前渡金(前払金)を分かりやすく解説!|仮払金との違い・仕訳例

公開日:2021年11月06日
最終更新日:2024年05月27日

この記事のポイント

  • 前渡金(前払金)とは、商品やサービスを受ける前の代金の支払いのこと。
  • 手付金、経費の前払い、外注費の前払い等が該当する。
  • 前払費用や仮払金との違いに注意する。

 

前渡金(または前払金)は、商品が納品される前に代金を支払った時に使用する勘定科目です。支払った分を「前渡金(前払い金)」で処理をして、後日納品されたら、「仕入高」に振り替えます。
 

前渡金の豆知識

前渡金は、前払金、手付金とも言われるもので、通常の取引に基づく商品や原材料の購入に先
立って、仕入先に支払う購入代金です。一般的に仕入取引では、モノやサービスの提供を受けてから支払いを行いますが、商慣習上、あるいは仕入先の資金繰りなどの都合から、支払いが先行する場合があります。この先行する支払いを前渡金で処理します。外注先への外注加工品の前払金も、前渡金で処理をします。
なお、固定資産を取得するための前払い金は、建設仮勘定で処理をします。
前渡金は商品の引渡しを請求できる権利ですから、適切な債権管理を行う必要があります。例えば、仕入先の財務状況が悪化している場合には、仕入商品がなく実質的に貸付金になっているケースも見られます。このような場合には、金銭消費貸借契約を締結し、貸付金として扱い利息収受の可能性も検討しましょう。不明点については、早めに顧問税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

前渡金(前払金)とは

前渡金(まえわたしきん)、前払金(まえばらいきん)とは、商品やサービスを受ける前の代金の支払いについて使用する勘定科目です。たとえば、「商品を注文し、手付金として5万円を支払った」といった時に使用します。

前渡金(前払金)は、物品を注文する際に、代金の一部または全部を物品の受領前に支払った金額を一時的に処理する勘定科目であり、後日物品が納品されたら「仕入高」に振り替えます。

前渡金(前払金)の処理

(1)前渡金(前払金)に該当するもの

前渡金(前払金)に該当するものとしては、以下のようなものがあります。

・材料費の前払い
・商品の手付金
・外注費の前払い
・仕入代金の前払い
・諸経費の前払い
・加工代金の前払い
・手付金

(2)前渡金(前払金)の計上

商品やサービスを発注して代金も支払ったものの、期末時点でまだ商品が納品されていなかったりサービスを受けていなかったりすることがありますが、この場合にはまだ「仕入」とはなりません。そこで「前渡金」や「前払金」に振り替えます。そして、商品が納入された時またはサービスを受けた時に、再度「仕入高」に振り替えます。

(3)前渡金(前払金)と前払費用の違い

前渡金(前払金)と類似した勘定科目に、「前払費用」があります。
前払費用は、継続的なサービスの提供を処理する時に使う勘定科目で、たとえば地代、家賃、リース料などの前払いの際に使用します。
これに対して、前渡金(前払金)は、商品や継続的ではないサービスの提供を処理する時に使う勘定科目であるという点が異なります。

・前渡金(前払金)
商品や継続的ではないサービスの提供を受けるために支払った手付金

・前払費用
サービスの提供を継続的に受けるために支払った代金
(継続的なサービスの提供を受ける場合で、まだ提供を受けていないサービスに対してすでに支払われた対価)

(4)前渡金(前払金)と仮払金の違い

仮払金も一時的に使用する勘定科目ですが、これは勘定科目や最終的な金額がはっきりしない時に使う勘定科目です。たとえば、交通費や交際費、出張旅費の仮払いの際に使用します。
これに対して、前渡金(前払金)は勘定科目や最終的な金額ははっきりしているものの、商品や継続的ではないサービスの提供をまだ受けていない時に使用する勘定科目であるという点が異なります。

(5)前渡金(前払金)の処理仕訳

前渡金(前払金)の頻度がそれほど多くなければ、取引のたびに前渡金を計上し、モノやサービスを受け取った時点で前渡金を清算します。
商慣習上や取引先の都合で、頻繁に前渡金が発生するようなら、普段は買掛金のマイナスで処理をしておきます。そして、決算で買掛金がマイナスとなっている場合は、買掛金から前渡金に振り替える処理を行います。

「A社からの尻江合金100万円について、A社の資金繰りの都合から、先に70万円を現金で支払った。」

①前渡金支払時

借方 貸方
前渡金 700,000 現金 700,000

②商品受取時

借方 貸方
仕入 1,000,000 前渡金 700,000
仮払消費税等 100,000 買掛金 400,000

まとめ

前渡金(前払金)は、商品や材料などを仕入れる場合に、仕入先から商品が納品される前に代金の一部または全額を支払った時に使用する勘定科目ですが、前渡金(前払金)の処理については、(1)購入時に振替処理をする方法、(2)代金の支払時に振替処理をする方法、(3)決算時に前渡金として振替処理をする方法があり、どの方法を採用するべきかについては、個々の取引状況によって異なります。
自社の場合にどの方法が適しているかについては、税理士にアドバイスを求めるのがおすすめです。

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