法人決算の3カ月前からでも間に合う節税対策とは

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2019年01月09日

目次

  1. 決算対策とは
    • 決算対策の必要性
  2. 決算対策-決算3カ月前
    • 利益予測・納税予測
    • 消費税の納税予測
    • 黒字化対策の必要性の検討
  3. 決算3カ月前の15個の節税対策
  4. まとめ

この記事のポイント

・長期的な視点で、企業の経営にとって本当に必要な節税対策を考え、スケジュールを検討すること
・決算の3カ月前には、利益予測を立てて納税額を予測し、必要な節税対策について検討しておくべき
・資金をなるべく使わないこと、節税効果が高いことを基準にして判断するのがおすすめ

決算対策とは

決算対策とは、払う税金を少なくするための節税対策、金融機関から融資を受けるために行う金融機関対策や決算前に行う事前の準備作業などのことをいいます。

節税対策や金融機関対策についてじっくりと検討することは、短期的な視点に立った決算対策という意味だけではなく、長期的な視点で将来を見据え、有効な経営計画を策定するためにも大変重要なことです。

決算対策の必要性

節税対策を十分に行わないまま決算を迎えてしまい、結果的に税金を多く納めることになってしまうケースは決して珍しい事ではありません。実際、「もっと早く対策しておけば」と後悔するケースも多々あります。

節税対策は、短期的に行える対策から中長期的な視野に立った対策などさまざまな方法がありますが、決算が近づくにつれて、取れる方法が限られてきてしまうものがほとんどです。
決算前に慌てて行うのではなく、ある程度時間をかけてしっかり検討するのが理想的です。

節税対策についてじっくり検討した結果、来期の資金繰りを考え「節税対策を行わないで、財務体質を強化する」と判断し、「今は黒字化対策を実行すべき」と判断するのもひとつの選択肢です。

大切なのは、長期的な視点に立ち、企業の経営にとって本当に必要な節税対策は何か、どのようなスケジュールで行うべきかを判断することです。

決算対策-決算3カ月前

決算対策を検討する際には、事前の利益および納税予測、節税対策や経費の見直しなど、さまざまな事項について精査する必要があります。
ですから、少なくとも決算の3カ月前には、利益予測を立てて納税額を予測し、必要な節税対策について検討しておくべきです。
なぜなら、この時点で経営状態が黒字か赤字かで、取るべき対策が全く異なってくるからです。

利益予測・納税予測

利益予測を行うためには、昨年の同時期の「月次推移損益計算書」があると、計算しやすいでしょう。

利益予測を行う際には、まずは大まかに売上の総利益を予測し、次に経費などを計算します。特殊な投資などがある時は、減価償却費がどれくらい計上されるのかなども試算します。
決算予測利益を算出できたら、納税予測を行うのは比較的簡単です。
所得が800万円以下の会社では、税率15.0%、所得が800万円超えなら、税率を23.2%として、法人税の納税予測を行います(※平成30年4月1日以降に開始する事業年度)。
中間納付している金額がある場合には、その金額を差し引くのを忘れないようにしましょう。

普通法人全て23.4%
中小法人所得が年800万円相当額以下15.0%
中小法人所得が年800万円相当額超え23.2%

消費税の納税予測

納税予測で忘れてはならないのが、消費税です。
消費税は、基準期間(課税期間の前々年度)の課税売上高が1,000万円を超えたら課税されます。
課税対象事業者となった場合、特に中小企業では、法人税より納税額が高くなることもありますので、しっかり計算しておく必要があります。

消費税の計算方法は、原則課税方式と簡易課税方式の2種類があります。

原則課税方式:
課税売上高から課税仕入れ高を引いた額に税率を掛けて求める方法。
会社の売上高が、すべて消費税の課税対象であれば問題ありませんが、非課税取引などが含まれていると計算が大変になります。

簡易課税方式:
「売上の際に預かった消費税-売上消費税に一定のみなし仕入率を掛けた金額」で計算し、消費税の計算を簡単にする方法。

基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には、この簡易課税方式による計算も認められています。
簡易課税方式とは、課税売上高に業種によって定められたみなし仕入率を掛けた額を課税仕入れ高とする方法で計算する方法で、この計算方法だと税額を計算する手間が軽くすることができます。

みなし仕入率

第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(製造業等)農林・漁業、建築業、製造業など 70%
第4種事業(その他)飲食店業など 60%
第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業 50%
第6種事業(不動産業) 40%

簡易課税方式を選択する際には、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署に提出することが必要です。

原則課税方式と簡易課税方式のどちらで計算するかは、会社の判断に任されていますが、どちらの計算方法を選択するかで納税額に大きな差が出ることがありますので、注意しましょう。

なお、クラウドの「会計ソフトfreee」を導入していれば、取引ごとに課税区分を入力するだけで、自動計算してくれるので、作業が非常にシンプルで楽になります。

「会計ソフトって何?「クラウド会計ソフト」って何?」を読む

会計ソフトfreee「会計freeeを使った楽にできる消費税・税区分の設定」を見る

黒字化対策の必要性の検討

決算3カ月前には、来期に資金調達すべきかどうかについても検討します。
なぜなら、この時期に黒字化対策をするべきか否かを判断しなければならないからです。
金融機関からすると赤字の会社には融資しづらくなります。したがって、資金調達が必要な場合には、黒字化対策を実施する必要があります。

・経費の見直し
まず「翌期に回せる経費がないか」について検討します。
例えば、広告の出稿を数日ずらせことで、来期の広告宣伝費に計上することができます。

・少額減価償却資産
中小企業の場合、30万円以下の少額減価償却資産については、その全額を費用処理できます(2020年3月末日まで延長)。

参照:中小企業庁「中小企業・小規模事業者関係 税制改正について」

黒字化したい場合には、この特例をあえて使わずに、損金に算入せず資産として処理して減価償却を通じて費用計上するのです。
なお、この減価償却も任意なので、「今期は償却しない」と判断すれば、黒字化対策になります。

・売上の計上基準の見直し
今期の費用計上を少なくして、収入計上が多くならないか経理基準を見直します。
例えば、取引先に商品などが到着した時に初めて売上を計上する「受入基準」から、出荷した時点で売上を計上する「出荷基準」に変更します。
そうすると、早い段階で売上を計上することができるので、黒字化対策になります。

・経費削減の実施
まず黒字化対策として取り組むべきなのが、経費削減を実施することでしょう。
この時、固定費や変動費についても必ず見直します。
「人件費を外注費化して削減できないか」「店舗家賃の引下げについて家主と交渉できないか」などについてまで検討しましょう。

・役員給与の減額
役員給与を減額するのも、黒字化対策として有効な手段です。
ただし、一時的な資金繰りが目的で役員給与を減額することは、税法上認められていません。
役員給与の減額が認められるのは、代表取締役が平取締役に変更になった場合や、経営状況が著しく悪化した場合などに限定されます。

・生命保険契約の解約
不要な生命保険契約等の解約も、黒字化対策として有効です。
ただし、この時「解約返戻金>保険積立金」になっていなければ、黒字化対策を行ったことにはなりません。この点をしっかり確認してから解約の有無について判断するようにしましょう。

決算3カ月前の15個の節税対策

会社を強くして経営を安定させるためには、「税引き後の利益」を蓄積して、財務体質を強化していく必要があります。しかし、納税予想をしてみて「税金を支払う余裕がない」「来期の見通しが悪い」ということであれば、次に具体的な節税対策について検討していくことになります。

下記では、この2つの視点を踏まえ、決算3カ月前でも実行できる15個の節税対策リストをご紹介します。

「決算3カ月前の15個の節税対策」を読む

まとめ

以上、中小企業が決算前にすべき節税対策についてご紹介してきました。税金を多く納めることになったとしても、税務署が親切に教えてくれることはありません。節税対策を行うためには、税制を習熟し、税理士に有効な節税対策についてしっかりアドバイスを受けることが大切です。

取るべき節税対策は、個々の事情によって異なりますが、決算期に近づくにつれて取れる方法が限られてきてしまいますので、早めに対策を検討しましょう。

これまで述べてきたようにさまざまな節税対策がありますが、これらの節税対策を行うための基本は、「税制に習熟すること」の一言に尽きます。
税理士に相談して節税感覚を磨き、自社が活用できる節税対策はもれなく行い、上手に節税を行っていきましょう。

「決算対策の方法|利益予測と納税予測・節税対策」を読む

税理士検索freee「節税対策に強い税理士一覧」を見る

また、税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」でアンケート結果をまとめたので、一つの目安として税理士選びの参考にしていただければと思います。

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