振替納税・クレジットカード納税…確定申告後の5つの納税方法

公開日:2019年11月06日
最終更新日:2022年07月12日

この記事のポイント

  • 税金を納める方法は、振替納税、クレジットカード納税、現金納付、e-Taxなどがある。
  • クレジットカード納税はポイントがたまるが、手数料がかかる。
  • 延納したい時には「延納の届出」欄への記載が必要。

 

確定申告書に記載された税額は、納付期限までに税務署や銀行などで納付書を添えて納めます。
税金を納める方法は、振替納税、クレジットカード納税、現金納付、コンビニ納付、e-Taxによる電子納税などの方法があります。

確定申告後の納税

確定申告書を提出し、納めるべき税額を把握したら、次に納税手続きを行います。

税金はその種類によって、申告納税方式、賦課課税方式、印紙納付の3つの納税方式がありますが、所得税は「申告納税方式」という方式(納税者が自分で納める税額を計算して、申告して納める)です。
したがって、確定申告書を提出したからといって、税務署から納税について何か連絡がくるというわけではありませんから、納付期限までに忘れずに納付するようにしましょう。

3つの納税方式:申告納税方式、賦課課税方式、印紙納付

種類 内容 この方式で納める税金等
申告納税方式 納税者が自分で納める税額を計算して、申告して税金を納めます。 所得税・消費税・相続税・自動車取得税・事業所税・法人税・法人事業税 など
賦課課税方式 課税庁が、法律で決められた方法によって税額を決定し、納税通知書を納税者に送付し、その通知書にしたがって税金を納めます。 不動産取得税・固定資産税・都市計画税 など
印紙納付 印紙税法別表の「課税物件表」に列挙された課税文書の作成時に印紙税相当金額の印紙を貼り、消印をすることで税金を納めます。 土地賃貸借契約書・約束手形・為替手形・不動産売買契約書・請負契約書・定款 など

(1)納付期限は原則3月15日

納税の期限は、確定申告書の提出期限と同じ3月15日です。この日までに納税資金を準備しておかなければなりません。
ただし、振替納税やクレジットカード納付の方法で納税する場合には、1カ月ほど納付が遅くなります。

(2)還付金がある場合のスケジュール

納税額を計算し確定申告書を提出して、還付金(税金が戻ってくる)がある場合には、税金が戻ってきます。
確定申告の還付金がいつ振り込まれるのかについては、確定申告を提出した時期、税務署の混雑状況などによって、若干変わってきます。
確定申告義務のないサラリーマンが還付申告をする場合には、確定申告期間でなくても受付をしてもらうことができますので、1月頃の空いているタイミングや確定申告書の申告期限を過ぎた後に手続きを行うのがおすすめです。

なお、還付金は、確定申告をしたその場で受け取れるわけではありません。
確定申告書第一表の右下の「還付される税金の受取場所」の欄に、振込を希望する金融機関の名称、支店名、口座番号などを書き込みます。
振込口座は、本人名義のものに限られ、家族などの名義の口座を指定することはできませんので、注意しましょう。

▶ 確定申告してから還付金を受け取るまでのスケジュール

(3)税金の延納をしたい時の手続き

納税資金が確保できないなどの事情で延納したい場合には、確定申告の期限までに税額の1/2以上を納めれば、残額の納税期限を5月31日まで延長することができます。ただし、延納期間中は利子税がかかります。
延納を希望する場合には、確定申告書第一表の右下の「延納の届出」欄に必要事項を書き込みます。

確定申告後の納税方法

確定申告後の納税方法としては、税務署や銀行などで納付する方法や、振替納税などの方法があります。

(1)税務署か銀行で納税する
(2)振替納税する
(3)クレジットカードで納税する
(4)コンビニで納税する
(5)e-Taxを利用して納税する

(1)税務署か銀行で納税する

金融機関または所轄の税務署の窓口で、現金に納付書を添えて国税を納付する手続です。
納付書には、住所や氏名、確定申告で計算した税額を記載します。

金融機関または税務署の窓口で納付する際には、クレジットカードはご利用できませんので、かならず現金を用意するようにしましょう。

税務署か銀行で納税するメリット
現金納付の場合にも、「納付書」を作成する必要はありますが、記入する項目はそれほど多くありませんし、他の納税方法と比較すると、確定申告と同一日に申告と納税を完了することができ、もっともシンプルな納税方法ということができるでしょう。

税務署か銀行で納税するデメリット
現金納付の際に作成する「納付書」は税務署ごとに印字が異なり、たとえば新宿税務署でもらった納付書で、品川税務署で納付するということはできません。
住所を所轄する税務署や、その税務署の管内にある金融機関でもらうようにしましょう。

参照:国税庁「現金に納付書を添えて納付(金融機関又は税務署の窓口)」

(2)振替納税する

振替納税は、指定した口座から引き落として納税する方法です。
直接税務署に出向いて申告書を提出する人は、指定する金融機関名、預金の種類、口座番号などをメモして届出印を持参すれば、申告書の提出時に振替納税の手続きをすることができます。
令和4年分の申告から、振替口座を希望する人は、納付書類送付依頼書と預貯金口座振替依頼書が一緒になった書類が、「確定申告書の手引」に添付されていますから、この書類に住所、氏名、指定する金融機関名、預金の種類、口座番号などの必要書類を書き込んで、金融機関への届出印を押して3月15日までに税務署に提出すれば、振替納税によって自動で指定口座から引き落とされます。
金融機関で利用者認証を行ってオンラインで提出することも可能です。

振替納税の手続きをしている人は、4月中旬頃に指定口座から引き落とされます。

振替納税のメリット
振替納税のメリットは、引き落とし日が1カ月ほど遅くなるという点です。

したがって、3月15日までに納税資金を用意するのが難しいという場合には、とりあえず納付書類送付依頼書と預貯金口座振替依頼書を提出しておいて、引き落とし日までに口座に納税資金を用意しておけば、未納となることはありません。

振替納税のデメリット
振替納税で税金を納める場合には、あらかじめ納付書類送付依頼書と預貯金口座振替依頼書が一緒になった書類を提出する必要があります。
また、引き落とし日に納税資金が口座に用意できないと3月15日にさかのぼって未納扱いとなり、延滞税が課される可能性がありますので、その点については注意が必要です。

(3)クレジットカードで納税する

平成29年(2017年)から、クレジットカードによる納付が認められるようになりました。

クレジットカード納付のメリット
クレジットカード納付も振替納税と同じように、3月15日以降の引き落としとなるので、納税資金が用意できないという時には、資金繰りに役立ちます。
また、クレジットカードを利用して納付すればポイントもつくので、多額の納税がある人はキャッシュバックを受けられるというメリットもあります。

クレジットカード納付のデメリット
クレジットカード納付によって納税する場合には、あらかじめ下記の「国税クレジットカードお支払サイト」で必要事項を入力する必要があります。

参照:国税クレジットカードお支払いサイト

また、クレジットカード納付の場合には、他の納税方法にはない「決済手数料」が発生します。決済手数料は、1万円あたり82円で納税額が増えるほど多くなります。したがって、ポイントで得られるメリットと比較して検討するようにしましょう。

~納付税額ごとの決済料~

納付税額 決済手数料(税込)
1円~10,000円 83円
10,001円~20,000円 167円
20,001円~30,000円 250円
30,001円~40,000円 334円
40,001円~50,000円 418円
以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。

(4)コンビニで納税する

平成31年(2019年)1月4日から、確定申告書等作成コーナー・国税庁ホームページのコンビニ納付用QRコード作成専用画面から、コンビニエンスストアで納付するための「QRコード」(PDFファイル)を作成(印刷)して納税することもできるようになりました。

コンビニ納付のメリット
コンビニ納付のメリットは、何といってもわざわざ税務署に出向いて納付書を入手しなくてもよくなるという点です。国税庁のホームページから出力したQRコードから納付書を出力し、その書面でコンビニから納付できるようになるので、わざわざ税務署に出向く必要がなくなりました。

コンビニ納付のデメリット
コンビニ納付ができる金額は30万円以下までとなっています。
したがって、30万円以上納付する場合には、コンビニ納付による納税が行うことができません。また、コンビニ納付をした場合、納付済の納税証明書の発行が可能となるまで、3週間程度かかる場合があります。

参照:国税庁「コンビニ納付(QRコード)」

(5)e-Taxを利用して納税する

e-Taxとは、国税の納付手続を自宅やオフィスからインターネット経由などで電子的に行うことができるシステムです。

e-Taxのメリット
電子納税は、自宅やオフィスにいながらにして国税の納付手続が可能となることから、わざわざ税務署や金融機関の窓口まで出向く必要がなくなります。
また、時間的な制約もなく、現金納付の「窓口が開いている時間しか納付できない」などのデメリットも解消されることになります。

e-Taxのデメリット
e-Taxを利用するためには、事前に「開始届出書」を提出しなければなりません。また、e-Taxの電子納税の方式には「ダイレクト納付による電子納税」と「インターネットバンキング等による電子納税」がありますが、「ダイレクト納付」を利用する場合には、あらかじめ「ダイレクト納付利用届出書」の提出も必要です。

参照:国税庁「電子納税の詳細」

まとめ

以上、確定申告後の納税方法についてご紹介しました。
納税する方法はさまざまですが、クレジットカードや振替納税の場合には、納税の引き落とし日が1カ月ほど遅れることになりますので、資金繰りが厳しい時には活用するのがおすすめです。
なお、納税方法は毎年見直しされますので、納付する前には事前に国税庁で確認するようにしましょう。
確定申告書の作成や税額計算、納付方法について不明点がある場合には税理士に相談してみましょう。

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