小口現金とは|少額の現金管理の方法&小口現金のデメリット

公開日:2021年11月08日
最終更新日:2022年10月19日

この記事のポイント

  • 「小口現金」とは、日々のこまごまとした支払いに備えて用意しておく少額の現金のこと。
  • 「小口現金」は、盗難などのリスクがあるため、厳重かつ適切に管理する必要がある。
  • 「小口現金」は、1日の初めと終わりに現金残高の帳簿と残高を一致させることが大切。

 

切手の購入や宅配便の着払い、日用品の購入など、日々のこまごまとした支払いに使うため、経理部や各部署に少額の現金を用意しておくことがあります。
このような少額の現金のことを「小口現金」といいます。
この小口現金の管理も、経理部門の重要な業務のひとつです。

小口現金とは

会社では、切手や文房具、日用品などを購入したり、宅配便の着払いについて支払いを行なったりと、毎日のようにこまごまとした出費があります。
そして、会社によっては急な出金に備えて手提げ金庫のような小型の金庫に現金の用意をしている場合があります。
このような少額の現金のことを「小口現金」といいます。

毎日の現金の入金・出金とは、たとえば以下のようなものがあります。

・入金
売上代金、預金の引き出し、従業員の出張旅費の仮払によって戻ってきたお金

・出金
預金の預入れ、従業員の出張旅費や交通費の精算、仮払金など

(1)小口現金は「現金残高管理」が重要

小口現金は、残高管理が大変重要です。
まず、1日の初めと終わりに現金残高の帳簿と残高を一致させる必要があります。そして取引を始める前の現金残高に、1日分の入金伝票と出金伝票の合計を加算減算した金額が、最終現金残高と一致しているか確認します。

また、現金の取り扱いについても十分な注意が必要です。現金の入っている金庫は決められた時間のみ保管庫から取り出すようにします。金庫を放置したまま席を離れることは、絶対に避けるようにしなければなりません。

(2)小口現金の2つの取り扱い方法

小口現金の取り扱いについては、現金の補給方法によって、以下の2つの方法がありますが、①の定額資金前渡法(インプレスト・システム)によるのが、一般的です。

①定額資金前渡法(インプレスト・システム)
一定期間の所要支払額を見積り、それを基礎として一定額を小口現金係に支給し、定期的(日ごと、週ごとなど)に支払金額を報告させて、それと同じ額を補給する方法。

②臨時補給法
小口現金の担当者への前渡金を一定にせず、その残高が僅少になるつど、必要に応じて臨時補給する方法。

(3)小口現金は「小口現金出納帳」の管理も有効

現金は、現金出納帳で管理するのが基本ですが、会社によっては別途「小口現金出納帳」を用意する場合もあります。
小口現金出納帳には、日付や金額、取引内容、残高を記録していきます。
担当者は、出金伝票や出金メモと引き換えに出金し、その後領収書の引き渡しを受けてから、小口現金出納帳に記帳します。
現金の過不足が判明した場合には、かならず当日中に原因を究明しましょう。仮にどうしても当日中に現金の過不足の理由が判明しない場合には、「現金過不足○○円」というように、メモをしておきます。

小口現金出納帳:例

日付 仕訳科目 摘要 収入 支出 残高
繰越 126,350 126,350
10月20日 新聞図書費 定期購読 10,000 116,350
10月20日 通信費 2021年9月分 5,460 110,890
10月21日 会議費 A社打ち合わせ 3,000 107,890
10月21日 旅費交通費 電子マネー 10,000 97,890
10月22日 厚生費 茶菓子代 3,000 94,890
小計 31,460 94,890

入金・出金が発生するごとに、金額や取引内容、勘定科目を入力していきます。
帳簿上の残高と実際の現金残高を、小まめに照合させるようにしましょう。

(4)大口現金と小口現金で分ける方法もある

売上や仕入れを行う際の「大口現金」と、会社の事務用品費などの支払いに備える「小口現金」は別々に管理することも有効です。
ただし、そのためには、現金出納帳と複数の通帳を使い分ける方法があります。

小売業や飲食業などでレジを利用している場合には、レジに保管する現金の金額をあらかじめ決めておき、閉店後にそれを超える金額(その日の売上金額)をATMから預金口座に預け入れる方法もあります。

(5)現金を支払ったら必ず領収書をもらう

小口現金から現金を支払ったら、必ず領収書をもらうようにします。その際には、会社名と取引内容を記載してもらいます。取引内容は具体的な商品名である必要はなく、「文房具」など大まかな内容で構いません。
領収書をもらい忘れた従業員については、原則として受け付けないようにします。
結婚式や葬儀に参列した際の慶弔金、自動販売機等で購入する場合など、領収書をもらえない支払いについては、招待状に金額を記載したりして記録を残します。

(6)小口現金額が合わない時の会計処理

現金残高と帳簿上の残高が一致しない時には、一時的に「現金過不足」という勘定科目を使って、現金勘定の残高を合わせます。そして、決算期までに原因が判明しない時には「雑収入」「雑損失」で処理をします。

「実際の現金残高と帳簿の残高を確認したところ、実際の残高が5,000円不足していた。」

借方 貸方
現金過不足 5,000 現金 5,000

【決算時までに原因が判明した場合】
「上記現金の不足分について、2,000円は事務用品を購入した時の記入もれと判明した。」

借方 貸方
事務用品費 2,000 現金過不足 2,000

【決算時までに原因が判明しなかった場合】
「上記現金の不足分について、原因が判明しなかった現金不足3,000円は雑損失で処理をした。」

借方 貸方
雑損失 3,000 現金過不足 3,000

小口現金を廃止したい3つの理由

これまでご紹介したように、小口現金の管理は煩雑です。
経理担当者が小口現金管理者に金庫を渡して、小口現金管理者は前日の現金出納帳で照合します。従業員から経費精算書や領収書、仮払依頼書などを受け取ったら、金庫から入出金します。
そして、1日の終わりには金庫の紙幣、硬貨が何枚あるか確認するために「金種表(きんしゅひょう)」を作成する場合もあります。このような小口現金の作業は、「クラウド会計ソフト freee会計」を導入することで、作業量を削減することができます。

(1)小口現金の現金過不足等が減る

「freee会計」は、銀行口座やクレジットカードと同期すると、利用履歴が自動で取り込まれ取引入力を行います。
しかし現金での入出金がある取引については、手動で登録する必要があります。
手動登録の際には、①収入か支出か②決済が済んでいるか③発生日④勘定科目⑤金額の入力をする必要があります。
さらに現金過不足が発生すれば、その確認作業が必要になります。決算までに過不足の原因が究明できなければ、「雑収入」や「雑損失」で処理をしなければなりません。

小口現金の取り扱いを中止して、すべての取引を銀行およびクレジットカードで行えば、利用履歴が自動で取り込まれ取引入力まで行われるので、手動で入力する必要がなく、現金の過不足も起こりません。

また、「自動で経理」で取り込まれたデータはレポート化されるので、「収益レポート」や「費用レポート」で、リアルタイムで費用・収益の発生状況を確認することができます。

収益レポート
・直近6ヵ月間の売上品目構成が、どのように推移したか把握できます。
・得意先別の売上状況を、グラフで確認することができます。
・売上が多い月は何月だったのかなど、季節要因の分析に活用することができます。
 

 

▶ クラウド会計ソフト freee会計「収益レポート」

費用レポート
・今月の仕入・経費の内容などを、グラフで確認することができます。
・直近6カ月間の主要な経費項目の金額推移を確認することで、経費の動きを把握することができます。
・特定の部門の経費の内容を細かく確認することで、課題を早期に把握し対処することができます。
 

 

▶ クラウド会計ソフト freee会計「費用レポート」

(2)小口現金の盗難リスクを排除できる

小口現金は、盗難のリスクがつきものです。
したがって、「決まった時間のみ金庫を取り出す」「金庫を放置したまま席を離れない」など、厳格なルールに基づいて管理しなければならず、担当者にとってはこれが大きな負担となります。
また、現金過不足が起これば原因を究明する作業が必要になり、従業員に都度確認しなければならなくなります。
しかし、小口現金を廃止すればこれらの作業を削減することができ、盗難のリスクも排除することができます。

(3)経理担当者の業務負担が減る

「freee会計」では、取引を入力する際「自動で経理」という機能を利用して自動で登録するか、手動登録するかを選ぶことができます。「自動で経理」を選択し、銀行口座やクレジットカードと同期すると、利用履歴が自動で取り込まれ、取引入力を行います。自分で手入力する必要がなくなるので、日々の経理作業を大幅に削減することができます。
また、「freee会計」では、勘定科目もAIが自動で推定してくれます。
たとえば、12月31日にABCタクシーに乗って、5,000円でクレジットカード決済したケースで考えてみましょう。
この場合、日付と金額、相手先(ABCタクシー)は、クレジットカードの利用履歴から自動的に取り込まれるので、入力の必要はありません。

勘定科目の選択については、「旅費交通費」という勘定科目をAIが判断して自動で表示します。この表示された勘定科目を確認し、問題なければ取引入力は終了です。

小口現金で入出金している場合には、まず従業員が交通費について仮払申請書を申請し、それと引き換えに現金を渡さなければなりません。また、精算時には従業員から渡される領収書を確認して過不足を確認し、精算する必要があります。
「freee会計」と銀行口座やクレジットカードと同期させれば、これらの現金管理業務を大幅に削減することができるのですから、経理処理は大幅に楽になることは言うまでもありません。

まとめ

小口現金とは、日々のこまごまとした支払いに使うために用意しておく少額の現金のことをいいますが、現金の残高が合わない場合には、原因を追究する必要がありますし、入出金時には必要な伝票を発行したり精算したりする必要があります。
どうしても小口現金の管理が必要な場合には、小口現金出納帳を作成して1日の始まりと終わりに残高を確認するなど、厳格なルールのもと管理する必要がありますが、経理処理の手間を削減するためにも、「freee会計」の導入、活用を検討されることをおすすめします。

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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この記事の監修:freee会計

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、小口現金の管理について質問することができます。

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