年次有給休暇とは|2019年4月からどう変わる?注意点と運用法は?

公開日:2019年09月04日
最終更新日:2020年03月12日

目次

  1. 年次有給休暇とは
    • 休日と休暇の違い
    • パートタイム従業員にも与えられる
    • 2019年の働き方改革で年次有給休暇はどう変わる?
  2. 年次有給休暇の賃金と算定方法
    • 年次有給休暇を時間単位で取得させることも可
    • 年次有給休暇の買上げは原則としてNG
    • 当日請求された年次有給休暇も認めるべきか
    • 休職中の従業員の年次有給休暇請求を認めるべきか
    • 退職前の従業員に有休を請求された時は?
  3. まとめ
    • 社会保険労務士をお探しの方

日本の年次有給休暇は、他の先進国と比較して著しく低いことが問題視されており、2019年4月から、会社は従業員に対して年次有給休暇について毎年5日間取得させることが義務化されることになりました。

年次有給休暇とは

年次有給休暇とは、従業員の疲労回復、健康の維持・増進などを目的として従業員が取得できる有給の休暇のことをいいます。
勤続年数に応じて従業員に与えられるもので、週の所定労働日数が5~6日の場合には入社後6カ月継続勤務し、かつ全労働日数の8割以上を出勤した従業員に対して、使用者は10日の有給休暇を与えなければならないとされています。

従業員は、原則として有給休暇を会社の承認をとることなく取得することができます。そして、従業員が有給休暇を取得したことを理由として、会社が不利益な取り扱いをすることは認められません。また、有給休暇を買上げすることも認められません(※後述)。

ただし、だからといって会社の繁忙期に年次有給休暇を請求されると、事業の正常な運営が妨げられてしまうことがあります。このように事業に支障が出ると考えられる場合には、会社は従業員に、他の時季に取得をするよう変更させることが認められています(時季変更権)。
ただしこの時季変更権は、単に「忙しい」という理由で認められるものではなく、企業の規模や作業内容、業務の繁閑、代替車の配置の難易度などの諸般の事情を考慮して総合的に考慮すべきとされています。

休日と休暇の違い

休日と休暇を混同して使用しているケースがありますが、休日と休暇は、従業員に労働義務があるかないかという点で、その性格が大きく変わります。

休日は、「労働義務のない日」のことで、法定休日(労働基準法で保障された休日)と所定休日(会社が任意に定めた休日)に分けられます。
一方、休暇は「労働義務のある日に労働が免除された日」のことで法定休暇(年次有給休暇、時間外労働に関する代替休暇、生理休暇など)と法定外休暇(傷病休暇、夏季休暇など)に分けられます。

「法定休日と所定休日の違いとは?休日と休暇はどう違う?」を読む

パートタイム従業員にも与えられる

年次有給休暇は、入社後6カ月継続勤務し全労働日数の8割出勤しているパートタイム従業員に対しても、以下のいずれかの要件を満たしている時には、正社員と同じように与えなければなりません。

①週所定労働時間が30時間以上であること。
②週所定労働日数が5日であること。
③1年間の所定労働日数が217日以上

なお、所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。

引用:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」

2019年の働き方改革で年次有給休暇はどう変わる?

平成31年(2019年)4月1日から、毎年5日間の有給取得が義務化されました。
もともと年次有給休暇は、従業員が自由に取得することができる休暇ですが、現実的にはなかなか取りづらいという現状があります。さらに日本の従業員の有給休暇の取得率は他の先進国と比較すると著しく低いことが長く問題視されてきました。
このような状況を受けて、働き方改革関連法の一環として毎年5日間の有給取得が義務化されることになりました。
つまり、従来は従業員が自分で申請をしないと会社は有給休暇を取得させる義務はありませんでしたが、今後は積極的に従業員の意見を聞きつつ、有給休暇を取得するために努力することが義務づけられるようになりました。
そして、年5日以上の年次有給休暇取得に違反した企業については、30万円以下の罰金が科せられることになりました。

引用:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」

「時間外労働は「働き方改革(2019年)」でどう変わるか」を読む

年次有給休暇の賃金と算定方法

労働基準法では、年次有給休暇に対して支払うべき賃金について、次の3種類の方法を定めています。

①労働基準法12条に定める賃金
年次有給休暇を取得した日(賃金締切日がある場合には、その直前の締切日)以前3カ月間にその従業員に支払われた賃金の総額をその3カ月の総日数で割った金額。

②所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金
所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の金額は、時間給者にはその金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額を支払う必要がありますし、月給者にはその金額をその月の所定労働日数で割った金額を支払う必要があります。
ただし、日給や月給で支払う場合、その都度所定労働日数を計算するのが煩雑なので、通常どおり出勤したものと取り扱えばよいとされています。

③健康保険法99条に定める標準報酬日額に相当する金額
標準報酬日額とは、現行保険料や厚生年金保険料を計算する時の基礎となる標準報酬月額を30日で割って日額を算出したものです。
この標準報酬日額に相当する金額を選択した時には、付与日1日につきその日額を支払えばよいことになります。ただし、この時には過半数労働組合(または従業員代表)とあらかじめ労使協定を締結しなければなりません。

年次有給休暇を時間単位で取得させることも可

労働基準法39条では、年次有給休暇の目的は、従業員の心身の疲労を回復させゆとりのある生活を実現することにあるとしています。
そこで、年に5日の範囲内で年次有給休暇を時間単位で取得させることもできます。
時間単位の年次有給休暇を取得できるようにするためには、以下の事項を労使協定で定める必要があります。

①時間単位の年休の対象従業員の範囲
②時間単位の年休の日数
③時間単位の年休1日の時間数
④1時間以外の時間を単位とする場合の時間数

なお、労働基準法では、年次有給休暇について原則として従業員が請求する時期に与えるとしていますが、事業の正常な運営を妨げる可能性がある場合には時季変更権を行使して別の日に変更できることができますが、この時季変更権は時間単位で与える年休についても対象となります。
ただし、従業員が時間単位の有給休暇の取得を請求した場合に日単位に変更することは認められません。また、逆に日単位の有給休暇の取得を請求したのにこれを時間単位に変更することも認められません。

「勤怠管理|従業員の勤務状況を把握し管理するポイント」を読む

「労働時間を適切に管理するための基礎知識」を読む

年次有給休暇の買上げは原則としてNG

小規模の会社の場合には、年次有給休暇の取得がなかなか進まないというケースがあります。この場合、消化しきれなかった年次有給休暇を会社が買上げて賃金として支給しようとする会社もありますが、年次有給休暇の買上げは原則として認められていません。
これは、年次有給休暇の本来の目的が「従業員の心身の疲労を回復させること」にあるからです。
しかし、年次有給休暇の権利が発生してから2年が経過して時効が成立した場合や、退職・解雇時に年次有給休暇が消化しきれず消滅することが明確になった場合には、買い上げることは必ずしも違法とはならないとされています。

当日請求された年次有給休暇も認めるべきか

当時の朝になって、急に「今日は有休をとります」と従業員から言われることがあります。年次有給休暇は原則として「1労働日」を単位として付与しなければならず、この労働日とは、午前0時から午後12時までの暦日とすることが原則です。
したがって、当日の朝に年次有給休暇を請求されても、午後0時を過ぎているので、事後に請求されたものと解釈することができます。

では、この「事後に請求されたもの」をどう取り扱うかについてですが、これは結局は各社の就業規則の規定によることになります。
実際は、当日の年次有給休暇の請求についても、そのまま年次有給休暇として処理しているケースがほとんどです。
また、午前中だけ年次有給休暇を取得し、午後から出社するという取り扱いも可能です。ただし、半日単位の年休の付与はあくまで例外です。年次有給休暇は原則として「1労働日」を単位として付与しなければならないということは、従業員含め認識しておくようにしましょう。

休職中の従業員の年次有給休暇請求を認めるべきか

たとえば、長期休業中であり会社から明確な求職命令がなく、従業員が単に休業していた時に従業員から年次有給休暇の請求があった場合には、会社はこれを認める必要があります。
この場合には、体調不良や病気などを理由に会社を休んだ日を年次有給休暇と処理したケースと同様に取り扱われることになります。
ただし、同じように長期休職期間中でも、病欠が長く続いている従業員に休職を命じたところ、本人から年次有給休暇の取得を請求されることがあります。
所定休日(労働義務のない日)については、年次有給休暇の取得はできません。年次有給休暇は労働日にしか取得できないので、そもそも労働義務のない所定休日に、年次有給休暇を取得することは、さらに労働の免除を求めることになるので、矛盾が生じるからです。

退職前の従業員に有休を請求された時は?

退職前の従業員が、未消化の年次有給休暇をまとめて請求してくるケースがあります。
本来、年次有給休暇の目的は、継続的に勤務する従業員に対して休暇を与えるものですから、退職前の年次有給休暇の請求は、本来の目的に沿っていないとも考えられます。
しかし、この請求は違法とまではいえません。
業務の繁忙期や引継ぎが必要な時に年次有給休暇を請求されることがないよう、退職する従業員については退職日や引継ぎのスケジュールを明確にするよう要請し、双方にとって円満な退職ができるよう心がけましょう。

まとめ

以上、年次有給休暇の内容や運用方法、2019年4月から義務化された年次有給休暇の解釈などについてご紹介しました。
年次有給休暇をどう運用するかについては、労使トラブルに発展するケースも多いので、事前に関連法を確認し、社会保険労務士などのアドバイスを受けて就業規則などで休職制度の取り扱いを明確に規定しておくことをおすすめします。

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