相続対策の3つのポイント|争続対策・相続税対策・納税資金

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2019年06月06日

目次

  1. 相続対策の考え方
    • 争族(相続トラブル)対策
    • 相続税対策
    • 納税資金の確保
  2. 争族(相続トラブル)対策
    • 遺言書の作成
    • 相続財産はプラスばかりではない
    • 相続人は誰か
    • 相続する人がいない場合はどうなる?
  3. 相続税対策
    • 生命保険の活用
    • 小規模宅地の特例
    • 居住用財産贈与の配偶者控除
    • 子や孫へのマイホーム資金の贈与
    • 結婚・子育て資金&教育資金の贈与
    • ジュニアNISAの活用
  4. 納税資金の確保
    • 延納や物納は不利になることも
    • 生命保険の死亡保険金の活用
    • 退職金の活用
    • 不動産の贈与
  5. まとめ
    • 相続に強い税理士をお探しの方
    • あわせて読みたい

相続対策というと、相続税など税金対策をイメージする人が多いようですが、相続税の節税対策だけをしていればよいというものではありません。
相続問題を検討する際には、下記の3つの視点から、バランスのとれた準備をしておく必要があります。
・相続トラブルを回避するための「争族対策
・相続税節税などの「相続税対策
・相続開始後に税金をきちんと支払うための「納税資金の確保

今回は、相続対策のこれら3つのポイントについて解説していきます。

相続対策の考え方

相続税の改正によって、2015年(平成27年)以降の相続については、実質相続税が増税になりました。
そこで、「相続税対策」というと、税金対策をイメージする人が多いようです。
しかし、相続対策を検討する際には、「争族(相続トラブル)対策」「相続税対策」「納税資金の確保」の3つの視点から検討することが大変重要です。

争族(相続トラブル)対策

争族対策とは、相続人同士のトラブルを回避するための対策をいいます。
相続が発生すると、相続人たちは自分たちで話し合って遺産の具体的な分け方を決めなければなりません(遺産分割協議)。
しかし、この時相続人間の話し合いがまとまらず、トラブルに発展するケースは多々あります。

裁判所の司法統計で見ると、こうした相続トラブルに関する件数は、ここ10年で約3割増加しています。

引用:裁判所 司法統計「遺産分割件数」

調停や裁判になると、解決までさらに何年もかかってしまいます。「うちは仲がいいから大丈夫」「そんな多額な財産はないから」という場合でも、トラブルに発展するケースは多々あります。
したがって、このようなトラブルを回避するためにも、しっかり争族対策をしておく必要があります。

相続税対策

相続税対策とは、相続開始時になるべく税金を減らすための対策です。
相続税対策を行うか否かで、納める税金の額が何十万、何百万と変わることもあります。
したがって、生前から計画をたて、相続税を減らすための節税対策を検討することは大変重要なのです。

顧問税理士のいない方は、相続税に強い税理士を探して相談してみてはいかがでしょうか。

相続税対策に強い税理士を探す

納税資金の確保

相続税の納税資金が足りず、相続税納付を遅延すると、多額の延滞税を課されたり、相続人自身の財産を差し押さえられたりする可能性もあります。
したがって、相続した人が納税資金に困らないように、生命保険を活用したり暦年贈与を行ったりして、納税資金を準備しておく必要があります。

争族(相続トラブル)対策

争族(相続トラブル)対策として、最も重要かつ有効なのが遺言書の作成です。

また、相続財産はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。マイナスの財産の方が多い時には、相続放棄手続きをとるか否かを検討する必要があります。

ここでは、このような争族(相続トラブル)を回避するために知っておきたい知識をご紹介します。

遺言書の作成

争族対策としては、遺言書の作成が有効です。
多くの相続トラブルは、相続人たちの遺産分割協議がまとまらないために発生します。
遺産分割協議とは、相続人たちが具体的にどの遺産を取得するかを話し合って決める手続きです。

例えば、同族会社を経営しているような場合、後継者である子どもに対して会社を経営するうえで必要な財産を相続させなければ、株式が分散してしまい、会社の経営どころではなくなってしまいます。
また、子どものいない夫婦のうち夫が死亡すると、残された妻と亡くなった夫の兄弟との間でトラブルが生じることもあります。

さらに、遺言書がないと遺産分割協議が成立しない限り、一切遺産に手をつけることができないことも問題です。銀行口座からも1円も引き出すことができなくなってしまいますので、相続争いが起こっている間、遺産が宙に浮いた状態になってしまい、残された遺族が生活に困る……というケースもあります。

遺言書が残されていれば、遺言内容に従って遺産が相続されるので、相続人たちが遺産分割協議をする必要がありません。
前述した事例でも、後継者である子どもに財産のほとんどを相続させれば、会社の経営は安泰ですし、子どもがいない夫婦の場合も妻に財産を残すと遺言書を残しておけば、妻と亡くなった夫の兄弟との間でトラブルが発生するようなことはありません。

ただし、遺言書はただ作成すればよいというものではありません。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますし、遺留分等に配慮した内容で作成しなければ、遺言書の存在自体がかえってトラブルの元になってしまうこともあります。
遺留分とは、法定相続人に認められる最低限の相続分です。
この遺留分を侵害した遺言書となっている場合には、遺留分権利者が侵害者(遺言によって財産を譲り受けた人)に対して「遺留分減殺請求」という方法で遺留分相当額の返還を請求するので、かえってトラブルが発生してしまうこともあります。

相続財産はプラスばかりではない

相続財産はプラスのものばかりではありません。借金も相続の対象になります。自分の死後に相続人に迷惑をかけたくない場合には、生前に債務整理をして借金問題を解決しておくことも考えましょう。
なお、相続した財産に借金が含まれる場合には、相続放棄や限定承認の手続きを行えば、借金を相続しないで済みます。ただし、これらの手続きは原則として「相続開始後3カ月以内」に行う必要があります。

相続人は誰か

相続対策を行う際には、「そもそも、誰が相続人になるのか」という点も知っておく必要があります。

まず配偶者はいつでも相続人となります。
配偶者以外の相続人には順位があります。
第1順位は子ども、第2順位は親、第3順位の相続人は兄弟姉妹となっています。
自分のケースでどのような親族が遺産相続権を取得するのか、把握しておくことが大切です。

相続する人がいない場合はどうなる?

天涯孤独で相続人がいない方の場合には、死後に「相続財産管理人」という人が選任されて遺産の清算業務を進め、最終的に遺産は国のものになります。
したがって、もしも誰か遺産を渡したい人がいる場合には、遺言書を作成しておく必要があります。

「法定相続情報証明制度|5つのメリットと2つのデメリット」を読む

相続税対策

相続税対策は、相続税をいかに減らすかという対策です。
相続対策のうちの重要なアイテムの1つですし、2015年(平成27年)以降の相続については実質相続税が増税になり、相続税の課税対象者も増えたことから、早めに検討を始める必要があります。

生命保険の活用

相続税対策としては「生命保険」の活用が効果的です。
生命保険の死亡保険金には、高い相続税の控除(差し引くこと)が認められているからです。
死亡保険金を受け取った場合には、「500万円×法定相続人数」の控除を受けられます。
現金や預貯金ならそのまま全額を対象に課税されてしまうので、生命保険の形で受け取った方が明らかに有利となります。

「生命保険を活用した相続税対策5つのポイント」を読む

小規模宅地の特例

相続税対策として「小規模宅地の特例」を利用する方法もあります。
これは、宅地を相続する場合において、一定面積までの評価額を20%または50%にまで減額してもらえる制度です。
被相続人が居住していた住居や賃貸借以外の事業に利用していた土地の場合には、20%にまで減額されます。賃貸業に利用していた場合には50%になります。
いずれにせよ、控除率がかなり高いので、現金や預貯金などの流動資産がある場合、不動産を購入しておくと相続税対策になります。

「小規模宅地の特例とは|二世帯住宅で節税対策」を読む

居住用財産贈与の配偶者控除

配偶者がいる方の場合には、配偶者に対して居住用の不動産(自宅)や自宅建築費用、増改築の費用を生前贈与する節税方法があります。
居住用不動産やその購入資金(建築費用、増改築の費用を含む)を配偶者に贈与するときには、最大2,000万円までの贈与分が無税となる配偶者控除を受けることができます。
配偶者より自分の方が先に亡くなる可能性が高い場合などには、残された配偶者のためにも、検討してみることをおすすめします。

子や孫へのマイホーム資金の贈与

子どもや孫がいる方の場合には、子どもや孫へマイホーム購入資金を贈与する方法がおすすめです。
この場合、資金によって購入する住宅が省エネ住宅なら1200万円、それ以外の住宅なら700万円までの贈与分が無税となります。

参照:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

結婚・子育て資金&教育資金の贈与

子どもや孫がいる場合、結婚や子育て資金として金銭を贈与する方法もあります。この場合、最大1000万円までの贈与分が非課税となります(結婚資金については300万円までです)。

参照:国税庁「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

ジュニアNISAの活用

未成年の子どもがいる場合には、ジュニアNISAの利用も検討してみましょう。
ジュニアNISAとは、未成年の子どもが利用できる証券口座の1種です。株式売却や配当金、投資信託による利益や配当金などにかかる税金が0円となります。
最大投資枠は80万円であまり大きくはありませんが、多くの孫などがいる場合には、1人1人に設定するとそれなりの金額になります。
ジュニアNISAの口座を作り資金を贈与して、その運用益を子どもや孫たちに残すと、節税対策になります。

「ジュニアNISA|5つのメリットと3つのデメリット」を読む

納税資金の確保

納税資金の確保とは、相続税の納税資金を準備するための対策です。
相続税は、金銭で即納することが原則となっています。
相続税の納付期限は、申告期限と同様に「死亡日の翌日から10カ月以内」に納める必要がありますが、この期限までに相続税を納税しないと、年利14.6%の延滞税がかかってしまうことになります。

延納や物納は不利になることも

相続税が発生する事案では、納税資金の確保が必須です。
「遺産がたくさんあるなら、納税できないことはないのでは?」と思われる方もおられますが、そういうわけにはいきません。相続税は「現金」で支払わないといけないからです。
したがって、例えば不動産や株式などの「物」が遺産の大半だったら、多額の相続税が発生していても相続税を支払えないことが頻繁に起こります。

納税資金を用意していなくて、相続人たちが相続税を払えない場合には、延納や物納を検討することになります。

延納とは、条件を満たしている場合に最長20年の年賦延納(分割払い)が認められることです。しかし、分割払いですから当然利息がかかりますし、延納申請書を提出する必要があります。

物納とは、お金ではなく相続した相続財産(不動産など)で納税する方法です。
物納申請をしたあと延納申請に切り替えることはできますが、原則として延納から物納への変更はできません。

また、物納するときには、不動産が「相続税評価額」によって評価されるので、相続人たちにとって不利になる可能性があります。
なぜなら、不動産のうち、土地の相続税評価額は時価の8割程度、建物の相続税評価額は時価の7割程度ですから、不動産の価格が安く見積もられてしまうのです。
つまり、物納すると相当多くの土地建物を収めないと、相続税を完納することができなくなり、相続人たちが損をしてしまうことになるので、物納をするくらいであれば土地建物を自分で売却して、売却代金で相続税を支払った方がメリットが大きいといえるでしょう。

しかし、これらのことについて検討する時間は、相続発生後相続税を納税するまでの10カ月しかありません。
10カ月というと、長く感じる人もいますが、その間に葬儀、各種の手続き、遺産分割協議などをしていると、不動産を売却する時間などなくなってしまうケースがほとんどです。
したがって、相続税が予想される時には、すぐに現金で相続税を支払えるように納税資金の準備を万端にしておくべきです。

生命保険の死亡保険金の活用

納税資金を確保するための方法としては、生命保険を利用する方法があります。
高額な死亡保険金を受け取れる終身保険に入り、相続人を死亡保険金受取人に指定しておけば、相続が起こったときにスムーズに相続税を支払うことができます。

生命保険については、先ほども説明したように、相続税の控除の制度があるので、大きな節税効果が期待できますが、さらにそのお金を納税資金に使うことができるので、節税という意味でも資金の確保の意味でもメリットのある方法といえます。

「生命保険を活用した相続税対策5つのポイント」を読む

退職金の活用

生命保険の他に、死亡退職金を利用する方法もあります。
死亡退職金とは、経営者や会社員が在職中に死亡したときに、遺族に支払われる退職金であり、遺族の生活保障の意味合いが強いものです。
死亡退職金についても、生命保険と同様の取扱いが認められています。つまり、受け取った退職金は相続税課税の対象になり、大きな控除が認められるのです。控除枠も生命保険と同様で、「500万円×法定相続人数」であり、その分税負担が軽くなります。

退職金規程によって当人が死亡した時に死亡退職金が支給されるようにしておくと、節税できると同時に遺族は受け取った死亡退職金により、スムーズに相続税を支払うことができます。
同族会社の中小企業などではよく使われる手法なので、税理士に相談するなどして検討してみましょう。

参照:国税庁「相続税の課税対象になる死亡退職金」

「退職金の税金は確定申告すれば戻ってくる」を読む

不動産の贈与

不動産を贈与して、相続が起こるまでに収受した賃料によって相続税を支払う方法などもあります。
この場合には、相続時精算課税制度を利用する方法もあります。
相続時精算課税制度は、最大2,500万円までの贈与を当面非課税とする制度ですが、
賃貸アパートを贈与した場合には、その後アパートから発生する賃料については、相続財産にならないので、全額相続人が受け取ることができるので、その収益分(賃料など)だけ相続財産を減らすことができ、節税になります。

・「相続時精算課税制度を活用するポイントと必要な手続き」を読む

まとめ

以上のように、相続対策を行うときには、争続対策、相続税対策、納税資金の準備が3本の柱となります。1つが欠けても相続トラブルに発展してしまうことがあります。
個々の事情に応じた最適な相続対策を行うためにも、まずは税理士や弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

相続に強い税理士をお探しの方

無料で使える「税理士検索freee」では、様々なニーズに合わせて2000以上の事務所からfreee認定アドバイザーの税理士を探すことができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介」サービスもあるのでぜひご活用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

相続税対策に強い税理士を探す

あわせて読みたい

相続後の手続きや流れについては下記の記事にてまとめていますので、あわせてご覧ください。

「相続後の手続きの方法」を読む

相続税対策にノウハウを持つ税理士を探す

地域から相続税対策に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop