税理士相談の費用とは?相談する際のポイントは?

公開日:2024年02月28日
最終更新日:2024年02月29日

この記事のポイント

  • 会社は毎年必ず法人税の確定申告を行なわなければならない。
  • 申告書の提出期限は、決算日の翌日から2カ月以内。
  • 同日までに、法人税額を納付しなければならない

 

税理士の報酬額は、平成14年3月31日までは税理士会が定めた「税理士業務報酬規程」を目安に決められていました。
しかし現在は、「適正な専門家サービスの対価の額」と「事務所運用の費用」をプラスした報酬額が、各々で決められています。
しかし現在も、税理士業務報酬規程をもとにして基準価格の何パーセントかを値引きするという算定方法を行っている事務所が多いため、この記事でもこの税理士業務報酬規程をもとに、税理士費用をご紹介します。

 

税理士相談の豆知識

多くの会社が税理士に相談する場合には、顧問契約を結びます。顧問とは、経営の意思決定に直接関与をせずにアドバイスや指導をする立場で、顧問税理士には、会計・税務のさまざまな相談をすることができるようになり、アドバイスや指導を受けることができるようになります。
しかし、この「顧問契約」には、どこまでの業務が含まれていて、どこからが別料金となるのか分かりにくいというケースも多いようです。税理士にサービス内容を詳しく聞くのは失礼ではないかと遠慮する方もいるようですが、顧問料を支払うことでどのようなサポートを受けられるのかという点は、しっかりと確認することが大切です。税理士に依頼できるのは税務申告だけではありません。節税対策や資金繰り、経営相談から経理システムの構築まで相談することができます。
さらに、他士業と協力してワンストップサービスを提供してくれる税理士もいます。
なお、決算書を税理士に作成してもらい、税理士法33条の2による書面を添付してもらえば申告書の信頼性を向上させることができ、税務調査の対象となりにくいというメリットがあります。

税理士相談の費用

税理士相談の費用は、相談内容や会社の規模などによって異なります。
個人の所得税の顧問料は、月額2万円~、法人税の顧問料は月額3万円~が相場といえます。
この他に、税務書類の作成報酬がかかりますが、所得金額に応じて6万円~となっています。

(1)無料相談の場合

税理士会が主催する納税者支援センターでは、税務、会計の不明点や疑問点を無料で税理士に相談することができます。
相談希望者が多い場合には、電話がつながらなかったり、受付状況に応じて相談が断られるケースがあったりするなどのデメリットはありますが、簡単な相談内容であれば利用するメリットは大きいといえるでしょう。
相談時間は税理士会によって異なりますが、相談時間は30分以内とするケースが多いようです。また、申告書等の作成やチェックについては、相談することはできませんので注意が必要です。

参照:東京税理士会「納税者支援センター」

(2)顧問契約の場合

顧問契約の報酬は、所得税、法人税とも所得金額基準を設けているケースが多いようです。
収支を把握し節税対策も提案してもらい、資金繰りの相談もしたいという場合には顧問契約を締結する方がよいでしょう。
下記は税理士業務報酬規程による顧問料ですが、実際には個人事業主の場合で、月1万円~、申告時に顧問料の4~6カ月分程度かかるケースが多く、法人の場合は月3万円~、申告時に顧問料の4~6カ月分程度かかるケースが多いようです。

所得税

総所得金額基準 年取引金額基準 報酬額
200万円未満 2,000万円未満 20,000円
300万円未満 3,000万円未満 30,000円
500万円未満 5,000万円未満 45,000円
1,000万円未満 1億円未満 65,000円
2,000万円未満 2億円未満 75,000円
3,000万円未満 3億円未満 85,000円
5,000万円未満 5億円未満 95,000円
5,000万円以上 5億円以上 105,000円
1千万円増すごとに 1億円増すごとに 5,000円を加算

法人税

期首資本金等基準 年取引金額基準 報酬額
200万円未満 2,000万円未満 30,000円
300万円未満 3,000万円未満 35,000円
500万円未満 5,000万円未満 50,000円
1,000万円未満 1億円未満 70,000円
3,000万円未満 3億円未満 85,000円
5,000万円未満 5億円未満 100,000円
1億円未満 10億円未満 130,000円
3億円未満 30億円未満 160,000円
5億円未満 50億円未満 190,000円
5億円以上 50億円以上 220,000円
2億円増すごとに 20億円増すごとに 3万円を加算

なお税理士を選ぶ際に、税理士の報酬だけで決めるケースがありますが、税理士の選択を費用だけで決めるのはリスクがあります。
なぜなら、いくら税理士費用が安くても、ニーズを満たしてくれるかは別問題だからです。税理士に相談する際には、税理士に何を求めるのかを明確にしたうえで決めなければなりません。
たとえば、顧問契約ひとつをとっても、領収書や請求書をすべて税理士に丸投げし、自社では経理業務を一切行わないケースもありますし、経理業務は自社で行い、税理士は経理書類のチェックのみを行うケースもあります。

(3)決算の相談をする場合

決算や確定申告だけ依頼したいという場合は、税理士によって費用は異なりますが、年間10万円~15万円程度を目安として考えておきましょう。
決算・申告業務だけの付き合いなので、顧問契約とは異なり節税相談や税務相談などすることは難しくなります。
それに、節税対策は中長期で計画を立てて適切に実行してこそ効果があらわれるものなので、決算直前に依頼しても十分な対策を行うことができませんので、おすすめではありません。
また、顧問契約を締結している場合も決算業務には別途費用がかかります。
※税務書類の作成報酬は別

税理士報酬規定【所得税・税務代理報酬】

総所得金額基準 年取引金額基準 報酬額
200万円未満 2,000万円未満 60,000円
300万円未満 3,000万円未満 75,000円
500万円未満 5,000万円未満 100,000円
1,000万円未満 1億円未満 170,000円
2,000万円未満 2億円未満 255,000円
3,000万円未満 3億円未満 300,000円
5,000万円未満 5億円未満 400,000円
5,000万円以上 5億円以上 450,000円
1千万円増すごとに 1億円増すごとに 2.5万円を加算

所得税のうち分離課税譲渡所得

所得金額基準 年取引金額基準 報酬額
300万円未満 3,000万円未満 100,000円
500万円未満 5,000万円未満 150,000円
1,000万円未満 1億円未満 200,000円
3,000万円未満 3億円未満 350,000円
5,000万円未満 5億円未満 500,000円
5,000万円以上 5億円以上 550,000円
1千万円増すごとに 1億円増すごとに 5万円を加算

税理士報酬規定【法人税・税務代理報酬】
次の基準の報酬額に期首資本金等の額の0.5%相当額を加算するが加算額は50万円を超えることができない

所得金額基準 年取引金額基準 報酬額
100万円未満 2,000万円未満 60,000円
150万円未満 3,000万円未満 80,000円
200万円未満 5,000万円未満 100,000円
400万円未満 1億円未満 170,000円
1,200万円未満 3億円未満 300,000円
2,000万円未満 5億円未満 400,000円
4,000万円未満 10億円未満 550,000円
1.2億円未満 30億円未満 700,000円
2億円未満 50億円未満 800,000円
2億円以上 50億円以上 900,000円
1億円増すごとに 25億円増すごとに 10万円を加算

税理士報酬規定【消費税・税務代理報酬】

期間取引金額 報酬額
500万円未満 20,000円
1,000万円未満 40,000円
3,000万円未満 60,000円
5,000万円未満 80,000円
1億円未満 100,000円
5億円未満 120,000円
5億円以上 150,000円
1億円増すごとに 1万円を加

(4)税務調査の相談をする場合

税務調査の対応は、通常は顧問税理士が担当しますが、税理士のなかには、税務調査対策を専門としている場合もあります。
税務調査とは、税務署の調査官が会社を訪問し、帳簿や証憑をチェックする調査のことです。また、取引状況を確認するために、取引の相手方を調査する反面調査が行われることもあります。
税務調査には、税理士に立ち会ってもらうことができます。
税務調査の立ち会いを依頼する場合の費用は、一般的には、1時間あたり1~3万円程度です。日当にすると、3~5万円程度かかるケースが多いようです。
また、税務調査の準備作業として別途費用が発生することもあります。

(5)経営コンサルの相談をする場合

銀行などから受ける融資をはじめとした資金繰りの相談やコンサルティング、節税対策なども税理士に依頼することができます。
ただし、これらの業務はすべての税理士が得意とするわけではなく、さらに依頼内容によって顧問料は大きく異なります。

したがって、税理士に何をしてほしいのかを明確にして依頼することが大切です。そして安価=善とも考えるべきではありません。
確かに、経理作業の代行を丸投げしたいというのであれば、価格重視で選ぶのは正解といえるでしょう。しかし、資金繰りの相談や節税の提案まで求めるのであれば、顧問料だけで税理士を選ぶのはおすすめできません。
たとえば、月に10万円の顧問料を支払うとしたら年間120万円の出費になりますが、この税理士の提案で年間数千万の資金調達に成功したり、年間何百万もの節税が実現できたりするのであれば、月10万円の顧問料は決して高額とはいえないのではないでしょうか。

税理士相談をするときのポイント

税理士相談をする際には、依頼したい内容を明確にすることが大切です。
丸投げ代行を求めるのか、コンサルティングを求めるのかで、選ぶ税理士は変わってきます。また、税理士との相性も大切です。

(1)必要書類は揃えておく

必要書類としては、直近の申告書、決算書、法人であれば登記簿謄本などを揃えておきましょう。
取引先との契約書や直近の試算表などもあると、税理士が事業の内容を把握しやすくなります。
そのほか、会社のパンフレットや会社案内などもあると、より税理士と打ち合わせが進みやすくなります。

(2)面談する際のポイント

税理士相談をする際には、直接面談することがおすすめです。Zoom等で面談する際も、相性が合いそうか、希望する内容に対応してもらえるかと確認します。
性格が合わないと意外とストレスの元になるものです。
コミュニケーションが問題なくとれるか、税理士との温度感に違和感がないかも確認しましょう。また、LINEやzoomなど、希望する連絡手段を使用できるかも確認します。

レスポンスが早いかどうかも、ポイントのひとつです。
すぐに結論が出ないような質問についても、「少し検討してから2~3日中に返答します」などのレスポンスをもらえれば、安心することができます。
これは、税理士に限らず社会人として信頼できるかを判断する重要な基準といえるでしょう。

(3)聞きたいことをまとめておく

聞きたいポイントは、あらかじめまとめておきます。
確定申告だけ依頼するのか、資金繰りや節税対策の相談までしたいのか、それらに対応してもらうための顧問料はいくらなのかきちんと把握しておかないと、後々トラブルにつながります。
過去にどのような経験を積み、どのような実績を積んできたのかも正確に把握したうえで、顧問契約を結びたいと思う人もいますが、顧問先の数や顧問料だけで決めるのは早計です。企業規模や業種、業界における経験値や実績もポイントとなりますので、その点も確認しておきましょう。

(4)DX化に対応しているか確認する

インボイス制度の導入や改正電子帳簿保存法など、税務を取り巻く環境は目まぐるしく変わっています。オンライン化やDX化(デジタルトランスフォーメーション)化も、急速に進んでいます。
オンライン化やDX化に問題なく対応しているかも、確認すべきポイントです。これは、長い目で見れば重要な選択基準といえます。
オンライン化やDX化にも積極的に対応し、成長し続ける事務所が伴走してくれることは、事業を行ううえで、心強いものです。

(5)顧問契約をする際の注意点

顧問契約では、料金表が明確になっていることが重要です。
何にどんな費用がかかるのか、きちんと確認します。
顧問料のなかに年末調整の費用が含まれているのか、顧問料に決算申告も含まれるのか、それとも別料金なのかなど、細かい点まできちんと確認しましょう。

また、資金繰りや節税に関する提案をしてもらえるのかなども、確認しておきたいところです。その他、他士業との連携やオプションサービスの内容についても確認しておくとよいでしょう。

まとめ

税理士というと、税金に関する相談や決算申告について相談する専門家というイメージが強いですが、資金繰りや経営コンサルタント、事業承継の相談まですることができます。
税理士を選ぶときには税理士の人柄や実績、予算感などで選ぶケースが多いですが、実際に税理士と顧問契約をするときに、このようなサービスの内容まで吟味した上で契約をすることが大切です。

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

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