同族会社とは|3つの判定基準と自社株対策が必要な3つの理由

公開日:2019年12月06日
最終更新日:2019年12月06日

目次

  1. 同族会社とは
    • (1)行為計算の否認
    • (2)留保権課税制度
  2. 同族会社と判定される3つのポイント
    • (1)持分基準
    • (2)議決権基準
    • (3)社員数基準
  3. 同族会社の自社株対策の3つのポイント
    • (1)評価額が高額になることが多い
    • (2)相続トラブルを防ぐ必要性
    • (3)経営権を維持する必要性
  4. 同族会社の相続税・贈与税の納税猶予制度
    • 納税猶予制度のメリットは
    • 適用要件
  5. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 同族会社とは、経営者一族が会社の出資持分の全部またはほとんどを所有している会社のこと。
  • 同族会社は、大企業にも同族会社は存在している。
  • 同族会社は、税金逃れのための取引や計算を行われないよう厳しい措置がとられている。

 

同族会社とは、経営者一族によって出資持分の全部またはほとんどを所有している会社をいいます。

中小企業では、出資はもちろん従業員もすべて一族で、個人事業主が会社組織にしているに過ぎないようなケースもありますが、大企業にもこのような同族会社は多く存在しています。

同族会社は経営者の独断により事業が行われやすいことから、厳しい特別規定が適用されることがあります。

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同族会社とは

同族会社とは、経営者一族が会社の出資持分の全部またはほとんどを所有している会社のことで、民法上は同族会社の規定はありませんが、税法上の用語が一般化して一般的に「同族会社」として呼ばれています。

同族会社は、早い意思決定が可能であり、かつ株式上場が不要であるなどのメリットはあるものの、経営者の独断により事業が行われやすいという懸念があることから、税法上厳しい措置が設けられていたり経営者の死亡がそのまま会社の存続の危機につながったりするなど、多くのデメリットもあります。

同族会社は、主要な株主が経営者となることが多いので、経営者の独断により事業が行われやすいことから、税金逃れのための取引や計算を行わないよう、行為計算の否認や、留保権課税制度という厳しい措置がとられています。

なお、同族会社というと中小企業をイメージする人も多いと思いますが、大企業にも同族会社は存在しています。たとえば、建設大手の竹中工務店やウィスキーのサントリー、YKKの古田工業などは同族会社です。

(1)行為計算の否認

行為計算の否認とは、通常は考えられないような経済行為によって税金逃れを図る行為があった場合に税務署長が税額の計算をすることができるというものです。
たとえば、同族会社は一族で経営判断ができることから、不必要な別荘やヨットを購入したり高額な役員報酬の支給をしたりすることも、簡単にできてしまいます。そこで、このような事態に備えて、法人税法上、同族会社の行為計算の否認規定が設けられているのです。

(2)留保権課税制度

同族会社は、一族で意思決定することが可能なので、株式上場した会社のように一般の株主からの配当要求もありません。したがって、剰余金も自由に処分することができることから、内部留保した金額のうち一定額を超える金額については通常の法人税とは別に特別の法人税が課されることになります。これを「留保権課税制度」といいます。

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同族会社と判定される3つのポイント

税法上、同族会社は①持分基準②議決権基準③社員数基準の3つの基準のいずれかに該当する会社をいいます。

(1)持分基準

発行済株式数のうち、上位3人以下で50%以上の株式を保有していると同族会社とみなされます。
たとえば、発行済株式総数が200株で、株主はA~Eの5人の例で見てみましょう。
株主AとEが夫婦で、夫Aが75株、妻Eが15株持っていて、Bは40株、Cは35株、Dは25株持っているとします。
そうすると、上位3順位は90(A+E)+40(B)+35(C)=165となり、これを総株式数200で割ると、82.5%となり、A+Eが50%を超えることになりますので、同族会社ということになります。

(2)議決権基準

株式の総数とは別に、議決権の過半数を有しているかどうかも判定の基準となります。

たとえば、発行済株式総数が200株で、株主はA~Eの5人の例で見てみましょう。
株主AとEが夫婦で、夫Aが75株、妻Eが15株持っていて、Bは40株、Cは35株、Dは25株持っていて、議決権はそれぞれ20個持っているとします。

そうすると、上位3順位の議決権数は、40(A+E)+20(B)+20(C)=80となり、これを総議決権数で割ると、80÷100=80%で50%を超えることになりますので、同族会社ということになります。

(3)社員数基準

持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)では、業務執行は社員(出資者)の過半数をもって決定します。しかし、この時には出資金額に左右されないことから、同族会社か否かを判定する際にも、株式数、議決権数に加え、出資社員の数によって判定するものとしています。

たとえば、業務執行社員の定めのある持分会社で、全社員9名に業務執行権がある場合には出資額のみの判定となるので、同族会社ということになります。

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同族会社の自社株対策の3つのポイント

自社株とは、一般的にオーナー経営者が主として株式を所有する会社の発行株式のことをいいます。
自社株は、会社の経営維持のために必要であるのは言うまでもありませんが、評価額が高額になってしまうことが多いことから、事業承継対策をするうえでも大変重要となります。

(1)評価額が高額になることが多い

自社株の評価額は、設立当初の払込金額の何十倍となっているなど、自社株の評価額が高額になり、納税資金の確保が難しくなることもあります。自社株の評価が高くなってしまい、思いがけない相続税の納税資金を用意できず、会社の経営まで危うくなるケースもあるのです。そこで、事業承継の場合には相続税対策とともに自社株対策が大変重要となってきます。

(2)相続トラブルを防ぐ必要性

相続財産には、不動産や現金預金などのほかに、自社株も含まれます。
この時遺言書がないと、相続人間で協議がなされますが、この相続財産の分配をめぐって、相続トラブルに発展するケースがあります。
こうなると、自社株を確保できなければ、後継者は事業を維持することができず、結局は会社の存続さえ難しくなるケースが多々あるのです。
このようなトラブルを防ぐためには、あらかじめ遺言書を作成して後継者に事業を継続するうえで必要な自社株や事業用不動産などを相続させるよう対策を行っておく必要があります。
具体的には、会社法の利用による株式対策、税務上の下部か引下げなどの対策が必要になります。これらの対策は親族の状況や持株割合、相続財産の総額などによって、異なってくるので、事業承継対策を行う場合には、必ず税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

(3)経営権を維持する必要性

経営権とは、経営者自身の経営方針を通せるだけの株式を有していることをいいます。
けれども事業を行っていくうえでは、会社を増資して新株を他人に引き受けてもらったりした結果、経営者の持株割合が低くなってくるケースもあります。
持株割合が低くなってしまうと、思うとおりに経営ができなくなる可能性もあるため、そうならないように経営者自身の経営方針を通せるだけの株式保有は続ける必要があります。

経営権を確保するためには、少なくとも特別決議に必要な3分の2の議決権を経営者一族で保有しておく必要があります。ただし、3分の2の議決権があれば、すべての運営が自由になるというわけではありません。
たとえば解散請求権などは、議決権の10分の1を有する株主に少数株主権が認められているので、注意が必要です。

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同族会社の相続税・贈与税の納税猶予制度

事業承継がスムーズにいかず、中小企業が減少することに歯止めをかけるために、相続税・贈与税の納税猶予制度が新設されました。

納税猶予制度のメリットは

これは、後継者が事業承継後も安定して事業を継続していくための税制上の措置で、いくつかの要点を満たす場合には、相続または遺贈により取得した非上場株式に係る贈与税・相続税の一部または全部の納税が猶予及び免除されることになります。

この制度によって、「納税資金の負担が重く、事業が存続できない」「自社株式の価値が上がり、納税額が高額になりそうだ」などといった事態を回避することができるようになります。

適用要件

この制度の適用を受けるためには、中小企業者であることのほか、上場会社等・風俗営業会社・資産保有型会社又は資産運用型会社に該当しないことが必要となります。
また、後継者の要件として、贈与時に第一種特例経営承継受贈者とその者の親族などで総議決権数の過半数を保有していることなどが必要になります。

さらに、承継時の税負担ゼロになる特例措置の適用を受けたい時には、特例承継計画を作成し、贈与認定申請基準日から贈与日の属する年の翌年の1月15日までの間に、本社が所在する都道府県庁へ認定申請する必要があります。

「事業承継税制(特例措置)を受けるための「特例承継計画」」を読む

「事業承継税制の4つのメリット・3つのデメリット&平成30年で改正された内容」を読む

「事業承継税制|平成30年度税制改正ポイント・特例措置と一般措置の違い」を読む

「事業承継について相談できる税理士一覧」を読む

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まとめ

以上、同族会社や自社株対策、同族会社の事業承継対策などについてご紹介しました。
なお、事業承継は、相続税・贈与税対策のほかにも、後継者の選定や育成など、さまざまな視点から検討する必要がありますし、場合によっては、M&Aなどを検討する方が得策なこともあります。

いずれにせよ、税理士などの専門家に相談し早めに対策を始めることが、無用なトラブルを防ぐことにつながりますし、会社を守り従業員の雇用、取引先の安全を守ることにつながります。

会社を後継者に引継ぎ、事業を維持するためにも、早めに事業承継に精通している税理士とともに対策を立てましょう。

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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