公開日:2022年10月18日
最終更新日:2022年10月20日
商標権・意匠権は、ともに無体財産権およびそれに属する工業所有権のひとつで、相続や譲渡、抵当権の設定をすることもできる権利です。
商標権・意匠権は、経済的価値の存続期間が限られることから、収益に貢献する期間にわたって、償却計算をすることで原価配分されます。
商標権・意匠権は、工業所有権の1つであり、商標権は商標法に基づき登録し、意匠権は意匠法に基づいて登録します。
意匠権は知的創造性を主眼としているのに対して、商標権は新しく創出したものというより、たとえばロゴやトレードマークといった企業化された製品や商品等の識別化を主眼としているという点で異なります。
工業所有権とは、商標権・意匠権のほか、特許権、実用新案権などを処理する勘定科目です。
工業所有権は、定額法でそれぞれの耐用年数によって減価償却します。
商標権 | 商標法に基づいて登録した商標を、独占的、排他的使用権。 耐用年数は10年 |
意匠権 | 意匠法に基づいて登録された意匠(デザインなど)を行使できる権利。 耐用年数は7年 |
特許権 | 特許法に基づいて登録された発明を独占的、排他的に行使できる権利。 技術的思想の創作も対象となる。 耐用年数は8年 |
実用新案権 | 実用新案法に基づいて登録された産業上の物品の形状、構造、組み合わせについての考案を、独占的、排他的に行使できる権利。 耐用年数は5年 |
ノウハウ | 特別の技術による生産方式等にかかる知識およびその実施権で、事実上は独占的、排他的ではあるが、制定法によって保護されるものではない。 会計上ノウハウは工業所有権に準ずるが、税法上は繰延資産である。 耐用年数は5年 |
商標権とは、商標法に基づいて登録することによって得られる商標に関する独占的・排他的使用権をいいます。
商標権を取得しておくことで、自身の商標として使用することができ、また自分の登録商標または似たような商標を使用している人に対抗することができます。
商標とは、ロゴやトレードマークなどの商品やサービスにつけられる、文字や図形、記号、それらの組み合わせからなる標章をいい、ほかの工業所有権と異なり、新たに創出されたものかどうかは問わず、トレードマークとして企業化された製品や商品の識別化を主眼としています。
意匠権とは、意匠法に基づいて登録することによって得られる、意匠に関する独占的、排他的権利をいいます。
意匠とは、物品の形状や模様、色彩に関するデザインのことで、新たに創出されたものであり知的創造性を主眼としています。
商標権 商標権は、特許庁に出願されたあと、商標審査官によって審査が行われます。そして、審査を通貨したもののみが商標登録を受けることができます。出願や登録をする際には、出願料として3,400円+(8,600円×区分数)、登録料として32,900円×区分数などがかかります。 ※区分数とは |
意匠権 意匠権は、特許庁に出願されたあと、出願された意匠が登録することができるものかどうか審査が行われます。出願の際には、デザインを示した図面を添付する必要があります。 登録査定がされた意匠登録出願については、出願人が登録料を納めることで、意匠権の設定の登録がされ、意匠公報が発行されることになります。 参照:特許庁「意匠制度の概要」 |
商標権や意匠権といった工業所有権は、無形固定資産として貸借対照表に計上されます。
財務諸表等規則によれば、無形固定資産に属する資産としては、以下のようなものが該当するとしています。
①のれん ②特許権 ③借地権 ④地上権 ⑤商標権 ⑥実用新案権 ⑦意匠権 ⑧鉱業権 ⑨漁業権 ⑩入漁権 ⑪ソフトウェア ⑫リース資産 (財務諸表提出会社が、ファイナンスリース取引におけるリース物件の借主である資産であって、当該リース物件が上記および⑬に該当する場合に限る) ⑬その他の無形資産で、流動資産または投資たる資産に該当しないもの(水利権、版権、著作権、映画会社の原画権等) |
工業所有権は、それぞれの耐用年数によって定額法で減価償却を行います。
商標権の耐用年数は10年、意匠権の耐用年数は7年です。
工業所有権を他社から取得した場合には、その実施権や使用権の取得後における存続期間が、工業所有権の耐用年数に満たない場合に、存続期間の年数をその耐用年数とすることができます。
なお、取得にかかる支出は消費税課税取引ですが、工業所有権の登録にかかる登録免許税は消費税非課税取引なので、会計処理の際には注意が必要です。
商標権の処理仕訳
たとえば商標権の耐用年数は、10年です。
デザイン作成のためにデザイン会社に支払ったデザイン料は、商標権として処理をします。また、登録費用については資産計上することもできますし、費用処理することもできます。
「当該事業年度(4月1日~翌3月31日)の9月に、出願登録中の商標権を取得した。この商標権の研究費用は500万円であり、期間費用で処理している。その他、デザイナーに支払った金額80万円と登録費用として20万円がかかった。」
「期末に減価償却費を計上した。」
800,000×0.100(定額法10年の償却率)×12/7=46,666円 |
商標権とは、商標法に基づいて登録された商標を、独占的・排他的に行使できる権利であり、意匠権とは、意匠法に基づいて登録された意匠を行使できる権利です。
これらを工業所有権といい、定額法でそれぞれの耐用年数によって減価償却を行いますが、商標権の耐用年数は10年で、意匠権の耐用年数は7年です。
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