結婚・子育て資金の一括贈与の特例を解説!2019年に税制改正で延長

公開日:2019年05月23日
最終更新日:2021年01月05日

目次

  1. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは
    • 1人につき合計1,000万円まで非課税
    • 残額だけが相続財産に持ち戻される
  2. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例のデメリット
    • 50歳までに使いきれないと贈与税がかかる
    • 贈与者が亡くなると特例の適用が消失する
  3. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例の要件
    • 30歳未満の子ども・孫・ひ孫への贈与であること
    • 受贈者の所得が1,000万円以内であること
    • 結婚・子育ての資金に使用すること
    • 金融機関で口座を開設すること
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方
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結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは

結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは、将来の経済的不安から結婚・出産を躊躇している若年層について、両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・子育てを支援することを目的とした特例措置です。

参照:国税庁「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

平成27年(2015年)4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間の期限付き措置でしたが、平成31年(2019年)の税制改正で適用期限が2年間延長されることとなりました。

受贈者(贈与を受ける子、ひ孫など)は20歳から50歳未満(「18歳以上50歳未満」と、下限が引き下げとなりました。)で、50歳になった時点で贈与金が残っているとその残額に贈与税がかかります。
また、平成31年(2019年)の税制改正で、受贈者の所得が1,000万円を超えると適用は受けられないものとなりました。

通常、結婚や出産の費用は、生活費用として贈与しても課税されることはありません。
したがって、この特例の目的は、将来の経済的不安から結婚・出産を躊躇している若年層に対して親、祖父母が費用を一括贈与することで、不安を取り除くことにあるといえるでしょう。
現に内閣府でも、制度の目的として以下のように規定しています。

将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる大きな原因の一つになっていることを踏まえ、両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・子育てを支援するものである。

参照:内閣府「平成31年度 税制改正に関する内閣府主管項目のポイント」

1人につき合計1,000万円まで非課税

結婚・子育て資金の一括贈与の特例の非課税限度額は子や孫1人につき1,000万円です。
このうち結婚費用に充てられるのは300万円までとなります。

なお、結婚・子育て資金の「結婚」の費用とは、婚礼、披露宴費用、新居の住居費などが該当し、「子育て」は不妊治療費、妊娠中の通院費、子どもの医療費、保育料などが該当します。

残額だけが相続財産に持ち戻される

この特例で注意が必要なのが、贈与者(両親や祖父母)が亡くなると、その時点で特例の適用が消滅してしまうという点です。

先ほど、受贈者の要件として「18歳から50歳未満で、50歳になった時点で贈与金が残っているとその残額に贈与税がかかる」とご紹介しましたが、贈与者が亡くなると、受贈者が50歳未満であっても、残額はすべて相続または遺贈で受け取った財産とみなされて、相続税が課税されることになります。
ただし、暦年贈与が相続開始前の3年以内に贈与がされていた場合、その贈与分は全額が相続財産に持ち戻されて相続税がかかるのに対して、この特例で持ち戻されるのは、使い残した残額だけです。
つまり、相続までに受贈者がすべて使い切ることができれば、相続財産に持ち戻されることはないので、その点では節税効果があるといえることになります。

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結婚・子育て資金の一括贈与の特例のデメリット

結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、50歳までに使い切れないと残額に贈与税がかかる、贈与者が亡くなると、受贈者が50歳未満でも適用が消滅するなど、いくつかのデメリットがあります。

50歳までに使いきれないと贈与税がかかる

受贈者が50歳になった時点で、贈与金額が残っていると、その残額に贈与税がかかります。
受贈者が50歳になる前に亡くなった場合には、残額に贈与税は課税されません。

贈与者が亡くなると特例の適用が消失する

先ほどもご紹介しましたが、この特例の適用を検討するうえで、もっとも注意したいのが、受贈者が50歳未満でも贈与者が亡くなった時点で、結婚・子育て資金の一括贈与の特例の適用が消失するという点です。
贈与者が亡くなった時に、受贈者が50歳未満であっても、残額はすべて相続財産に持ち戻され、相続税が課税されます。ただし、孫やひ孫などの代襲相続の場合、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されますが、この特例の適用を受けている場合には、受贈者が孫やひ孫でも相続税の2割加算は適用されません。

両親や祖父母が子どもや孫に一括贈与する特例としては、他にも教育資金の贈与の特例がありますが、教育資金の贈与の特例は、贈与者が亡くなっても適用が消滅することはありませんので、この違いについては理解しておくようにしましょう(2019年5月現在)。

なお、教育資金の贈与の特例についても平成31年(2019年)に税制改正されていていくつかの要件が変更されました。以下の記事でくわしくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

「2019年税制改正で延長決定!教育資金の贈与の特例のメリットとデメリット」を読む

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結婚・子育て資金の一括贈与の特例の要件

結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、「相続開始前3年以内の贈与であっても残額しか持ち戻されない」「受贈者が孫やひ孫でも相続税の2割加算は適用されない」などのメリットがある制度ですが、適用を受けるためにはこれまでにご紹介したようにいくつかの要件があります。

30歳未満の子ども・孫・ひ孫への贈与であること

受贈者は、20歳から50歳未満の子、孫、ひ孫などの直系卑属である必要があります。
そして、50歳になった時点で贈与されたお金が残っていると、その残額に贈与税がかかります。

受贈者の所得が1,000万円以内であること

平成31年(2019年)の税制改正によって、受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、本制度の適用を受けることができないこととなりました。

結婚・子育ての資金に使用すること

この特例の適用を受けて資金の贈与を受けた場合には、その資金は結婚・子育てのために使用しなければなりません。

【結婚費用】
非課税となる結婚費用は1,000万円のうち300万円までです。

・挙式や結婚披露宴を開催するために要する挙式代、会場費など
・結婚を機に引っ越しするために新たに借りた物件にかかる家賃、敷金、礼金など
・引っ越し費用

【子育て費用】
・人工授精などの不妊治療に要する費用(海外に渡航する交通費・宿泊費などは含みません)
・分娩費、入院費などの出産費用(海外で出産を行う場合の交通費・宿泊費などは含みません)
・出産後1年以内に支払われた産後ケアにかかった費用
・未就学児のこの治療、予防接種、医薬品
・保育園、幼稚園、認定子ども縁などの入園費、入園試験の検定料、参加費用

金融機関で口座を開設すること

結婚・子育て資金の一括贈与の特例の適用を受けるためには、金融機関で専用口座を開設して贈与された金額の預け入れを行う必要があります。また、この時受贈者から所定の申告書(結婚・子育て資金非課税申告書)を金融機関に提出する必要があります。また、口座を開設する前に贈与者と受贈者の間で、書面による贈与契約を締結する必要があります。
開設可能な専用口座は、受贈者1人につき1つです。一度に全額ではなく分割して預け入れることも可能です。

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まとめ

以上、結婚・子育て資金の一括贈与の特例の内容や平成31年(2019年)の税制改正によって追加された要件などについてご紹介しました。結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、住宅資金の特例や教育資金の特例と比較すると、贈与者が亡くなると適用が消滅するなど、メリットの少ない特例ではありますが、それでも暦年贈与と比較すれば、相続開始前3年以内の贈与について全額が持ち戻されることなく残額のみが持ち戻されるという節税効果もあります。
特例の適用を受ける時には、これらのメリット・デメリットをしっかり理解したうえで手続きを行うことをおすすめします。

税理士をお探しの方

結婚・子育て資金の一括贈与の特例など、子や孫へ贈与をしながら節税対策を行いたいという方は、早めに税理士に相談されることをおすすめします。
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