銀行融資の決め手「格付け」とは

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2018年11月07日

目次

  1. 銀行融資
    • 融資の決め手「格付け」とは
    • 11段階の「格付け」
  2. 格付けを元に決定される「債務者区分」
    • ①正常先
    • ②要注意先
    • ③要管理先
    • ④破たん懸念先
    • ⑤実質破たん先
    • ⑥破たん先
  3. 債務者区分をを上げるためには
    • 自己資本率を増やす
    • 事業主の信用力を改善する
    • 説明資料を充実させる
  4. まとめ

格付けとは、銀行が融資を行うか否か判断する際の基準のことをいいます。

銀行融資は、この「格付け」によってすべてが決まると言っても過言ではありません。銀行が企業に融資をするか、融資をする場合には、どのような条件で融資をするかなどの取引方針は、この格付けによって決めています。

したがって、この格付けが下がればそれをベースに決定している「債務者区分」が下がり、融資条件が悪くなったり融資が出なくなるということもあります。
また、格付けが上がれば融資は受けやすくなり、融資条件も良くなります。

ここでは、格付けの意味と内容、格付けを良くするための工夫などについてご紹介します。

銀行融資

銀行は、預金者から預金を集めて、企業や個人に融資を行い、融資を受けた企業などから利息を受け取って、収益を得ています。
そして、資金調達の方法としては、このような銀行からの融資は、資金調達の方法のなかでも最も一般的な方法といえるでしょう。

融資の決め手「格付け」とは

企業から融資の申し込みがあった場合には、銀行は「その企業に融資を行うか否か」「融資を行う場合に金利はどう設定するか」などを判断する必要があります。
そして、その判断基準となっているのが、企業に対する「格付け」です。
格付けは、決算書の分析結果に基づくひょうか(定量的評価)や、経営者の姿勢や経営方針に関する評価(定性的評価)の2種類の評価で決められます。

11段階の「格付け」

格付け基準は非公表ですが、一般的には次の11種類に振り分けられることが多いと言われています。
①から⑥までは、業績のよい企業と判断され、金利条件も低金利に設定されます。

①リスクなし
財務内容が優れていて、債務履行の確実性は極めて高い水準である。

②ほとんどリスクなし
財務内容は良好で、債務履行の確実性は高い水準にある。
ただし、事業環境などが大きく変化した場合には、債務履行の確実性が低下するリスクも若干ある。

③リスク些少
財務内容は一応良好であり、債務履行の確実性は十分ある。
ただし、事業環境が変化した場合には、債務履行の確実性が低下する可能性がある。

④リスクはあるが良好水準
財務内容は一応良好であり、債務履行の確実性もある。
ただし、事業環境などは変化した場合には、その影響を受けて、債務履行の確実性が低下する懸念がやや大きい。

⑤リスクはあるが平均水準
債務履行の確実性は当面問題ない。
ただし、事業環境などは変化した場合には、その影響を受けて債務履行能力が損なわれる要素が見受けられる。

⑥リスクはやや高いが許容範囲
債務履行の確実性は、現在において問題はない。
ただし業況や財務内容に不安な要素もあり、事業環境などが変化した場合に債務履行能力が損なわれる可能性があり、業況推移に注意する必要がある。

⑦リスクが高く要管理先
業況が低調または不安定で、財務内容に問題がある。
債務の履行に支障をきたすリスクが大きい。

⑧警戒先
財務内容に重要な問題があり、債務の履行状況に問題が発生しているかそれに近い状態にある。
今後、経営破たんに陥る可能性がある。

⑨延滞先
経営難の状態にある。経営改善計画等の進捗も芳しくない。
今後、経営破たんに陥る可能性が高い。

⑩実質破たん先
融資の返済が長期にわたって滞っていて、再建の見込みが薄い。
深刻な経営難の状態にあり、実質的な破たん状態に陥っている。

⑪事故先
法的・形式的な破たんの事実が発生している。

格付けを元に決定される「債務者区分」

前述した「格付け」を元に決定されるのが「債務者区分」です。
債務者区分は、①正常先②要注意先③要管理先④破たん懸念先⑤実質破たん先⑥破たん先に分類されます。
融資を受けている企業は、銀行からいずれかの債務者区分をつけられていて、この債務者区分が銀行から融資を受けやすいかどうかの大きなポイントとなっています。

①正常先

前述した格付けの①~⑥に該当するケースです。
業況が良好で、財務内容に特段の問題もなく、返済に延滞もない企業のことです。
金利条件も低金利で、無担保で融資が受けられる場合もあります。銀行も融資に積極的な姿勢を見せます。

②要注意先

要注意先とは、業績不調で財務内容に問題がある、もしくは返済に延滞が生じている企業のことをいいます。
業況が定常で、財務内容に問題があるなどの企業です。

③要管理先

要管理先は、要注意先のなかでも、特に融資の全部または一部が要管理債権である企業です。
要管理債権とは、3カ月以上の延滞となっている融資、もしくは貸出条件が緩和されている債権(貸出条件緩和債権)のことをいいます。

④破たん懸念先

経営難の状態にあり、経営改善計画などの進捗状況が芳しくない企業のことをいいます
既存融資の返済に非常に長い時間を要するなど、今後経営破たんに陥る可能性が大きい債務者です。

⑤実質破たん先

融資の返済が長期にわたって滞っていて、深刻な経営難の状態にある企業です。
再建の見込みが薄く、実質的に経営破たんに陥っている債務者のことをいいます。

⑥破たん先

法的・形式的な経営破たんの事実が発生している企業です。
民事再生法や会社更生法が適用された企業、破産を申し立てた企業、手形の不渡りなどによって取引停止処分となっている企業などが該当します。

債務者区分をを上げるためには

債務者区分が正常先であれば、銀行からの融資は受けやすく融資条件(金利など)も低金利になる可能性が高くなります。
債務者区分をを上げるためには、まず自分の会社が銀行からどのような債務者区分に区分されているかを知る必要があります。
とは言うものの、銀行は、債務者区分を言いたがらない傾向があります。
正常先で問題のない企業であればいいのですが、要注意先や要管理先の企業の場合、その事実を告げると「なぜ、要注意先・要管理先に区分したのか」とクレームを受ける可能性もあるからです。
したがって、債務者区分を質問する際には「債務者区分を把握して、その区分を良くするための経営努力をしたいので、教えてほしい」というような聞き方をすることが大切です。

自己資本率を増やす

債務者区分を上げるためには、まず債務者区分のもとになる格付けを上げなければなりません。
そのために有効なのが「自己資本比率」をアップするという方法です。
自己資本比率とは、総資本のなかで自己資本(自己資金など)が占めている割合のことです。他人資本(外部から調達した借入金)より自己資本が多ければ多いほど、資金繰りに余裕がある会社であると評価されます。

事業主の信用力を改善する

銀行は、会社の業況だけでなく事業主の借金状況やカードの滞納なども見ています。
銀行の引き落とし口座がたまたま残高不足になっていただけとしても、そのような情報はすべてCIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)のデータに残されています。
銀行は、事業主本人の許可を得たうえで、このCICから情報を入手することがありますので、注意しましょう。

説明資料を充実させる

損益計算書が赤字だったり、賃借対照表が債務超過だったりすると、債務区分が下がります。
しかし、これらが一過性のものであり、次期決算では赤字が解消されることが確実な場合もあるでしょう。そのような状況があると、債務者区分が上がる可能性は十分にあります。
したがって、赤字や債務超過が一過性のものである場合には「この赤字や債務超過は一過性のものである」ということを説明できる資料を充実させることが効果的です。

まとめ

以上、銀行融資の決め手「格付け」についてご紹介しました。また、銀行からの融資だけでなく、資金調達はさまざまな方法があります。

自治体や省庁などが募集をしている助成金補助金などに応募して、受給を受ける方法もありますし、ベンチャーキャピタルや投資家に資金提供してもらう方法もあります。

いずれの方法を選択するにせよ、大切なのは自社の事情に合った資金調達の方法を検討して、その方法に沿って準備を進めることです。
そして、資金調達を成功させるためには、資金調達の方法に応じて必要な書類が何か、どのようなアプロ―チをするべきか、しっかり把握して準備を進めることがポイントになります。下記の記事では資金調達についてまとめました。併せてご覧ください。

「資金調達の方法まとめ~金融機関、補助金、VC」を読む

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