2019年10月の消費税改正で必要な「区分記載請求書等保存方式」とは

公開日:2019年11月05日
最終更新日:2019年11月05日

目次

  1. 区分記載請求書等保存方式とは
    • 中小事業者についての特例
    • インボイス導入までの経過措置
  2. 区分記載請求書に記載すべき事項
    • (1)軽減税率の対象と分かることが大切
    • (2)一定期間の取引をまとめてもOK
    • (3)金額表記は税込でも税抜でもOK
    • (4)帳簿の記載する時も軽減税率の対象と分かることが大切
    • (5)軽減税率制度での税額計算
  3. 区分記載請求書等保存方式のサポート体制
    • クラウド会計ソフトの活用
    • 税理士に相談する
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方
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この記事のポイント

  • 「区分記載請求書等保存方式」は、2023年9月30日まで適用される措置。
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)を記載する必要がある。
  • 軽減税率の対象項目である旨を明記しなければならない。

 

令和元年(2019年)10月1日の消費税率の引き上げにあわせて義務づけられたが、「区分記載請求書等保存方式」です。

令和元年(2019年)10月から令和5年(2023年)9月30日までの4年間は、消費税率が8%と10%の複数税率になることから、経理処理をする時に、取引をそれぞれの税率ごとに区分して記載しなければならないことになります。このような処理を「区分経理」といいます。

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区分記載請求書等保存方式とは

令和元年(2019年)10月1日から、消費税が10%に引き上げられました。
しかし低所得者層に配慮された措置で、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定額購読契約された週2回以上発行される新聞」は税率8%とされます。これを軽減税率制度といいます。

この軽減税率制度の導入によって、消費税が10%と8%という複数の税率が採用されることになったため、請求書や納品書、領収書、レシートなどを発行する事業者は区分経理に応じた請求書等を作成しなければなりません。

なお、標準税率10%のみを取り扱う事業者は、従来どおりの請求書等を作成すればよいということになります。

中小事業者についての特例

複数税率となる軽減税率制度に導入に伴い、区分経理によって税率ごとに税額計算を計算しなければなりませんが、令和元年(2019年)10月から令和5年(2023年)9月30日までは、経過措置として売上税額や仕入税額の計算について特例措置が設けられています。

基準期間(法人の場合は前々事業年度、個人事業主の場合は前々年)の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者が、売上および仕入について税率に異なるごとに区分して税額計算をすることが難しい場合には、税額計算の特例(売上税額の計算の特例、仕入税額の計算の特例)によって計算することができます。

売上税額の計算の特例
税込課税売上の合計額に一定の割合を掛けて軽減税率の対象となる税込課税売上を計算する方法で、「一定の割合」とは、以下の3つの方法があります。

①小売等軽減仕入割合
②軽減売上割合
③100分の50(50%)(①と②が困難な場合)
軽減税率の対象となる課税売上(税込)=課税売上(税込)×①または②または③

①小売等軽減仕入割合
税込課税仕入れを税率ごとに分けることができる卸売業・小売業の中小業者は、税込課税売上を小売等軽減仕入割合に掛けて課税売上を計算することができます。

②軽減売上割合
軽減売上割合とは、連続した10営業日の課税売上について、軽減税率の対象となる売り上げを区分して、全体の課税売上に占める軽減税率の対象の課税売上の割合です。
日常的に売上の区分経理が負担になる場合には、1年間の課税売上にこの軽減売上割合を掛けて、1年間の軽減税率対象の課税売上を計算することができます。

③100分の50(50%)
前述した①小売等軽減仕入割合も②軽減売上割合を使っても軽減税率対象の課税売上の計算が困難である場合には、軽減税率対象の課税売上割合を50%とすることもできます。

インボイス導入までの経過措置

令和5年(2023年)10月1日からは適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されるため、区分記載請求書等保存方式はそれまでの経過措置であり、令和5年(2023年)10月1日からはインボイス制度に移行されることになります。

区分記載請求書等は誰でも発行することができますが、適格請求書等を発行するためには、事前に税務署に申請を行って、「適格請求書発行事業者」として登録を受けておく必要があります。

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区分記載請求書に記載すべき事項

区分記載請求書等を作成する事業者は、軽減税率の対象となる資産を販売する事業者に限られます。区分記載請求書制度では、買手から求められた場合、売手は以下の記載事項が完備した区分記載請求書等を発行する必要があります。

①発行者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引の内容(軽減税率対象資産の譲渡等があえば、その旨)
④税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の耐火の額(税込額)
⑤受領者の氏名又は名称

ここでは、区分記載請求書を作成する際の注意点をご紹介します。

(1)軽減税率の対象と分かることが大切

区分記載請求書を作成する場合には、課税資産の譲渡が軽減税率対象資産の譲渡等であることが明確で、8%と10%の異なる税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)であることが分かるように作成しなければなりません。

なお、請求書で、軽減税率の対象となる商品に「※」や「☆」などの記号を表示して、「※」は、軽減税率の対象と表示する方法でもよいということになっています。

(2)一定期間の取引をまとめてもOK

取引においては、1日から月末までの期間の納品について、まとめて請求書を発行するというケースもあるでしょう。
このようなケースでは、納品書と請求書の関連性が明確で、これらの書類全体で「区分記載請求書等」の記載事項を満たす場合には、これらの書類をまとめて保存すれば、区分記載請求書等の保存があるものとして扱うことができます。

(3)金額表記は税込でも税抜でもOK

区分記載請求書等に記載する金額は、税込でなくても、「本体価格(税抜)+消費税額」という記載でも構いません。
たとえば、請求書に「全商品が軽減税率の対象」と記載し、請求書等に記載したすべての取引が軽減税率対象であることを明記すれば、「本体価格(税抜)+消費税額」としてもOKです。
なお、軽減税率の対象となる商品がない場合には、わざわざ8%、10%と記載する必要はありません。

(4)帳簿の記載する時も軽減税率の対象と分かることが大切

帳簿を記載をする時にも、軽減税率の対象と分かるようにしなければなりません。
なお、どのように記載するかについては、軽減税率の対象となるものについては「※」の記号をつけておくという方法でも問題ありません。
また、請求書が1カ月分まとめて作成されるという場合には、その期間分をまとめて帳簿に記載して問題ありません。
軽減税率の対象に「※」と記載する方法、帳簿に税率区分欄を設けて[8%」と記載する方法、税率コードを記載する方法も認められています。

参照:国税庁「帳簿および区分記載請求書等の記載に係る留意点」

(5)軽減税率制度での税額計算

これまでご紹介してきたように、2019年10月1日から消費税の税率は8%と10%の複数税率となりますが、同じ8%でも、2019年9月30日までの消費税8%と、2019年10月1日から導入される軽減税率の導入による消費税8%では、その内訳が異なることに注意が必要です。

軽減税率8%の内訳は、国税である消費税6.24%と地方消費税1.76%(2019年9月30日までの消費税8%は、消費税6.3%と地方消費税1.7%)です。
そして、10%の内訳は国税である消費税7.8%と地方消費税2.2%です。

区分経理においては、税率は8%、10%で表示しますが、税額計算を行う際には、まず国税である消費税額を計算して、次に地方消費税額を計算することになります。

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区分記載請求書等保存方式のサポート体制

これまでご紹介したように、消費税改正に伴い、消費税10%と軽減税率8%の取引ごとに区分記載請求書等を作成し保存しなければならなくなりました。
軽減税率の対象となる品目とそうでない品目を見分け、適切な方法で区分記載請求書等を作成するためには、クラウド会計ソフトを活用したり税理士に相談してアドバイスを求める必要があります。

クラウド会計ソフトの活用

クラウド会計ソフトfreeeでは、無償で自動的に消費税増税・軽減税率に対応してサービスを提供します。
2019年10月1日以降の取引については、消費税率10%又は軽減税率8%の適用の機能対応が行われ、また、区分記載請求書等保存方式を満たすよう、帳票機能において税率種別ごとの自動表記を行います。また、2023年10月1日施行予定「適格請求書」の記載事項への対応についても、無償、自動で行われます。

クラウド会計ソフトfreee「消費税増税(10%)・軽減税率への対応方針について」

税理士に相談する

消費税額の計算は、徴収した消費税額と負担した消費税額の2つの要素が必要であり、課税標準額を計算し仕入控除税額を計算する必要があります。
さらに消費税改正による複数税率に伴い、経理処理はさらに煩雑になります。
税理士に相談すれば、前述したクラウド会計ソフトの活用や区分記載請求書等の効率の良い作成方法についてアドバイスをしてもらうことができます。

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まとめ

以上、令和元年(2019年)10月から令和5年(2023年)9月30日までの4年間義務づけられる「区分記載請求書等保存方式」について、ご紹介しました。
これまでご紹介してきたように、「区分記載請求書等保存方式」は4年間のみの経過措置で、令和5年(2023年)10月1日からは、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に移行されることになります。
スムーズに新制度に移行するためにも、何が消費税8%なのか、10%なのか、適格請求書等保存方式に対応するためには、どのような申請が必要なのか、利用できる補助金の要件に自社が該当するかなど、消費税改正に伴う事項について、早めに税理士に相談してサポートを受けるようにしましょう。

税理士をお探しの方

税理士検索freeeでは2,000以上の事務所の中から、クラウド会計ソフトfreeeの導入や区分記載請求書等保存方式、適格請求書等保存方式(インボイス制度)について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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