固定長期適合率とは|計算式・目安・固定比率との違い

公開日:2019年11月09日
最終更新日:2024年03月27日

この記事のポイント

  • 固定長期適合率とは、「安全性分析」の指標のひとつである。
  • 固定長期適合率で「借金の適正性」を見ることができる。
  • 固定長期適合率は100%を超えなければ、まずはひと安心。

 

固定長期適合率とは、貸借対照表から見ることができる「安全性分析」の指標のひとつです。
安全性を見るには、短期の視点と長期の視点がありますが、固定長期適合率は、長期的な視点から安全性を測るための指標です。

この記事では、固定長期適合率の意味や計算方法、業種別で見る固定長期適合率の平均値のほか、固定長期適合率以外の安全性分析の指標もあわせてご紹介します。
 

固定長期適合率の豆知識

固定長期適合率とは、安全性分析で活用される指標で、資金の使い方に無理がないかをチェックすることができます。
会社が大規模な投資を行う場合には、すべてを自己資本でまかなうのは難しいことから、借入や社債などの方法で資金を調達します。しかし、できれば返済の必要のない自己資本か返済期間が長い長期借入で行うのが理想です。そして、この関係を判断する指標が固定長期適合率です。

固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

固定長期適合率は、100%以下に抑えるべきです。
なぜなら、100%以上になると言うことは借入金を長期借入だけでまかなえず、足りない分を短期借入金を使っていることになるからです。
しかし、短期借入金はすぐに返済期日がやってきますから、すぐにまた新たな借入をしなければならず、資金繰りが不安定になってしまいます。
安定した経営を行うためには、固定長期適合率は最低でも100%以下に抑えるべきなのです。
固定長期適合率が100%を超えている場合には、早めに税理士に相談して資金繰りのチェック等アドバイスを受けることをおすすめします。

固定長期適合率とは

固定長期適合率とは、資金の使い方に無理がないかを見るための指標です
固定資産への投資額について、長期的な固定負債および自己資本とのバランスを見るものです。

ここでいう「安全性」とは、負債を支払う能力があるかという意味で、安全性を分析する時には、長期と短期に分けて支払い能力について分析をします。また、十分な自己資本を持っているかという会社の財務体質の健全性を判断するのも安全性分析のひとつです。

(1)固定長期適合率の計算式は?

固定長期適合率は、固定資産を取得するための資金が自己資金では足りない場合に「では、長期の借入金と合わせれば、賄えているのか」を確認するための指標です。

したがって、固定長期適合率は、以下の計算式で計算します。

固定長期適合率 = 固定資産(A)(自己資本(C)+固定負債(B)) × 100

会社は、自分で集めた資金と他人から借りた資金を使って運用しています。
そして資金の運用は、現金回収が短期間でできるもの(流動資産)と長期間かかるもの(固定資産)に分けられています。一方、資金を調達する方も短期間で返さなければならないもの(流動負債)と長期間かかって返すもの(固定負債)があります。

会社経営の「スムーズな資金の流れ」という視点で考えれば、回収に長期間かかる資産は、長期の資金で賄うのが理想です。
つまり、安全性という視点からみれば、固定資産を取得するための資金は、できる限り自己資本や長期の借入金などで賄うことが重要といえます。なぜなら、長期間利用する固定資産の資金調達に短期の借入金を使うと、すぐに返済期日がやってきてしまうからです。

自己資本(返済する必要がない)と固定負債(長期の借入金)の合計額と固定資産の金額のバランスの指標である固定長期適合率を見れば、固定資産を取得するための資金を、自己資本と自己資本に近い長期の借入金で賄えているかを判断できる、つまり「会社の資金運用に無理がないか」を判断することができるわけです。

(2)固定長期適合率の目安は?

固定長期適合率の目安は100%です。
固定長期適合率が100%以下であれば、固定資産を自己資本と固定負債という、安定した資金でまかなえていることになるからです。

一方、固定長期適合率が100%を上回る会社は、短期資金と長期資金の集め方と使い方に問題があるということになります。
固定適合率が100%以上となった場合には、足りない分は「短期借入金」が使われていることになります。しかし、短期借入金はすぐに返済期日がやってきますから、また新たに借り入れをしなければなりません。

これを個人の生活に例えるなら、高金利の消費者金融で借りたお金でマイホームを購入するようなものです。

こうした理由から、安定した経営を行うためには、少なくとも固定長期適合率は100%以下に抑える必要があります。

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(3)固定長期適合率と「固定比率」との違い

固定長期適合率と同じように、長期的な視点から安全性を判断する指標として「固定比率」があります。

固定資産は、一度購入すれば数年間は使用します。また、事業に使用してお金を生み出していく期間も長期にわたります。したがって、固定資産の購入資金はできるだけ借入金ではなく返済義務のない株主からの出資や稼いだ利益で工面するのが望ましいといえます。
固定比率は、固定資産をどの程度自己資本で賄えているかを見るための指標です。

固定比率は、固定資産を自己資本で割って計算します。

固定比率 = 固定資産自己資本 × 100

一方、固定長期適合率は、固定比率の分母である自己資本に固定負債を加えます。

固定長期適合率 = 固定資産(自己資本+固定負債) × 100

「固定長期適合率」は、「固定比率」と比較すると、分子に固定負債をプラスしている分甘い見方をしているので、固定比率だけでなくさらに固定長期適合率まで100%を上回っているようだと、長期の支払い能力はなおさら危険であるということになります。

このような会社は、事業活動に充てるため短期に返済する予定で集めたお金が、長期的な設備投資に流用されていることを意味するので、お金の使い方を間違っている、つまり「会社の資金運用がきちんとできていない」と判断されてしまいます。

<Point>

固定比率=固定資産÷自己資本×100
…100%以内であれば、固定資産を全額自己資本で賄っている

固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
…100%以内であれば、固定資産を全額自己資本と長期の借入金で賄っている

固定長期適合率以外の「安全性分析」

安全性の分析を見る指標としては、固定比率や固定長期適合率などの「長期の支払い能力」をチェックする指標のほかにも、「短期の支払い能力」をチェックする流動比率・当座比率、そして「財務体質の健全性」を見る自己資本比率があります。
ここでは、固定長期適合率以外の安全性分析の指標についてもご紹介します。

(1)流動比率・当座比率

流動比率、当座比率は、ともに会社の短期の支払い能力を見る指標です。

流動比率
流動比率とは、会社の短期の支払い能力を見る指標です。
流動比率は、流動資産を流動負債で割って計算します。

流動比率 = 流動資産流動負債 × 100

流動資産と固定資産、流動負債と固定負債を分ける基準は「1年以内に現金化や返済ができるかどうか」です。つまり、流動比率で1年以内に返済すべきお金を流動資産で賄えているかを判断することができます。
高ければ支払い能力があり、低ければ支払い能力がないと判断できます。

当座比率
当座比率は、流動比率よりさらにシビアに短期の支払い能力を判断するための指標です。

当座比率 = 当座資産流動負債 × 100

流動資産のなかでも当座資産(現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券)という、さらに現金に近い資産のみに着目し、すぐに支払わなければならない負債を賄えるかどうかをチェックするための指標です。
高ければ支払い能力があり、低ければ支払い能力がないと判断できます。

流動比率は、200%以上、当座比率は100%以上が安全性の高さの1つの目安となっています。

(2)自己資本比率

自己資本比率とは、会社で運用している資金のうち、自分のお金(自己資本)で賄っている金額と他人のお金で賄っている金額の比率を見る指標です。

自己資本比率 = 自己資本総資本(自己資本+他人資本) × 100

自己資本とは、貸借対照表の「純資産の部」の合計で、総資本とは、貸借対照表の「負債の部」と「純資産の部」の合計です。

他人で賄っている部分(負債)は、いつかは返済しなければなりませんが、自分のお金(「純資産)で賄っている部分については、返済する必要はありません。
会社が存続していくためには、他人のお金に依存している会社より自分のお金で成り立っている会社の方が安全だといえます。
つまり、自己資本比率が高い会社は、借入が少なく安全性が高い会社ということができます。

自己資本比率が低い場合には、増資によって資本金の額を増加させる方法や損益計算書での「税引後当期純利益」を利益剰余金の一部として社内に留保する方法などで、自己資本額をアップさせるなどの対策をとる必要があります。

固定長期適合率のまとめ

以上、固定長期適合率の意味や計算方法、業種別の目安や、その他の安全性分析の指標などについてご紹介しました。
固定長期適合率は、固定資産を自己資本と固定負債の合計で割ったものであり、長期的な視点で支払い能力の安全性を分析する指標で、100%を上回ると長期の支払い能力が危険である可能性が高いといえます。
資金繰りが苦しくなる状況も想定されますので、早めに対策を検討しましょう。

なお、経営分析の指標としては、ここでご紹介した以外にも「収益性」を見る指標や「生産性」「成長性」を見る指標などがあります。
ここでご紹介したさまざまな安全性分析は、会社を経営するうえでは非常に大切な指標ではありますが、とはいえ安全性分析だけにこだわり過ぎても、必要な投資をする機会を失い、収益性や成長性に影響が出ることもあります。したがって、経営分析を行うためには、さまざまな視点から分析を行うことが必要なのです。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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