開発費|繰延資産に計上する方法や研究開発費との違い

公開日:2022年02月08日
最終更新日:2022年03月20日

この記事のポイント

  • 開発費とは、新技術、資源の開発などのために支出した費用。
  • 開発費は、販管費として処理するが繰延資産として処理することもできる。
  • 開発費を繰延資産として計上した時は、5年以内に定額法で償却する。

 

開発費とは、新技術または新経営組織の採用、資源の開発などのために支出した費用です。開発費は、原則として支出時に費用として処理をし、販売費及び一般管理費等に計上します。
ただし、貸借対照表に繰延資産として計上し、支出時から5年以内の効果が及ぶ期間にわたって、定額法その他合理的な方法によって、規則的に償却することもできます。

開発費とは

開発費とは、新技術または新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓などのために支出した費用、生産能率の向上または生産計画の変更などによって設備の大規模な配置換えを行った場合などの費用です。
開発費は特定目的で支出する費用ですから、具体的な内容は多種多様ですが、技術導入費、経営コンサルタント料(多額の場合)、特許権使用のための頭金、市場調査費なども開発費に含まれるとされています。

(1)開発費と研究開発費の違い

開発費からは、経常的な性格をもつ費用や研究開発費はのぞかれます。

研究開発費とは、企業が自ら研究開発に要した費用のことです。
研究とは、「新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探求」であり、開発とは「新しい製品・サービスなどについての計画または既存の製品の改良のための計画もしくは設計として、研究の成果その他の知識を具現化すること」と定義されます。

開発費は繰延資産として計上することができるのに対し(※後述)、研究開発費は、発生時に費用として処理をしなければなりません。原価性のある場合には当期製造費用に計上し、それ以外は一般管理費に計上します。

(2)開発費は繰延資産として処理できる

開発費は、支出時に営業外費用または販売費及び一般管理費として処理をしますが、繰延資産として処理することもできます。

繰延資産とは、企業が支出する費用で、「その支出の効果が1年以上に及ぶもののうち、固定資産の取得価額とならないもの」です。繰延資産には、会社法で認められているものと、税法でとくに決められているものがあります。

会社法で繰延資産として計上することが適当と認められているものは、創立費、開業費、開発費、社債等発行費、株式交付費の5つで、税法でとくに決められているものとしては、商店街のアーケード設置のために支出する費用や、ノウハウの提供を受けるために支出する頭金などがあり、その範囲はかなり広くなっています。

▶ 繰延資産|意味と種類、償却方法と仕訳例【まとめ】

(3)開発費を繰延資産とした場合は5年で償却する

開発費を繰延資産として計上した場合には、支出時から5年以内の効果が及ぶ期間にわたって、定額法で償却します。
ただし会社法上の繰延資産は、固定資産の減価償却のように償却方法が決められているわけではなく、開発費など会社法で繰延資産への計上が認められているものは、その支出した金額をいつでも償却してよいという自由償却が認められています。

一方、税法でとくに決められているものについては、その支出の効果が及ぶ期間に応じて償却する金額を計算します(残存価額という考え方はなく、支出した費用全額が償却できます)。

当期の月数 ÷ 支出の効果の及ぶ期間の月数
会社法上の繰延資産:自由償却
税法特有の繰延資産:その支出の効果が及ぶ期間に応じて償却する金額を計算する。

開発費のよくある仕訳

開発費を繰延資産として計上した時には、支出時から5年以内の効果が及ぶ期間にわたって定額法で償却します。開発費に計上するもののうち、資産の譲渡、役務の提供を伴うものについては、消費税の課税取引となり、役務の提供を伴わないものについては、消費税の課税対象外となります。

採用した新技術の利用中止や新規開拓市場から撤退したなどの理由で、支出の効果が期待できなくなった時には、未償却残高を一時に償却します。

(1)開発費を資産計上した

「新技術開発のために支払った費用550万円を、開発費として資産計上した。」

借方 貸方
開発費 5,000,000 普通預金 5,500,000
仮払消費税等 500,000

(2)開発費償却をした

「資産計上した開発費500万円を、5年で償却することとした。」

借方 貸方
開発費償却 1,000,000 開発費 1,000,000

まとめ

開発費とは、新技術・新経営組織の採用、資源の開発などのために支出した費用、生産能率の向上・生産計画の変更などによって設備の大規模な配置換えを行ったときなどの費用です。支出時に販売費及び一般管理費として処理をしますが、繰延資産として計上することもできます。
税法では、自由償却が認められていますが、5年以内のその支出の効果が及ぶと期待されている期間内に、原則として定額法による償却を行います。

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