公開日:2019年03月16日
最終更新日:2022年03月10日
サラリーマンなどの給与所得者は、通常は自分で所得税や住民税を納めることはありません。なぜなら、サラリーマンなどの給与所得者が支払わなければならない税金は、毎月給料から源泉徴収され、勤務先の会社が代わりに納めてくれているからです。
しかし、なかには確定申告をしなければならないサラリーマンや、確定申告をした方が得するサラリーマンもいます。
ここでは、年末調整をしているサラリーマンでも確定申告が必要な場合や、確定申告をした方が得するケースについてご紹介します。
サラリーマンなどの給与所得者は、通常は自分で確定申告をする必要はありません。
なぜなら、勤務先の会社が、従業員の給料や賞与から税金(所得税・住民税)と社会保険料を徴収し、税務署や、市区町村、年金事務所に納めているからです。
これらの計算や手続きは、会社がすべて行うので、サラリーマンなどの給与所得者は自営業者や個人事業主などと違い、通常は確定申告をする必要はありません。
しかし、確定申告をしなくてもよいケースでも、確定申告をすることで税金が戻ってくる場合があります。「自分はサラリーマンだから関係ない」と思っていると、本来なら戻ってくるはずのお金が戻らなくなり、結果的に損をしてしまうケースも多いので、注意が必要です。
自分や家族の医療費を10万円超支払った人は、医療費控除の適用を受けることができます。通院のための公共機関の交通費や、やむを得ない時のタクシー代金などは医療費控除の対象となり、医療費が10万円を超えた時には、医療費控除を受けることができます。
医療費控除には、①通常の医療費控除と②セルフメディケーション税制の2種類があります。
①通常の医療費控除は、治療のための医療費や薬代などを支払った時に受けられる控除で、②セルフメディケーション税制は、ドラッグストアなどで市販薬を買った時に受けられる控除です。
どちらか有利な方を選んで確定申告をすることができます。
通常の医療費控除を受ける時
①正味の医療費-10万円 ②正味の医療費-総所得金額等×5% ①、②のうちどちらか多い方 |
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セルフメディケーション税制を利用する時
対象となるOTC医薬品の正味の購入費-1万2,000円 |
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ただし、医療費控除といっても、病院に支払った費用のすべてが控除の対象となるわけではありません。治療に関係のない日常利用の眼鏡代や、補聴器、コンタクトレンズなどは医療費控除が認められません。
▶ 医療費控除とは|2017年の特例創設(2021年改正)、控除額の計算方法など
ふるさと納税などで、寄付を行った人の場合には、寄付金控除の適用を受けることができます。しかし、「寄付すればするだけ税金が安くなる」というわけではありません。
寄付金控除の対象となる寄付は限定されていますし、寄付金控除額は上限があります。
①特定寄附金の額-2,000円 ②(総所得金額等×40%)-2,000円 ①、②のうちどちらか少ない方 |
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ふるさと納税は、住民税の控除を受けることもできます。所得税のように税金の還付は受けられませんが、寄付した翌年から支払う住民税が減額されます。所得税とダブルで控除を受ければ、節税効果はさらに高くなります。
なお、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用した場合には、確定申告をする必要はありません。
台風・地震といった突発的な災害や、横領・盗難などによって損害を受けた場合には、所定の金額を所得から控除することができます。
この控除を「雑損控除」といいます。
①正味の損失額-総所得金額等×10% ②災害関連支出-5万円 ①、②のどちらか多い方 |
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なお、災害によって受けた損害金額については、災害減免法の適用を受けることができます。損害額が大きい時には、雑損控除の方が得するケースが多いようですが、必要となる条件がありますし、計算方法が複雑なので、詳細については税理士に相談するとよいでしょう。
住宅ローンなどを利用して自宅の新築、取得または増改築等を行った場合には、所得税から控除される「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を受けることができます。
居住1年目は、サラリーマンも確定申告が必要です。2年目以降は、会社の年末調整で控除を受けることができます。
住宅ローン控除は、住み始めてから10年間、住宅ローンの年末残高の1%または住宅価格の1%のうち少ない金額(最高40万円)が、所得税額から毎年控除されます。
消費税10%が適用される人は、さらに3年の延長が可能で、「建物価格の2%の3等分」と「借入金の年末残高の1%」のどちらか少ない方の金額が控除されます。
新型コロナウイルス感染症等の影響によって入居が遅れた場合の特例もありますので、早めに税理士に確認しましょう。
給与以外の副業で20万円以上の所得がある人は、確定申告をする必要がありますが、副業による所得が20万円以下の場合でも、副業の収入から源泉徴収所得税が差し引かれていた場合にも、天引きされた所得税の一部が確定申告で戻ってくる可能性があります。
定年や自己都合、リストラ、結婚・出産など、年度の途中で会社を退職し、年内に再就職しなかった人は、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。
会社に勤めている時には、勤務先の会社で年末調整を行って所得税の還付をしてくれていましたが、退職すると年末調整の対象から外れることになります。つまり、自分で確定申告をしないと還付を受けることができないわけです。
確定申告に必要なのは、会社からもらう源泉徴収票や生命保険会社から郵送されてくる生命保険料控除証明書などです。
退職した後は、できるだけお金を節約したいものですから、確定申告をしてしっかりと税金を取り戻しましょう。
退職金を支給された人で、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人は、確定申告をすることで払い過ぎている税金を取り戻すことができます。
退職金は、退職所得として税負担が軽減される特別の配慮がされていますが、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと、高い税率で税額が計算されているため、税金を払い過ぎている可能性があるからです。
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人は、確定申告をして税金を取り戻すようにしましょう。ほかにも、年をまたいで退職金の支給を受けた人も、税金が戻ってくる可能性がありますので、確認しましょう。
以上、サラリーマンでも確定申告をしなければならないケース、確定申告をしないと損をしてしまうケースについてご紹介しました。
サラリーマンの税金の手続きは、従業員に代わって会社が行っているため、「自ら納税する」という意識がなく、それにともない「節税する」という意識も希薄になりがちですが、サラリーマンでも確定申告をすることで、節税効果が期待できたり、税金が戻ってきたりすることがあります。
「今まで確定申告をしたことがないから…」と、尻込みをする人もいると思いますが、不明点や疑問点は税理士に確認するなどして、払い過ぎた税金を確実に取り戻すようにしましょう。
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