
延滞税とは、申告期限によって遅れた期間に対する利息のような性質の税金です。

令和3年1月1日以後の税率割合は、以下のようになります。

①の翌日から2か月を経過する日までは、原則として年「7.3%」

ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。

令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間は、年2.4%
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%

②納期限の翌日から2か月を経過した日以後

原則として年14.6%

ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。

令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間は、年8.7%
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%

(5)加算税について納得できないときは

税務調査で納税者が申告した所得や税額が少ないことが判明すると、税務署長はその申告内容を否認します。
申告内容について否認された場合には、納税者が修正申告を行うか、税務署によって更正されることになります。

否認された事項を認める場合
申告内容の否認とは、たとえば売上の計上もれを指摘されたり、交際費の一部を否認されたりしたケースです。
納税者がその否認された事項について、誤りを認める場合には、修正申告を行います。

否認された事項を認めない場合
納税者は、否認された事項について納得できなければ、修正申告をしないという選択肢をとることもできます。この場合には、税務署によって更正がなされます。更正や決定、財産の差し押さえなどの処分は、納税者側の同意がないままに行われます。

更正や決定に不服がある場合
更正や決定、財産の差し押さえなどの処分について納得できない場合には、不服申立制度を利用することもできます。
不服申立制度とは、税務署長に対して行う再調査の請求と国税不服審査所長に対して行う審査請求があります。

再調査の請求は、更正や決定、財産の差し押さえなどの処分の通知を受けた日の翌日から3カ月以内(異議申立ては2カ月以内)に、税務署長に対して書面で行います。

税務署は、再調査を行い、結果を納税者に通知します。
この通知を「再調査通知(異議申立てのときは、異議通知)」といいます。

再調査通知(異議通知)に不服がある場合
再調査通知(異議通知)に不服がある場合には、再調査決定書(異議決定書)の謄本が送られてきた日の翌日から1カ月以内に国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。

国税不服審判所長による審査の結果に不服がある場合
さらに、国税不服審判所長による審査の結果に不服がある場合には、裁判所に訴訟を起こすことができます。税務訴訟とは、税務署の処分に不服があるときに、国を相手に起こす訴訟です。
税務訴訟は、いきなり起こすことはできず、国税不服審判所に審査請求をしたうえで、なお不服があるときに、はじめて地方裁判所に訴訟を提起することができます。

まとめ

以上、加算税についてご紹介しました。
税務調査等で否認された事項について納得できなければ、不服申立制度などを利用することができますが、納税者が納得できる結果を得ることは、なかなか困難なのが実情です。

相手は税金のプロであり、知識、経験の面でもかなり不利な状況となってしまいます。
ただし、税務訴訟の場合には代理人に弁護士を立てるだけでなく、補佐人として税理士に出廷してもらうことができます。この税理士補佐人制度を利用すれば、納税者側も自身の権利を守るために対抗することができます。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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