法人設立に強い税理士の選び方・依頼するタイミング

公開日:2019年09月05日
最終更新日:2024年01月16日

この記事のポイント

  • 法人設立は、設立前に税理士に相談した方が、税負担が軽減される可能性がある。
  • 法人設立について税理士に相談すれば、資本金や決算月についてアドバイスを受けることができる。
  • 法人設立について税理士に相談することで、役員構成・役員給与のアドバイスを受けることができる。

 

起業時には、先行きに対する精神的な不安から「法人設立手続きは、専門家に頼むと費用がかかるから、自分でやろう」と考える方も少なくないと思います。
確かに自分で法人設立手続きを行えば、その分コストカットすることができます。
しかし、設立時の事業年度や資本金の決め方次第では、設立後の税負担に大きな違いが出ることがあります。また、設立手続きにかかる時間を本業の業務や顧客開拓の時間に費やせば、それ以上のリターンが見込める場合もあります。

ここでは、法人設立を税理士に依頼するメリットや、法人設立に強い税理士の選び方・探し方、法人設立を税理士に依頼するタイミングなどについてご紹介します。
 

法人設立の豆知識

税理士の専門分野は、税務・会計です。
しかし税理士は、法人設立支援や経営課題の分析・改善方法まで幅広い知識とノウハウも有しています。
法人設立時には、資本金、事業年度、設立手続きだけでなく、創業融資のサポートや補助金・助成金の活用についても相談できますし、設立後には、節税対策や経理システムの構築、税務申告、資金繰り、経営課題の改善策等まで幅広くサポートしてもらうことも可能です。売上や利益のアップ、リスク管理、保険対応までサポートしてくれるケースもあります。

法人設立はなぜ税理士に相談すべきか

法人を設立する前には、個人事業主と法人の違いや、株式会社にするか合同会社にするか、法人化するタイミング、役員構成・役員給与の決め方など、最低限知っておきたい知識があります。
また、法人設立の際には、税務署にさまざまな届出を提出する必要がありますし、設立時に作成する定款に記載する事業年度や資本金の額について、設立後の税負担に大きな影響を与えることになります。特に個人事業から法人成りする時には、事前に個人事業で使用していた財産などを法人に移す作業が必要となります。
ここでは、法人設立について税理士に相談することのメリットについてご紹介します。

(1)法人成りすべきか判断できる

会社を辞めて独立しようとするときは、個人事業主として開業するか法人を設立するか、迷う人も多いのではないでしょうか。
個人事業主として事業を行う場合と、法人を設立して事業を行う場合では、税務上さまざまな違いがあります。認められる経費の範囲も異なりますし、課税される税金の種類も違います。
たとえば、個人事業主では役員給与は経費と認められますが、個人事業主は自分に対して給与を支給することができません。
また、家族に給与を支払う場合、個人事業主は事前に届け出が必要ですが、法人の場合、このような届出は必要ありません。
税理士に相談すれば、これらの違いについて説明を受けることができ、現在の事業規模からみたら個人事業主としてスタートすべきか、それとも今すぐ法人を設立する方がよいのかが判断できます。

(2)法人形態についてアドバイスしてもらえる

法人には、株式会社や合同会社などの種類があり、そのほかの法人として一般社団法人、NPO法人などがあります。
株式会社は営利事業を行う法人として、最も設立数の多い法人ですが、合同会社と比較すると設立費用が高いというデメリットがあります。
また事業の目的によっては、法人ではなく一般社団法人、NPO法人を設立した方がよいこともあります。
税理士に相談すれば、法人の種類やそれぞれの法人のメリット・デメリットについて説明を受け、自分が行いたい事業に最も適した法人形態を提案してもらうことができます。

(3)法人成りすべきタイミングが分かる

すでに事業を行っている個人事業主が法人を設立することを「法人成り」といいます。
法人成りすると給与所得控除の適用を受けることができたり、認められる必要経費が増えたりするなど多くのメリットがあります。
しかし、法人成りすると赤字でも法人住民税(均等割)を払わなければならず、事業の状況によってはまだ今は法人成りしない方がよいということもあります。
一般的には、売上高が1,000万円を超えると法人化した方が節税になるといわれますが、それも個々の事業の内容のよって異なります。

たとえば、消費税の納税義務は「基準期間」における売上高が1,000万円を超えると納税義務が生じますが、この基準期間は前々年度なので、個人事業主として2年間事業を行いその後法人成りした方が、消費税の免税期間を長くすることができます。
したがって、法人成りすべきか否かは、売上高だけではなく、このような節税ポイントについても検討する必要があります。

(4)役員構成・役員給与の決め方が分かる

法人設立時には役員などの機関構成を決める必要がありますが、設立1年目の役員構成や役員報酬については注意が必要です。
法人税法上の役員は法人法上の役員より範囲が広く解釈されますので、法人税法上の役員が税務上どのような扱いを受けることになるか、事前に知っておく必要があります。

また、役員給与は原則として損金にならず、損金算入するためにはいくつかの要件が必要となります。要件を満たすか否か、つまり損金算入できるか否かで税負担が大きく変わりますし、社会通念上認められないような高額な役員給与を設定すると、税務調査で厳しくチェックされるポイントとなります。役員構成・役員給与を決める時には、税理士に必要な対策や注意点、手続きについてアドバイスを受けることをおすすめします。

(5)税負担が軽減する事業年度が分かる

事業年度をいつにするかも、節税という点からすると大切なポイントです。
事業年度を決める際には、事業の内容によって「繁忙期を避ける」「設立直後に決算期がきてしまうことを避ける」などの検討が必要ですが、そのほか消費税の納税義務という視点からも検討する必要があります。

先ほど、「消費税の納税義務は基準期間における売上高が1,000万円を超えると納税義務が生じる」と紹介しましたが、それでは設立後7カ月で決算を迎える法人の場合、2年間の消費税免税メリットを受けられなくなるかというと、そうではありません。この場合も免税メリットを受けることができます。
つまり、消費税の免税メリットを最大限活用するためには、設立1年目の会計年度を7カ月になるようにすれば、2年目の12カ月と合わせて最大19カ月の免税メリット(個人事業主の時と合わせれば、さらに24カ月)を受けることができるのです。

(6)資本金の額について相談できる

資本金は設立後の元手となるものなので、資本金の額は多ければ多いほどよいと考える人もいますが、資本金の額が多いと、税務上不利に扱われることがあります。
税務上の違いが生じるのは、1,000万円を超える場合と1億円を超える場合です。
資本金の額が1,000万円を超えると、消費税の判定時期が事業年度開始の日となってしまいます。
また、資本金の額が1億円未満の法人は、税制上中小企業とみなされ、一定の優遇措置の適用があります。
法人設立時には、資本金の額を決める必要がありますので、これらの税務上の扱いについても税理士にアドバイスを受けておきましょう。

(7)法人設立前に相談する方がメリットは多い

これまでご紹介したような事業年度や資本金、役員構成や役員給与は、法人設立時に決める必要があります。したがって、税理士に相談する一番良いタイミングは、法人設立前のなるべく早いタイミングといえるでしょう。

法人設立前がおすすめ
法人設立前に税理士に相談すれば、事業内容にあわせて個人事業主としてスタートすべきか、法人設立すべきかといった設立前の相談はもちろん、法人設立する際に決めなければならない事業年度や資本金の額についてアドバイスを受けることができます。
また、法人設立後に税務署に届け出なければならない書類についてもサポートを受けることができますし、許認可が必要な事業については、許認可の申請までサポートをしてくれる税理士もいます。
また、創業資金が必要な時にも税理士がいれば、スムーズに資金調達をすることができます。
設立後に依頼する時は早めに顧問契約する
法人設立時に税理士に相談できなかった場合でも、法人設立後は早めに税理士と顧問契約をすることをおすすめします。
顧問税理士がいることで、必要な節税対策を適切に行うことができますし、決算申告に時間をとられることもありません。また、顧問税理士がいると税務調査のターゲットになりにくいというメリットもあります。

法人設立時に相談したい税理士とは

これまでご紹介してきたように、法人設立時にはさまざまな税務上の取扱いから検討すべき事項が多々ありますが、それ以外にも法人設立時には、税理士によるさまざまなサポートが必要になるものです。

(1)資金調達に精通している税理士

法人設立時にも、設立後にも運転資金や設備資金が必要になります。
そして時には金融機関から融資を受けたり、助成金や補助金などの受給を受けたりしなければならないことがあります。
資金調達についてサポートしてくれる税理士であれば、金融機関から融資を受ける際に必要な書類や手続きについてサポートしてくれますし、補助金申請に必要な書類作成などをサポートしてもらうことができます。

(2)自社業界に精通している税理士

業界が全く異なると、事業内容を説明するだけでも大変です。
自社の業界(美容院、飲食店、IT企業など)に精通している税理士に依頼すれば、業界用語も通じますし、業界の事情を熟知しているので、経費の内容について適切なアドバイスを受けることができますし、取引先を紹介してくれるケースもあります。
したがって、法人設立時には、その税理士がどの業界に精通しているのかを知っておく方がよいでしょう。

(3)経営者の右腕となってくれる税理士

経営者は孤独なものです。なかには、「経営の悩みは、従業員はもちろん、友人にも家族にも相談できない」というケースもあります。

しかし税理士がいれば、このように孤独な経営者のパートナーとなってもらうことができます。「税理士には、事業の内容も決算書の内容も知られているので、今さらカッコつける必要がないから、気が楽だ」という経営者が多いのは、このような事情があるからです。

経営者のパートナーとなってくれる税理士は、経営改善の提案をしてくれますし、事業をより成長させるための提案をしてくれます。

まとめ

以上、法人設立時に税理士に相談するとなぜメリットがあるのか、法人設立時に依頼したい税理士の選び方、依頼すべきタイミングなどについてご紹介しました。

法人は、設立したら終わりではありません。
設立後に事業を成長させるためにも、自社にあった税理士を見つけることは大変重要なのです。
ここでご紹介した以外にも「税理士がいると本業に集中できる」「法人の課題がわかる」「経営目標が明確になり、事業が成長する」など、税理士に相談するメリットは多いものです。
ぜひ法人設立時に相談でき、その後も経営のパートナーとなってくれるような税理士を早めに選ぶことをおすすめします。

法人設立について相談する

経営のパートナーとなってくれる税理士を選ぶためには、多くの税理士と面談するのがおすすめです。freee税理士検索では数多くの事務所の中から「融資・資金調達に強い」「ITに強い」「決算コンサルティングが可能」「女性が担当」などの様々な条件で希望に合う税理士・会計士・社労士の認定アドバイザーを検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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