税務相談|経営者「中小企業の節税対策を知りたい」

公開日:2019年09月06日
最終更新日:2024年02月06日

この記事のポイント

  • 経費を増やせば節税できるが、資金繰りが悪化することもあり得策ではない。
  • 無理な節税対策を行おうと、税務調査で指摘されるリスクがある。
  • 適切な節税対策を、適切な時期に行うことが大切。

 

中小企業の節税対策はたくさんありますが、リスクばかり大きくてほとんど効果のないものもあります。また、節税のつもりで行った対策に問題があり、税務署からチェックされてしまうこともあります。

ここでは、中小企業の経営者の皆様から寄せられた、節税に関する税務相談とそれに対する税理士のアドバイスをご紹介します。

 

節税の豆知識

税法は複数の税務処理が認められていて、そのなかから最も有利な税務処理を選択することで、節税できるケースがたくさんあります。そして節税対策のためには、法人税法等の規定はもちろん、法人税の計算のしくみを熟知している税理士に相談するのが一番です。
たとえば、設備投資にはいろいろな特別償却が認められていますが、選択肢として税額控除が認められる場合があります。特別償却は納税延期の効果を発揮しますが、税額控除は永久免税の効果があり、特別償却より節税効果があります。
特別償却と税額控除のどちらを選択するべきか、そもそも購入するべきかリースを活用すべきかは、個々の状況によって異なりますし、何を選択するかで決算書の見栄えが違ってくるので、銀行からの融資を検討している場合にはその点も注意する必要があります。
税理士に相談すれば、状況に応じた適切なアドバイスをしてもらうことができますが、そのためにはまずは経営者が優遇措置や選択肢があることを理解し、そのうえで税理士に相談するのが有効です。

中小企業の節税対策の相談

事業が軌道に乗ってきて、ようやく利益が出るようになると、次に経営者にとって大きな悩みとなるのが「税金」です。中小企業の経営者にとって「節税対策」は、避けて通ることができない大きな問題です。
ここでは、中小企業の経営者の皆様の節税対策の悩みのなかでも、最も多いものを5つご紹介します。

(1)経費を増やせば節税になるか

–「経費を増やして損金を増やせば、その分だけ節税することができますか。」

確かに経費を増やせば、節税することはできます。
しかし、節税とムダな支出は違います。節税とはそもそも会社の資金繰りを良くするために行うものです。節税したいと思うあまりに無駄な経費を使えば、それだけ資金繰りは悪化してしまいます。結果的に「こんなことなら、税金を払った方が良かった」というケースも多いものです。
必要のない経費を計上しても、会社にとって何ら良いことはありません。
無駄な経費を払うくらいなら、給料をアップして従業員に還元する方が会社にとってメリットのあるといえますので、従業員に還元する方法を検討されてはいかがでしょうか。
節税対策のために経費を増やす時には、「支出の効果あっての節税」という視点をくれぐれも忘れないようにしたいものです。

(2)事前届出による役員賞与で節税できるか

–「役員に対して支給する賞与を損金に算入して、節税したいのですが可能でしょうか。」

役員に対して支給する賞与のうち、「事前確定届出給与」に該当するものは損金に算入することができます。
「事前確定届出給与」とは、その役員の職務について所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与、利益に関する指標を基礎として算定される給与をのぞく)のことです。
この「事前確定届出給与」に該当するためには、株主総会等に基づき、事前確定届出給与に関する定めを決議した日から1カ月を経過する日、またはその事業年度の開始の日から4カ月を経過する日のいずれか早い方までに、税務署に届出を行うことが必要です。

参照:国税庁「事前確定届出給与に関する届出」

届出た額と実際の支給額が異なる場合には、全額が損金不算入となりますが、「臨時改定事由による変更」「業績悪化改定事由による変更」などの変更届を提出することで、損金に算入することができます。

事前届出による役員賞与は、あらかじめ支給額を定めていることで、節税を含めた資金繰りに考慮することができるというメリットがありますが、前述したようなルールに従っていないと、その支給額の全額が損金不算入となってしまうので、注意が必要です。

(3)決算セールで節税できるか

–「決算セールで在庫を減らしたいのですが、これが節税対策になると聞きました。どうすれば節税対策になるのでしょうか。」

巷でよく見かける「決算セール」は、期末に在庫を一掃するための施策というイメージがあると思いますが、実は節税策のひとつでもあります。
在庫の時価が取得時よりも下がっているのであれば、早期に値下がり損を計上することができ、当該事業年度の所得金額を縮小することができ、法人税額を少なく申告することができます。

評価損については原則として認められていませんが、いわゆる季節商品で売れ残った場合や、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売された場合など一定の要件に該当する場合には、例外として評価損を計上することが認められています。

参照:国税庁「棚卸資産の評価損」

ただし、原価割れで販売することが悪質と判断されれば、税務否認されてしまいます。状況によっては、決算セールではなく在庫を廃棄する方が節税効果の面ではメリットが大きいこともあります。なぜなら、在庫を廃棄してしまえば、廃棄分を経費にすることができるからです。決算セールを行うか在庫を廃棄するかについては、税理士とよく相談されるのがよいでしょう。

(4)仮払金の経費振替と未払費用の計上で節税できるか

–「経費を支払う予定はあるのですが、支払時期が翌期です。これを当期に計上することはできますか?」

期末時点で仮払金処理をしているもののうち、期間の経過に応じて費用項目が確定したものについては、その期間の損金として振替処理することが可能となります。
たとえば、出張等の旅費交通費を前払いして、出張終了後支払い内容と金額を報告して精算する方法が取られている場合、通常は精算されるまで仮払金として計上され、経費処理がされていない場合もあるでしょう。このうち、期末時において期間の経過に応じて支払うべき金額が確定していれば、これを費用として処理することができます。

また、償却費以外の費用で期末までに債務が確定したものについては、実際にその支払いが完了していなくても未払費用として損金計上が可能です。
たとえば、機械や車両運搬具などを修理した場合、修理が完了して使用可能になれば債務は確定しているので、当期の費用として計上することができます。

なお、「債務が確定している」といえるためには、一定の要件に該当する必要がありますので、税理士のアドバイスを受けることをおすすめします。

参照:国税庁「販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定」

(5)決算前に高額資産を買うべきか

–「予想より利益が増えそうです。この機会に高額資産を購入して、経費に計上したいのですが。」

高額な資産を購入しても、その全額を当期の経費とすることはできません。
10万円以上の資産を購入した場合には、原則として減価償却という方法で数年(耐用年数)にわたって経費としていくことになるからです。
耐用年数は新品の資産より中古資産の方が短くなりますから、中古でもよいものは中古で購入すると短い期間で償却することができます。
中古でよいものは中古で購入し、短い期間で償却することで節税効果があります。
また、中小企業(資本金の額が1億円以下などの法人)の場合、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を取得した時には、全額を損金とすることができますが、この場合も1事業年度あたり300万円が限度となっていますので注意しましょう。

参照:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例[令和5年4月1日現在法令等]」

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税理士おすすめの節税対策

これまでご紹介したように、節税対策は一定の要件に該当する必要がありますし、方法によっては税務調査の対象となってしまうなどのリスクを伴うことがあります。
そこで、ここでは税理士がおすすめする節税対策をご紹介します。

(1)各種税額控除を活用する

税額控除とは、当期の税額から直接差し引くことができる非常にメリットのある制度です。
特別償却が課税繰り延べ措置であるのに対して、税額控除は算出税額から控除することができる永久免税措置だからです。

租税特別措置法で青色申告法人に認められる税額控除は数多く、とくに利用されているものとしては、「試験研究を行った場合の税額控除」「中小企業投資促進税制」「地方活力地域等で特定建物等を取得した場合の税額控除」などがあります。

参照:国税庁「一般試験研究費の額に係る税額控除制度[令和5年4月1日現在法令等]」
参照:国税庁「中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)[令和5年4月1日現在法令等]」
参照:国税庁「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除[令和5年4月1日現在法令等]」

これらの税額控除の制度は期間限定のものが多く、また要件が変更されることも多いので、税理士に相談して情報をキャッチするようにしましょう。

(2)社宅等賃貸用住宅の購入

中小企業の場合、法人登記を自宅にしているケースがあります。
自宅にかかる支出のうち、法人が利用している部分は、法人の損金とすることができます。自宅が賃貸物件の場合には、法人が利用している割合だけ法人の損金にします。
自宅が自己所有物件の場合には、自法人と個人との間で賃貸借契約を締結して、賃料を設定すれば、法人が個人に支払う賃料を法人の損金とすることができます。
なお、自宅を個人名義から法人名義に変更すれば、自宅で利用している部分を社宅とすることで社宅制度を利用できる場合もあります。

ただし、社宅を役員や使用人に無償または低い家賃で貸与していると、現物給与として課税されることがありますので、注意が必要です。適正な家賃については、税理士に相談しアドバイスを受けてください。

(3)残業時の食事も経費に

自宅にかかる支出のうち、法人が利用している部分残業時の食事代は、交際費ではないし経費では落ちないと思っている人もいますが、法人の福利厚生費として損金とできるケースがあります。
しかし、「全社員を対象としていること」「実費精算であること」「適切な金額であること」などの要件を満たしていないと給与と認定されてしまい、税務調査で追及を受けることがあります。この時、福利厚生費であることをきちんと説明できるよう、残業時の食事に関する規定を定めておくとよいでしょう。

(4)社内旅行の実施

以下の要件を満たした社内旅行の費用は、福利厚生費として全額損金となります。

①旅行に要する期間は、4泊5日以内(海外旅行の場合には、現地滞在日数)
②旅行に参加する従業員の数が、全従業員の50%以上

上記の一定の基準が満たされない場合や、あまりに高額と思われる旅行については、その費用が賞与とみなされ課税されてしまうので注意が必要です。

(5)小規模企業共済掛金等の活用

小規模企業共済とは、役員が個人で加入する共済制度です。
掛金は、所得税法上全額を課税対象となる所得から控除することができます。

法人の役員は、中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度に加入することができません。そこで、小規模企業共済に役員個人で加入することで、役員も従業員と同じように退職金の積立てが可能となり、さらに節税メリットを享受できるというわけです。

このほか、生命保険を活用した節税対策もポピュラーな方法ではありますが、全額を損金とできる保険はピーク時の返戻率が高く、ピーク時以外の返戻率はかなり低いという特徴があります。
したがって、短期で解約をしてしまうと思わぬ損をしてしまい、「これでは何のために節税したのか」ということになりかねません。さらに、この全額損金タイプの保険商品を規制されることになりました。
ただし、法人保険の保険料を損金として全く算入できなくなったわけではないので、長期的に見れば保険制度を利用した節税対策が有効なこともあります。保険制度を利用した節税対策を行う時には、入念に資金計画を立てて、十分な資金繰りが見込める状況である時に上手に利用するようにしましょう。

(6)貸倒損失の計上

取引先企業の経営悪化や倒産によって、売掛金や貸付金が回収不能となることがあります。このような場合には、一定の要件に該当すれば税務上貸倒損失が認められます。

①金銭債権等の全部または一部の切捨てをした場合の貸倒れ
②回収不能の金銭債権等の貸倒れ
③一定期間取引停止後、弁済がない場合等の貸倒れ

貸倒れの処理は、恣意的になりやすいことから税務上は厳しく限定されていますので、注意が必要です。

(7)交際費の損金算入

交際費を損金算入できるかは、会社の資本金の額によって規定されています。
資本金が1億円以下である中小法人については、交際費等の損金算入について特例措置があり、定額控除限度額(年間800万円)を超える金額を損金不算入とする特例措置と接待飲食費特例措置(50%損金算入措置)との選択適用が認められています。

なお、交際費等の損金算入額は、申告時に法人税申告書別表十五「交際費等の損金算入に関する明細書」で申告する必要があります。

(8)消費税の経理処理の検討

消費税の納税義務があるか否かは、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるか否かで判定します。基準期間は原則としてその事業年度の前々年度を指しますので、設立して2年目までは基準期間はなく、免税事業者となります。
しかし、資本金が1,000万円以上である場合や課税売上高や給与等支払額が1,000万円を超えた時には、2年目は免税事業者となることができなくなってしまいます。
したがって、まずは資本金1,000万円以下にすること、2年目の基準期間を短くして課税を回避するなどの対策を行うことで、免税期間を長くすることができます。

なお、免税事業者は消費税の経理処理について「税込経理方式(消費税等の額とその消費税等に係る取引の対価の額とを区分しない)」を適用することになっています。
税込経理方式は、事後処理が簡単であるというメリットがありますが、
「税抜経理方式(消費税の額とその消費税等に係る取引の対価の額とを区分する)」の方が節税効果は高いこともあります。
「クラウド会計ソフト freee会計」を使えば手間はあまり変わりませんので、税理士に相談したうえで経理処理の方法について検討するようにしましょう。

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まとめ

以上、中小企業経営者の方々の税務相談や、税理士がおすすめする節税対策についてご紹介しました。ここでご紹介した以外にも、効果的な節税対策はたくさんあります。また、節税対策は、個々の状況に応じて検討すべきですし、税務調査の対象となった時にもしっかり主張できるよう、適切な対策を行う必要があります。
節税対策を行う時には、むやみに自分で判断するのではなく、税務のプロである税理士に相談するのが得策です。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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