会費(年会費・入会費)の勘定科目・仕訳例

公開日:2022年02月26日
最終更新日:2024年07月01日

この記事のポイント

  • 会費とは、同業者団体等に対する会費を支払った時に使う勘定科目。
  • 会費は、交際費や寄付金として取り扱われることがあるので注意が必要。
  • 事業に関係ない支出で政治団体等に対する支出などは、寄付金として処理をする。

 

会費とは、同業者団体に対する会費や町内会の会費、定例会費など、事業の遂行に必要な支出があった場合に使用する勘定科目です。
業務とは直接関係なく、親睦を深めるための会の会費は、法人であれば「交際費」、個人事業主であれば「事業主貸」として処理をします。
 

会費の豆知識

会費とは、同業者団体や町内会、定例会など、事業の遂行に必要な支出に用いる勘定科目です。会費には複数の勘定科目が存在し、その内容に応じて適切に分類される必要があります。
たとえば、取引先との接待や交流を目的として団体に加入する場合、その入会費などは「交際費」で仕訳します。法人の場合、交際費は原則として損金に算入できませんが、中小企業で一定の要件に該当する場合には、一定額までは損金算入が認められています。そのため、会費が交際費に該当するかどうかを適切に判断することが重要です。
また、「会費」という名目でも対価を求めない会費については「寄附金」として仕訳します。
また、翌年度分の会費を一括で支払う場合は、「前払費用」を使用します。前払費用とは、提供前のサービスに対する料金を先払いした際に用いる勘定科目です。
このように会費の分類と仕訳については、さまざまなパターンがあるため、税理士に相談して適切に税務処理を行うことが大切です。

会費とは

会費とは、業務に必要や同業者団体や町内会、クレジットカードなどの年会費を処理するときに使う勘定科目です。「諸会費」とすることもあります。
業務に直接関係ない団体、たとえば政治団体や神社に対する支出は「寄附金」として処理をします。また、会費として支出したとしても親睦を深めることを目的とした会の会費は「交際費」として処理をします。

(1)会費として処理する支出

会費として処理する支出は、以下のような支出です。

・商工会議所会費
・町内会会費
・法人会会費
・商業組合会費
・工業会会費
・自治会費
・同業団体会費
・商店連合会会費
・定例会費
・分担金
・クレジットカード年会費

(2)会費と交際費・寄附金との違い

会費は、税務上交際費や寄付金として取り扱われることがあるので、注意が必要です。
損金となる寄付金や交際費には、限度が設けられているからです。

▶ 損金算入とは|費用との違い・要件をわかりやすく

特定の役員や従業員のみが利用するスポーツジムなどの年会費は、実態は給与を支払ったのと変わりはありませんので、役員分は「役員報酬」、従業員分は「給料」で処理をします。

会費と交際費、寄附金等との区分は以下のとおりです。

勘定科目 取引内容の例
交際費 事業の遂行に直接関係のある団体への支出であっても、その目的が専ら親睦を深めるために組織された者に対する支出である場合
ゴルフクラブの会員権を「その他資産」として資産計上している場合で、その会員権の年会費
ロータリークラブの入会金、会費(個人事業主の場合は必要経費とならない)
社交クラブの入会金、会費(個人事業主の場合は必要経費とならない)
寄附金 社会事業や政治団体、神社等に対する支出
前払費用 所属する団体に対する会費であっても、当該団体で不相当に多額の剰余金が生じている場合
福利厚生費 従業員の福利厚生目的のための支出
役員報酬、給与 特定の役員や従業員のみが利用するための年会費

(3)会費が消費税の課税対象となるかの判定

入会費や会費が消費税の課税対象になるかどうかの判定は、その団体から受ける役務の提供などと、会費との間に明らかな対価関係があるか否かによって行います。
団体の通常の業務運営のために経常的に必要となる費用を、その団体の構成員に負担させていて、その団体の存立を図ることを目的としている場合には、消費税の課税仕入れに該当しません。

しかし会費という名目ではあっても、実質は出版物の購読料や情報提供料、施設使用料、セミナーや講演会の受講料などである場合には、役務の提供の対価ということになり、消費税の課税取引に該当することになります。

会費の仕訳例

会費は、業界団体や業務に必要なクレジットカード等の年会費等を費用に計上するときに使用する勘定科目です。
役務の提供の対価である場合には、消費税の課税取引に該当します。
なお、ロータリークラブなど、業界関係者との親睦のために入会する際の入会金、経常会費は、「交際費」として処理します。個人事業主の場合には、経費とならず「事業主貸」で処理をします。

(1)クレジットカードの年会費を振り込んだ

「法人会員のクレジットカードの年会費1万円が、普通預金から引き落とされた。」
業務に必要なクレジットカードの年会費は、「会費」として処理をします。

借方 貸方
会費 10,000 普通預金 10,000

(2)同業者団体の会費を振り込んだ

「業務上加入する必要のある同業者団体の年会費として、10万円を普通預金から振り込んだ。」
業務上加入する必要のある同業者団体の年会費は、「会費」として処理をします。

借方 貸方
会費 100,000 普通預金 100,000

(3)セミナー参加費を振り込んだ

「同業者団体の主催するセミナー参加費として、会費3万円を現金で支払った。」
同業者団体の主催するセミナー参加費は、会費として処理しますが役務の提供の対価である場合には、消費税の課税取引に該当します。

借方 貸方
会費 27,273 現金 30,000
仮払消費税等 2,727

まとめ

以上、会費に該当する支出や交際費、寄附金等との区分、会費の仕訳方法などについてご紹介しました。
会費は、同業者団体、商工会、商工会議所、町内会、業務に必要なクレジットカードの年会費等に関する支出があったときに使う勘定科目です。
業務と直接関係がなく親睦を深めることを目的としている会の会費は「交際費」、政治団体や神社等に対する支出は「寄附金」、特定の役員や従業員のみが利用するための年会費は「役員報酬、給料」として処理をします。
なお、ライオンズクラブやロータリークラブなどの入会金や会費については、法人は「交際費」で処理しますが、個人事業主の場合には事業主貸で処理をする点についても注意が必要です。

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