売上原価|意味・算出方法・業界別売上原価

公開日:2019年11月29日
最終更新日:2019年11月29日

目次

  1. 売上原価とは
    • 売上原価は損益計算書に表示される
    • 売上原価の算出方法
    • 棚卸資産の評価方法
  2. 業界別売上原価
    • 建設業の売上原価
    • 製造業の売上原価
    • 情報通信業の売上原価
    • 小売業の売上原価
  3. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 売上原価とは、販売する商品の仕入高のことである。
  • すべて売上原価となるわけではなく、一会計期間の商品の売上総額に占める仕入れの価格総額が売上原価となる。
  • 期末に残っている商品があれば、それは在庫となり、商品として資産計上される。

 

売上原価は、仕入れた商品の仕入高がすべて売上原価となるわけはなく、販売した商品の仕入原価の合計が売上原価となります。

この記事では、売上原価の意味や算出方法の他、自社の売上原価の参考にしていただくために、業界別の売上原価などについてご紹介します。

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売上原価とは

売上原価とは、販売する商品の仕入高のことです。商品がサービスの提供を行う場合でも、そのサービスに必要な費用は売上原価となります。製造業であれば製造活動で発生した原価であり、販売会社の場合には仕入活動から発生した原価が「売上原価」となります。
売上原価は、その一会計期間に仕入れた仕入高がすべて売上原価となるわけではなく、一会計期間の商品の売上総額に占める仕入れの価格総額のことです。
期末に残っている商品があれば、それは在庫となり、商品として資産計上されますので、販売された商品にかかる仕入価格の総額が売上原価となります。


たとえば、10個の商品があり、そのうち7個が売れたケースで考えてみましょう。この場合、売上原価に計上できるのは、売れた7個の仕入高だけです。まだ売れていない3個については売上原価として計上することはできません。

売上原価は損益計算書に表示される

売上原価は、損益計算書(会社の儲けが表示されている決算書)に表示されます。
損益計算書に表示される儲けは「売上高」から「費用」を差し引いて計算します。実際には損益計算書では、この「費用」をいくつかの種類に分類し、5つの種類の利益に区分して表示されています。

売上原価について詳しくご紹介する前に、損益計算書で表示される売上原価や、5つの利益の意味について理解しておきましょう。

売上総利益
売上高総利益は、「売上高」から「売上原価」を差し引いて計算します。
実務では「粗利(あらり)」と呼ばれるものです。

売上総利益=売上高-売上原価

営業利益
売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものが「営業利益」です。

営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費とは、具体的には広告宣伝活動や販売促進活動などにかかった費用や人件費などです。
営業利益は、損益計算書ではもっとも重要な利益と考えられています。

経常利益
経常利益は、営業利益に営業外収益を加算して営業外費用を差し引いて計算されます。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

営業外収益とは、銀行預金から得られる利息や株式を所有していることから得られる配当金などで、営業外費用とは、銀行からお金を借りている時の支払利息などです。

税引前当期純利益
税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加算して特別損失を差し引いて計算します。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益—特別損失

特別利益、特別損失とは、例えば土地を売却した際の利益や、工場が火災で焼失した際の損失など、臨時的に発生した損益のことをいいます

当期純利益
税引前当期純利益から、会社の利益に対して課される利益を差し引いて当期純利益が計上されます。当期に計上される最終的な儲けです。
つまり、本業で稼ぎ出した利益から、本業以外の利益を加算し、本業以外の損失を差し引き、さらに税金も差し引いた結果が、「当期純利益」です。

売上原価の算出方法

これまでご紹介してきたように、売上原価は販売された商品にかかる仕入価格の総額で、期末に売れ残っている商品は在庫として資産計上されます。
この関係を計算式に示すと、以下のようになります。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高(商品の数量×単価)

棚卸資産の評価方法

期首商品棚卸高は、前の期間で算出した金額をもとに求めることができます。また、当期商品仕入高は、購買実績をもとに求めることができます。
そこで、期末商品棚卸高が算出されれば、一会計期間の売上原価を算出できるということになります。
そこでまず、期末商品棚卸高を算出することになりますが、この期末商品棚卸高を算出する方法は3通りあります。

①継続記録による方法
商品ごとに仕入計上の記録(数量と単価)をすると共に、出荷の時点(その商品の売上が計上された時)に、その払出数量と金額を記録していく方法です。
一会計期間の全商品の払出金額合計がその会計期間の売上原価となります。
この個々の商品の仕入額は一定している場合もあれば、常時変動する場合もあります。出荷商品の原価を把握するためには、その商品にどの時点での仕入値をつけるかが問題となります。この方法は、先入先出法、移動平均法などが行われます。

先入先出法
最も古く取得された財貨から順次払出が行われ、期末棚卸品は最も新しく取得された財貨から構成されると仮定して、期末棚卸資産の価値を算定する方法です。通常の取引では、先に取得した棚卸資産から売却することが多いので、この計算方法は、実際の財貨の流れと記帳の順序が一致することが多くなります。
物価変更時にこの方法を用いた場合には、貸借対照表に計上される棚卸資産の価額はより時価に近いものとなります。
一方、売上原価に計上される当期払出分の棚卸資産の評価額は、時価と剥離することになるので、その差額分を利益や損失に含むことになります。

移動平均法
資産を取得するたびに、それまでの保有分と新規取得分とを合計して平均単価を計算し、それを次の取得があるまで払出単価として会計処理する方法です。
売却時に損益を把握することができ、不規則的な価格変動の影響を中和できるというメリットがありますが、取得のたびに加重平均単価を計算しなければならなくなるというデメリットもあります。
ただし、このデメリットは会計ソフトの発達によって、解消されています。

②実地棚卸による方法
期間中は受払いの管理はせずに、期末に実地棚卸を行い、実際に商品を数えてそれに一定の仕入値を掛けて在庫金額を把握する方法です。
個々の在庫の単価は、「最終仕入原価法」といって、実地棚卸日から一番近い時点に仕入れた時の単価を使っていますので、実地棚卸日の直前に商品単価が以上に変動した場合には、在庫として残っている正常な仕入単価による商品も、その異常な単価を使って計算してしまうという問題点があります。

③継続記録による方法と実地棚卸による方法の併用
実地棚卸のみでは、商品のロス部分なども自動的に売上原価に含まれてしまいます。そうすると正常な売上原価との区別ができなくなる可能性もあります。そこで、継続記録による方法と実地棚卸による方法を併用して、本来の在庫金額と実地棚卸高との差異を明らかにして制度の高い在庫管理を可能にしようとする方法です。

このように期末商品棚卸高を算出する方法は3通りありますが、どの方法で期末商品棚卸高を算出するかは、個々の状況によります。中小企業の場合には実地棚卸のみで在庫金額を把握しているケースが多いのが実情です。

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業界別売上原価

売上総利益=売上高-売上原価
なので、売上原価を下げることができれば、それだけ売上総利益を上げることができます。

そこでまずは、自分の業界の原価の構造や目安を知って、どこを改善すればよいのか検討するようにしましょう。

ここでは、中小企業庁の「中小企業実態基本調査(平成30年速報)」から、建設業、製造業、情報通信業などの売上原価をご紹介します。
参照:中小企業庁「中小企業実態基本調査(平成30年速報)」

建設業の売上原価

建設業では、売上高にあたるものを「完成工事高」といいます。対応する原価は「完成工事原価」です。建設業では、他の業界と比較すると全体に占める売上原価の割合が高く、約79%が売上原価となっています。

さらに売上原価のなかでも特に目立つのは外注費の高さです。外注費を売上原価構成比で見てみると約52%となっていて、半分以上を外注に頼っていることが分かります。その他の売上原価としては、材料費が18.8%、労務費が10.2%となっています。
これは、元請け、下請け、孫請けという建設業にありがちな外注構造が原因といえるでしょう。

製造業の売上原価

製造業では、売上構成比で約78%が売上原価となっていて、建設業に次いで売上原価の割合が高いといえます。

売上原価のうちでは、材料費が売上高構成比の約33%となっています。つまり、全体の3割以上が材料費ということになります。
他には、労務費が売上高構成比の13.3%、外注費が売上高構成比の9.6%となっています。

情報通信業の売上原価

情報通信業とは、携帯、電話、ソフトウェア、インターネットサービスなどです。
情報通信業は、売上原価の占める割合が比較的に低い傾向があります。

売上原価のなかでも高いのは外注費ですが、これは情報通信業が、材料費や労務費などより「人」のパワーに頼る部分が大きいということをあらわしているといえます。

小売業の売上原価

小売業も、売上原価が比較的低い業界です。ただ、販売費及び一般管理費のコストが高い傾向があり、広告宣伝費や人件費にコストをあげて売上を上げているということになります。

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まとめ

以上、売上原価の意味や計算方法、業界別売上原価の売上高構成比についてご紹介しました。売上原価が分からないと、商品やサービスをいくらで売ったのか分からず、さらに売った時にもいくら利益が出たのかも把握することができません。
また、売上原価の中身を検討しないと、コストダウンの対策も立てることができません。さらに、今後日本では増税の傾向が続くとみられています。増税分を価格に転嫁できればよいかもしれませんが、それでは消費者から支持されなくなってしまう可能性もあります。
したがって、しっかりとした原価管理と上手なコストダウンがより大切になってくるのです。税理士などに相談し、原価のしくみや原価計算、原価のコストダウンのための対策などについて、アドバイスを求めることをおすすめします。

税理士をお探しの方

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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