修正申告とは?更正処分との違いとは

公開日:2018年10月31日
最終更新日:2024年02月10日

この記事のポイント

  • 「修正申告」とは、税務調査の結果問題が見つかり「訂正するよう」通知されること。
  • 申告内容に誤りがあった場合には、追徴課税が発生する。
  • 修正申告は、税務署等から更正処分を受けるまではいつでも行うことができる。

 
 

税務調査の豆知識

通常の税務調査は、税務署の調査通知からスタートします。通知は原則として納税者に対して電話で行われますが、関与税理士や顧問税理士が「税務権限代理証書」を提出している場合には、その税理士に対して通知がされます。
調査通知では、調査対象者名、調査対象税目、調査対象期間の3点が告げられます。
期限内申告書を提出した後に修正申告をした場合には、調査通知後であるという理由から追加で納税した税金に対して5%の加算税がかかる可能性があります。
また、納税者が修正申告書を提出すれば、それで税務調査は終わりというわけではありません。
その修正申告について調査官らが再度調査して最終判断が出たら、やっと修正申告をしてよいということになります。

修正申告とは

修正申告とは、すでに行った申告について税額が少なかった場合などに行うもので、納税者自らが手続きを行います。税務調査で申告内容の誤りを指摘されて提出する場合もありますし、納税者が自分で誤りを見つけて提出する場合もあります。

そもそも、税務調査の終わり方としては修正申告を含めて以下の3つのパターンがあります。

①申告是認
何も誤りがなかった場合

②修正申告
誤りがあって、納税者自らが誤りを正すこと

③更正
税務署の調査官の指摘に会社が納得せず、税務署が誤りを正すこと

税務署から問題点を指摘された時には、互いの考えを述べて、指摘された事項について調整したり確認したりする作業を行います。
税務署の指摘が妥当であり税法解釈上も問題がないと納得し、納税者自らがその指摘を受け入れる場合は、修正申告を提出することになります。

修正申告に伴って、追徴課税や加算税、延滞税などが発生することになりますが、申告内容に明らかに間違いがあったと判明した場合には、税務署のすすめに従って修正申告に応じるのは、納税者の義務といえるでしょう。

しかし、この修正申告書を提出するということは、後に「やはり指摘されたことについて納得できない」と不服を申立てる権利を放棄することになります。ですから、もし、税務署から指摘された事項に納得できない部分があれば、安易に修正申告書を提出するべきではありません。
調査官は、修正申告を勧めることはできても命令はできないからです。
では拒否を続ければ、修正申告せずに追加納税する必要はなくなるかとそういうわけでもありません。それでは税務調査の意味がなくなってしまうからです。
この場合にはどうなるかというと、調査官は協議して「更正すべきか否か」を判断することになります。

(1)「修正申告」と「申告是認」の違い

「申告是認」とは「申告した内容でOKですよ」という意味で、申告是認となれば、無事に調査終了となります。
「修正申告」とは、税務調査の結果問題が見つかり「訂正するよう」通知され、納税者自らが行う手続きです。

申告是認となるのはレアなケースで、税務署側は、できるだけ修正申告書の提出をするよう求めてきます。
しかし、会社側はその指摘に対して、反論するのかそれとも受け入れるかを選択する自由を持っていて、この時の選択により、その後の流れは大きく分かれることになりますので、注意しましょう。

(2)「修正申告」と「更正処分」の違い

「更正処分」とは、調査官の指摘に会社が納得せず、税務署が誤りを正す処分のことであり、要は税務署が「納税者が本来納めるべき税金はこうです」と判断することです。会社が修正申告を行わないことを選択した場合に行われますが、実際は更正となるケースはほとんどなく、納税者自らが自主的に修正申告を行います。

「更正」や「処分」と聞くと、何か悪いことをして税務署から処分されるように感じるかもしれませんが、それは全く違います。たとえば、税務署から「この経費は認められない」と否認指摘されたとしても、「納得できない。これはどう考えても経費だ」と考えるのであれば、その旨を調査官に伝え、それでも税務署側の見解が「経費ではない」で変わらないのであれば、最後に押し切られる(=更正される)というだけの話です。

日本の納税制度は、「申告納税制度」であり、納税義務者の行う申告によって納税額が決定しますが、更正処分となると、税務署長の権限で税額が確定することになります。
つまりあえて更正処分をしてもらい、それを不服として税務署長または国税局長に異議申立をするという選択肢もあるということになります。
異議申し立ての処分についてもまだ納得できない場合には、国税不服審判所に審査請求をすることもできます。

修正申告後の追徴・加算税制度とは

修正申告書には、誤りがあった箇所についてのみ記載すればよいのですが、年度をさかのぼって修正する場合には、所得額や税額が変更することになりますから、年度ごとに書類を作成することになります。
修正申告をした場合には、その提出日が納期限となりますので、その日までの延滞税が発生することになります。

(1)追徴とは

追徴とは、確定申告の際に届け出た税額と修正申告(や、更正処分)によって計算された税額の差額を徴収することをいいます。
場合によっては、この追徴税額に加え、過少申告加算税、無申告加算税、延滞税が課せられることもあります。

追徴される税金は、本来であればすでに支払っていなければならないはずの税金ですから、原則として現金で一括納付するよう請求されますので、納税義務者への負担はかなり重くなります。

(2)加算税制度とは

加算税は、ペナルティとして課される税金で、以下の4種類があります。

①過少申告加算税
申告期限内に提出された申告書に記載された金額が少なかった場合に、課せられる税金です。
税額は、その新たに納めることになった税金の10%相当額です。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。

参照:国税庁「確定申告を間違えたとき」

②無申告加算税
正当な理由なく申告期限内に申告しなかった場合に、その納付すべき税額に対して原則として、課せられる税金です。税額は、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額です。ただし、税務調査があったことにより更正または決定があることを予知してなされたものでない期限後申告または修正申告の場合には5%に軽減されます。

参照:国税庁「確定申告を間違えたとき」

③重加算税
過少申告加算税が課される場合、または無申告加算税が課される場合において、納税者が、その税金に係る課税標準または税額等の計算の基礎となる事実の全部または一部を隠ぺいまたは仮装したときに課される税金です。

参照:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

④不納付加算税
源泉徴収し、納付すべき税額を正当な理由なく法定納付期限までに納付しない場合に、その計算の基礎となる税額に対して、本税に対し10%の税率で課される税金です。ただし、納税の告知を予知せず、告知を受ける前に納付した場合には、税率が5%に軽減されます。

参照:国税庁「源泉所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

(3)国税の納税の猶予制度を知っておこう

国税の猶予制度とは、期限内の納税が難しい場合に申請により税務署長の承認を受けて、期限後に(必要に応じ分割して)納税ができるようになる制度です。国税の納付猶予制度の対象に該当するケースで猶予が認められた場合には、分納して税金を納めることも認められ、一定の要件を満たす場合には、猶予期間中(原則1年間)は、延滞税が軽減されます(※)。(換価の猶予)

参照:国税庁「換価の猶予の申請手続」

修正申告における税理士の活用方法

税務調査の対象となった場合には、税理士がいることで修正申告しないで済むということは、ほとんどありません。
そもそも、会社の帳簿がきちんと整理されていれば、税務調査がきても問題はないはずだからです。
しかし、税務調査で問題が指摘された場合には、税理士の立会いがあるか否かで、調査結果に影響が出ることがあります。

(1)税務調査前に準備ができる

税務調査時には、実にさまざまなことを質問されます。書類は細かく調査されますし、時には、経営者自身の生い立ちについてまで質問されることもあります。
事前に税理士からアドバイスを受けていれば、どのようなことを質問されるか、どのように対応すべきかを理解することができるので、落ち着いて税務調査を有利に進めることができます。
また、会社の中に仮に会計や税務に詳しい人が一人もいない場合でも、税理士がいれば的確にフォローしてもらうことが可能です。
種々の指摘事項があったとしても、受け入れるべきか反論すべきかを適切に判断してもらうことができます。

(2)税務調査で主張してもらうことができる

税理士がいれば、税務署から不合理な指摘事項を提示された時に、毅然と対応してもらうことができます。
税務調査というと、誰でも少なからず不安になるものです。税に関する知識がなければ、さらに不安は強まることでしょう。
そんな時に税理士がいれば、その不安を払拭することができますし、税理士と二人三脚で税務調査に立ち向かうことができます。

(3)修正申告すべきか否か判断できる

納税者は、否認された事項に納得できない場合には、修正申告をしないことも選択できます。
納得できないのに修正申告を提出してしまったら、後からどうにかしたいと思っていても、ほぼ何もできなくなってしまいます。

税理士がいれば、「修正申告した方がよい」「納得できないのであれば、修正申告しない」という判断を正しく行うことができます。

後から、追徴税額がとても払えないような額と知って慌てても、時すでに遅しというケースもあります。
税務調査については、とにかく早めに税理士に相談してアドバイスを受けること、そして調査官に何を言われても「納得できなければ修正申告をしない」という選択をすることを忘れないようにしたいものです。

まとめ

以上、修正申告の意味や更正処分、申告是認との違い、税務調査後の対処法についてご紹介してきました。税務調査においては、税法の規定だけでなく税務調査後に取り得る選択肢などの情報も含めて、様々な知識や経験が必要となってきます。
税務調査に強い税理士に依頼し、その必要な知識や経験を取り入れながら、税務調査を乗り越えましょう。

修正申告・税務調査について相談できる税理士をさがす

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、税務調査や修正申告について相談できる税理士をさがすことができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください

税理士の報酬は事務所によって違います。「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」でアンケート結果をまとめたので、一つの目安として税理士選びの参考にしていただければと思います。

 

\ 税務調査について相談できる税理士を検索 /

都道府県
業種

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、修正申告について質問することができます。

 

PageTop