公開日:2019年07月05日
最終更新日:2019年12月10日
ふるさと納税とは、簡単に言えば自分が好きな市町村を選び、その市町村に寄附をすることができる制度です。そして寄附した市町村からは、海産物やブランド肉、果物、その他のさまざまなお礼の品を受け取ることができます。
さらに寄附をすると「寄附金控除」という制度によって税金が下がるという制度でもあります。実質2,000円の負担で各地の名産品をもらうことができ、さらに税金が安くなるという仕組みから、多くの人が利用して大ブームとなっています。
「ふるさと納税」という名前から、「自分の故郷に納税をすること」とイメージしている人も多いですが、正確には自分の故郷ではない市町村も含めて寄附をして「寄附金控除」を受ける制度です。したがって、寄附先は自分の故郷である必要はありません。この制度を利用することで、自分の希望する自治体に事実上の納税をすることになることから「ふるさと納税」と呼ばれています。
税金を安くできるうえ、各地の名産品をもらうことができるという魅力的なふるさと納税ですが、誰にでもお得な制度というわけではありません。
そもそも、ふるさと納税は、市町村に寄附することで、払った所得税が戻ってくる、または翌年の住民税が減る制度です。
しかし、専業主婦や年金額が少ない年金生活の人は、所得税・住民税を払っていません。そのような人が自分の名前で申し込んだり、自分名義のクレジットカードで手続きをしたりしても、税金を払っていないのですから税金が減るメリットはありません。
例えば、収入のない専業主婦が自分の名前で2万円のふるさと納税をして、特産品を手に入れても、それは寄附をした2万円で特産品を手に入れたに過ぎません。
ふるさと納税をして控除を希望する場合には、収入のある家族の名前で申し込むことを忘れないようにしましょう。
「ふるさと納税に興味はあるけど、申し込み方法が分からない」という人も多いでしょう。そこで、以下ではふるさと納税の手順、失敗しないポイントなどをご紹介します。
まずは、寄附する金額を決めましょう。
控除を希望する場合、納税すればするだけ税金が安くなるというわけではありません。
税金が控除される上限額は、「個人の住民税の所得割額の2割」が目安になっています。
ふるさと納税の控除額は、以下の計算式で求められます。
①所得税からの控除 (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」 控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。 ②住民税からの控除 住民税からの控除(基本分) 住民税からの控除(特例分) |
控除上限額は、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」でチェックすることができます。
参照:総務省「2,000円を除く全額が控除できる寄附金額の一覧」
また、エクセルファイルをダウンロードして、年収・家族構成・寄附額を入力することで、控除額を試算することもできます。
参照:総務省「控除額試算」
ふるさと納税は、自分の故郷だけでなく全国各地の自治体に寄附をすることができる制度です。そこで、自治体ごとに用意されている返礼品や寄附金の使い道を調べて、寄附したい自治体を選びます。
寄附した自治体からは、返礼品としてブランド牛や新鮮な魚介、旬の野菜や果物、日用品やレジャー券などが送られてきます。これらの返礼品のなかから、自分が欲しいと思ったものを提供する自治体を選んでいきます。
さらにふるさと納税では、「寄附金の使い道」(各自治体の取り組み)を検討して選ぶこともできます。
寄附を検討している自治体のホームページで、「寄附金の使い道」を調べ、自分の寄附がどのように使われるのかを調べてから選ぶのもよいでしょう。
寄附先が決まったら、寄附の申し込みをします。
寄附する場合には、事前に自治体に寄附の申し込みをする必要があります。申し込み方法は自治体によって異なりますが、電話やメール、FAX、郵送など複数の方法から選択することが可能です。
ワンストップ特例制度(※後述)を利用する場合には、この時その申請書の送付請求も行います。
なお、楽天ふるさと納税、ふるなび、さとふる、ふるさとチョイスなどの納税サイトを利用するのもおすすめです。
各サイトで会員登録をして、返礼品をチェックしその場でクレジット払いして寄附することができます。このとき、お届け先を選択することも可能なので、お世話になった人に返礼品を贈ることもできます。
寄附金の納付方法も、自治体によってさまざまです。
クレジットカード払いができる自治体もあれば、現金書留で送る方法や送られてきた振込用紙で振り込む方法、そして自治体の窓口で直接寄附するといった様々な方法があります。
自治体で寄附が受け付けられると、数週間から数カ月程度で「寄附金受領証明書」と返礼品が届きます。
「寄附金受領証明書」は、寄附をしたことを証明する書類で確定申告の際に必要となるので、忘れずに保管しておきましょう。
なお、ワンストップ特例制度(※後述)を利用する時には、「ワンストップ特例申請書」が届きます。必要事項を記入して、寄附した自治体に返送しましょう。
ワンストップ特例制度を利用する場合には確定申告は不要ですが、個人事業主やフリーランスなど確定申告が必要な人は、忘れずに確定申告を行ないましょう。
確定申告をした人は、所得税が還付され住民税が減額されます。
ワンストップ特例制度を利用した人は寄附をした翌年の6月以降1年間、住民税が減額されます。どちらも控除額は同じです。
ふるさと納税の制度に、税法上の特例制度が創設され、確定申告が不要なサラリーマンがふるさと納税を行う場合には、確定申告が必要なくワンストップで控除を受けられる「ワンストップ特例制度」というしくみが導入されました。
この制度は、寄附をした本人に代わって地方公共団体がふるさと納税の控除を申請する制度です。
ワンストップ特例制度を利用して、ふるさと納税を行ったサラリーマンは、地方公共団体が代わりに控除の申請をしてくれるので、原則として確定申告が不要です。
ただし、ワンストップ特例制度を利用するためには、以下の要件が必要です。
・サラリーマンなどの給与所得者であること ・寄附先が年間5自治体以下の人 |
6自治体以上に寄附をした場合には、サラリーマンでも確定申告が必要です。
また、年収2,000万円を超える人や2カ所以上から給与をもらっているなど、そもそも確定申告をする必要がある場合には、ワンストップ特例制度を利用することはできません。
ワンストップ特例制度を利用する人は、寄附の申し込みをする時に申請書の送付請求を行います。
「ワンストップ特例制度(ふるさと納税)の2つのメリット・2つのデメリット」を読む
ワンストップ特例制度を利用する場合には、別途申請書を取り寄せ、必要事項を明記して返送する必要があります。
同じ自治体に複数寄附をした場合には、その都度申請書の提出が必要です。
ワンストップ特例制度を利用しない人や給与所得者以外の人は、確定申告をしなければなりません。
確定申告をする際に必要なのは、以下のとおりです。
・源泉徴収票 ・自治体から送られてきた「寄附金受領証明書」 ・確定申告書 ・本人確認書類の写し ・印鑑 ・還付金を受ける際の口座番号 |
確定申告書は、AとBの2種類がありますが、サラリーマンで確定申告をする際には、Aの方が、項目数が少ないので使いやすいでしょう。
前述したとおり、ふるさと納税は「寄附金控除」なので、確定申告書の第二表に寄附先の所在地、名称、寄附金額」を記入し、第一表に総所得金額と寄附金控除を記入します。
寄附金控除の申告書を記入するポイントは、第二表の「寄附金控除」の欄と、第一表の「所得金額」「寄附金控除」の欄です。
なお、ふるさと納税の確定申告については、「ふるさと納税の確定申告|確定申告の方法と申告用紙の書き方まとめ」でも詳しくご紹介しています。
あわせてご覧ください。
「ふるさと納税は確定申告で控除を受けられる!確定申告の方法と申告書の書き方」を読む
寄附金控除は、寄附した金額もしくは総所得金額×40%から2,000円を差し引いて計算します。
寄附金控除=(①寄附した金額 or ②総所得金額×40%)-2,000円 |
①と②を比較して少額の方で計算します。
たとえば、10万円を寄附した場合には、2,000円を差し引いた額が控除額となります。
以上、ふるさと納税のやり方についてご紹介しました。
確定申告ソフトの「会計ソフトfreee」を利用すると、ふるさと納税の控除額など、自動で計算することができ、質問に沿って答えていくだけで簡単に確定申告書類を作成することができます。
また、不明点や疑問点については、税理士検索freeeで税理士を検索して質問したりサポートを受けたりすることもできます。