個人事業主の自家消費(家事消費)とは?(仕訳例付き)

公開日:2019年11月25日
最終更新日:2022年04月20日

この記事のポイント

  • 自家消費(家事消費)とは、商品を自分用に使用したり、知人にあげたりした時に使う勘定科目。
  • サンプル品をあげる場合は自家消費(家事消費)ではなく「販売促進費」。
  • 通常の販売価格の70%と仕入価格のいずれか高い方を計上する。

 

個人事業主が商品を自分で消費したり、事業で使わなくなった備品を自分で使うことにしたりした場合には、「自家消費(家事消費)」として、売上科目に計上しなければなりません。

この記事では、「自家消費(家事消費)」の意味や自家消費(家事消費)に該当するケース、仕訳方法などについて、ご紹介します。

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自家消費(家事消費)とは

自家消費とは、個人事業主が棚卸資産や棚卸資産に準ずる資産を、自分用に使用した場合や、知人に贈与したりディスカウントして販売したりした場合に使用する勘定科目です。「家事消費」とも呼ばれます。

たとえば、商品として売っているものを事業主自身が使用したり、事業に関係のない友人に半額で販売したりした場合に、「自家消費(家事消費)」として、売上科目に計上します。

(1)自家消費(家事消費)に該当するケース

自家消費(家事消費)に該当するのは、以下のようなケースです。

・販売している雑貨を事業主自身が自宅で消費した。
・販売している商品を、知人にあげた。
・販売している商品を、友人に半額で販売した。

(2)自家消費(家事消費)に該当しないケース

以下のようなケースは、自家消費(家事消費)には該当しません。

・仕入れた商品を、お客様にサンプルとしてあげた。
→販売促進活動の一環と考えられるので、自家消費(家事消費)ではなく「販売促進費」として仕訳をします。

・知人に無料でコンサルタントをしてあげた。
→サービス(役務)を提供する場合は自家消費(家事消費)には該当しません。

・30万円で買った事業用のパソコンを友人に販売した。
→パソコンは減価償却資産であり、減価償却資産を売った場合は自家消費(家事消費)ではなく、譲渡所得となります。

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自家消費(家事消費)の仕訳

自家消費(家事消費)は、原則として通常他の人に販売する価格とします。
ただし、その棚卸資産の取得価額以上か、もしくは通常販売する価格のおよそ70%以上のいずれか高い金額で計上することも認められています。

自家消費(家事消費)の金額の計算方法
・その資産の取得価額(仕入額)以上
または
・通常の販売価額等の70%相当額

また、知人などに通常の販売価格よりも著しく低い価格(半額など)で販売した場合には、通常の販売価格のおよそ70%に相当する金額と、受け取った金額との差額を「自家消費(家事消費)」として計上します。

(1)事業主が使用した場合の仕訳例

個人事業主が販売している商品を、事業主自身が使用した場合には「自家消費(家事消費)」として、売上科目に計上しますが、この時には通常の販売価格の70%と仕入価格のいずれか高い方を、「自家消費(家事消費)」として計上します。

「個人事業で販売している商品(販売価格2万円、仕入価格1万5,000円)を、事業主自身が使用した。」

①20,000円×70%=14,000円(商品の通常の販売価格×70%)
②15,000円(商品の仕入価格)

①と②を比較すると、②の15,000円の方が高いので、②で計上します。

借方 貸方
事業主貸 15,000 自家消費 15,000
※事業主貸とは
個人事業主が事業用の現金や銀行口座から、生活費などの事業経費以外を支出した時に使用する勘定科目です。

(2)知人に半額で販売した場合の仕訳例

知人に半額で商品を販売したというような場合にも、通常販売している価格の70%と仕入価格のいずれか高い金額を、「自家消費(家事消費)」として計上します。

「通常4,000円(仕入価格2,000円)で販売しているワインを、知人に半額で販売した。」

2,800円(通常の販売価格の70%)と、販売価格2,000円との差額800円を自家消費として計上します。

借方 貸方
現金 2,000 売上高 2,000
事業主貸 800 自家消費 800

(3)サンプル品をあげた場合は自家消費ではない

商品を仕入れ、その商品をお客様にサンプル品としてあげたような場合には、販売促進活動の一環と認められることから、「自家消費(家事消費)」として売上には計上する必要はありません。
「仕入高」から、「販売促進費」に振り替える仕訳を行います。

「通常価格1,000円(仕入価格は600円)を、商品サンプルとしてお客様に提供した。」

借方 貸方
販売促進費 600 仕入高 600

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まとめ

以上、自家消費(家事消費)の意味や計上する金額の計算方法、仕訳方法などについてご紹介しました。
会計ソフトを活用すれば、「家事消費等」勘定の収益と、プライベートに拠出したことを表す「事業主貸」を計上するだけで、簡単に登録することができますし、自動で青色申告決算書の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の当該欄へ反映されます。

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