公開日:2019年06月01日
最終更新日:2022年08月04日
給与所得とは、サラリーマンが勤務先から受け取る毎月の給与、賃金、賞与(ボーナス)などによる所得や、パートタイマーなどの給料などのことをいいます。
サラリーマンの税金については、平成29年(2017年)から配偶者(特別)控除の見直し等が行われましたが、令和2年(2020年)からの税制改正でも、給与所得の控除額が一律10万円引き下げられるなど、さまざまな改正が行われました。
給与所得とは、サラリーマンが勤務先から受け取る給料や賞与などのことをいいます。この給与所得には、商品券などの有価証券や一定額を超える昼食の弁当代なども含まれます。また、パートタイマーなどの給料も給与所得です。
所得は全部で10種類あり、給料は「給与所得」、株の配当金や投資信託の収益の分配などは「配当所得」、農業や漁業、小売業など事業から生じる所得は「事業所得」に分類され、それぞれ違う方法で税額を計算します。
給与収入とは、会社から支払われる源泉徴収前の給与・賞与を全て合計した額面の金額です。しかし、この給与収入がそのまま「給与所得」となり課税されるわけではありません。そこから「給与所得控除額」を差し引いたものが、課税対象である「給与所得」となります。
給与所得の金額は、源泉徴収前の給与の額から給与所得控除額を差し引いて計算します。
給与収入金額-給与所得控除額=給与所得の金額 |
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「給与所得控除額」とは、給与を得るためにかかった経費とみなして、給与の額から差し引くことができるものです。
サラリーマンには、原則として必要経費などの控除がありません。そこで、それに類するものとして、「給与所得控除」という控除額が設けられているのです(ただし「特定支出の控除の特例あり ※後述)。
なお、この給与所得控除の額については、令和2年(2020年)から10万円引き下げられることになり、あわせて基礎控除も改正前の38万円から48万円に引き上げられることになりました(※後述)。
基礎控除の引上げと給与所得控除の引下げは、フリーランスなどの多様な働き方を後押しし、所得の多い人にはより高い税負担を求めることが目的とされています。
「特定支出の控除の特例」とは、その年中の特定支出の合計額が給与所得控除額を超えた時に、その超える金額を給与所得控除後の金額から控除することができるという制度です。
転勤に伴う転居費用や、職務の遂行に直接必要な知識を得るために受講する研究費などを支出した場合には、その支出額のうち一定額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができるので、節税効果があります。
特定支出の控除の特例を受けるためには、確定申告が必要です。また、その際には明細書と会社の証明書、支払事実を証明する領収書の添付が必要です。
給与の総額-{(給与所得控除)+(特定支出のうち給与所得控除額の2分の1を超える部分)}=給与所得 |
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特定支出と認められる支出は、以下の通りで、給与支払者(会社など)の証明があるものに限られます。
通勤費 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出 転居費 研修費 資格取得費 帰宅旅費 その他 |
サラリーマンの場合には、年末に源泉徴収票を受け取っています。
所得税は、納税者自身が1年間の所得金額とそれに対する税額を計算し、これらを申告して納税する「申告納税」が建前ですが、これと並行して特定の所得については、その所得の支払い者が支払の際に源泉所得税を徴収して、これを納税する「源泉徴収制度」も採用されています。
そして、給与所得や退職所得については、源泉徴収票を交付しなければならないことになっています。
この源泉徴収票は、医療費控除や住宅ローン控除などで還付を受けたい時、確定申告で必要となります。また、転職した場合の年末調整などの際にも必要になりますので、きちんと保管をしておくようにしましょう。
2020年以降の所得税について、給与所得控除と公的年金等控除が10万円引き下げられることになりました。また、基礎控除が同じ額(10万円)、引き上げられ、住宅ローン控除の見直しなどが行われています。
ここでは、サラリーマンが知っておきたい最近の税制改正についてご紹介します。
給与所得控除額は、収入金額に応じて異なります。
この給与所得控除額は、2020年から見直されることになり、基礎控除が引き上げられる代わりに、給与所得控除が引き下げられることになりました。
2020年から給与所得控除額は一律10万円引き下げられ、さらに上限額が適用される給与収入は850万円(控除額195万円)に引き下げられる予定です。
収入金額 | 給与所得控除額 | |
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令和元年(2019年)まで | 令和2年(2020年)以降 | |
162万5,000円以下 | 年収×40%(65万円に満たない場合は65万円) | 55万円 |
162万5,000円超180万円以下 | 年収×40%-10万円 | |
180万円超360万円以下 | 年収×30%+18万円 | 年収×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | 年収×20%+54万円 | 年収×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | 年収×10%+120万円 | 年収×10%+110万円 |
850万円超1,000万円以下 | 195万円 | |
1,000万円超 | 220万円 |
納税者本人には、一律に基礎控除が認められます。
これまで基礎控除額は一律38万円でしたが、令和2年(2020年)からは10万円引き上げられ、48万円となります。
また、合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下の場合には32万円、2,450万円超2,500万円以下の場合には、16万円、2,500万円を超えると適用はされないことになりました。
合計所得 | 控除額 |
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2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
配偶者のいるサラリーマンが適用される「配偶者控除」についても平成30年(2018年)分より適用される配偶者控除の額が、下記の通り変更になっています。なお、合計所得金額が1,000万円を超える人については、配偶者控除の適用はありません。また、令和2年(2020年)分より、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は48万円超133万円以下(従前は38万円超123万円以下)となり、控除額は納税者本人の所得区分になりました。また、合計所得金額が1,000万円を超える納税者については、配偶者特別控除の適用はありません。
【配偶者控除】
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【配偶者特別控除】
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つまり、配偶者控除は、配偶者の年収が103万円まで、配偶者特別控除は、配偶者の年収が103万円を超えて約201万円までとなります。配偶者控除、配偶者特別控除ともに、控除額は、平成30年より納税者本人の所得区分によることとなります。
令和3年末までの入居期限とされていた住宅ローン減税は、令和4年から7年までの4年間、延長され、この延長に伴い、それまで1%だったローンの年末残高に対する控除率が、0.7%に引き下げられています。代わりに控除期間はそれまでの10年間から13年間に引き伸ばされました。したがって、控除の総額はそれほど大きく変わらないようになっています。
緊急事態宣言などで休業し、収入が減って困窮した人が貸付を受ける「緊急小口資金」「総合支援資金」は、住民税非課税世帯については、返済が免除されるしくみで、返済が免除された分は通常は50万円を超える分が所得税の課税対象となりますが、これは非課税になっています。また、18歳以下の子どもへの10万円相当の給付についても、所得税非課税です。
以上、給与所得の概要や税額の計算、税制改正のポイント、税額の計算をする際に関わりの深い「基礎控除」「配偶者控除」などについてご紹介しました。
給与所得は、サラリーマンが会社から受け取る給与やボーナスのことで、給与収入-給与所得控除額で計算されます。また、給与所得控除額は年間の収入によってその金額が変わりますが、今後も見直しがされる可能性があります。
この改正によって増税となる可能性がある人は、今から増税に備えた節税対策を検討されることをおすすめします。
給与所得について節税対策を行いたい人や副業の確定申告について知りたい方は、個人の節税対策に精通している税理士に相談することをおすすめします。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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