労使協定とは|トラブルを防ぐためのポイントは?

公開日:2019年11月26日
最終更新日:2019年11月26日

目次

  1. 労使協定とは
    • 労働協約との違い
    • 労使協定の効果
    • 労使協定の種類
    • 労使協定の周知
  2. 労使協定の罰則
    • 法人も個人も送検される
    • 6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
    • 30万円以下の罰金
  3. まとめ
    • 社会保険労務士をお探しの方

この記事のポイント

  • 労使協定とは、使用者(会社)と労働者との間で締結するもの。
  • 労使協定は、本来は法律を逸脱する行為について免罰的効果を生じさせる協定である。
  • 労使協定と労働協約は、いずれも労使間の書面化された合意だが、意義や機能、効力は違う。

 

労使協定は、法令違反や罰則を免れる効果がありますが、ただ締結しただけでは足りず、労働基準監督署に提出いなければならない協定もあります。
労使協定を締結しなかったり、労働基準監督署に提出しなかったりして、労働時間法制に違反した場合には、6カ月以上の懲役または30万円以下の罰金刑に科されることもあります。

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労使協定とは

労使協定とは、使用者(会社)と労働者との間で締結することで、本来は法律を逸脱する行為について免罰的効果を生じさせる協定のことです。
労使協定は、「時間外労働・休日労働に関する労使協定(いわゆる36協定)」や「賃金控除に関する労使協定」「フレックスタイム制に関する労使協定」など、さまざまな種類があります。

たとえば、「時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定)」の場合には、労働時間は休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならないと労働基準法によって規定されています。そして、この規定に違反すると6カ月以上の懲役または30万円以下の罰金刑に処せられることになっていますが、「時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定)」を締結して、労働基準監督署に提出した場合には、その協定で定められた範囲内で、労働基準法の制限を超えて労働させても違反とはならないという免罰的効果を生じることになります。

労働協約との違い

労使協定と労働協約は、いずれも労使間の書面化された合意ですが、その意義や機能、効力は異なります。
労働協約とは、労働条件について労働組合と使用者が合意をしてそれを書面化したうえで両当事者が署名したものです。

労使協定と労働協約の主な違いは、以下のとおりです。

項目 労使協定 労働協約
労働者側の締結主体 事業場の過半数の労働組合、もしくは過半数の代表者 人数に関係なく労働組合
締結する事項 法令に規定された事項 人数に関係なく労働組合
労働者側の締結主体 事業場の過半数の労働組合、もしくは過半数の代表者 原則として制限なし
労働基準監督署など、行政官庁への届出 必要な場合あり 不要
有効期間 法令で求められた場合には、有効期間を設定する 締結当事者の意思によって、設定するか否かを決定できる
一方の当事者からの破棄 可能となる場合あり 期間の定めのない労働協約については、可能

労使協定の効果

労使協定を締結すると、本来は法律を逸脱する行為についても免罰的効果が生じますが、労働基準監督署に提出しないと免罰的効果が生じないものもあります。
たとえば、前述した36協定は労働基準監督署に提出しないと免罰的効果が生じません。
したがって、36協定を締結しても労働基準監督署に提出しなければ、労働者に時間外労働を命じると労働基準法違反となります。

労使協定の種類

労使協定には、36協定以外にもさまざまな種類があります。
以下の表で、届出義務の有無とあわせてご紹介しますので、自社のケースで届出義務があるのに届出をしていない協定があれば、すぐに社会保険労務士などに相談して対応を検討するようにしましょう。

労使協定名 届出の義務
時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定)
社内預金に関する労使協定
1年単位の変形労働時間制に関する労使協定
1週間単位の非定型的労働時間制に関する労使協定
専門業務型裁量労働時間制に関する労使協定
1カ月単位の変形労働時間制に関する労使協定
事業場外労働に関する労使協定
フレックスタイム制に関する労使協定 ×
賃金控除に関する労使協定 ×
一斉休憩の適用除外に関する労使協定 ×
賃金控除に関する労使協定 ×
年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定 ×
年次有給休暇の賃金に関する労使協定 ×
育児休業制度の適用除外者に関する労使協定 ×
介護休業制度の適用除外者に関する労使協定 ×
割増賃金の代替休暇に関する労使協定 ×
年次有給休暇の時間単位付与に関する労使協定 ×

労使協定の周知

労働基準法では、締結された労使協定について労働者に対する周知手続きをとらなければならないとされ、違反した場合には30万円以下の罰金という罰則を定めています。
周知の方法とは、①常時各作業場の見やすい場所へ提示し、または備え付けること、②書面を労働者に交付すること、③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録して、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することのいずれかの方法です。
なお、派遣労働者の待遇決定協定については、FAXもしくはメールによる送信方法、データベースにアクセスする方法も認められています。

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労使協定の罰則

前述したとおり、以下の労使協定については労働基準監督署に提出しなければ、労働者に時間外労働を命じると労働基準法違反となります。

・時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定)
・社内預金に関する労使協定
・1年単位の変形労働時間制に関する労使協定
・1週間単位の非定型的労働時間制に関する労使協定
・専門業務型裁量労働時間制に関する労使協定

法人も個人も送検される

労働基準法に定める罰則の対象は、違反行為を行った「使用者」です。この使用者の範囲について労働基準法10条では「この法律の使用者とは、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」と規定しています。
したがって、労働基準法違反を行った経営者個人だけではなく、事業主である法人についても責任が及びます。

たとえば、賃金不払い残業いわゆるサービス残業によって取締役が書類送検されることがありますが、その際には「法人としての会社も一緒に送検されていることを意味しています。

6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金

6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が処せられる労働基準法違反は、労使協定に関するものだけではなく主に以下のようなものがあり、内容は違反事項によって異なります。

・公民権(選挙権など)の行使を拒んだ場合(労働基準法7条違反)
・法定労働時間を守らなかった場合(労働基準法32条違反)
・法定休日を与えなかった場合(労働基準法35条違反)
・法定休憩を守らなかった場合(労働基準法34条違反)
・法定の年次有給休暇を付与しなかった場合(労働基準法39条違反)
・割増賃金を支払わなかった場合(労働基準法37条違反)
・有害業務に2時間以上を超えて残業させた場合(労働基準法36条1項但書違反)
・年少者に深夜業をさせた場合(労働基準法61条違反)
・年少者を危険有害業務に就かせた場合(労働基準法62条違反)
・妊産婦を危険有害業務に就かせた場合(労働基準法64条の3違反)
・産前産後の休業を与えなかった場合(労働基準法65条違反)
・妊産婦が請求したにも関わらず時間外労働などをさせた場合(労働基準法66条違反)
・育児時間を与えなかった場合(労働基準法67条違反)
・未成年者の認定職業訓練の訓練生に12労働日の年次有給休暇を付与しなかった場合(労働基準法72条違反)

30万円以下の罰金

30万円以下の罰金が処せられる労働基準法違反は、主に以下のようなものがあります。

・1カ月単位、1年単位、1週間単位の変形労働時間制に関する労使協定を届け出ていなかった場合(労働基準法32条の2第2項、32条の44項、32条の5第3項違反)

・1週間単位の非定型的変形労働時間制で前週末までに翌週の各日の労働時間を書面により通知しなかった場合(労働基準法32条の5第2項違反)

・事業場外労働とみなし労働時間制に関する労使協定を届け出ていなかった場合(労働基準法38条の2第3項違反)

・専門業務型裁量労働制の労使協定を届け出ていなかった場合(労働基準法38条の3第2項違反)

・生理休暇を与えなかった場合(労働基準法68条違反)

・締結された労使協定について労働者に対する周知を怠った場合(労働基準法120条第1号)

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まとめ

以上、労使協定の意味や種類、労働基準法違反の罰則などについてご紹介しました。労働基準法違反と指摘される件数でも多いのは労働時間と割増賃金についてです。
従業員とのトラブルを避けるためにも、また労働基準法違反と指摘を受けないためにも、労使協定を締結し必要に応じて届出を行いましょう。
なお、それぞれの労使協定の内容や締結の方法については、社会保険労務士に相談しサポートを受けることをおすすめします。

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